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  「かごめかごめ」



かごめ かごめ

籠の中の鳥は

いついつ出やる

夜明けの晩に

鶴と亀が滑った

後ろの正面だあれ?

「かごめかごめ」



「ねぇ、この噂知ってる?」

「何々?」

「自分の好きな人を一日中籠に閉じ込めるとさ、両想いになれるってやつ」

「あっそれ私も聞いたことある!
でも私の聞いた話だとその好きな人が大切にしている人を二人生け贄にしなきゃいけないんだって!」 

「うっへ~何か一気に都市伝説っぽくなったな~」

「…というか都市伝説でしょ」

「こんなこと信じる人いるのかな~実際」

「いないいないそんなの。てかそもそも犯罪じゃん」

「わかんないよ~? 恋は盲目って言うしさぁ? もしかしたら……ガバッ! ってさ~」

「キャーお助け~」

────

律「オーッス澪~」

澪「おはよう、律」

律「ねぇねぇ! 昨日の都市伝説特集見た?!」

澪「絶対言ってくると思った! 見るわけないだろ! あんなの……」

律「見るわけないじゃなくて見れるわけないの間違いだろ~?」ニヤニヤ

澪「うぅ……。なんで都市伝説ってああいう怖々しいのばっかりなんだろ……」

律「見てないのに怖いってわかったのかー? ま、実際怖かったケド」

澪「頑張って新聞のテレビ欄だけは見たんだ! 学校で絶対話題になると思って」

律「健気だな……。でもそれ話してるの聞いたら怖くならないのか?」

澪「……怖くなる! 駄目だぁ~……」プルプル

律「ハイハイ。怖いの怖いの~とんでけ~」

澪「飛んでった」シャキンッ

律「立ち直りはやっ」

澪「どこかにウサギさんが作るパン屋があるとかそんな都市伝説はないかな……」

律「いや……それはそれで怖いだろ」

律「まあ怖いなら無理せず言えよな? そしたら私がバシッと話題変えてやるからさ!」

澪「律ぅ……(頼れる幼なじみを持って私は幸せ者だな……)」

澪「ありがとな、律」

律「気にすんなよ、澪」



◆ 学校

律「おっはよ~んいちご~! 昨日の都市伝説特集見た?」

いちご「……見た」

澪「おおいっ!! 来て早速自分から振るって話が違うじゃないか!! あの時の約束は嘘だったのかぁ!?」

律「でもぉぅ~どのみちこの会話になるんでございますしぃ~」

アカネ「そうそう。さっきも三人で話してたんだよね」

エリ「マジめっちゃ怖かったよね~」

そう聞いた瞬間回れー右、いっちにっ! いっちにっ! いっちにっ! ぜんた~い止まれ! いっちにっ!

澪「着席!!!」

澪「見えない聴こえない見えなE……」

澪は自分の席で震え始めた。

律「そう言えばこの学校が建つ前、ここらへんは軍事施設だったらしくてさ……」

何故か声のトーンを落とす律。

いちご「……知ってる、武器とか作ってたんだよね」

律「そうそう。でもここで作られてたのは特殊な銃らしくてさ。アメリカ人を油断させる為に楽器型の銃が開発されてたらしいんだよ…」

アカネ「アメリカの人ってそういうの好きそうだもんね」

エリ「オーギターイエスイエッ」

アカネ「ズパーン……」

アカネが指で作った拳銃が、エリの胸を貫いた。エリはクラクラよろめきながらこう呟く。

エリ「ノゥ……あれは良く見たらベースだったデース」チラッ

澪「」ピクッ

律「そう、アカネの言う通りここで作られてたのはベース型の機関銃だったらしい。
   でも結局それは使われることなく終戦した……何故ならここは空襲で丸焦げにされたからだ」 

澪「」ガタガタッ

律「そして戦争が終わった今でもその工場の人達はベース型の機関銃を探して夜中に徘徊するらしい……。
   そしてベースが見つかるとそれを小脇に抱えて……」 

澪「(怖いよぉ…でも…もしかしたら持って行かれ……)」

怖いながらも話が気になった澪は勇気を振り絞り持って来たベースが置いてある後方のロッカールームにゆっくりと振り向く……。


律「コイツで復讐してやるウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥ」くわっ

澪「ひいいいいいいいいいいいいいEEEEEEEEEEAAAAAAA」

既に澪の背後に回り込んだ律がベースを小脇に抱えて突撃兵の如く構えていた。

コツンッ

律「あいたっ」

いちご「……律やりすぎ。エリも」

エリ「ごめんごめんついつい面白くってさ。ごめんね澪ちゃん」

澪「……グス……グスン……」

アカネ「澪……。泣くほど怖かったんだ。ごめんね」

いちご「律、責任取って……いい?」

律「いちごも乗ったくせにー」ブー

いちご「……何か言った?」律「いーえ」

未だ空席の澪の隣の席から椅子を引っ張り真横にベタ着ける。
机に突っ伏して泣いている澪の頭を律の手が優しく撫でた。

律「ごめんな……澪。ちょっとやり過ぎだったな」

澪「……やらないって言ったのにぃ。約束したのにぃ……律のバカァ……っ」

澪が腕を捲し上げ、なでなでを振り払う。

律「……」

それでも律の手は澪の頭をまた優しく撫でる。

律「……本当に危なくなっても……私が絶対守ってやるから。だから怖がらなくていいんだぞ、澪」

澪「ほんとぉ…?」

律「ああ。ほんとだ。約束する」

澪「……りつ」

紬「おはよ~」

律「っとぅ!」

澪「ひゃうっ」

紬「ん? どうかしたの二人とも?」

律「い、いやぁ~何でもないよ! ムギおはよ。昨日の特集見た?」

澪「律ぅぅうう!?」

紬「昨日は何だか眠たくて……見逃しちゃった」

律「そっかー残念」

澪「も、もっとさ、音楽の話しようよ! これからのJPOPのあり方とか!」

律「何だそれ」

紬「ふふ。じゃあ次の合宿の話でもする?」

律「おっいいね~。夏と言えば海! ホラーと並ぶ風物詩だもんな~」

紬「次は一番大きな別荘が借りられそうなの」

律「ほんとに!?」

紬「だから期待しててね」

律「どんぐらい広いんだろ~な~。楽しみだな、澪」

澪「う、うん」

澪「あれ? そう言えば唯来てないな」

律「まーた寝坊か? まあ唯のことだからギリギリには来るだろ」

澪「うん……」


──キーンコーンカーコーン

澪「唯どうしたんだろう。1時間目始まっても来ないなんて」

律「いっつもは遅刻してもギリギリには来るんだけどな。風邪かな?」

紬「心配ね……」

律「まあさわちゃんに聞けばわかるか」


さわ子「……なんだけど」

律「せんせー」

さわ子「田井中さんどうしたの?」

律「唯が来てないけど休みなんですかー?」

さわ子「……はぁ。それを今から話すところよ。田井中さんはもうちょっと先生の話を聞くように」

律「すいましぇん」

さわ子「それで平沢さんなんだけど……朝から連絡が取れないの」

澪「えっ……それって」

律「憂ちゃんにも取れないの?」

さわ子「ええ。それどころか憂ちゃんも学校に来ていないみたいなの。
    二人の素行からして無断欠勤なんてしないと思うから……」

紬「そんな……」

さわ子「田井中さん達何か知らない?」

律「……。さわちゃん、ちょっと携帯使うよ」

さわ子「今回に限り認めます」

律「……。……。……ッ。出ない……」

澪「もしかして事件に巻き込まれたとか……?」

紬「唯ちゃん……憂ちゃん……」

さわ子「この件は後からゆっくり話しましょう。じゃあ64ページを開いて…」

授業が終わった後、職員室でさわちゃんの話を聞くも事態は変わらず、
連絡があったらお互い報告するという約束を交わし職員室を後にした。

それからも澪、ムギ、そして私も……何度も何度も電話をしたが、全く繋がる気配はなかった。

私は授業を抜け出して探しに行こうと提案したが、
澪とムギのさわ子先生にこれ以上心配事を増やすのはいけない、という意見により却下された。

そのまま授業を受け続けるも、私はずっと歯痒い思いでマナーモードにしている携帯が震えるのを待ち続けた。
不安だった。何故なら、嫌な予感というのは何故か的中してしまうものだから。