―――――3号車

律「私はもう車掌さんたちと乗客みんなを信用したから、安心したぜ」

梓「・・・そうですか」

律「梓は明日の朝までにみんなを見る時間があるんだからさ、じっくりむぎと一緒に過ごせばいいさ」

梓「・・・はい」

律「・・・よし」

梓「・・・」

律「だからその顔はもう無しだ」ムニー

梓「ひょ、りふせんふぁい!」ジタバタ

紬「あらあら、どうしたの?」

律「いや、ちょっと教育をね」

梓「・・・まったく、どこまで似るんですか」ブツブツ

紬「うふふ」

律「お、広島の観光ガイド買ったのか~、見せて!」

梓「律先輩帰るじゃないですか」

紬「・・・」

律「こういうのをみて旅気分を味わうのもまた一興です」フフン

梓「そうですね。でも私たちは」

律「なにー!」

サッ

梓「むぎ先輩、どこへ行きましょうか」

紬「そうね」

律「回避能力が鍛えられたようだな」

梓「おかげさまで・・・」

紬「何処か行きたい所ある?」

梓「私が決めていいんですか?」

紬「えぇ、もちろん」ニコニコ

梓「むぎ先輩」キラキラ

律「・・・」

紬「夜にお好み村へ行くのよね?」

梓「そうです」

律「・・・」

紬「4時に到着だから・・・」

梓「その界隈ですね」

紬「そうね」

梓「厳島神社はどうですか?夕方の神社もいいですね」

紬「おぉー、それはいいわね~。あ、でも、お土産買うなら中央通りよ?」

梓「あ、忘れてました」

紬「うーん」

梓「うーん」

律「駅で買えばいいんじゃないの?」

紬梓「「 選んでいる時が楽しいの(です) 」」

律「あ、そう・・・」

静花「律さん、横にずれていただけます?」

紬「あ、静・・・花さん・・・」

律「ど、どうぞ」

梓「どうしたんですか?」

静花「菜々子さんが車内販売で通りますから、あの女の本性をさらけ出しますわ」

紬「あらあら」

律「そこまでするんですか・・・」

梓「なんか必死ですね・・・」

静花「フフフ、さぁいらっしゃい菜々子さん・・・」

ガラガラ

菜々子「えー、まいど、大阪名物たこ焼きはいかがですかー!」

律「さっきお好み焼き食べたからいいや」

梓「そうですね」

静花「店員さん冷凍みかんをくださいな」

菜々子「残念でした売り切れで~す」

静花「まぁ・・・」

菜々子「あんたに売る冷凍みかんはございませ~ん」

静花「なんたる屈辱・・・」ワナワナ

梓「冷凍みかんあったんですか?」

菜々子「あぁ、さっきまでな。結構売れるんだよ」ニヤニヤ

紬「食べたかったですね・・・」

静花「そうですわね・・・」

菜々子「汚ねえ・・・、今の私の台詞が嫌味になっただろ静花!」

静花「今のが嫌味以外でどう受け取れとおっしゃるの!?」

菜々子「もうちょっと待っててな、紬ちゃん」

紬「用意できるんですか?」

菜々子「あぁ、今冷凍中だからさ」

紬「ありがとうございます~」

菜々子「いえいえ」ニコニコ

静花「そうですか・・・。しょうがないですわね」

菜々子「はぁ?あんたに売るものは無いって言っただろ、耳掃除してこいよ!」

静花「どうですか律さん?」

律「え?」

静花「底意地の悪さが露呈されましたわ」

梓「ちょっとずるいですよ」

静花「な、なんですって!?」

菜々子「あんたの策略が裏目に出たみたいだね~。株が暴落だよ!あっはっは」

ガラガラ

静花「きぃーーー!うまくいきませんわ!」

梓「当然だと思います」

律「うんうん」

静花「改めて参りますわ・・・。まってなさいよ菜々子さん、いつかギャフンと言わせて見せますわ」

スタスタ

紬「うふふ」

律「どうして笑ってるんだ、むぎ?」

梓「・・・?」

紬「だって、楽しそうだったから~」

律「そ、そう見えたのか・・・」

紬「えぇ~」

梓「・・・」

紬「もぐもぐ」シャクシャク

梓「夏といったら冷凍みかんと言っても過言ではないですね」

律「うん」シャクシャク

紬「おいしい~」

梓「はい」シャクシャク

律「うめえー!」

風音「あ、みなさん・・・」

ピノ「ピピッ」

紬「風音さんも座ってはいかが?」

梓「お喋りしましょう」

風音「それでは失礼します」

律「冷凍みかん食べる?」

風音「それでは一つだけ」

紬「どうぞ」

風音「いただきます」シャクシャク

ピノ「ピッ」

風音「冷凍されてるからダメだよ」

梓「残念だねピノ」

律「あれ、がっつかないのか?」

梓「いいんです。来ないものは来ないで、それで納得します」

ピノ「ピピッ」

紬「立派よあずさちゃん!」

律「なにがだ」

風音「先ほどは助けていただいて・・・」

紬「いえいえ~」

梓「うん」シャクシャク

律「いいって事よー」

ピノ「ピピッ」

風音「ありがとう・・・」

修治「おっ、まったりしてんね」

律「皿洗い終わったのか?」

修治「うん・・・、あまりなかったからさ」

梓「どうぞ」

修治「ありがと」シャクシャク

風音「修治さんにも助けていただいて・・・」

修治「冷凍みかんっておいしいな! いいよー、気にしないで。もう一個ちょうだい」

律「残念でした、もうありませ~ん」

紬「あ、菜々子さんのマネね!」

風音「クスクス」

修治「菜々子さん?」

梓「さっき車内販売で売ってましたよ」

律「売り切れだぞ」

修治「買って・・・え!?」

風音「売り切れだそうですよ」

修治「それは?」

律「がっつくな!」

紬「ピノちゃんのために解凍してます」

ピノ「ピピッ」

修治「ちょっと行って来る」

タッタッタ

梓「売り切れって言ったのに・・・」

律「冷凍させようとしてんだろ・・・。凍らせるみかんが無いって言ってたのにな」

紬「骨折り損ね」

風音「クスクス」

梓「あ、風音さんは到着後どこへ行くか決めました?」

風音「いえ・・・、まだ決めてません」

紬「それなら一緒にお好み村へ行かない?」

律「お好み焼き食べてきな!」

風音「そうですね・・・。ご一緒します」

紬「やった!」

梓「よかったです」


風音「北上さんにもゴロウの事知られていましたね」

紬「そうね、ビックリしたわ」

律「へー」

風音「助言をくれて助かりました」

ピノ「ピピッ」

梓「そうなんですか・・・。そういえばピアノを弾いていましたね」

紬「聞きたかったわ」

律「なに弾いてたんだ?」

梓「ジムノペディを・・・上手でしたよ。柔らかくて」

紬「ジムノペディ・・・」

律「へぇ・・・意外だな」

風音「優しい人だと思いますよ」

ピノ「ピピッ」

紬「うん、そう思う」

梓「そうですね、いい音を奏でる人ですから」

律「ほぅ・・・」

風音「音楽に携わっている人が言うんですから、間違いなさそうです」

紬「弾き手によって・・・音は変わりま・・・?」

梓「変わり・・・?」

律「・・・なにを言いかけたんだむぎ?」

風音「?」

紬「今の台詞・・・どこかで・・・?」

梓「?」

律「苦悩してるな・・・、よく分からないけど」

風音「あ、そろそろ広島に到着ですよ」

紬「うーん・・・」

梓「律先輩は荷物の整理どうですか?」

律「バッチリだぜー!」ブイ

風音「それじゃ、後で見送りにいきますね」

ピノ「ピピッ」

律「サンキュー!」

ガタンゴトンガタンゴトン




―――――平沢邸

ガチャ

唯「ただいま帰ったよ!」

トテトテ

憂「あ、お姉ちゃんおかえり~」

唯「だたいまーういー!」

憂「お姉ちゃん疲れてない?」

唯「大丈夫です!」

憂「すぐ出かけるんだけど・・・」

唯「分かったよ!」

憂「・・・。和ちゃんにも挨拶してきたらどうかな」

唯「そうだね。ついでにお土産もっていくよ!」

憂「うん、はやく戻ってきてね」

唯「了解です!」

バタン

唯「えっほ、えっほ」

タッタッタ



ピンポーン

唯「・・・」

ガチャ

和「あら、今帰ったの?」

唯「うん」

和「・・・ちょっとまっててね」

唯「・・・」

和「外で話しましょう」

唯「・・・うん」

バタン

和「どうしたの?」

唯「はい、お土産」

和「ありがと・・・、開けていい?」

唯「どうぞ~」

和「どうぞ・・・って、これ憂にじゃないの?」

唯「え?」

和「名前書いてあるじゃない」

唯「間違えちゃった~」

和「・・・」

唯「えへへ・・・」

和「・・・」

唯「・・・」

和「・・・どうだった?」

唯「楽しかったよ~・・・」

和「そう・・・。無事に帰ってきてくれてよかった」

唯「・・・っ・・・うん」

憂「お姉ちゃん、間違えて持っていったでしょ~」

唯「うい・・・」

憂「荷物運ぼうとしたらこぼれたから・・・」

唯「ありがと~」

憂「はい、どうぞ」

唯「うん、はいどうぞ」

和「ありがと、はいどうぞ」

唯「うん、はいどうぞ」

憂「私にもあるの?ありがとー!」

和「形状が違うのにどうして名前書いたのよ」

唯「さわちゃんのと間違えないようにする為です!」

憂「でも他になかったよ?」

唯「むぎちゃんが持ってるからです!」

和「開けるわね・・・」

ガサガサ

和「これは・・・?」

唯「指揮者のタクトだよ。キレイだよね~」

和「そ、そうね」

憂「私も開けていいかな」

唯「どうぞ」

ガサガサ

憂「アコーディオン・・・」

唯「ふんす!」

憂「キレイなガラス細工だね。ありがとう、おねえちゃん」キラキラ

和「ありがと・・・」

唯「和ちゃん喜んでない!?」

和「タクトといえば聞こえはいいけど・・・ガラス細工のタクトって・・・変よね」

唯「ひどい!?」

和「気持ちが嬉しいわ」

唯「そうかな」

和「えぇ」

憂(元気になった・・・かな)

唯「・・・」

和「・・・」

憂「・・・」

和「唯、明日勉強しない?」

唯「え・・・?」

和「その時にでも話の続きを聞かせて」

唯「うん!」

憂「そろそろ行こうか、お姉ちゃん」

唯「そだね、じゃあね和ちゃん」

和「あ、まって唯」

唯「ん?」

和「おかえり」

唯「う・・・んっ・・・ただいま!」




―――――澪の部屋

ガチャ

バタン

澪「・・・」

ゴト

澪「荷物の整理は帰ってきてからだな」

スタスタ

澪「・・・はぁ」

ゴロン

澪(・・・『ヴェガを見送る気持ち』・・・か。確かに変な感じだったな)

澪「・・・」

澪(そろそろ・・・でかける・・・じゅん・・・び・・・)

澪「」ウトウト

pipipipipipipipipi

澪「!」

ピッ

澪「・・・もしもし」

『あ、もしもし澪ちゃん?』

澪「どうした、唯?」

唯『あのね~、明日和ちゃんと勉強するんだけど、澪ちゃんもどうかなーって』

澪「明日は都合が悪いな・・・」

唯『そっか~、残念だよ』

澪「・・・」

唯『さっきね~和ちゃんとういに異人館で買ったお土産を渡したんだ~』

澪「そっか・・・、和の反応はどうだった?」

唯『・・・あんまり喜んでくれなかったよ』

澪「ガラス細工の指揮棒だからな。反応しにくいかも」

唯『えへへ~、そうだよね』

澪「・・・唯は疲れてないのか?」

唯『帰りの列車で眠っていたから、大丈夫だよ』

澪「そっか」

唯『澪ちゃんは疲れたの?』

澪「あぁ、少しだけな」

唯『ゆっくり休んでね』

澪「・・・うん。今もベッドで横になってる所」

唯『自分の部屋ってかなり落ち着くよね』

澪「・・・そうだな。落ち着きすぎて眠ってしましそうだった」

唯『・・・そっか』

澪「・・・」

唯『・・・』

澪「明日何時まで勉強するの?」

唯『え~と、ね。夕方?』

澪「分かった。顔出せるように頑張るよ」

唯『ほんとー!?やったよ!』

澪「はは、・・・じゃあな」

唯『うん・・・、またね~』

プツッ

澪「・・・」

澪(日常に戻ってきたんだな・・・)

澪「そうだ・・・」

ガバッ

澪「むぎからもらった小樽の・・・」

ガサゴソ

澪「・・・」

コト

澪「・・・」ナデナデ

澪(出かける準備・・・するか・・・)

ガチャ

バタン


※続く