1番手:◆Q9Tanlls9c 


唯「ハトが出ますよ~」


~ある日の夕方、公園にて~

唯「よっ、ほっ、  ああっ」

    パタパタパタ


梓「あれ?唯先輩だ、何してるんだろ?」

梓「唯先輩ーっ」

唯「うわっ!あずにゃん」

梓「そんなに驚かなくても……ひとりで何してるんですか?」

唯「え?あ……うん、ちょっとね」

梓「?」

唯「えっと、あ、あずにゃんはどこか行くの?」

梓「ちょっとお使い頼まれちゃって」

唯「おおっ!それは大変だ!早く行ってあげなくちゃ」

梓「え、いえ別にそんな急ぎでもないんですけど、唯先輩は何を……」

唯「ダメだよあずにゃん」

唯「お使いはね、出来るだけ、早く、帰って、あげるべき、なんだよ、憂が、言ってた」

梓「何で言葉区切るんですか」

唯「強調してみました」

梓「されてないですけど」

唯「とにかくさ……あそうだ」

唯「とにかくってね、ウサギにツノって書くんだって」

梓「はあ」

唯「ムギちゃんに教えてもらったんだよ、ウサギにツノだよ不思議だね~」

梓「はあ……」

唯「だからおうちの人が待ってるから早く行ってあげて」

梓「えっ、今のそういうお話ですか?」

唯「そうだよ、そうに決まってるよ、ウサギと亀だよ、道草はダメなんだよっ」

梓「よくわかりませんけど、そこまで言われると……じゃあ私行きます……」

唯「うんそれがいいよ、そうしてあげて、またね~」

唯「ふう、ごめんねあずにゃん」

唯「これはあずにゃんには知られちゃダメなんだよ」

唯「さあて……」

唯「今度こそ~、そーっとそーっと……」

唯「よっ! ほっ!  待って!」

  パタパタパタパタ

唯「 ああっまた逃げちゃった」

純「ん?あれって唯先輩だよね」

純「こんちわ~」

唯「えっ?あっ純ちゃん」

純「何してんですかーっ?」

唯「えーっと……純ちゃんにならいいかぁ」

純「?」

唯「あのね、これあずにゃんに言っちゃダメだよ」

純「梓に内緒ですか?いいですよ」

唯「実はさ、ハトさん捕まえてるんだよ」

純「ハト?ハト捕まえて飼うんですか?まさか食べるとか」

唯「やだなぁ、ちがうよー、マジックだよ~」

純「マジック?」

唯「次の休みにね私の家で隠し芸大会やるんだけどさ」

純「隠し芸大会……ですか?」

唯「うん軽音部のみんなでね」

純「うわ……さすが軽音部ですね」

唯「うん、すごいでしょ」

純「あはは……」

唯「そこで私手品やろうと思ってさ、ぱっとハト出すやつ」

純「あーだからハト捕まえてるんですか」

唯「うん」

純「でも先輩そんな手品できたんですね」

唯「できないよ~、だから早く捕まえて練習したいんだよ」

純「ああなるほど」

唯「でもねハトさんすばしっこくてさ」

純「わかりました、そういうことだったらこの鈴木純が協力しますよ」

唯「ほんと?」

純「任せてください、こういうの得意なんですよ」

唯「助かるよ~」

純「澪先輩にヨロシク」

唯「へ?」

純「い、いやまあ、とにかく、まずエサで集めてですね……」

唯「そうそう純ちゃん、とにかくってね、ウサギにツノって書くんだって」

純「へえっそうなんですかー」

唯「ムギちゃんに教えてもらったんだよ~」

純「ムギ先輩物知りですね~」

唯「でしょ~、それでねぇ」

純「ほらハトそっちに行きましたよっ」

唯「あ、わっとっと~」

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~軽音部隠し芸大会当日、平沢家リビング~

澪「ムギ頑張れーっ」

紬「マンボウに続く新ネタやりまーす」

律「でたっムギの顔芸!」

梓「顔芸……」

紬「せーのっ」

紬「ジンベエ~!  んぱあっ」


紬「んぱーーーーーー」

梓「ぶはっ!」

紬「んぱーーーーーー」

梓「きゃはははっ」パチパチパチパチ

律「ムギ……それ口開けてるだけじゃねーかっ」パチパチ

澪「いや目を虚ろにしているところなんか、なかなかどうして芸が細かい」パチパチパチパチ

唯「やるね、ムギちゃん」パチパチパチパチ

紬「梓ちゃんが喜んでくれてよかった、水族館まで行ったかいがあったわぁ」

澪(そこまでしたのか、ムギ)

唯「じゃあ今度は私の番だよ、マジックやりまーす!

澪律紬梓「おおー」

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唯「ちょとゴソゴソするアルヨ」


唯「はいーっ!宙を舞うステッキ!」

紬「すてきすてき~」

澪「ステッキがステキ……」

律「唯ー、糸が見えてるぞー」

唯「えー」

梓「もう律先輩、そんなこと言っちゃダメですよ」

唯「いいよいいよ、ここからが本番だからね」

唯「はいっ!この小さな箱の中からハトが出まーす」

澪「ええっ」

梓「ほんとにあの箱から出るんですかね」

律「いやいくら何でもあの箱は小さすぎだろ」

紬「わぁードキドキする」


唯「ちゃらら らららー」

唯「ちゃらら らら らーらー ちゃらららら らーらーらー ららーらー ららーらー」


唯「デレデレデレデレデレデレ」


梓「このメロディーって」

澪「オリーブの首飾り」

紬「デレデレ……?」

律「ああドラムロールな」

唯「ちゃらら らららー

唯「ちゃらら らら らーらー ちゃらららら らーらーらー ららーらー ららーらー


唯「デレデレデレデレデレデレ」


律「まだかよっ!」

紬「ドキドキ」


唯「デレデレデレデレデレデレ……じゃじゃーん!」

ハト「」     ぼろっ……

     くたっ  


澪「わぁ……」

梓「うわあ、ほんとにハトが出た」パチパチパチパチ

紬「すごいすごい、でも白くないのね」パチパチパチパチ

律「どうやったんだ?」パチパチ


唯「はいどうもー、ハトさんはご退場でーす」ササッ クシャクシャ ポイ


澪「今のハト……動かなかったよな」

律「いや作り物だろ、あれは」

澪「そうかなぁ」

唯「うーん、やっぱり小さい動物は弱いねー」ブツブツ

澪「え?」

唯「でも大きいのならだいじょうぶだよね」ブツブツ

澪「なあ梓、唯はなにを言ってるんだ?」

梓「さあ……」

澪「まさか無理矢理ハトをあの箱に……」

唯「じゃあこれが最後だよーっ」

澪「!」びくっ


唯「じゃーん!」


唯「この箱から憂が出まーす」

澪律紬梓「えっ?」

梓「憂が?」

紬「え……」

澪「あんな小さい箱から」

律「まさかな……」

唯「ちゃらら らららー」

唯「ちゃらら らら らーらー ちゃらららら らーらーらー ららーらー ららーらー」

唯「デレデレデレデレデレデレ」



律「……そういや今日憂ちゃん見たか?」

紬「そういえば見てない、梓ちゃんなにか聞いてる?」

梓「いえ、何も聞いてないです」

澪「……」


唯「ちゃらら らららー」

唯「ちゃらら らら らーらー ちゃらららら らーらーらー ららーらー ららーらー」

唯「デレデレデレデレデレデレ」



澪「もしかしてあの中に折りたたまれた憂ちゃんが……」

律「ば、馬鹿言うなよ、そんな事したら死んじゃうだろ……」

澪「でも現にハトは」

梓「ちょ、ちょっと怖いですよ」

紬「ふぇ」


唯「ちゃらら らららー」

唯「ちゃらら らら らーらー ちゃらららら らーらーらー ららーらー ららーらー」

唯「デレデレデレデレデレデレ」


澪「あの箱……赤い染み付いてる……」

律「お、おい唯……」

紬「うそ、うそよね」

梓「え?え?」

澪「あ……あ……」



唯「デレデレデレデレデレデレ……」


律「おい、唯!」



唯「どーん!」

ぱかっ……


  「わっ!!」


律澪紬梓「うわああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」



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律「やられたなあ……」

澪「うぅ……」

梓「後ろから憂が出てきたときは心臓止まるかと思ったよ」

紬「憂ちゃん、ずっとベランダに隠れてたのね」

梓「もうびっくりさせないでよ」

憂「えへへー、ごめんねー」

紬「大丈夫?澪ちゃん」

澪「あうあう」

律「中から憂ちゃんの死体が出てきたらって本当にビビったんだぞ!」

唯「へへえ、それを狙ったんだよー」

律「くそ、まんまとしてやられたぜ」

唯「わーい大成功~」

律「コノヤロめー」

紬「あんな箱に人が入るわけないもんね」

唯「そうなんだよさすがムギちゃん」

律「そんなの誰でもわかるだろっ」

梓「無理矢理入れたら死んじゃいますよ」

唯「えー、私試さないとわかんなかったよ」

澪「?」

憂「じゃあお茶入れますね」

紬「私手伝うわ?」

憂「いいですいいです、座っていて下さい」

澪「な、なあ唯……」

唯「次は誰だったけ?」

律「あたしだよ、いくぞー、澪のモノマネー」

澪「え?」

律「まずは転んでパンツ見せちゃった澪ー」

澪「や、やめろー」


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~帰り道にて~


紬「楽しかったねー」

律「うんそうだな」

紬「唯ちゃん優勝で喜んでたわね~」

梓「でもムギ先輩のジンベイも面白かったです」

紬「梓ちゃんいつでも教えてあげるよ」

梓「ホントですか」

紬「角度と眼の焦点がポイントなのよ」

梓「へぇ~」

律「おまえら……」

紬「またやりましょうね」

律「そうだな、また今度は唯に負けないぞー」

梓「次は私もがんばりますよ」

律「じゃああたしと澪はこっちだから」

紬「うん、またね~」

梓「お疲れ様でーす」



澪「……」

律「ん?どうした澪、さっきから変だぞ」

澪「なあ……気にならないか」

澪「唯の言ってたのどういう意味なんだろう?」

律「唯がなんて言ってた?」

澪「試さなきゃわからなかったって」

律「そういやそんな事言ってたかなあ」

澪「何を試したんだろ」

澪「あの箱染みが付いいてた」

律「どうせ憂ちゃんが考えたんだ」

澪「だとは思うんだけどさ」

律「澪は深く考え過ぎなんだよっ」

澪「そうか、そうだな」


~平沢家 玄関にて~

憂「楽しかったねお姉ちゃん」

唯「うん、大成功だよ、みんなビックリしてた」

憂「そうだね」

唯「憂のお陰だよ」

憂「お姉ちゃんが上手に出来たからだよ」

唯「えへへ」

憂「うふふ」

憂「さあ後片付けしなきゃ」

唯「私も手伝うよ」

憂「うん一緒にやろう」

憂「じゃあお姉ちゃんは洗い物お願いね」

唯「ほーい」

憂「私は先にハトさんと……」

憂「純ちゃんのお片付けしてくるねっ」


                     おしまい


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