唯「運命のパートナー?」


11月の半ば、N女子大。

唯「今日ね、うちに春がくるんだよ!」

紬「まぁ、ステキね!」

律「いや、もう冬なんだけど。」

澪「唯、まだ寝ぼけてるのか?」

唯「違うよ!春だよ、春くん!」

大学生活も一年半が過ぎて、もうすぐ20歳。

私にも、ついに春がやってきました。


彼の名前は渡橋 春(とばし はる)くんっていいます。

現在16歳、高校2年生です。

出会いのきっかけは、憂にもらった手袋。

彼が私の落とした手袋を拾って届けてくれたのがはじまりでした。

春「はぁ、はぁ、すみません!手袋、落としましたよ!」

唯「え?私?」

春「はぁ、はぁ。コンビニの出口でこれ・・・」

唯「あっ!妹に貰った大切な手袋なんだ。本当にありがとう!」

春「はぁ、はぁ。声かけたんだけど、気付かなかったから・・・」

唯「すごい汗!お礼にお茶でも飲まない?お姉さんがおごっちゃうよ!」

春「そんな、でも悪いですし。」

唯「いいからいいから。手袋を届けてくれたお礼だよ!」

私は遠慮する彼を引っ張って近くの喫茶店に入りました。

駅前にあるおしゃれなカフェ。大学生にもなるとこんなお店にも入っちゃうんです。

内装もすごくおしゃれなお店。やっぱり私には敷居が高かったかな・・・

そういえば、男の子と二人でお茶するなんてはじめてかも。

唯「何でも好きなもの頼んでいいからね!」

春「は、はい。どうも。」

唯(あれ、思ったより高い・・・)

春「じゃあ、いちごパフェ・・・じゃなくてコーヒーブラックで。」

唯「おぉ!ブラック飲めるんだ?大人だねー。」

春「はい、まぁ・・・」

唯「いちごパフェもおいしいよー。」

春(苦い・・・パフェにすれば良かったかな。)

春くんは近くの高校に通う一年生だそうです。

学校のこと、部活のこと、いろんなことをお話しして、すごく楽しかったな。

暗くなるまでおしゃべりして、帰りには互いにメールアドレスを交換しました。

それから私たちは、頻繁にメールを交わすようになったんです。


そんなある日のメール。

唯『最近どう?学校は楽しい?』

春『楽しいですけど、勉強が苦手です』

唯『わかるわかる!私も苦手だよー』

春『実は、この前の中間テストで追試になっちゃって』

唯『あはは、大丈夫だよ!私も追試だったけど、なんとかなったもん!^^v』

春『でも今度赤点とったら親に部活禁止にされちゃうんです><』

唯『しょうがないなぁ。それじゃあお姉さんが家庭教師してあげよう!』

こうして週に一回、春くんの勉強を見てあげることになりました。


期末試験の前日、私たちは最後の追い込みに入っていました。

ちょっと苦手意識が強いけど、飲み込みは早いみたい。

この調子なら、赤点の心配はなさそうです。

唯「うん、いい感じだね!これならいけるんじゃない?」

春「唯さん。もし今度の期末テストで90点以上とれたら、デートしてくれますか?」

唯「え、デート?」

春「デートじゃなくてもどこかに遊びにいく、とか・・・」

唯「いいね!じゃあ遊園地なんてどうかな?」

私たちにとってはじめての、デートの約束でした。

春くんと遊園地、楽しみだなぁ。


そして一週間後、春くんから電話がかかってきました。

なんだか声のトーンが落ち込んでるみたい。

唯「どうしたの?また追試だったとか?」

春「テスト、89点だったんです・・・」

唯「すごいよ!がんばったね!」

春「でも、90点取らないと遊園地に行けないですから・・・」

唯「行こうよ、遊園地。私も行きたいもん!」

次の休みの日、二人で近所の小さな遊園地に行きました。

二人で乗ったジェットコースター、メリーゴーランド、観覧車。

今でも大切な思い出です。

生まれて初めての告白を受けたのは、その観覧車の中。

それならお友達から、って感じで私たちの交際は始まりました。

二人で撮った写真を眺めて思い出に浸っていたらあっという間に時間が過ぎていきます。

約束の時間になって、春くんが私のマンションにやってきました。

唯「雨だねぇ。」

春「土砂降りですね。」

唯「今日は一日のんびり部屋で遊ぼっか。」

春「あ、俺ゲーム持ってきたんです。」

唯「いいね、やろうやろう!」

春「このソフト、結構人気なんですよ。」

唯「うぅん、難しいな。春くん、お願い!」

春「ここはこうして・・・」

唯「おおっ!じょうず!」

しばらく二人でテレビゲームをして遊びました。

春くんはゲームがとっても上手です。

ひと段落したら、お茶を入れて一休み。

小さなソファーに寄り添って座ります。

唯「もう知り合って一年かぁ。初めて会ったのは春くんが15歳の時だったよね。」

春「俺が唯さんの手袋を拾ったことから始まったんですよね。」

唯「不思議な縁だよねぇ。」

春「・・・俺、唯さんとずっと一緒にいたいです。」

唯「二十歳になっても、百歳になっても?」

春「もちろんです。約束します。」

唯「ふふ、ずっと一緒にいてね。約束だよ?」

部屋の中で、指切り。

その後も、二人きりで甘い時間を過ごしました。


翌日はサークル部屋でいつものティータイム。

今日は久しぶりにメンバー五人が集まりました。

年頃の女の子が集まってするのはもちろん恋愛トーク。

高校生の頃にはなかった光景です。

唯「でね、春くんがさぁ・・・」

梓「唯先輩、最近幸せそうですね。」

紬「うふふ。恋する乙女って感じね。」

唯「えへへー。」

澪「ふふ、私たちもそろそろ相手をさがさないとな。」

律「あれ、言ってなかったっけ?小学校の同級生で公人っていたろ?あいつと・・・」

紬「私もパーティで知り合った方と・・・」

梓「実はライブハウスで・・・」


澪「・・・・・・ええええええええぇ!?」


おしまい



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