9番手:◆WOzlYvh7m2



梓「・・・・・・!」がばっ!

梓「ハァハァ・・・ハァハァ・・・」


私は最近同じ夢ばかり見ます

同じ夢にうなされ、同じシーンで飛び起きる・・・
そんな日が続くこと、そろそろ一週間になりました

梓「またあの夢か・・・」

梓「また、あの日本人形の夢」



小さい頃、お母さんの実家に行ったときに一度だけ見た日本人形
その日本人形が毎日夢に出る

不気味この上ない夢

一週間も続くと、もはや怖くて誰かに相談せざるを得ませんでした

純「へー、じゃあおんなじ日本人形の夢を見続けてるんだ」

梓「・・・聞いてくれる?もうそろそろ寝るのが怖くてさ」

純「聞くきく~!」


純がふざけ半分で話に乗ってきます
まぁ・・・いいや、誰かに話さないと不安でしょうがないしね



梓「正確には、夢には日本人形はでてこないんだよ」

純「どゆこと?」

梓「えっとね、まずは日本人形にまつわるエピソードを話すね・・・」


私が幼い頃に夏の数日間滞在した、母の実家
そこで私は一人遊びをしていたのだ

なぜその家で私が一人だったのかは、今はもう覚えていない
ただ、田舎の広い日本家屋の中で一人で探検ごっこをしていたと記憶している

その家のある一室、その押入れの中に日本人形があったのだ
押入れの奥に、箱にしまわれた日本人形

なぜ私がその箱を見つけられたのか?
そして、私はその箱を開ける前から・・・中に人形が『いる』事がわかっていた気がした

箱を開けると長い黒髪の日本人形が『いた』んだ

私が・・・髪をおろした時のような、小さな日本人形が



純「梓に似てるんだ?その人形」

梓「そうなの。ますます不気味でさー」

純「・・・ていうか、梓が日本人形に似てるんじゃないの?」

梓「・・・その感は否めないかな」

純「ま、まあいいや。日本人形の思い出はそれでお終い?」

梓「あ、うん・・・次は、毎晩見る夢の話をするね」

純「おっけー、続けて」



私は夢の中で、ああ・・・今の私が、その家にいるんだ
お母さんの実家、古い日本家屋にね

その家にはやっぱり私以外は誰も居なくて、私は家の人が居ないかを探すんだ
それでもやっぱり誰も居なくて・・・そこから私は、どういうわけか押入れを開けるの

あの・・・日本人形が『いる』押入れを

そこで私は、日本人形がしまってある箱を押入れから探しだして、箱を開けるんだよ


純「そ、それで・・・?」

梓「そこでいつもお終い。いつも、箱を開けた瞬間に飛び起きちゃうんだ」

梓「何かを見て・・・ね」

純「そっか、それで日本人形の夢だけど、日本人形が出てこない。って」

梓「・・・怖いっしょ?」

純「もー!私まで今夜から寝らんなくなるじゃん!」

梓「あはは、道連れができたね!」

純「この女~、ハナからそのつもりだったな?」

梓「あははは・・・でも、少しスッキリしたよ」

純「私はもやもやしてるんだけど!?」

梓「ごめんごめん。・・・ぷっww」

純「笑ってんじゃねーか!もう怒ったぞー?私は!」

梓「なに?怒ったら何しちゃうわけ?ぷっww」

純「こいつ・・・!私も怖い話してやる!」

梓「ほーう?」

純「んっんっ!聞いてふるえろ、私の知る限りこの状況で一番怖い話してやんよ」

梓「へー、何なの?言ってみなよ」


純「『夢を見ている』ってことはね、『夢に見られてる』ってことなんだって・・・」

梓「・・・・・・っ!」ゾクッ


純「ふふっ♪利いたみたいだね、その様子だとww」

梓「じゅ~~ん~~!?」

純「へへー♪お返しだよっ!」

梓「こっのー!」べしっべしっ

純「いたっ!やったなにゃんあず!・・・待てコラー!」



夢を見ているときは、夢にもまた見られている
迷信・・・だよね?

しかし、私にはその言葉が妙に引っかかっていた



梓「・・・・・・!」がばっ!

梓「ハァハァ・・・ハァハァ・・・」

また、同じ夢
また同じ、箱を開ける瞬間に目を覚ます

梓「ハァハァ・・・何なのよぉ、この夢」

梓「・・・。」ちらっ

私はカレンダーを見る
夏休みはまだ一日だけ残っている・・・

梓「行ってみるか・・・お母さんの実家」

梓「確認しないと、あの箱の中身を・・・」



翌日私は電車とバスを乗り継ぎ、母の実家までやってきた
あの箱の中身を確かめるために、あの夢の結末を知るために

母の実家を訪ねても、誰も居なかった
事前に連絡しておいたのにな・・・

鍵が開いていたので、中に入る
親戚だから無断侵入ということもないだろう

誰もいないこの家はまさに夢のなかそのもので、私は身震いがした
しかし、ここまで来て引き返すわけにもいきません

私は夢のとおりに押入れに向かいます

夢のとおりに押入れを開けると、夢のとおりの位置に例の箱がありました



梓「・・・やっぱりあったんだ」

私の思い出が間違っている可能性も、コレで消えました
やはり、直接確かめるしか無いようです

夢のとおりに、この箱を開けて・・・


梓「い、いくよ?・・・あけちゃうからね?」


誰もいない日本家屋の一室でひとりごとを言いながら、私は箱に手をかけます

心臓が大きく音を立てて胸を打ちます
コレを開ければ・・・!

梓「・・・・・・えいっ!」




カパッ!




私は勇気を振り絞り、箱を開けると・・・そこにあったのは



中に何も入っていない、空の箱でした




梓「日本人形の夢」・終わり


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