さとみ「起きて、澪さん!」ユッサユッサ

澪「あ、あぁ・・・さとみさんか・・・長い夢を見ていたよ」

緑「どんな夢?」

澪「日本列島を縦断する夢だ」

さとみ「そう・・・。でも、それが夢なら私たち会っていないわね」

澪「そうか・・・。だからこれも夢なんだな」

緑「・・・しっかりして」

さとみ「ここは『夢の崎』よ」

菜々子「静花は紬ちゃん以外の人にも素直になることだ」

静花「・・・心がけますわ」

律「姉御ー!」キラキラ

唯「か、かっこいい」キラキラ

菜々子「ま、これが最後なんだ・・・。別にいいさ」フフン

紬「お世話になりました」

菜々子「いやいや、楽しかったよ。それじゃあね」フリフリ

静花「逃げますのね」

菜々子「ちっ」

梓「では、静花さん」

静花「えぇ。菜々子さんに対する罰ゲームは・・・」

菜々子「・・・」

静花「カーシグループの再建に協力なさい」

菜々子「は?」

紬「?」

静花「私、これから全力で立て直しますわ」

菜々子「いや・・・、私料理しかできないし・・・」

静花「百も承知ですわ。新しい事業を立てますのよ。あなたの腕が必要です」

律「おぉ」

菜々子「・・・」

静花「・・・」

紬「・・・」

菜々子「分かったよ」

静花「・・・」ホッ

紬「それじゃあ!」

菜々子「あぁ、静花と紬ちゃんが繋がっていたら、私とも会うことになるな」

律「私たちはむぎとずっと一緒だから、これからも姉御と会える!」

唯「ひゃっほー!」

紬「よかった・・・」

澪「むぎ・・・」

星奈「やっぱりすごいや」

さとみ「うん・・・」

緑「・・・うん」

菜々子「ま、退屈しそうにないからな」ウシシ

コック「その為には腕をもっと磨かないとな」

菜々子「!」ギクッ

律「料理長!」

コック「よぅ」

紬「あ、りっちゃんこれ。コックさんからのレシピよ」ペラ

コック「今渡さなくてもいいだろ」

紬「うふふ」

律「これ・・・肝心な所ぼかしてるじゃん!」

菜々子「そこは律の」

コック「津山」

菜々子「へい」

唯「どゆこと?」

律「私のオリジナルにしろって事か」

コック「・・・」

律「じゃ、このレシピの意味ねえ!!」

菜々子「正解」

コック「ガッハッハ」

星奈「よく分からないけど、律はすごいのか」

さとみ「そうみたいね」

紬「りっちゃんすごい!」

律「ちぇー」

梓「・・・」

静花「梓さん」

梓「?」

静花「こっちへ」チョイチョイ

梓「なんですか?」

静花「・・・えぇと、その・・・」

梓「・・・?」

静花「別れに戸惑いがあると話ましたが・・・」

梓「あ・・・はい」

静花「私のせいでしたわ」

梓「・・・」

静花「昔、私たちは別れの言葉もなく離れてしまいまして」

梓「それで・・・むぎせんぱいが・・・」

静花「えぇ・・・。別れが怖くなってしまったのですわね」

澪「そうでしたか・・・」

梓「・・・澪先輩」

星奈「私と別れるときのむぎちゃん、ちょっと様子がおかしかったからね」

梓「もう会えないと思っていたから当然ですっ!」

星奈「えぇー・・・、どうして私にだけ噛み付くのぉ~」イジイジ

梓「いや・・・その・・・」

唯「別れは寂しいもんね」

律「あぁ・・・」

澪「大切な人ならなおさら・・・だ」

さとみ「たまに見せるらしくない表情はそれだったのね・・・」

緑「・・・うん」

静花「・・・」

梓「・・・」

静花「・・・?」

梓「どうして黙っていたんですか?」

律「あ、梓!」

静花「・・・」

梓「どうしてむぎせんぱいを知っていたのに黙っていたのかって聞いているんです」

澪「・・・」

唯「あずにゃん・・・」

静花「・・・」

菜々子「・・・」

梓「・・・」

静花「没落貴族だから・・・ですわ」

梓「・・・」

菜々子「・・・」

静花「昔は肩を並べていたカーシグループと琴吹グループでしたが」

梓「それだけじゃないです」

さとみ「梓ちゃん!」

静花「それだけ・・・?ずいぶんと軽々しく言ってくれますわね」

律「今のは梓が悪いぞ」

菜々子「まって、律」

律「・・・?」

梓「私が静花さんに声をかけたとき・・・」

静花「・・・」

澪「・・・」

梓「ヴェガに乗り込んで、私たちのやりとりを見ているとき・・・」

静花「・・・」

唯「・・・」

梓「私たちを・・・むぎせんぱいを、見守っていた・・・じゃないですかっ」

静花「・・・」

律「・・・」

梓「静花さんが傷を付けてしまったのなら・・・どうして・・・はやくに声をっ」グスッ

静花「・・・怖かったから・・・ですわ」

梓「違いますっ!」

静花「・・・」

梓「最初は・・・可笑しいから表情が緩んでいたと思っていました・・・。でもっ」

静花「・・・」

梓「あれは・・・微笑むって言うんです!」

静花「!」

梓「あの時に声をかけていたら・・・むぎせんぱいに・・・あんな辛そうな表情をさせずにっ!」

ギュウ

静花「ごめんなさい」

梓「離してくださいっ、私は、静花さんが許せません!」

静花「あの時・・・満足してしまいましたの・・・」

梓「・・・!」

静花「今までの事も・・・きっとこれからの事も・・・、これでよかったのだと・・・」

梓「・・・」

静花「そのせいであなたまで傷つけていましたのね・・・」

ギュウ

静花「私の弱さは人を傷つけてばっかりですわね・・・」

梓「むぎせんぱいがそれで納得する訳ないじゃないですかっ!」

静花「ふふ、そうでしたわね」

梓「どうして笑っているんですか!怒っているんですよ!離して」

ギュウ

紬「ごめんね、あずさちゃん」

梓「!」


星奈「よし、次は私だな」

唯「いやいや、あずにゃんを抱きしめる役はわたしですよ」

ガシッ

律「状況を読め」

澪「・・・よし」

律「さとみ、澪を止めてくれ」

さとみ「ダメよっ」

ガシッ

澪「・・・」

緑「・・・」

菜々子「・・・」


ギュウ

梓「静花さん・・・離してください・・・」

静花「これはお詫びですわ」

梓「夏なんですよ!罰になってます!」

紬「そうよね・・・」

梓「むぎせんぱいに言ってません」

静花「ならいいですわね」

梓「どう受け取ったんですか!」

紬「うふふ」

静花「あなたたちが愛おしくて・・・」

ギュウ

星奈「うんうん、分かるよー」

唯「あっずにゃん!」ダキッ

梓「季節を考えてくださいっ!」

澪「愛に季節なんて関係ないんだよ」ギュウ

梓「ちょっ、澪先輩まで・・・!」

菜々子「秋子ちゃんが言ってたなそれ」

律「そうなんだ・・・」

菜々子「律はいかないの?」

律「さすがになぁ・・・」

さとみ「・・・」

緑「混ざれば?」

さとみ「堪えるわ!」

星奈「そうだね、定員オーバーだし」

梓「定員空いてても許可だしませんよっ!」

さとみ「埋もれた中から声が聞こえた」

梓「もぅっ!」

菜々子「へへっ、静花も成長したな!」

静花「なにがですの!?」

菜々子「ひねくれもののお前が、ずいぶん素直になったからだ」

静花「・・・ふん」

紬「最後の記念撮影ですよ。行きましょう」

グイグイ

静花「ちょっとお待ちになって・・・っ」

紬「行きますよ~」

タッタッタ

梓「・・・」ポカーン

星奈「・・・」ポカーン

さとみ「・・・」ポカーン

律「むぎのあの強引さはなれないな・・・」

澪「・・・うん」

菜々子「私たちはなれたな」

緑「そうね」

唯「店員さんも揃ってるよ、みんな行くよー!」

ちひろ「ぐすっ」

しのぶ「記念写真で泣いてどうするのよ」フキフキ

その子「そうですよ。笑って映りましょうちひろさん」

けさみ「私たちもいいんですか?」

紬「もちろんです!」

唯「むぎちゃん真ん中ね!」

星奈「じゃその隣はわたしで」

さとみ「いえいえわたしが・・・」

緑「後ろで」

梓「フッ」

星奈「ちょっと待った」

さとみ「鼻で笑ったわよ」

緑「どういう意味?」

梓「・・・」

ギュ

紬「あらあら」

律「無言で隣に居座りやがった・・・」

澪「今の梓は無敵だな」

唯「しょうがないな~」ダキッ

梓「・・・」

唯「無反応!?」

律「姉御の隣で」

菜々子「まだ姉御って呼ぶのね・・・」

律「いいじゃないッスか」ウシシ

澪「じゃ、静花さんの隣で」

静花「懸命ですわ」

菜々子「どういう意味だよっ!」

静花「まぁ・・・女ターザンが喚いてますわね」

車掌「みなさんよろしいですか?」

「「「 はーい 」」」

車掌「では、お願します」

コック「はいよ。最後の一枚だぞ。笑え」

けさみ「笑えって・・・。もちろんですよー!」ブイッ

その子「ふふっ」

ちひろ「えへへ」

しのぶ「ふふ」

律「いっえーい!」

星奈「いえーい!」

澪「・・・」

さとみ「・・・」

緑「・・・」

唯「いぇーい」スリスリ

梓「・・・」

菜々子「・・・」

静花(これだけの人を・・・この子は・・・)

車掌「・・・」

紬「どんとキタです」

一同「?」



カシャ

いい旅を


―――――ありがとう


                 End



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23  ※後日談