梓「ギュピーッ!」

律「うわっ、くっせええ!!」

梓「ギュピピーッ!!」

澪「こら律、くさいなんて言っちゃダメだ」

梓「ギュピー!」

律「だってマジでくさいんだもん、
  鼻曲がりそうだよ」

梓「ギュピピピー!」

紬「ああっ、梓ちゃんの触れた花瓶の花が枯れちゃったわ」

梓「ギュピピーッ!」

律「うわっ、梓が泥吐いたぞ」

澪「触れちゃ駄目だ、皮膚が溶けるから」

梓「ギュッピーッ!」

紬「一体どうしてこんなことになってしまったのかしら」

唯「あー……多分昨日のあれだよ……」




昨日、帰り道。

律「ジュースうめえー」

澪「すげえうまそうに飲むよな、律」

律「だってマジでうめえもん、
  澪も飲んでみ」

澪「いいよいいよ」

律「あーそう? うまいのになー」

唯「じゃあ一口ちょうだい」

律「ごくごくごくごく」

唯「ああ!」

律「残念、もう飲んじゃったあー!」

澪「小学生かよ」

唯「ひ……ひどいよおお……」ぐすっ

澪「泣くなよ」

律「このへんにゴミ箱ないかなあ」

紬「ないわね」

澪「ないな」

律「なんだよー、捨てられないじゃん、この缶」

梓「貸してください」

律「? はい」

梓「ぽーい、っとな」

ぼちゃん

唯「あー! 川にゴミ捨てちゃいけないんだよ!」

梓「いいじゃないですか、1個くらい」

澪「そういう問題じゃないだろ、まったく。
  もうやるなよ」

梓「はーい」

澪「もう……」




―― ――――
――――――

唯「……ってことがあったよね」

紬「えっ、その程度で?」

唯「あずにゃんはきっとポイ捨ての常習犯だったんだよ」

澪「それなら納得だなあ」

梓「ギュピーッ!」

律「くせえ!」

澪「どうしたら元にもどるんだろう」

唯「さあ……」

澪「てゆーか、もうすぐ学園祭じゃん」

唯「そうだね」

澪「このまま梓がヘドラのままだったら、
  ライブなんてできないぞ」

紬「梓ちゃん抜きでやれば良いじゃない」

澪「えー、それはちょっと」

さわ子「みんなー、練習はかどってるー?」

梓「ギュッピピー!!」

ビュッ

ベチャッ

さわ子「ぎゃああああ!!」



唯「あっ、さわちゃんが……」

澪「骨になった……」

律「嘘だろ……」



唯「な……なんてことするの、あずにゃん!!」

澪「よせ、唯……
  こいつはもう梓じゃない。ヘドラだ」

唯「うう……」

律「よくもさわちゃんを殺しやがったな!
  このクソヘドラめ!
  今すぐここから出て行け!」

梓「ギュピー……」

律「出て行けッつってんだよ!」

梓「……ギュピー」


梓は飛行形態に変身して、
窓ガラスを突き破って飛んで行ってしまった。

4人は梓が噴射したガスを吸い込んで、倒れた。




唯が目を覚ますと、そこは病院だった。

唯「ん……こ、ここは」

憂「あ、起きたの!?」

唯「う、憂……
  私はどれくらい寝てたのかな」

憂「3日間だよ」

唯「そんなに……
  他のみんなは?」

憂「まだ意識が戻らないみたい……
  お姉ちゃんは吸ったガスの量が少なかったらしいから、
  早く起きられたんだと思う」

唯「そっか……」

憂「ねえお姉ちゃん、本当なの?
  梓ちゃんがヘドラになった、って……」

唯「……うん」

憂「やっぱりそうなんだ……」

唯「今あずにゃんはどこにいるか分かる?」

憂「警察の人が捜してるみたいだけど、さっぱり」

唯「そっか」

憂「梓ちゃん、元に戻れるかな」

唯「分かんないよ……」

憂「……梓ちゃん……」

唯「ヘドラって、怪獣だよね。
  誰か怪獣に詳しい人、いないかなあ」

和「お呼びかしら!?」

唯「!」



和「ヘドラは公害怪獣と分類されているわ。
  ちなみに命名したのは
  幼体を研究した矢野博士の息子、矢野研くんよ。
  起源は宇宙から隕石で飛来した鉱物状の生物で、
  それが公害物質を吸収して大きくなったのがヘドラよ。
  オタマジャクシ型の幼体、
  汚濁された水に潜む水中生息期、
  手足が生え、陸に上がって煙を食べるようになる上陸期、
  飛びながら毒性物質を広範囲に撒き散らす飛行期、
  そして成体といった順番で成長していくわ。
  弱点は乾燥だけれど、再び水を得れば活動するようになるわ。
  体長は最大で120メートル、体重は7万トンよ。
  硫酸ミストやヘドリューム光線を使って戦うわ」

唯「そんな怪獣知識はいいから
  どうやったらあずにゃんが元にもどるか教えてよ」

和「見当もつかないわ」

憂「大事なとこで役立たずですね」

和「ひどいわね。
  人がヘドラに変わるなんて前代未聞なのよ。
  どうすれば元にもどるかなんて分からないわよ」

唯「どうにかしてよ、怪獣博士でしょ」

和「うーん……原因が分からないことには」

唯「あ、原因なら分かるよ。
  多分あずにゃんがポイ捨て魔だったから、
  バチが当たったんだよ」

和「なんだ、そんな単純なことだったの。
  じゃあすぐ元にもどるんじゃないかしら」

唯「そうなんだ、良かったー。
  ね~憂」

憂「うん、一安心だよ」

和「でもヘドラは小さくても存在自体が害だから、
  早めに回収しなきゃいけないわね」

唯「そうだねー」

テレビ『次のニュースです……
     竹達川の流域で、付近の住人のものと思われる白骨死体が
     大量に発見されております……』

唯「!」

テレビ『3日前に発見されたヘドラが原因と見て、
     警察は竹達川の捜索をおこなっております……
     付近の住民の皆様は指示に従って、
     すみやかに非難していただくよう……』

和「竹達川って、あのドブ川よね」

憂「はい、すごく汚いとこです」

和「梓、あそこに潜んでいたなんて……
  このままだとかなり大きく成長するかも知れない」

唯「そ、そんな!」

和「大きくなったら、元にもどるのは難しいわ」

唯「嘘……」

憂「梓ちゃん……!」



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