ほうかご!
げんかん!

唯「あれ、憂?」

憂「お姉ちゃん……ぶ、部活は?」

唯「やだなー、昨日辞めるって言ったじゃん」

憂「け、軽音部だけが部活じゃないでしょ、見学とかさ」

唯「見学週間も過ぎちゃったしねー」

憂「私、部活入ってないから、一緒に回ろうよ」

唯「あんまり入りたい部活もないしー」

憂「じゃあじゃあ、私が見たい部活を見に行こうよ」

唯「憂が一人で行けばいいと思うな」

憂「一緒に帰る?」

唯「いいよー、でも、いいの、見たい部活があったんでしょ?」

憂「いいの、やりたいことは別に今やらなくても良いことだから」

唯「今しかできないことかもしれないよ?」

憂「やりたいと思う気持ちがあればいつだってできるよ、たとえ辞めちゃっても」

唯「……ううん、今しかできないと思う」

憂「お、姉ちゃん?」

唯「なんでもない」

憂「そ、そう、じゃあ、お夕飯の買い物もしようよ」

唯「いいねー」



ゆうしょく!

唯「んまー」

憂「幸せそうな笑みだね」

唯「すごく美味しいよぉ、憂は良いお嫁さんになれるよ」

憂「私には相手がいないから」

唯「憂ならすぐに見つかるって」

憂「ほ、ほら、相手がいても私が気に入らないかもしれないし」

唯「憂は理想が高いの?」

憂「そんなことないと思うけど」

唯「だいじょうぶだよ、きっと、私よりはいい人だからね」

憂「お姉ちゃんは恋愛対象じゃないよ……」

唯「そうなの!?」

憂「驚かないでよ……」



じしつ!

唯「ギターかぁ……」

唯「かわいいよね、君は」

唯「すっごいかわいい、私とは大違いだね」

唯「私はかわいくないね」

唯「ギターも全然上手に弾けないし」

唯「宝の持ち腐れだよね」

唯「宿題と予習しよう……っと」




よくじつ!
いえのまえ!

澪「おはよう唯、憂ちゃん」

唯「……お、おはよう」

澪「偶然ってあるもんだなー、いやはやうんうん」

憂「え、と、おはようございます澪さん」

唯「りっちゃんは?」

澪「んー? 昨日部活中ずっと待つとかいうから置いてきた」

唯「……」

憂「じゃ、じゃあ、行きましょうか、ね、お姉ちゃんも」

唯「ん」


澪「ギターはどうしたんだ、置いてきたのか?」

唯「やだな澪ちゃん、部活に行かないのにどうして持ってくるの?」

澪「大事にしてたじゃないか」

唯「大事にしてるよ、お部屋にちゃんとしまってあるもん」

澪「楽器は演奏しないと悲しむもんなんだぞ」

唯「……そう?」

澪「そう」

唯「たとえそれが下手でも?」

澪「最初から上手な人間なんていないよ」

唯「いつまでも上手にならなくても?」

澪「いつまでに上手にならなきゃいけないなんて決まり事は音楽にはないよ」

唯「そうかな、扱う人間が下手だと楽器も悲しむよ」

澪「それは違うぞ、私には分かる」

唯「どうして?」

澪「一番悲しいのは、大事にしてくれた人間に忘れられてしまうことだ」

唯「澪ちゃん……」

澪「そのためにはなー、やっぱり演奏してやらないと」

唯「楽器って、弾くために存在するものなの?」

澪「そりゃそ……」

憂「お姉ちゃん、宿題あるって言ってたよね、宿題やった?」

唯「へ? うん、やったけど」

澪「唯が宿題だなんて、明日は雨だな」

唯「ぶーぶー、私だって宿題をするときくらいありますよーっだ」




きょうしつ!

澪「じゃあ、私はこっちだから」

唯「和ちゃんによろしくー」

澪「直接言えばいいじゃないか」

唯「昨日から音信不通なんだよ……」

澪「音信不通ってそういうときに使うのか……? まあ、良いけど」

憂「じゃあ、お姉ちゃん、私もこっちだから」

唯「うん、勉強頑張ってね」

憂「うん、もちろんだよ」

澪「てか、勉強を頑張るのは唯だろ」

唯「そうだねー、学生の本分は勉強だからー」



紬「あ、おはよう唯ちゃん」

唯「ん、おはよー」

紬「朝ご飯食べた?」

唯「え?」

紬「これ、もし良かったら食べて」

唯「お、お菓子!?」

紬「うん、良ければなんだけど」

唯「良い! 良い! 断然良い!」

紬「ふふ、お茶はないけれど」

唯「それはしょうがないよねー」


唯「んまー、ムギちゃんのお菓子んまー!」

律「朝から食欲旺盛だな唯」

唯「おぉ! 朝食べずしていつ食べる!」

律「昼も夜も食べるだろ」

唯「お菓子は別腹だねえ……」

律「ムギ、私にもくれ」

唯「なにー、りっちゃんの分もあるのかー!」

紬「ごめんねりっちゃんの分はないの」

律「なんだとー! 唯、半分寄こせ!」

唯「やだよー」

律「なにをー、よし、必殺のチョークスリーパーだ!」

唯「もう全部食べちゃったよー」

律「出せ! 出せ!」




おひる!

唯「りっちゃんってさ」

律「んー?」

唯「お弁当自分で作ってるんだね」

律「断定系!?」

唯「お弁当マイスターの私の美的感覚をなめちゃダメだよ」

律「なんだよそのマイスター」

唯「お弁当を見ることによって、作った人の腕前が分かるのです!」

律「さよけ」

唯「りっちゃんのお弁当は、星3つです!」

律「それが言いたかっただけだろ!」


紬「ねえねえ、それ、どういう意味なの?」

唯「え、ムギちゃん、マチャアキ知らないの?」

律「堺正章といえば、西遊記と隠し芸だよな」

紬「有名な人なの?」

唯「」

律「なあ、ムギ、世の中には芸能人っていう人種があってな」

紬「うんうん」

律「テレビに出てる人の事をだいたい指すんだけど、そのテレビって言うのは」

紬「嫌だわりっちゃん、テレビなら知ってるわ」

律「うん、そのテレビに出てる人の中でも、かなり有名な人だ」

紬「わかった、今度会ってみるわね!」

唯「マチャアキなら私も会いたいよ……」

律「ああ、だが、ここで連れて行ってくれとは言えん」

紬「え? どうして?」

律「気軽に電話かけて今から会えますか、で会える人じゃないんだよ!」

紬「そうなの!? すごいわね芸能人って」

唯「で、でね、星3つっていうのは、チューボーですよっていう番組の台詞なの」

律「(壮大な自虐か……)」

紬「へー」



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