静花「展望車でなにをなさいますの・・・?」

紬「うふふ」

静花「・・・懐かしいですわね」

紬「私が7歳の時で最後でしたね。二人で紅茶を飲むのは」

静花「えぇ・・・」

紬「どうぞ座ってください」

静花「・・・」

紬「・・・」

コポコポコポ

静花「・・・」

紬「さ、どうぞ」

静花「いただきますわ・・・」

紬「ど、どうですか・・・」ゴクリ

静花「変わっていませんわね」

紬「え・・・」

静花「あなたの紅茶は温かくて、安心できますわ」

紬「うれしいです!」

静花「・・・」

紬「最初に教えてもらった曲も聴いてくださいっ」

タッタッタ

静花「ちっとも変わりませんわね・・・」

ポン ポロロ ポロ ポロ ポン ポロ ポロロン

静花「・・・」

・・・・・・

・・・

紬「どうでしたかっ」

静花「えぇ、とてもいい音を奏でていましたわ」

紬「ほんとうですかっ」パァァ

静花「えぇ」

紬「ヴェガで一番最初に弾いた曲なんです」

静花「縁のある曲ですわね」

紬「・・・静花さんに聞いてもらえてよかったです」

静花「・・・」

紬「・・・」

静花「座ってください、昨日のお話の続きを聞かせてほしいですわ」

紬「はい!」


緑「・・・・・・アラベスク」

風音「いい曲でしたね」

菜々子「しかし、入りづらい空気だな」

修治「しばらくはそのままにしておきやしょうぜ旦那」

ゴスッ

修治「しばらくはそのままにしておきやしょうぜ姉御」

ゴスッ

修治「どうして・・・」シクシク

菜々子「そう呼ぶ子がいなくなったと思っていたら、アンタに呼ばれて怒り心頭だよ」

修治「・・・」ヒリヒリ



静花「あらあら」

紬「」ウトウト

静花「遅くまでお喋りしていましたから・・・」

紬「」ウトウト

静花「・・・しょうがないですわね」

ファサ

紬「」スヤスヤ

静花「なにひとつ変わって・・・」

・・・・・・

・・・

つむぎ「・・・」

静花「しょうがないですわ、あなたはまだ4歳ですもの」

つむぎ「・・・」

静花「ピアノの音は・・・。いえ、音楽は人を包み込む優しさがある気がします」

つむぎ「・・・?」

静花「いい音は人を癒すそうですわ」

つむぎ「?」

静花「だから嫌いにならないで欲しい、とわたくしは思います」

つむぎ「・・・はい」

静花「紅茶が冷めてしまいましたわね。淹れ直してきますわ」

つむぎ「いっしょにいきます!」

静花「ふふっ、行きましょうか」

つむぎ「はいっ」

ギュ

静花「あら・・・」

つむぎ「えへへ」

静花「・・・」ニコニコ

静花「さ、どうぞ」

つむぎ「・・・おいしいです」

静花「ありがとう」

つむぎ「どうやってつくっているんですか?」

静花「うーん、まだあなたには早いかもしれませんね」

つむぎ「そうですか・・・」

静花「・・・」

つむぎ「・・・おいしい」

静花「お茶の話をしましょうか」

つむぎ「おちゃ?」

静花「えぇ。縁側知ってますか?」

つむぎ「えんがわ・・・」

静花「日向ぼっこをするところですわ」

つむぎ「しってます!」

静花「そこにはお茶と、お菓子が用意されていますの」

つむぎ「どうしてですか?」

静花「暑い場所では、喉が渇きますでしょ?」

つむぎ「はい」

静花「そのお茶を飲んで、休んでまた働きましょうって事なんですの」

つむぎ「おしゃべりですね!」

静花「そうです。お茶と人が居れば、のんびりと安らぐ事ができるんですのよ」ニコ

つむぎ「うーん・・・」

静花「そうですね、みんなが笑顔になる。笑っていられるって事ですわ」

つむぎ「・・・」

静花「ごめんなさい。退屈でしたわね」

つむぎ「もっとききたいですっ」

静花「そうですか・・・」

つむぎ「はいっ」

静花「ふふっ、変わった子ですわね・・・」

・・・

・・・・・・

ポン ポン ポン ポン

紬「・・・ん」

静花「・・・」

ポン ポロロロン ポポロ ポン

紬「・・・」

静花「あ、ごめんなさい。起こしてしまいましたわね」

紬「・・・っ」

静花「やはりダメですわね、指が動きませんわ」

紬「・・・っ」

静花「・・・?」

紬「・・・なさい・・・っ・・・」

静花「どうなさいましたの・・・?」

紬「・・・っ・・・ごめんなさい・・・」

静花「どうして謝るんですの?」

紬「・・・大切な・・・・・・事を・・・・教えてくれたのに・・・っ・・・忘れて・・・っ」グスッ

静花「・・・」

紬「みっ・・・んなと・・・っ・・・出会えた・・・のは・・・しず・・・かさんの・・・おかげ・・・なのに・・・っ

」グスッ

静花「・・・」

紬「だい・・・じ・・・な・・・人を・・・わたしは・・・忘れて・・・いました・・・っ」グスッ

静花「あなたにそんな顔は似合いませんわ」

紬「・・・っ」グスッ

静花「動かないでね・・・」フキフキ

紬「・・・」グスッ

静花「あなたがみんなを『つむぎ』ましたのよ」

紬「・・・っ」

静花「あなたは何一つ変わっていませんわ。だからみんなと出会えたのです」

紬「・・・」

静花「・・・だから、私はあなたに惹かれたのですわ」

紬「・・・っ」

静花「・・・出会ったことを忘れたら・・・もう一度出会えば・・・よろしいのですわ」

紬「ありがとう・・・静花さん・・・」

静花「こちらこそ」ニコ

紬「・・・っ」


緑「・・・私にもくれる?」

紬「え・・・?」

緑「・・・・・・紅茶」

紬「はいっ」

静花「・・・うん」

風音「私にもお願します」

菜々子「カップ持って来たよ。私にもお願いな」

静花「あら、この紅茶は定員が決まっていますの」

菜々子「くだらないウソついてんじゃないよ!」

修治「ワシにもくれんかのぉ」ヨボヨボ

菜々子「はいはい、お爺ちゃんは去年飲みましたよね」

修治「せめて先月に飲ませてくださいよ」ズドーン

緑「・・・」

風音「おいしい・・・」

菜々子「あぁ・・・。おいしいな」

静花「当然ですわっ」

紬「うふふ」

修治「うんまい!」

緑「あなたの後輩が言ってた・・・」

紬「あずさちゃん?」

緑「『変わった自分がそこにいるなら忘れた事にはならない』って・・・」

紬「!」

静花「そうですわね・・・」

緑「・・・・・・おいしい」


菜々子「コイツの性格が曲がった理由分かったよ」

静花「まぁ・・・あなたには負けますが」

修治「認めちゃった」

ゴスッ

風音「・・・いたそう」

修治「痛みは慣れないね」キリ

菜々子「周りの声を聞こえないようにしたんだよ」

静花「ふんっ」

紬「・・・」

菜々子「へへっ」

静花(琴吹グループの悪態を聞く毎日・・・、苦痛でしたわね・・・)

紬「静花さん・・・っ」

緑「・・・周りに合わせていたら・・・自分を失いそうだから・・・」

静花「ぐっ・・・」

修治「・・・」

菜々子「緑にまで見透かされてやんの」

静花「菜々子さん、表へでなさい。許しませんわ」

菜々子「走行中だろ・・・アホ」

静花「・・・」

風音「・・・仲がいいですね」

紬「うふふ、そうですね~」

菜々子「・・・ふん」

静花「・・・ふんっ」

修治「広島でも仲良くお酒を飲んでいたくらいだからね」

紬「そうですね、酔っ払って帰ってきたそうですから」

菜々子「そうそうコイツったらさ~」ニヤニヤ

静花「なんですの?」

修治「覚えていないんだ・・・」

風音「・・・?」

修治「部屋へ運ぶ途中ずっと・・・」

菜々子「紬ちゃんの事うわ言で呼んでいたんだよな!」

紬「まぁ・・・」パァァ

緑「・・・」

静花「捏造するなんて・・・らしくありませんわ・・・」ヤレヤレ

紬「・・・」ションボリ

菜々子「バーカ」

静花「ぐっ・・・」

緑「・・・浮かんだり沈んだり忙しいわね」

菜々子「飲んでいる時もずっと紬ちゃんの話だよ。友達がいい子たちばかりで嬉しいとか、

いい出会いをしてきたみたいだとか」

紬「・・・」ジーン

静花「・・・恥ずかしいですわよっ!」

菜々子「イッヒッヒ」

静花「笑い方が魔女ですわね・・・恐ろしい・・・。大鍋でもグツグツしてなさいな」

菜々子「魔女っていったら鍋なのか、浅いね~」

風音「お好み村の後の話って紬さんの事だったんですね」

菜々子「あぁ・・・そうだよ」

紬「どうして私の話を・・・?」

菜々子「えーと、静花と紬ちゃんが知り合いなんじゃないかと思ってさ」

緑「・・・?」

修治「お好み村に入る前に聞いたことと関係が?」

菜々子「そう。高校時代に茶道の授業で静花が言っていた事を思い出してさ」

静花「何の事ですの?」

菜々子「相変わらず容量少ない脳みそだね・・・。縁側のお茶の話だよ」

紬「!」

静花「・・・?」

菜々子「縁側にお茶が用意されていて、家の主人がいなくても勝手に飲んでいいって話」

静花「えーと・・・」

紬「お茶とお菓子をいただいて、暑い時間帯を過ごし、その後に働こうという・・・南国の話


菜々子「そうそれ」

風音「へぇ・・・」

静花「あぁ、それでしたのね。失念していました。南国じゃありませんわよ」

紬「え・・・?」

静花「まぁ、細かい事ですわ」


修治「・・・」モグモグ

風音「なにを食べているんですか?」

修治「福岡名物ひよ子」

菜々子「一人で食べてんじゃないよっ!」

バシッ

修治「みなさんもどうぞ」ヒリヒリ

緑「いただくわ・・・」

風音「いただきます」

紬「菜々子さんにもお世話になりました」

静花「・・・そうですわね」

菜々子「あんたの為じゃないよ!紬ちゃんと梓、律、澪、唯のためだよ!」

紬「ありがとうございます」

静花「礼をいいますわ」

菜々子「・・・」

紬「でも・・・どうして・・・」

静花「私の事が嫌いなはず」

菜々子「そうだよ。でもね、大阪の夜に澪が見ていたDVDにさっきの縁側にお茶の話が出て

さ」

紬「あのDVD・・・」

菜々子「その後に高校で聞いたこと思い出したから。それだけだよ」

紬「・・・そうですか」

静花「そうでしたの・・・」

風音「・・・繋がっているんですね」

緑「・・・そうね」

風音「質問していいですか?」

紬「私ですか?」

風音「はい」

菜々子「私も聞きたいことがあった」

紬「なんでしょう?」

風音「静花さんとはいつ出会ったんですか?」

菜々子「私も似たようなもんだな」

紬「えーと、4歳の頃に出会って・・・」

静花「次に会ったのが、つむぎさんの5歳の誕生日」

紬「その次が静花さんの誕生日」

静花「その次が7歳の誕生日」

紬「ですね」

静花「そうですわ」


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