翌日の学校!休み時間!!


純 「そっか。やっぱりいじめはあったんだ・・・」

憂 「うん・・・その後、真鍋先輩から聞いた話だとね。いじめは一ヶ月くらい前から続いてたんだって・・・」

純 「そんなに・・・?」

憂 「うん。はじめは軽い嫌がらせ程度だったのが、どんどんエスカレートしていって・・・」

純 「陰湿ないじめにまで、発展してしまったってわけね」

憂 「かわいそうなお姉ちゃん。最初みんなに助けを求めたけど、不良が怖くって誰も手を差し出してはくれなかったって・・・」

純 「・・・」

憂 「誰も助けてくれないから、お姉ちゃんは耐えた。耐えて耐えて・・・」

憂 「家でも私の前ではいつもの通りふるまって、私に心配させたくないから。耐え続けて・・・だから・・・」

憂 「だから、私も。お姉ちゃんが、ああなるまで気づいてあげることができなかった・・・」グスッ

純 「憂・・・お姉さんは憂に心配させたくなかったんだよ。だからこの事では、憂はあまり気に病まないほうがいいと思う」

憂 「うん・・・でも。やっぱり、私が早く気がついてあげられてたらって思うと・・・」

憂 「・・・」

純 「・・・?憂・・・?」

憂 「家族の私でも気がつかなかったのに・・・」

純 「・・・え?」

憂 「お姉ちゃんがいじめられてるっていう件、純ちゃんは人づてに聞いたって言ってたよね」

純 「う、うん・・・」

憂 「誰から聞いたの?一緒に暮らしてる私でも気がつけなかったのに・・・」

純 「あ、それは・・・」

憂 「いじめを直に見ている、お姉ちゃんの同級生からとか?でも、純ちゃんって先輩に知り合いっていたっけ?」

純 「むぅ・・・実はさ。怒らないで聞いてね?」

憂 「?」

純 「これってね、あの子がこっそり教えてくれたんだよ」

憂 「あの子って・・・どの子?」

純 「・・・寿さん」

憂 「・・・え」

純 「ほら、憂が私を置いて先に帰っちゃった日。あの日、寿さんに呼び出されてね。で、聞かされたんだ」

憂 (それであの時、二人は落ち合ってたんだ・・・でも、どうして・・・?)

憂 「どうして寿さんが・・・?」

純 「なんでもさ。あの子、陸上部でしょ。部活で先輩たちが話してるの聞いて、いじめがあるってのを知ったらしいよ」

純 「で。寿さんは憂のお姉さんのことを知ってるじゃん?だから、話を聞いて被害者が誰かはすぐに分かったんだって」

憂 「あ、あのね純ちゃん・・・」

純 「A子も同じ陸上部だけどさ、あいつはお姉さんとは面識ないし。だから、憂といじめの話は結びつかなかったんだろうね」

憂 「ちょ、ちょっと待って。そうじゃなくって。なんであの子がその事、わざわざ教えてくれたの?

憂 「・・・そ、それも。純ちゃんを通して・・・」

純 「それは・・・直接はなそうとしても、憂が話を聞いてくれそうにはなかったからじゃないかな」

憂 「それはそうかもだけど。でも、寿さん、どうして・・・」

憂 「・・・いったい何を企んで・・・」

純 「・・・二人には悲しい行き違いがあるんだよ」

憂 「え?それってどういう・・・」

純 「一度、寿さんと話をしてみたら?今度は熱くならず、冷静に・・・さ」

憂 「・・・」

純 「次の休み時間にでも、ね?」

憂 「う、うん・・・」



そして!昼休み!!


私はお昼も早々に片付けると、寿さんのクラスに向かった。

お姉ちゃんの問題を解決する一助とするため。もちろん第一の目的はそこだけど。

あの人が何を考えて・・・何をもくろんで純ちゃんに接触してきたのか。

それが気になって仕方がなかったから。

そして今は彼女の教室の前。クラスの子に寿さんを呼び出してもらう。

程なく現れた寿さんは、「やはり来たか」とでも言いたげな含み笑いを隠そうともせずに私の前に立った。


C子 「はいほー、憂。何かご用かな?何かな?」

憂 「・・・用事があるのは、そっちじゃなかったの?」

C子 「ん?」

憂 「私に言いたいことがあって、それで純ちゃんに近づいたんでしょ」

C子 「・・・将を射んとすれば、まずはその馬をってね。言うよね」

憂 「人の友達を馬扱いしないで」

C子 「ごめん。ごめんね。どうも私、昔から一言おおくっていけないね」

憂 「・・・」

C子 「憂の言うとおりだよ。お姉さんの事なら、憂は話を聞いてくれると思った。思ったから・・・」

憂 「話って、なにを・・・」

C子 「うん・・・この前ね。部活の連絡で憂のクラスに行ったの。A子に会いにね。で、教室の中にいる憂も見えた」

C子 「そしたら憂が。憂がね、楽しそうに笑ってた。おかしいなって思ったの。なんで笑っていられるんだろうって」

憂 「え・・・なにそれ?私が笑ってたらいけないの!?」

C子 「違う、違うよ。そういう意味じゃないよ。私、その時にはもう、憂のお姉さんがいじめられてるって話。聞いてたから・・・」

憂 「え・・・」

C子 「あんなに大好きなお姉さんが。お姉さんがね?いじめられてて、どうして笑ってられるんだろうって。不思議に思ったの」

C子 「でね、分かった。憂、いじめの話を知らないんだろうなって。だから。お姉さんの助けにもなれてないんだろうなって。思ったのね」

憂 「こ、寿さん・・・?」

C子 「教えてあげなきゃって。きっと憂なら、何とかするだろうから・・・」

憂 「・・・」

C子 「あは・・・あの公園で会った日もね。ホントはあれ偶然じゃないんだ。たまたまじゃなかったの」

C子 「A子から憂と純ちゃんがね。公園に遊びに行くって話を聞いて。話したくっても、学校じゃ避けられちゃうだろうし」

憂 「じゃああの日会ったのはたまたまじゃなく、わざわざ待ち伏せみたいなことをしてたって言うの?」

C子 「うん。けっきょく話は聞いてもらえなかったけどね。残念・・・」

憂 「お姉ちゃんのことを教えてくれるために?」

C子 「そう・・・」

憂 「なんで、あなたがそこまでして・・・」

C子 「・・・」

憂 「どうして?寿さん・・・」

C子 「謝って、仲直りしたかったから・・・」

憂 「・・・え?な、何を言って・・・」

C子 「お姉さんを助けるのにちょっとでも手助けできたらね。憂も昔のこと、水に流してくれるかなぁ。なんてね、思ったりして・・・」

憂 「ちょ、ちょっと待って。・・・え?な、何をいまさら・・・訳が分からないよ・・・」

C子 「ほんのね、軽い気持ちだったんだ・・・」

憂 「・・・やめて」

C子 「軽い気持ちから出た軽口がね、憂をあんなに苦しめるなんて、考えてもみなかった。私、バカだから。ほんとにね」

憂 「い、いや・・・」

C子 「ずっと謝りたかった。ゴメンって、言い過ぎたねって。言いたかったの。でも、憂は私を避けるし、話も聞いてくれないし」

憂 「・・・」

C子 「それならそれで良いやって、私も意固地になっちゃって。だけど、だけどね・・・」

憂 「い、いまさ・・・ら・・・」

C子 「やっぱり憂のこと好きだし、大好きだったし。だから私、話すきっかけを作って、きちんと謝りt
憂 「やめてぇっ!!」


タタタッ


C子 「あ、憂?憂ー!!」


叫んで私は走り出す。

いまさら。いまさら殊勝に謝られたところで、私は一体どうすれば良いというの?

じゃあ、私の。純ちゃんに出会うまで孤独に耐えて、人との交わりを拒絶し続けた私の日々は・・・

ぜんぶ私の早合点。周りを見る目を曇らせた、私自身のせいだったと言うの?

い、嫌だ・・・そんなの、そんな事実!耐えられない!認めたくない!!

だけど・・・だけど。

浅はかで。視野が狭くて。そのことは厳然とした事実として、私に突きつけられていて。

わざわざ謝りに来てくれた寿さんを冷たく突き放してしまった、日曜日の自分。

あの時すこしでも冷静になって、彼女の話を聞いていれば。

いじめの事実を知ることができて、お姉ちゃんが壊れる前に何か手が打てたかもしれないのに。

なのに!私は!

私は・・・

私は何て醜いんだろう・・・

・・
・・

どれだけ走っただろう。

気がついたら私は、校庭の片隅。体育倉庫の側まで来ていた。

和ちゃんの話の中で出てきたから知っている。

そこはお姉ちゃんをいじめている不良たちが溜まり場にしている場所だ。

中からは複数の下卑た笑い声。あいつらは間違いなく、あの中にいる。

・・・なんて醜い笑い声なんだろう。


憂 「・・・」


醜いといえば。

昨日の私も醜かった。

必要以上に和ちゃんに対して、攻撃的になってしまった私。

お姉ちゃんがああなっちゃったのは、和ちゃんだけのせいじゃないなんて当然のこと。頭では分かっていたのに。

なのに。なぜか口撃が止まらなかった。

どうして、ああも無慈悲な仕打ちを和ちゃんにしてしまったのか。

・・・

・・・わかってる。

自分の醜さに気がついた今なら、痛いほどに分かる。


憂 「・・・責任転嫁」


辛くても苦しくても、いつも通りに接してくれたお姉ちゃん。

でも、予兆がまったく無かったわけじゃない。

些細な変化。不可解な行動。私が気がつける機会は、確かにあったんだ。

でも、私はそれを見逃してしまった。


憂 「だけど、それを認めたくなかったから・・・」


すべての責任を和ちゃんに押し付けた。

~「私が唯を守る」~

そんな好意から出た和ちゃんの言葉を言質に取るようなマネをしてまで。



憂 「醜い・・・醜い醜い・・・」


友達の軽口を誇大に受け取り、一人勝手に殻に閉じこもっていじけて。

その殻をこじ開けてくれた親友が、私の知らない所で密会してると疑心暗鬼になって。

姉のように慕っていた人に、すべての責任を押し付けようとして・・・


憂 「私・・・」

憂 「醜い私は・・・そうだ。罰」

憂 「・・・罰を・・・受けなくっちゃ・・・」

憂 「このままじゃ私、和ちゃんにも純ちゃんにも・・・寿さんにも顔向けができないもの」

憂 「なにより・・・お姉ちゃんにもう・・・」


もう、笑いかけてもらえなくなる・・・


憂 「そんなのは、それだけは嫌だ・・・!」


つぶやいて私は、倉庫の引き戸に手を伸ばした。


(純 「いじめが本当にあったと確認できたとして。さっきみたいに我を忘れちゃわないように・・・ね?」)

(純 「私もできる範囲で協力するから。だから一人で暴走しないで。絶対、コレ約束!」)


純ちゃんと交わした約束。

だけどこの時、混乱し錯綜した私の頭の中からは。

親友との約束が、彼女が私を心配するあまり言ってくれた大切な言葉が。

すっぽりと抜け落ちてしまっていた。


憂 「お姉ちゃん。私が・・・私がお姉ちゃんの苦しみを終わらせてあげるからね」


土下座してもいい。脅されても、殴られたり蹴られたりしたっていい。

どんな目に遭ってもいいんだ。これは罰。自分で自分自身へ下す罰なんだから。

でも、とにかく。何をしてでも、されてでも。お姉ちゃんへのいじめはここで終わらせてみせる。

それが。

いくつも重ねた過ちの、唯一の償いになると信じて。


不良 「しかし、この前の平沢は傑作だったよなぁ~!」

憂 「・・・!?」


そして、その話題が聞こえてきたのは・・・

私が戸を引き開けようとした、まさにその時のことだった。


第四話に続く!



第四話 憂「骨の一欠片残さず粉々にしてやる!」



不良1 「しかし、この前の平沢は傑作だったよなぁ~!」


憂 「・・・!?」


思わず、扉を開けようとしていた手が止まる。

倉庫の中。不良たちが話しているのは。

明らかにお姉ちゃんの話。


不良2 「まぁ、泣き喚いて大変だったけどよ。キンキン声でうるせーのなんの」

不良1 「そりゃそうだろ。脱がされりゃ、泣きもするさな」


憂 「・・・ぬ、脱が・・・それって、え?どういう意味・・・」


不良1 「縛って脱がして写メや動画撮って。へっへへ・・・ガキみたいな顔して、出るとこ出てたよなぁ」


憂 「・・・!!」


不良2 「だな。でもさぁ・・・拓クン?」


拓 「・・・あ?」


不良2 「あそこまでやっといてさ、なんで犯っちゃわなかったんだ?」

拓 「バッカ。あんな小便くせぇの犯れるか。好みじゃないってぇの」

不良1 「じゃあ、なんで脱がしたんだよ」

拓 「お小遣い稼ぎだよ」

不良1 「え?」

拓 「ああいうのが好きなの、いくらでもいるだろうが。今年卒業した先輩とか、他校の奴でもいろいろよ」

不良2 「あー・・・」

拓 「現役JCの撮り下ろしエロ動画だ。しかも個人情報のおまけつき。欲しい奴には喉から手が出るほどだろぉよ」


憂 「あ・・・あ・・・?」


エロ動画って、なにそれ。

いったい何を言ってるの、こいつら・・・


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