律「卒業記念に軽音部のPVを作りたいと思います!!!」
澪「なんだよ急に」
勢いよく椅子から跳ねた律を怪訝そうな顔で見る澪。
唯「それいいね! りっちゃん!」
それにすぐさま賛同の意を表明する唯。
紬「素敵ね~」
みんなの分のお茶受けを並べながら右に同意といった感じの紬。
梓「前に勧誘ビデオ作ったばっかりじゃないですか!」
あれ以来何かにつけて映るのを拒んでいる梓は当然ながら反対、抗議する。
律「梓…いや、みんな! ちょっと忘れてないか…?」
どこか誇らしげな顔でそう呟く。
梓「なにがですか?」
唯「あっ! わかった! ムギちゃん今日のお菓子は手作りだねっ!?」
紬「そうなの! ちょっと作りたいものがあってチャレンジしてみたんだけど…」
唯「とっても美味しそうです。お茶の時間だと言うことを思い出したところで…では、いただき(ry」
律「ちがーーーーーーーーーーーうううんっ! みんな忘れてるだろ! わたしが部長だってことに!」
唯「忘れるわけないよ~やだな~りっちゃん」
梓「別に忘れてるとかじゃないですけど…」
澪「そういうことはもっと部長らしいことしてから言おうな律」
律「ふっ…何を言われようと今部長なのはこのわたし田井中律っ!!! つまりっ!! 部 長 権 限 が行使出来るってわけだ!!!」
唯「部長…」
梓「権限?」
律「おうともさっ! 部長と言えば部の中の代表! トップ! その部長が
卒業記念! さよなら軽音部! みんな大好きをありがとう! を撮ろうって言ってるんだ…」
律「否定できまい」ニヤリ
梓「24時間テレビみたいなタイトルですね」
澪「誰がそんな紙切れより薄い権力に…」
唯「へへー」フカブカ
紬「ははー」フカブカ
律「えっへん!」
澪「おおいっ!」
──
澪「で? まあ撮るのいいけどさ…内容はもう決まってるのか?」
律「ふっふっふ…この部長を侮るなかれっ! これを見ろぉっ!」ドヤッ
紬「歌詞…?」
梓「もしかして律先輩が書いたんですか!?」
律「この卒業記念…だけどそれは新たなる門出! さあゆけ軽音部! みんな大好きをありがとう! を撮る為に夜なべをして書いて来たのだ!」
唯「わたしと憂とりっちゃんの合作だよ!」
梓「あ、やっぱり。律先輩だけにしては手際が良すぎると思いました」
律「」ピューピュー
澪「唯も知ってたってことは出来レースってことか」
唯「てへっ☆」
梓「待ってください澪先輩! これ楽譜までありますよ!」
澪「……ムギ?」
紬「……てへっ☆」
律「てへっ☆」キラキラ
澪「最後だけ無性に腹が立った」
梓「奇遇ですね」
律「ではこれより卒業記念! さよなら軽音部! 地球の平和をありがとぅー♪ のPV撮影を開始する!」
唯「わーい」
紬「どんどんぱふー」
澪「……不安だ」
梓「タイトルがどんどん24時間テレビになってるけど大丈夫かな…」
──
澪「……よく考えたなこれ」
律「部長に不可能はないっ!」ドヤッ
唯「振り付けとか考えたのは憂だけどね~」
律「唯、おやつ食ってな」
唯「おやつーっ」
梓「大体のプロセスはわかりましたけど…5人で映るシーンはどう撮影するんですか? 結構ありますけど…」
律「そこら辺に抜かりはない…鬼監督を呼んでるからな!」
澪「鬼…」
梓「監督?」
律「さあ入っておくんなせぇ監督ッ!」
ガララ──
和「誰が鬼監督よ…律」
澪「なんだ和か……(ほんとに鬼みたいな人が来なくて良かった…)」
律「あの荒くれ者が集う生徒会を牛耳ってるこの方こそっ!!! 生徒会会長にして鬼監督の真鍋和さんだ!!!!」
和「なによそれ」
唯「今日一日よろしくね! 和ちゃん」
和「まあもう会長じゃないし…暇だからいいけど」
澪「ごめんな和…」
和「気にしないで澪」
梓「てっきりさわ子先生が来るものかとばかり思ってましたよ」
紬「だから身構えてたのね梓ちゃん」
律「さわちゃんは何か会議があったりで色々忙しいんだと」
和「ふぅん…それで私に白羽の矢が立ったわけね…」
和「まあやるからには厳しくやらしてもらうわ。映像に残すんだから中途半端なものじゃ末代までの恥よ!」
机の上に置いてあったメガホンを掴み取り吼える。
和「早速シーン1から撮ってくわよ! 準備しなさいっ!」くわっ
澪「うっ……な、なぁ律。和のやつちょっと性格変わってないか?」
律「メガホンを持つことによって人格が変わる……なんちゃって」
澪「そんなわけ…」
和「ほら! そこ! 無駄口叩かない!」
澪「ひいいいっ」
律「私達はとんでもないものを呼び起こしてしまったのかもしれない…」
──
TAKE1
澪「」タンッ
梓「」タンッ
唯「」タンッ
律「」タンッ
紬「」タンッ
和「カット!!! 唯ッ! あなたは一番最後に振り向くって言ったでしょっ!? 梓ちゃんにつられて振り向いてるわよ! やり直し!」
唯「みんなごめ~ん」
律「どんまい」
TAKE2
澪「」タタンッ
梓「」タンッ
律「」タンッ
紬「」タンッ
唯「」タンッ
和「カット!! 澪! ちょっとよろけたでしょ? バランス悪くなるからきっちりね。撮り直し!」
澪「ごめん…」
梓「どんまいです」
和「次行くわよ!!!」
TAKE3
澪「」タンッ
梓「」タンッ
律「」タンッ
紬「」タンッ
唯「」タンッ
和「カット!!!」
唯「あれ…? さっきのは上手くいったと思うけど…」
紬「ええ…」
律「なんでカットなんだよー和」
和「……律、もうちょっとおとなしく飛びなさい。そ、その…し、下着が見えたから…///」
律「/// あぁ~~~ごめんあそばせっ」
唯「りっちゃんたら~」
紬「和監督! 編集作業は是非私が」
和「え、えぇ」
澪「私も手伝うよムギ」キリッ
梓「もうやだこの部活…」
和「はいカットォ! オッケーよ。じゃあ次は教室で実際弾いてるシーンね。楽曲を3-2に素早く移動させない。いいわね。私は紙吹雪の用意をするわ」
そう言い残しそそくさと部室を出ていく和。
律「……まさかTAKE10までやらされるとはな」
梓「か…からだが持ちませんよぉ…」
唯「和ちゃんの情熱に火をつけちゃったね…!」
澪「終わるのかな…これ」
紬「」じ~…
紬「」コマオクリコマオクリ
紬「……! 白!!!」
律「ん~?」
紬「あ、は、はやく行こ! 和ちゃん監督が待ってるわ!」
梓「楽しそうですねムギ先輩…」
──
唯「ちょいとごめんよー嬢ちゃんたちー」
律「どっこらしょ」
音楽室から持ち運んで来た機材を次々に壇上に飾る軽音部の面々。
木下「なになに?」
瀧「次は何するのー?」
矢田「また軽音部…騒がしいわね」
飯田「いいじゃない楽しいし。どうせもう授業全部自習だしさ」
信代「放課後ティータイムー!!!」
和「静かにしなさい」ドンッ!
いちご「……覇気」
風子「能力者……!」
姫子「やだこの子可愛いっ!!!」
梓「に゛ゃっ」
律「おーおー馴染みが早いこって」
和「今軽音部のPVを撮ってる最中なの。あなた達も協力してくれない?」
佐々木「何をすれば…?」
和「そこでやんややんややって指示があったら回ったり」
佐藤「回る…」
信代「なんだかよくわかんないけど面白そうじゃない! やろうよみんな!!!」
和「信代、あんたは紙吹雪撒きなさい」
律「(鬼っ)」
澪「(鬼だ…鬼がいるよぉぉぉ)」
佐々木「澪ちゃん、がんばってね」
澪「えっ…あっ…うん。ありがとう…」
和「始めるわよ!!! 総員配置につきなさいっ!」
──
唯「」パクパクパクパク
唯「」パクパクパクパク
クラス一同「やんややんや」
信代「……」パラパラ…
唯「」トトンッテ トトンッテ
唯「」トントントントン
梓「」ジャカジャカジャジャーン
紬「」ポロポロポロ~
唯「」パクパクパクパクパックパクッパクパッ! シュビッ!
澪「」ベンベン
律「」ドンシャカ
和「……カット」
律「え」
和「見ててつまらないわね」
律「お前が曲は後から撮った音源を差し込むからエアーでいいって言ったんだろ!?」
和「そうなんだけど…やっぱり何か道しるべがないと合わせにくいでしょう?」
律「まあそうだけど」
和「だから唯、歌っていいわよ」
唯「ほんとに?! 良かった~…口パクパクするのだけって意外と煩わしいんだよね~」
澪「これで合わせやすくなったな」
梓「ですね」
和「まだまだシーンはあるんだからちゃっちゃっと行くわよ! 信代! 紙吹雪追加しときなさい」
信代「あっ…はい…」
姫子「あずさちゃ~んお水ですよ~」
梓「ありがとうございます…」
佐々木「澪ちゃん…これ」
澪「ありがとう」ニコ
佐々木「///」
唯「もてますな~みなさん」
律「そうでございますわね~」
和「さっさとしなさい!」
唯「届けたい~精一杯のsoulをっ!」
最終更新:2011年10月07日 00:29