澪「そうだ、自分で調べてみるか」スッ

律「おっ、澪ケータイ変えたのか」

梓「スマホじゃないですか」

澪「Xperiaだ(ドヤァァ」

律「スマートフォンとiPhoneとアンドロイドてどう違うの?」

梓「全部一緒ですよ」

澪「えーっと……『同人誌』『イベント』『コミケ』……と、検索」

律「ちょっと見せて」

澪「なるほど、さっき唯が言ってた
  コミケっていうのが日本最大の同人誌のイベントらしい」

律「へえー」

梓「12日から14日開催……
  丁度この期間ですよね、唯先輩が部活こなかったの」

律「そうだっけ」

澪「あ、なんだこのページ。
 『コミケでコスプレの撮影をしてきました』って」

律「コスプレってなんだ?」

梓「漫画とかアニメのキャラの格好をするんですよ」

律「何が楽しいんだ」

澪「コミケってこういうのもやってるんだなあ。
  ちょっと見てみるか」

梓「うわ、いっぱいありますね写真」

律「なんだこれ、気持ち悪いな。
  いい大人がこんな格好で恥ずかしくないのかよ」

澪「コミケって思ったより変なイベントなんだな……」


梓「あ、ちょっと待ってください」

澪「んん、何?」

梓「この人、唯先輩と和先輩じゃないですか?」

澪「ええ?」

律「どれどれ」

梓「ほら、これですよ」

澪「えー……そうかあ?」

律「うーん、似てるといえば似てるかも知れないけど」

澪「髪型がぜんぜん違うよなあ」

梓「かつらに決まってますよ。
  こんな白髪のロンゲが地毛なわけないですよ」

澪「唯に聞いてみるか?」

梓「はぐらかされると思いますけど」

律「てゆーか唯はコミケなんか行ってないって
  言ってなかったっけ」

梓「そんなの嘘ついてるだけですよ」

澪「なんで嘘つく必要があるんだ?」

梓「このコスプレがバレるのが恥ずかしいからじゃないですか?」

律「なるほど……」

澪「とりあえず唯が戻ってきたら聞いてみるか」



ガチャ

唯「ただいまー」

澪「おーおかえり唯」

律「唯ー、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさあ、
  あのー」

梓「カーッ!!」

律「な、なんだよ」

唯「聞きたいことって何?」

梓「いやいやなんでもないんで気にしないでください。
  そんなことより唯先輩」

唯「なあに?」

梓「制服の肩のとこに白くて長い髪の毛ついてますよ」

唯「えっ、嘘どこに?
  制服でカツラかぶったことなかったのに」

梓「キタワァァァ」

律「この反応……じゃあやっぱり」

澪「これは唯と和なのか」

唯「え、なんのはなし?」

澪「いや実はさ、今ケータイでコミケのことについて調べてたんだ」

唯「えっ……」

澪「その中にコスプレの画像がアップされててさ」

唯「……」

澪「唯と和に似た人がいたんだけど……」

律「……人違いだよな?
  唯は行ってないって言ってたし
  コスプレなんて気持ち悪い真似……」

唯「そ、そうだよ、私も和ちゃんもそんなこと……」

梓「でもさっき和さんのメールで聞いたら白状しましたよ、
 『コミケで唯とコスプレした』って」

唯「えっ……和ちゃんバラシちゃったの?」

梓「ウェヒヒ、引っかかりましたね」

唯「えぁっ!?」

澪「……」

律「……」

澪「え、じゃあこれはやっぱり……」

唯「……」

律「そう……なのか? 唯……」

唯「……」コクン

澪「……こっちは、和か?」

唯「……」コクン

梓「なんのコスプレなんですかこれ」

唯「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」

律「長っ」

梓「唯先輩、結局コミケ行ってたんじゃないですか」

唯「行ってました……」

梓「なんで隠してたんですか?
  コスプレばれたら恥ずかしいから?」

唯「……コミケは……コミックマーケットは」

梓「?」

唯「別名、オタクの祭典なんだよ」

澪「お、おた……?」

唯「そうだよ……日本中のオタクが
  アニメやゲームを題材にした二次創作の漫画を作って
  同じく日本中のオタクがそれを目当てにやってくるんだよ……」

律「なんだそれ、きもっ」

澪「唯もそういうの買ってた、のか?」

梓「唯先輩にそういう趣味があったなんて……」

唯「私は買ってないよ、和ちゃんに付き合ってただけだよホントに」

律「じゃあこのコスプレは?」

唯「それも和ちゃんに、一緒にやろうって頼まれて……
  キャラのことはよく分からなかったけど
  楽しそうだからやってみた」

律「和、こういうの好きなんだな……」

梓「ちょっと見る目変わりそうです」

澪「……じゃあ、さっき言ってた
  和が買ってた同人誌が文芸作品のだっていうのは」

唯「文芸本のもあったよ……
  ただしアニメの二次創作の……しかも際どい感じの……」

澪「……」

澪「……」

梓「……」

律「和って……オタクなのか?」

唯「うん」

澪「知らなかった……」

梓「オタクてもっとこうキモイ人がなるもんなんじゃないんですか」

唯「そんなことないよ、
  即売会でもふつーにおしゃれな人とかいっぱいいるよ」

梓「へえ……」

澪「ど、どういうオタクなんだ?
  アニメとか漫画とかジャンルがいろいろあるだろ」

唯「いろいろ手広く見てるみたいだけど……
  和ちゃんが好きなのはボーイズラブだよ」

律「なんだそりゃ」

唯「男同士の恋愛を見るのが好きなの」

律「はあ、なんだそれ……わけわかんねえ」

梓「えっ、じゃあ和先輩は
  その手の本をコミケで買ってたってことですか」

唯「買ってるどころじゃないよ、
  なんと今回はサークル参加をしたんだよ」

澪「サークル参加……?」

唯「自分で本作って売ったの」

律「なっ……」

唯「それを手伝うために私もコミケに行ったんだよ
  私は別に何も買ったりしてないからねホントだよ」

澪「わかったわかった」

梓「……どういう本だったんですか、それは」

唯「ウルトラマンガイアのBL小説本だよ」

律「は、はあ……?」

澪「ウルトラマンって……」

梓「ウルトラマンガイアにホモいるんですか?」

唯「いないよ……
  でも男と男がいれば和ちゃんは
  すぐさまホモにしてしまえる能力を持ってるの」

梓「それで、買ってく人いたんですか?」

唯「初めてだから50冊くらいしか作らなかったんだけど
  最終的には全部売れたよ」

澪「おお、すごい……のか?」

律「ウルトラマンのホモ本が売り切れるとか世も末だな」

唯「最近はライダーが流行ってるから
  特撮系が結構売れる……って和ちゃんが言ってた」

梓「はあ……」

唯「私はそういう趣味ないからねほんとにまったく」

澪「わかってるよ」

律「……にしても、なんか現実感のない話だな」

梓「別世界ですよね……」

澪「和がそんな趣味持ってたなんてなあ」

律「ああ……」

梓「……」

澪「……」

律「中学の時からそういう感じだったのか、和は」

唯「うん、なんか中1の頃に
  クラスの子から色々見せられて目覚めた、って」

澪「目覚めたって……」

唯「そこからは早かったな……
  オタクの道に堕ちていくのが……
  オタクになりたての人の行動力は異常だから気をつけたほうがいいよ」

律「いらん忠告だな」

梓「止めなかったんですか、和先輩を」

唯「あの時の私はまだ何も知らなかったからさ。
  和ちゃんを止めようだなんて思いもしなかった。
  ただ何かに夢中になる和ちゃんの
  後ろをついていくのが楽しかったんだ」

梓「へ、へえー……」

唯「最初にオタクが恥ずかしいって自覚したのは
  修学旅行の時だったな」

澪「修学旅行で?なんで?」

唯「うん、あれは……」



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