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 純「くねくね」



私が高校生3年生の夏休みの話です。
私は軽音部に所属していて、同学年の仲良し3人組で部の夏合宿とは別に、一泊二日で小旅行をすることになりました。
受験勉強の心配もありましたが、2日くらいならいい気分転換になるだろうということでみんな乗り気でした。
メンバーは私と部長のA(仮)、それにB(仮)です。
Bは嬉しそうに「お姉ちゃんにも自慢するー♪」と言っていました。
そんなこといちいち言うか、と思うかもしれませんが、
彼女のお姉ちゃん好きっぷりは私たちは十分知っていたので、こういう行動にも慣れていました。


夏なので川遊びをしたいということになり、隣の県にある小さな町に行きました。
そこはスキー場などが多く、冬は賑わっていますが、
夏は私たちのような避暑目的の旅行者がたまに来る程度で、私たちにとっては落ち着ける場所でした。

さて、宿についてひと休みした後、私たちは川に向かいました。
道の周りには広い田んぼが広がっていて、私たちは自然を感じながら歩き続けました。

しばらく歩いた時、Aが何かに気付きました。

「ねえ、あれなんだろ」

私と、BがAの指差す方向、遠くにある田んぼを見てみると、なにやら人影?のようなものがくねくねと動いています。
それはとても妙な動きで、普通の人だったらとても恥ずかしくて出来るものではないと思いました。
ですがかなり距離があったので、それが何なのかはよくわかりませんでした。

「案山子じゃないかな」と私が適当に言うと、「でも案山子は動かないよ」とAが反論しました。

すると、Bが双眼鏡を取り出しました。

「えへへ、何かに役立つと思って、持ってきてたんだ」

Bはとっても優秀で、優しく、気が効く子です。お姉ちゃん大好きっ子という一面もありますが。
そんなBなので、その用意の良さも納得できました。
とにかくこれで、謎のくねくねの正体がわかります。Bは、双眼鏡でその方角を見つめました。
Bはしばらくじっと見続けていましたが、だんだん体がガタガタと震えてきて、目には涙が浮かんでいました。

私たちは心配して声をかけました。

「どうしたの?」「あれの正体わかった?」

するとBは

「わからないほうがいいよ」

と震えながら言い、私たちにあれは気にせず川に行こうと促しました。
私たちはとても気になりましたが、Bの尋常じゃない表情に気圧され、そのことはもう話さないようにしました。

ですが、それから、Bは不思議な行動をするようになりました。
何時間かに一回、ちょっと用事がなどと言ってどこかに行ってしまうのです。
私たちが聞いてもはぐらかされるだけでした。

そん旅行も終わり、私たちが元の生活に戻ると、Bも変な行動をしなくなりました。
あの合宿中の行動は何だったのでしょうか。
今でもAと会った時、思い出したように話題になりますが、真相はわからないままです。


おわり


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