唯「……」
唯「ん……」
澪「部室でも寝るかお前は……」
唯「えっ……あれっ……」
律「さぁて、片づけをしないとな~、めんどくせ~」
唯「えっ……夢?」
唯「今……何周目……?」
律「なに言ってんだよ、ライヴ終わった後、お前死んだように眠りだしたんだろ?」
澪「色々、疲れたな」
唯「あ……そう……」
唯「……」
唯(なんか夢みてるみたいだった……私達、ちゃんとライヴ終わったんだね……)
唯「本当に終わっちゃった……」
澪「何度目だろうな、その台詞聞くの」
紬「泣いちゃったね……」
律「お前ら、ずるいんだよ~。あんな泣かれたらもらい泣きしちゃうだろ~」
唯「……」
唯「今……1周目……だよね……」
律「は?なにそれ」
唯「今のこの状況だよっ、一度きりだよね……?これが初めてだよね……?」
澪「寝ぼけてんな、こいつ」
唯「……」
唯(なんかすごい既視感……)
唯(前にもこんな事、あったような……)
律「寝ぼけたこと言ってないで、手伝えよ~」
唯「う、うん……」
唯「……」
律「このケロケロ持って帰れよっ、ほらっ」
唯「あ、私の……」
律「……ぉ、懐かしいもんでてきたなぁ」
唯「唯が入部するっていった時の写真じゃないか」
梓「えっ、見せてくださいっ」
律「ほらっ、こいつ緊張してるだろ?」
澪「はは、強張ってるな」
唯「……」
唯(さわちゃんが来る……そしてさわちゃんが来るんだ)
さわ子「どう~?ある程度片づけた?」
律「あ、は~い」
唯「……」
さわ子「記念写真撮ろうっ!って思ったわけ」
律「いま、取り込み中ですよ~」
さわ子「なによう!せっかく顧問の先生が直々に来たっていうのにっ!」
澪「ま、いいじゃないか。撮ろうよ、記念写真」
紬「そうね、撮りましょう!」
唯(……それでみんなここから出て行って)
律「ったく、小学生か」
さわ子「もう何とでも言いなさいっ!さっ、いくわよっ、場所は決めてあるのっ!」
律「はいはい……」
紬「行きましょう行きましょう~♪」
唯「……」
澪「先に行ってるぞ……唯」
唯「……」
律「待ってるからなっ」
バタン!
唯「……」
唯「私、一人になる……そうだ……そう……」
唯(それで私、すごく寂しい気持ちになって……みんなと離れるのがいやになって)
唯「……」
唯「ホワイトボードを見たんだよ……そしたら……」
唯「……」
唯「……」
”にゅーげーむ?”
唯「……」
唯「……思いだした……ここから私の二週目が始まったんだ……」
唯(泣きながらこのにゅーげーむの文字に触れて、離れたくないって思いながらこのにゅーげーむに触れたんだっけ……)
唯「……」
唯「夢じゃなかったんだ……本当に私、二週目に行ったんだ……」
唯「……」
唯「これ触れたら……3周目に行けるのかな……」
唯「……これに触れたら……また最初から、みんなと……」
唯「……」
唯(私……もっとみんなと一緒にいたいよ……あずにゃんといっしょにいたいよ)
唯「……」
唯「……」
唯「ニューゲーム……」
唯「……っ」
唯「これに触れ続ければずっと高校生……私の望んだ人生がずっと……」
”高校生だけが人生でいいから、みんなと別れたくないよ”
唯「……」
唯「……」
唯「……」
唯「……」
唯「へへ……」
唯「私って馬鹿だなぁ~、ほんと馬鹿だね」
唯「もう懲りたはずだよっ?馬鹿にも程があるね~」
唯「待っている友達がいるのに……私の事を」
”先に行ってるぞ……唯”
”待ってるからな”
唯「……っ……馬鹿だよっ……大馬鹿だよ……」
ガチャ
唯「……?」
唯「み……みんな……」
澪「なにやってるんだ?まだ泣いてるし、はは」
律「さわちゃん怒ってるぞ~?はやくこないと~」
唯「うう……う゛ん……いくよ……」
唯「へへ……」
唯「もうニューゲームはしないよっ!私はこれでクリアっ!」
澪「は?」
律「……?
紬「……?」
唯「私が何周目してるかわかんない……これがもしかしたら200週目だったかもしれない……何回もコンテニューして同じことをずーっと繰り返していたのかもしれない」
唯「私馬鹿だから今やっと気づいたよ……やっぱりこのけいおん部が好き!!」
梓「……」
律「ふっ」
唯「うん」
澪「わかったから行くぞっ、唯」
唯「うんっ!」
さわ子「遅い!!!」
唯「す、すいません……」
さわ子「化粧が崩れちゃうじゃない!ほらっ、はやく並んで!」
律「はいはい、わかったって」
澪「おい律っ、お前が前だぞっ?」
律「私、背が高いからこれでいいんだよっ」
澪「聞いたか?みんな、こいつ……ぷっ」
唯「あははははっ、背が高いだって~」
律「なっ……おまえらなぁ!」
紬「りっちゃんより澪ちゃんの方が高いわね、あははっ」
梓「苦しいですよ先輩~」
律「き、きいいいいうるさいうるさいうるせ~、もう怒ったかんな!ヤクルト6本がぶ飲みしてやる」
澪「あはははっ、勝手にしてろ~」
律「ちくしょおおおッ、ぜ、絶交よっ、ひどいわっ!私乙女なのにっ!」
唯(やっぱりいいね……けいおん部は)
さわ子「あ゛~もう!はいチーズッ!」
律「ちょっとまt」
澪「あはははは、りっちゃん変な顔~!」
紬「いい写真が撮れたわね~」
唯(ここが私の居場所……)
梓「あははっ、もう一回お願いします~先生」
律「うるせーっ、もう知らないっ!う゛ぇぇぇぇん」
唯(私の大好きなけいおん部はもうなくなっちゃうけど……それでいいの。私達は卒業したんだ、みんなで。卒業できたんだ)
唯(あずにゃんもおいで、待ってるよ。来年みんなでまたけいおん部やろうよ)
梓「私、先輩方を追っかけます!来年またけいおん部やりましょう!」
律「言わなくてもそうさせるわい!」
澪「約束しような、また来年もけいおん部だ」
紬「じゃあ私、ティーカップ強化してくるわねっ」
律「あははは、なんだよ、強化って」
さわ子「いい!今、すごいいいから撮るわっ!はいチーズっ!」
パシャッ
――――後悔?そんなのしないよ?もう約束できたもん、またけいおん部をやるって
――――もう振り返るのはやめるよ、私は今を生きたい
唯「さわちゃんもはいってはいって!!」
さわ子「ああっ、け、化粧を……」
――――今の私達に敵う青春はないと思う、何周しても敵わないよ
――――やっと、戻ってこれた気がする
唯「はいチーズっ!!」
――――けいおん部に
――――此処が、私の居場所なんだ これからもずっと ずっと
唯「えへへ、もいっかいもいっかい!!」
唯「こんどはどんな私達を撮ろっか!」
律「お前が入ってこないと話になんねーよ!ほらっ、こい!」
唯「おっとっと……ぴ、ピース!」
パシャッ
おしまい
最終更新:2011年09月25日 02:06