唯「しつれ~しま~……す」
律「うおおっ!なんだ唯、どうした!?」
唯「へへ……寝不足で……」
澪「なんで?寝てないの?」
唯「うん、なんか調子悪くって~……」
唯「あ、聞いて聞いて!ギー太ね、見つかったよ!」
紬「本当っ!?」
唯「うんっ、福岡県の楽器屋さんにあるみたい~」
澪「福岡県か……でも運送料は全国均一だから心配はいらないかな」
唯「それがね~、なんかネットで売ってないらしいんだ~、だから週末に行って買ってくるよ~」
律「ひ、一人でか?福岡まで?」
唯「そうだよ?」
澪「……それはそれは」
律「ほかに売ってあるところないのか?」
唯「うん、すごい探して、電話もしたけどないみたいなんだ~」
澪「ところでいくらなんだ?」
唯「31万円だった……すごいきついけどお母さんに土下座までして借りてきたの」
唯「だから私、今日からアルバイトするの!がんばらなくっちゃ!」
澪「な……」
律「さんじゅ……さんじゅういちまんえん?」
紬「……」
唯「なに?どうしたの?すごい顔してるよ?」
澪(この子、ただ者じゃない……)
律(なんて努力家なんだ……)
紬「わ、私、お金出すわ!」
唯「へ?」
紬「唯ちゃんばっかり頑張ってちゃ……私にも応援させて!」
律「何だとムギ……ぜ、全額投資か?」
紬「うん!」
澪(もう次元が違う……)
唯「いや、いいの。私が買う」
紬「えっ……?なんで?出すのに……」
唯「いいの、今度は自分の力で頑張るから……」
澪「……」
唯「だからみんなでこの軽音部、楽しくしようよ!」
澪「唯……」
律「そうか……わかった」
律「唯がそんなに真剣だっていうなら私だって負けないぞ」
唯「そうだよりっちゃん、その意気だよ!」
紬「うう……なんて立派な子……」
唯「へへ、ムギちゃんなんで泣いてるの~、照れるよ~」
澪「あぶn」
唯「わっ!」
唯「あああ~ごめん~、紅茶こぼしちゃったあああああ」
澪(立派だけどなんかドジだ……)
唯「憂~、塾いくの~?」
憂「私、おねえちゃと一緒の所いきたいもん。頑張ってくるね!」
唯(ういはおつむいいから大丈夫なのに~)
唯「いかないで~うい~」
憂「ごめんね、お姉ちゃん……もっと一緒にいたいけど」
唯(憂がいなくなるのはやだよお……この設定はやめてほしいいいいいよおおおおおお)
憂「じゃあね、頑張ってくるね!」
唯「うう……いってらっしゃい」
唯「うう……」
唯「はっ!今何時!?」
唯「バイト面接忘れてたああああ!!!やばいやばい!!!」
唯「はやくいかないとおおおお!!!!いってきまああす!!!!」
唯「ああ制服のままだったああ、はやく着替えないと!!」
唯「はあ……」
澪「面接落ちたのか……」
唯「落ちました……撃沈でした……」
律「そりゃ遅刻したら落ちるさ、極め付けに……」
―――
社員「あ、入って入って、ここ座って」
唯「しし、しし失礼しますでありますっ!!」
社員「……」
―――
律「入社の一次面接でもそんなこと言わないぞ?」
唯「だってえ、緊張したんだもん」
澪「ま。それはいいとして、私も明日ついていくよ」
唯「え?福岡だよ?」
澪「いや、楽器とかみたいから……」
律「心配なんでちゅね、澪ちゅわん。唯のことがs……あだっ!いってええええ!!」
唯「みんなついてくるって~」
憂「え~、そんないいの?福岡って遠くない?」
唯「うん、でもみんなついてくるんだ~!楽しみだな~!」
唯(はやくあずにゃんにも会いたいな~、楽しみだよ、あと3年もあるんだし!)
唯「あ~、よかったあ~」
憂「え?」
唯「いや、なんでもないよお~?」
憂(この顔はなにか隠してる顔だっ!)
憂(私、お姉ちゃんの事一番知ってなきゃやだ!!!)
憂「私に隠し事しないでよお姉ちゃん!」
唯「ひっ、え?」
唯(憂に2週目の事話したら、理解しそうで怖い……)
◇福岡◇
唯「ここ……だよね……」
澪「のはずだけど……」
律「どうみてもこれって倉庫だよな……」
紬「入り口とかあるのかしら……」
唯「探してみようよ……なさそうだけど」
澪「看板あるし、たぶんここだよ。探してみよう」
唯「どこだろ~」
律「裏に回ってみるか?」
唯「裏にもそんな入り口ないよ~?」
澪「じゃあこのシャッターを開けなきゃいけないのか?」
律「怪力自慢を連れてくればよかったな」
唯「え?誰それ」
律「いや、こっちの話……なんでもない」
唯「だめだ~、開かないよ~!」
律「当たり前だろっ」
澪「ここまで来たのにな……」
紬「どうする……?」
唯「あらっ、なんか車来たよ?」
澪「ワンボックスカー……あれ関係者かな」
律「さあ……」
関係者「ん、客の方ですか?」
澪(めっちゃ怖そう……)
関係者「すいませんね、待たせたみたいで今開けますんで」
唯「あ、はい」
唯(やっぱりこの倉庫がお店なんだなぁ……)
関係者「はい、どうぞ」
唯「わあ……・」
澪「うわ……」
紬「まあ……壁中楽器楽器楽器……すごい」
律「うお、パールじゃん」
澪「すごい……レフティ沢山ある……」
唯「わあ……可愛いのいっぱい……」
唯(ぷふっ、これさわちゃん使ってそうなギターの形してる~)
澪「フライングVなんかみてどうする、はやく見つけないと……」
唯「わあ、このギター見て見て!おかし、あはははは!」
澪(ああ、だめだこいつ)
唯「さて、ギー太を探さなくっちゃね!」
澪「メーカー言ったほうが早いんじゃないか?」
唯「あっ、見つけた!!これだよこれだよ!!」
澪(こいつ……早いッ!)
唯「あれだよあれだよ~!店員さ~ん!」
関係者「はいはい、あれですね……・え?あれですか?」
唯「はいあれです!私のギターです!」
関係者「あのビンテージですか?」
唯「はいっ!」
関係者(まじかよ……こんな初心者みたいな子が……)
関係者「ま、待っててください、いま在庫確認しますから」
唯「は~い、うふふギー太ようやく会えたね~」
ギー太「やあ」
澪「私もほしいなあ、マルチアンプシュミレーター……」
律「ツインペダルほしすぎる……」
関係者「ありましたありました、本当にいいんですね?」
唯「はいっ!!」
澪「よかったな、唯」
唯(よかったあ……これでスタートだねっ!)
唯「ギー太むちゅちゅちゅ~」
律「何だお前、気持ち悪いなあ」
唯「ギー太取り返したし、これからどうしよっか!」
澪「どうするって、帰んないのか?」
唯「え~、通天閣行かないの~?」
紬「ここは大阪じゃないわよ?」
律「暗くなってきたし、もう帰ろうぜ~」
唯「え~、そんなぁ~」
澪「はいはい、帰った帰った」
最終更新:2011年09月25日 01:51