秋子「菜々子さん・・・」

修治「静花さん俺らに気付かないで・・・」

菜々子「いや、そんなレベルの話じゃないよ」

秋子「え?」

菜々子「もう、紬ちゃんの事しか考えていない」

修治「そう・・・ですか・・・」



サヤサヤ

静花「ここはいい風が吹きますわね」

紬「・・・」

静花「・・・」

紬「・・・」

静花「さっきの方、銀行の頭取ですの」

紬「・・・」

静花「今日は私、カーシグループの名代としてやってきました」

紬「カーシグループ・・・」

静花「あなたにはちゃんと自己紹介していませんでしたわね」

紬「あ・・・」

静花「私の名は鹿島静花、カーシグループを束ねているのが私の父です」

紬「・・・」

静花「私達一族で築いて来たカーシグループは存亡の危機に直面しております」

紬「・・・」

静花「子会社がいくつも倒産し、本社の方も風前の灯、落ちぶれたものですわ」

紬「・・・」

静花「今や一人娘にまで融資のお願いに使わされる始末。情けないですわ・・・」

紬「・・・」

静花「・・・ふむ」

紬「・・・」

静花「これで良かったのかもしれませんわね」

紬「え・・・」

静花「いえ・・・。なんでもありませんわ」

紬「良かったってどういう意味ですか・・・」

静花「気になさらないで」

紬「私は・・・」

静花「あなたは・・・人をみてくれるね・・・嬉しいですわ・・・」

紬「!」

『あなただけですわ・・・私自身をみてくださるのは・・・』

紬「あ・・・ぁ・・・」

静花「?」

『あなたは・・・名前の通り人を『つむぎ』ますのね・・・』

紬「し・・・し・・・ず・・・ねえ・・・」

静花「・・・」

『あなたはこれからも人を『つむぎ』なさいな』

紬「し・・・ず・・・ねえ・・・さ・・・ま・・・!」

静花「思い出してしまいましたのね・・・」

紬「ど、どうして・・・」

静花「ヴェガに乗ったのは偶然ですわ」

紬「どうして教えてくれなかったのですか!」

静花「・・・」

紬「わ、わたし・・・ず・・・っと・・・」

静花「あなたの近くにいたいと思った罰ですわね・・・」

紬「え・・・」

静花「私、ヴェガを降りますわ」

紬「っ・・・」ズキッ

静花「あなたに、なにもしてあげられなくてごめんなさいね」

紬「・・・どう・・・して・・・せっかく再会でき・・・」

静花「では・・・」

紬「ま、まって・・・」

静花「さようなら」

紬「―――ッ!」ズキッ


―――――

最初に会ったのは静花さんの誕生日

鹿島家の屋敷で迷った私が開いた部屋


ガチャ

静花「あら、どうしました?」

「ここ、どこですか?」

静花「ここはわたくしのお気に入りの場所ですわ、わがや自慢のサロンですの」

「そうですか」

トコトコ

静花「あなたは、誰ですの?」

「わたしは、ことぶきつむぎといいます」

静花「そうですか、こっちに座ってはいかが?」

つむぎ「はい、しつれいします」

チョコン

静花「礼儀正しいですわね、おいくつ?」

つむぎ「えっと・・・、こんげつの2日で4さいになりました」

静花「そうですの・・・」

つむぎ「えっと・・・」

静花「どうなさいました?」

つむぎ「おなまえ・・・?」

静花「あら、今日のパーティーはどうして開かれているかご存知じゃありませんの?」

つむぎ「はい」

静花「正直ですわね。名前は鹿島静花と申します。本日20日はわたくしの誕生日ですわ」

つむぎ「おめでとうございます」ペコリ

静花「ありがとう」

つむぎ「でも・・・、ここで一人でさびしくありませんか?」

静花「・・・。いいです。誕生日パーティーなんて口実ですわ」

つむぎ「こうじつ・・・?」

静花「あなたは知らなくてよろしいですの。そうですわ、紅茶飲みます?」

つむぎ「はい!」

静花「では、少しお待ちになっててね」

スタスタ

つむぎ「・・・」

・・・・・・

・・・

つむぎ「」スヤスヤ

静花「おまた・・・せ・・・」

つむぎ「」スヤスヤ

静花「またせすぎましたわね・・・」

つむぎ「」スヤスヤ

静花「風邪をひくといけませんわ」

ファサ

つむぎ「」スヤスヤ

静花「・・・」

・・・・・・

・・・

ポン ポン ポン ポン

つむぎ「・・・ん」

静花「・・・」

ポン ポロロロン ポポロ ポン

つむぎ「・・・」

静花「あ、ごめんなさい。起こしてしまいましたわね」

つむぎ「・・・もっとききたいです」

静花「そ、そう・・・?」

ポン ポポロロ ポンポン

・・・・・・

・・・

つむぎ「・・・」パチパチパチ

静花「ふふっ」

つむぎ「いまのきょくすきです」

静花「そう・・・。よかったら弾いてみますか?」

つむぎ「いいの?」

静花「えぇ」ニコ



―――――・・・

つむぎ「おひさしぶりです」

静花「お招きいただいて、ありがとう」

つむぎ「きょうで5さいになりました!」

静花「ふふっ。はい、プレゼントですわ」

つむぎ「わぁ、ありがとうございます!」キラキラ

静花「いえいえ」ニコニコ

つむぎ「こっち!」

グイグイ

静花「ちょっと、お待ちに・・・と」

つむぎ「あ、ごめんなさい」

静花「謝らなくていいですわ、急いでますの?」

つむぎ「こうちゃいれてみたんです」

静花「そうですか・・・。冷めない内にいただきたいですわ」

つむぎ「うん!」

グイグイ

静花「ふふっ」

・・・・・・

・・・

つむぎ「どう・・・ですか?」

静花「少し・・・いえ、正直に申し上げますと、かなり甘いですわ」

つむぎ「そう・・・ですか」ションボリ

静花「でも、温かくておいしいですわ」

つむぎ「はい!さっきいれたばかりです!」

静花「そうですわね」ニコニコ

つむぎ「わたし、ピアノをならっているんです!」

静花「あら、そうなんですの?」

つむぎ「いまからひきます!」

テッテッテ

静花「よく走り回りますわね。去年とは印象が違いますわ」

・・・・・・

・・・

つむぎ「どうでした・・・?」

静花「まだまだ練習が必要ですわね」

つむぎ「・・・」ションボリ

静花「ですが、弾き手によって音は変わりますから」

つむぎ「・・・?」

静花「あなたの音はわたくし、好きですわよ」ニコ

つむぎ「ほんとうですか」パァァ

静花「えぇ、あなたにウソはつきませんわ」

つむぎ「うれしいですっ!」



―――――・・・

つむぎ「いまのきょくは・・・ゴリウォークのケークウォーク」

静花「あら、ご存知でしたの?」

つむぎ「まだひけませんけど・・・、すきなきょくです」

静花「わたくしも好きですわ」

つむぎ「わたしもひけるようにがんばります!」

静花「そんなに気合入れなくてもよろしいですわ、はい紅茶どうぞ」

つむぎ「ありがとうございます」

静花「ふふっ、熱いですから気をつけてね」

つむぎ「・・・」ズズー

静花「いかが?」

つむぎ「おいしいです!」

静花「よかったですわ・・・ありがとう」

つむぎ「わたしもおいしいこうちゃをいれたいです」

静花「もう少しくだけてもよろしいですよの?」

つむぎ「くだける・・・?」

静花「うーん・・・。もっと親身になっていいという事ですわ」

つむぎ「しんみ・・・」

静花「う、うーん・・・。姉だと思って・・・?違いますね・・・ともだち・・・?」

つむぎ「ともだちのようにですね?」

静花「そうですわ、硬くなる必要はありませんのよ」

つむぎ「わかりました~」

静花「・・・ふむ」

つむぎ「おたんじょうびおめでとうございます。プレゼントです」

静花「わたくしに?」

つむぎ「はい!きょねんのわたしのたんじょうびにも、もらいましたから」

静花「ありがとう」

つむぎ「えへへ~」

静花「学校はどうですか?」

つむぎ「たのしいです~」

静花「そう・・・。良かったですわ」

つむぎ「・・・?」

静花「紅茶の腕はあがりました?」

つむぎ「れんしゅうしてます!」

静花「ふふっ、来年のあなたの7さいの誕生日にいただきましょうか」

つむぎ「ほんとうですかっ!?」キラキラ

静花「えぇ・・・。プレゼントを持って・・・ね」ニコ

つむぎ「うれしいですっ」



―――――・・・

つむぎ「お待ちしていました」

静花「お久しぶりね」

つむぎ「はい!」キラキラ

静花「7歳の誕生日おめでとう。去年の約束どおり、プレゼントですわ」

つむぎ「ありがとう、しずねえさま」

静花「・・・すこしこそばゆいですわね」

つむぎ「こっちです!」

グイグイ

静花「ふふっ、2年前と変わりありませんわね」

・・・・・・

・・・

つむぎ「ど、どうですか・・・?」ゴクリ

静花「えぇ、おいしいわ」

つむぎ「うれしいです!」パァァ

静花「・・・そんなに喜ぶ事ではありませんわ。私は評論家ではございませんのよ」

つむぎ「いいえ!しずねえさまにそう言ってもらえるのが嬉しいんです!」

静花「そ、そう・・・」

つむぎ「最初に教えてくれた曲!私も弾けるようになりました!」

テッテッテ

静花「・・・」

つむぎ「聞いててくださいね!」

・・・・・・

・・・

つむぎ「ど、どうですか・・・?」

静花「上手になりましたわね・・・」

つむぎ「・・・!」パァァ

静花「いや・・・ですから・・・」

つむぎ「嬉しいです~」ニコニコ

静花「・・・」

つむぎ「・・・どう・・・しました・・・?」

静花「あなただけですわ・・・私自身をみてくださるのは・・・」

つむぎ「え・・・?」

静花「私に集まる人たちは・・・みんな、家柄をみて判断しますの」

つむぎ「・・・」

静花「本音を言ったら後が怖い、なにをされるか分からない」

つむぎ「・・・」

静花「・・・いえ・・・なんでもありませんわ・・・・・・・・・ごめんなさい」

つむぎ「・・・」

トテトテ

静花「?」

ピト

つむぎ「わたしは・・・、しずねえさまが大好きです!」

ギュウ

静花「・・・っ!」

つむぎ「えへへ~」

静花「っ・・・あなたは・・・名前の通り人を『つむぎ』ますのね・・・」

つむぎ「・・・?」

静花「あなたはこれからも人を『つむぎ』なさいな」ニコ

つむぎ「・・・むずかしいです」

静花「ふふっ・・・そうですわね」



―――――・・・

紬「嫌です!」

斉藤「しかし、お嬢様!」

紬「今日は静姉さまの誕生日なんです!プレゼントを渡すんです!」

斉藤「いけません!」

紬「どうしてですか!」

斉藤「そ、それは・・・」

紬「・・・」

タッタッタ

斉藤「お待ちください!」

・・・・・・

・・・

ガチャ

テッテッテ

斉藤「お待ちくださいお嬢様!」

紬「嫌です!プレゼント渡すって約束しましたから!」

テッテッテ

斉藤「分かりました・・・」

紬「・・・」

テッテッテ

斉藤「聞いていらっしゃらない!?」


8