和「誰に?誰に言ったのよ」

唯「軽音部のみんなに」

和「ど……どういう反応だった?」

唯「澪ちゃんとあずにゃんは普通だったけど
  りっちゃんはきもいって言ってた」

和「ほんとに……?
  私がウルトラマンガイアのBL小説書いてたって聞いても
  澪や梓ちゃんは普通だったの?」

唯「ああ、その時はけっこう引いてたかな」

和「……」

唯「まあでも大丈夫だよ、
  趣味で人を差別するような人じゃないってみんな」

和「趣味とかそういう問題じゃないわ。
  唯も分かってるでしょ、オタクがどんな目でみられるか
  中3の時に」

唯「あれはオタ子ちゃんとオタ美ちゃんが特別気持ち悪くて
  私たちまでそのとばっちり食らっただけだよぉ、
  和ちゃんの人徳なら大丈夫だって」

和「その人徳は唯のせいで崩壊したわよ」



和「はあ……もう、なんで言っちゃうのよ……」

唯「そうしないと私にまでオタク疑惑かかりそうだったし……」

和「あーもう二学期から学校行けないわよ」

唯「多分みんな黙っててくれてるから大丈夫だって」

和「ちゃんと口止めしたんでしょうね?」

唯「あ、してないや」

和「…………」

唯「でもまあいつかバレちゃうことだったしさ。
  コスプレ画像もネットに出回ってるわけだし
  遅かれ早かれクラスの誰かが見つけちゃうかも」

和「いや、でもあれ見ただけじゃ私と唯だって分からないでしょ。
  カツラ被ってるし服装も違うし……」

唯「和ちゃんなんかキメキメでポーズとってるしね」

和「うるさいわね」

唯「でも実際にあずにゃんに見ぬかれちゃったし」

和「ううっ……」



和「はーあ……」

唯「もー、大丈夫だってば。
  和ちゃんとはみんな友達なんだからさー、
  そんなにハブにされたりしないって」

和「そうかしら……」

唯「そうだよ」

和「……実はね、去年、澪と同じクラスだった時に」

唯「うん」

和「澪をこっちの道に引きずり込もうとしたことがあったのよ、
  澪には素質があるんじゃないかと思って」

唯「それで、どうだったの?」

和「全然ダメだったわ。
  さりげなーく会話の端々に
  オタク的なことを混ぜてみたんだけどさっぱりだった」

唯「あ、そう」

和「それ以前にオタクに拒否反応があるみたい」

唯「まあオタクに好かれそうな外見してるしね」

和「コスプレ映えしそうなのに勿体無いわね……」

唯「くよくよ悩んでも仕方ないよ。
  私が思うにね、オタクが嫌われるのは
  非常識な言動をするからだと思うんだ」

和「そうかしら」

唯「そうだよ、だから和ちゃんは大丈夫。
  生徒会長までやってる優等生なんだから」

和「うーん……」

唯「軽音部のみんなもちょっとは引いてたけど
  和ちゃんと絶交するなんて言ってた人はいなかったもん」

和「ならいいんだけど」

唯「そうだよ、和ちゃんがホモ好きのアニメオタクでも大丈夫だよ。
  いままでずっと友達だったんだからそれくらいで嫌われたりしないって」

和「そうよね、みんなそんな人じゃないわよね……」

唯「そーだよー」



母「和、唯ちゃん、飲み物を持って……きゃあああ!!」

和「おっ、お母さん!?」

母「のっ、和!? なんなの、その大量のは、破廉恥な……」

和「ひいいいっ、こ、これは……!」

和「ち、違うのお母さん、これはそのあの」

母「何が違うの、こんな本をいっぱい集めて……!
  まあまあなんですか、受験勉強頑張ってると思ったら
  部屋でこんな本読んでたの!?」

和「いや、ちがっ……ちが」

母「これ自分で買ったの?どうしたの、言いなさい」

和「買ったとかそういうんじゃなくて……」

母「唯ちゃんなの? 唯ちゃんが和にこういうのを……」

唯「ち、違いますよお、
  逆にこっちが和ちゃんから勧められてますよぉ」

和「ちょっと唯!」

母「唯ちゃん、こんなのどこで手に入れたか知ってる!?」

唯「コミケで買ったんですよぉー」

母「コミケ?なんなのそれは」

唯「みんながこういうの自分で書いてきて
  そこで売ったり買ったりするんです」

和「うわああああああああああああ(´(゜)д(゜)`)」

母「はっ、そういえばこの前ニュースで見たわね、
  ビッグサイトにオタクっていう人が山ほど集まって
  漫画を売ったりコスプレしたりするって……
  和、まさかそんなところに行ってたの!?」

和「い、いってな、いってない……」

母「唯ちゃん、そのコミケはいつやってたのかしら」

唯「12日から14日まででした!」

母「なっ……和、12日から14日って塾の合宿だって言ってなかった!?
  嘘ついてそんなところに泊まりで遊びに行ってたの!?」

和「だ、だって……」

唯「おばさん、あんまり怒らないであげてください!
  今回のコミケで和ちゃんは夢だったサークル参加を果たしたんです!」

母「サークル参加? なんなのそれ」

和「唯!あんたもう喋らないで!帰って!」

唯「自分でこういう本を作って売ることです!」

和「喋らないでってばあああああ」

母「和、あなた買うだけじゃなくて自分でこんな本を……うっ」フラリ

唯「大丈夫ですかおばさん!」

母「なんでもないわ、ちょっとショックのあまり……」

和「……」

母「のどか」

和「はい……」

母「全部捨てるわよ」

和「! そ、そんなっ!」

母「この薄い本だけじゃなくて本棚の漫画とかも全部処分します!」

和「なんでやめて!それだけはやめて!
  ちゃんと勉強するから、お願いしますっ」

母「ダメよ、こんな破廉恥なものを娘の部屋においておくわけにはいきません!
  それに親に嘘をついてオタクの集まりに行くなんて!
  どうしてこんな子に育ってしまったのかしらっ、お父さんにも言いつけますからね」

和「やめてえええ」

母「唯ちゃん、この子ほかにも何か隠してないかしら?」

唯「押入の奥とかにもいっぱい入ってるよ」

和「うわあああああ……」


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