―――――律の部屋

pipipipipipipipi

ピッ

律「・・・ふぁい」

『寝てたのか?』

律「うぅん・・・」

『帰ってきたなら連絡しろ』

律「・・・うん?」

『まだ覚めていないのか』

律「・・・澪か」

澪『・・・』

律「あぁ・・・。帰ったぞ」

澪『梓は?』

律「明日のふぁさ・・・ふぁ」

澪『・・・そっか』

律「・・・うん」

澪『寝てるところ邪魔したな、おやすみ』

律「あ、待てぃ。何用だ?」

澪『特に用はないんだけど、帰ったのかなと思って』

律「そっか・・・。本読んでいたら寝てしまった」

澪『・・・今度読ませて』

律「いいぜー。中々面白い」

澪『寝たくせに』

律「旅の疲れってやつだ。しょうがない」

澪『・・・分かるけどな』

律「あ、そだ。明日澪の用事が終わったら会わないか?」

澪『唯の家で勉強する予定なんだけど、来る?』

律「丁度いいや。参加で」

澪『分かった。というか、律が唯に連絡しろ』

律「そだな」

澪『丁度いいって?』

律「聞きたい事があってさ」

澪『分かった。その時な』

律「うむ。おやすみ」

澪『あぁ、おやすみ』

プツッ

律「・・・」ピッピッピ

trrrrrrrrrrrrrr

律「・・・ふぁ」

trrrrrrrrr 

『もしもし~』

律「唯、今話ししても大丈夫か?」

唯『ちょっとだけなら大丈夫だよ~』

律「忙しい所わりぃな。明日の勉強会だけどさ、私も参加していい?」

唯『おぉ、もちろんだよ! りっちゃん帰ってきたの?』

律「うん・・・、さっきな」

唯『あずにゃんは?』

律「今頃乗客みんなとお好み焼き食べてるよ」

唯『そっか~。ちょっと羨ましいな』

律「そうだな」

唯『それじゃ、明日ね~』

律「うん」

唯『おやすみ~』

律「おやすみ」

プツッ

律「・・・よいしょっと」

ガバッ

律「敬愛する人・・・ねぇ・・・」ナデナデ

律(・・・明日早いし、もう寝ちゃおうかな・・・)チラッ

チッチッチッ

律「もう少し読むか・・・」

ゴロン

律「・・・」ペラッ

律(もっと本の話しておけばよかったな・・・)

律(むぎと話してるかも・・・)

律「いかん・・・集中できん・・・」

律「いやいや」

律「・・・」ペラッ

律「・・・」

律「・・・」ペラッ

律「・・・おぉ」

律「・・・」ペラッ

律「・・・」

律「・・・・・・」

律(眠たい・・・けど、読みたい・・・)

律「」ウトウト

律「」スヤスヤ


―――ー

修治「ご馳走様でした!」

秋子「ごちそうさまです姉御さま!」

風音「ごちそうさまです」

菜々子「おおよ~」

紬「ごちそうさまでした、静花さん」

梓「ごちそうさまです」

緑「・・・・・・ごちそうさま」

静花「気になさらないで」

菜々子「そうそう、コイツは全部私に払わせるのが嫌だっただけだから」

静花「セコイですわねー。菜々子さん」

菜々子「なにがだよ!」

静花「点数稼ぎですわ」

菜々子「違うっての!」

静花「ふんっ」

風音「それでは私はこれで・・・」

梓「私たちも戻りましょうか、むぎ先輩」

紬「う、うん・・・」

緑「・・・」

秋子「さ、姉御さま!」

菜々子「あ、私はまだ戻らないからさ」

秋子「え~!」

静花「誰を闇討ちしますの?」

菜々子「しないよっ!するとしてもあんただよ!」

静花「まぁ、怖い。留置所での差し入れはなにがいいかしら?」

菜々子「静花、ちょっと話がある」

静花「私はありませんわ」

菜々子「・・・大事な話だ」

静花「・・・」

菜々子「・・・」

静花「・・・まぁ、いいでしょう」

菜々子「って事だから修治、みんなを頼んだぞ」

修治「は、はい」

紬「わ、私も・・・」

菜々子「・・・こんな時間だからさ、紬ちゃんも戻ってて」

紬「は、はい・・・」

梓「菜々子さん・・・?」

菜々子「ケンカじゃないから心配するなって!」

梓「はぁ・・・」

静花「・・・」

秋子「・・・しょうがないですね、さぁ戻りましょう~」

風音「は、はい」

緑「・・・」

紬「・・・」

修治「戻るよ~!」



―――――展望車

梓「・・・」ズズー

秋子「おいしいです~!」

紬「ありがと~」

美弥「はい。温かくておいしいですね」

その子「はぁ、おいしい~」

梓「はぁ・・・」マッタリ

紬「うふふ」

秋子「風音さんはどうしたんですか?一緒にお喋りしたかったです」

梓「」ギクッ

紬「疲れてしまったのね~」

美弥「急いで飛び乗りましたからね」

その子「・・・変じゃないですか?」

梓「ピノがお腹を空かせているから、ですよ」

秋子「そうですね。動物に優しい人ですから」

美弥「・・・」

紬「車掌さんとのんびりできるなんて嬉しいです」

美弥「今は美弥とお呼びください」ニコニコ

紬「は、はい・・・。美弥さん・・・」

美弥「ふふっ」

秋子「修治さんはどこへ・・・?」

梓「彼方へ」

紬「あらあら」

しのぶ「私も混ぜてー」

紬「おぉー」

梓「おぉ」

しのぶ「私も紬さんの紅茶に興味があってね」

美弥「電源は落としてきましたか?」

しのぶ「抜かりはないですよ~」

梓「私服になると印象が変わりますね」

秋子「そうですね。ふにゃ~って感じです」

しのぶ「だらけてるって事?」

その子「気合が入ってないって事かな」

紬「どうぞ~」

しのぶ「ありがとう・・・。いい香りですね」

美弥「・・・」

梓「あとちひろさんとけさみさんが来たら自慢できますね」

紬「うふふ」

美弥「自慢ですか?」

梓「はい、先輩方に・・・」

しのぶ「あの人も来るよ~」

美弥「そんな呼び方していいんですか?」

しのぶ「はい、すいません。えーと、根岸さんも来るよ」

紬「おぉー」

梓「その子さん・・・」

その子「けさみさんは・・・、後片付けに追われてて・・・」

紬「手伝ってきます!」

タッタッタ

美弥「うふふ、変わった方ですね」

梓「・・・はい」

その子「私が残っていたら変ですね」

タッタッタ

しのぶ「しょうがない・・・」

タッタッタ

秋子「結束力が固いんですね~」

美弥「きっかけを作ったのは他ならぬ紬さんですね」

梓「・・・」

緑「・・・」

美弥「あら・・・」

秋子「北上さんもどうですか~」

梓「どうぞ・・・」

緑「ちょっといい?」

梓「私ですか?」

緑「・・・・・・聞きたい事があるの」

梓「は、はい」

緑「・・・外に来て」

スタスタ

梓「?」

美弥「なにか手助けになれるかもしれませんよ」

梓「よく分かりませんが・・・、行ってきます」

タッタッタ

秋子「はいはい~」

梓「・・・」

緑「・・・別に、盗み聞きをするわけじゃなかったけど」

梓「・・・」

緑「昼にあなたと静花さんが話していた事がひっかかって・・・」

梓「・・・ひっかかっていた事・・・?」

緑「・・・二つの笑顔があるって・・・・・・」

梓「はい・・・幼い笑顔と・・・最近みせる儚い笑顔・・・」

緑「・・・」

梓「・・・」

緑「・・・・・・両方持っていたらいけないの?」

梓「・・・!」

緑「どっちも・・・琴吹さんじゃないの・・・?」

梓「そうです・・・ね」

緑「・・・」

梓「でも・・・最近のむぎ先輩は、耐えている様な気がして・・・」

緑「・・・耐えている・・・・・・?」

梓「はい・・・、だから儚い笑顔になるのだと・・・」

緑「・・・」

梓「東京で別れた人がいたんです・・・」

緑「・・・」

梓「その人は・・・自分の悩みを周りに伝えず、それでいいと笑っていたんです」

緑「・・・」

梓「だけど・・・、むぎ先輩がその人の心を掬い上げたんです
  それからは、その人・・・もっと楽しそうに笑うようになって・・・」

緑「・・・」

梓「・・・っ・・・もっと楽しく旅を続ける事ができたんだと思います」

緑「旅が終われば、ヴェガから降りて時間が経てば・・・忘れてしまうわ」

梓「・・・!」

緑「・・・・・・どれだけ大切な事でも」

梓「自分が・・・、変わった自分がそこに居たなら・・・それは忘れた事にならないのではないで

しょうか」

緑「・・・」

梓「京都で、自分を見つけた事が旅の終わりだと言って降りた人がいました」

緑「・・・」

梓「その人が探していた自分自身を、繋げていたのがむぎ先輩だと言って・・・」

緑「・・・」

梓「辿り着けたと・・・っ・・・嬉しそうに・・・」

緑「・・・」

梓「むぎ先輩がなにに耐えているのかは分かりません・・・」

緑「・・・」

梓「恐らく、むぎ先輩自信も・・・気づいていないのかも・・・」

緑「分からないわね・・・」

梓「・・・」

緑「・・・質問の答えになっていない」

梓「その出会った二人が・・・答えなんだと思います」

緑「曖昧に答えるのね・・・」

梓「そうですね・・・。北上さんはその二人を知りませんから・・・。変な事言ってすいません」

緑「・・・別に」

梓「私は・・・もっとむぎ先輩と一緒にいたいです」

緑「・・・」

梓「先輩方ともっと演奏したいです」

緑「・・・」

梓「・・・それが遠くにいってしまいそうなのが不安でした」

緑「・・・」

梓「だけど、私たちは待つことが出来るんです」

緑「・・・」

梓「むぎ先輩を待っていようって・・・決めたんです」

緑「幼い笑顔じゃなくなってもいいの・・・?」

梓「・・・」

緑「・・・」

梓「今の展望車を見てると、安心できます」

緑「・・・」


4