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修治「どうしたんですか?」

菜々子「うーん、中に入りづらい・・・」

修治「あ、なるほど」

菜々子「くつろごうかと思ったけど、遠慮しておくか」

スタスタ

修治「・・・」







唯「おや」

紬「まぁ」

 唯『う・・・ん・・・』

 紬『・・・ん・・・』

 和『・・・』

 唯『さんかく・・・』ムニャムニャ

 紬『じょうぎでも・・・』ムニャムニャ

 和『共有してるのかしら』

澪「共有してた?」

唯「えーと・・・」

紬「わたしの夢は澪ちゃんがりっちゃんのオデコの面積を測ってたの」

唯「私はりっちゃんが澪ちゃんの宿題の三角関数を解いてる夢を」

律「なるほど、一応繋がっているわけか」

梓「二人が出てきただけじゃないですか」

 和『あら、また会ったわね』

 紬『カメラ回しているんですか?』

 『エェ、消す事はいつでも出来ますから、たくさん撮っておくネ』

 和『どのくらいの景色を撮ってきたの?』

 紬『知りたいです!』

 『そうですネ~、たくさんとしか言いようが無いですワ』

 和『その表現だと相当な量なんでしょうね』

 『テープが増えるほど ワタクシの中の風景も増えていくヨ』

 紬『おぉー』キラキラ

律「言葉一つ一つに重みがあるな」

澪「うん・・・」

唯「・・・うん」

 『部長サンの姿が見えませんガ・・・』

 和『律は今、風邪ひいちゃってね・・・』

 紬『今は澪ちゃんが看病しています』

 『それなら、後でお見舞いいくネ』

 和『嬉しいわ、ありがと』

 紬『ありがと~』

律「・・・ふむ」

澪「照れてる」

梓「風邪ひいてたんですね」

紬「みんな心配してくれたのよね」

唯「うんうん」

 『オー!ミオさんじゃないですカ!』

 澪『』ササッ

 『アッハハ、カメラ回しているのバレちゃいましたネ』

 澪『・・・』ジー

 『このまま撮っていてもイイデスネー』

 澪『』ササッ

 『座席に隠れていても、ワタクシがそこへ回れば撮られてしまいますヨー』

 澪『・・・ちょっと恥ずかしい・・・』

 『展望車で演奏してるミオさんはカッコよかったデスヨ』

 澪『あ、あの時はみんなといるから・・・』

 『大丈夫ネ。今のミオさんもとっても可愛いネ』

 澪『』プシュー

 『ワタクシは旅の記憶を撮り続けたいとオモッテイマスヨ』

 澪『記憶・・・?記録じゃなくて・・・?』

 『そうともイイマスネー』

 澪『・・・私も写真撮るの好きだから・・・なんとなく分かる・・・かも』

 『そうですカ?ミオさんもワタクシの大切な記憶に残しておきたいと思っているヨ』

 澪『・・・』

 『だから、出てきて欲しいヨ』

 澪『・・・う、うん・・・分かった』モジモジ

 『コレガ大和撫子ですネ!』

 澪『』プシュー

 『奥ゆかしい日本の女性デスワ』

 澪『』シュー

澪「・・・っ」

紬「・・・」

律「記録じゃなくて記憶って言ったのはそういう事だったのか」

唯「なるほどー」

梓「・・・」

 紬『こっち席あいてますよ~』

 『いいのー?』

 澪『どうぞ』

 唯『どうぞどうぞ』

 『お言葉に甘えるネ』

 和『どうしてこの席だけ6人も座れるのよ?』

 紬『それはですね~』

 唯『フッフッフ~』

 けさみ『唯さんが無理を言ったからですよ~』

 『無理言ったんだ、唯ちゃん』

 唯『言いました』エヘン

 和『ご迷惑をお掛けして、すいません・・・』

 澪『保護者だな・・・』

 けさみ『いえいえ~、ブイ!』

律「はは、カメラにピースしたぞこのウェイトレス」

唯「けさみちゃんノリいいよね~」

紬「いつも気さくに話しかけてくれるのよ~」

梓「店員さんとも仲良くなってたんですね」

澪「うん・・・」

紬「・・・紅茶淹れてくるね」

梓「あ、それじゃ止めましょう」

律「そうだな」

唯「むぎちゃん、再生していい~?」

紬「いいよ~」

ピッ

梓「やっぱり、むぎ先輩の紅茶はおいしいです」ズズー

 唯『おまちになって~』キャッキャ

 律『捕まえてごらんなさ~い』ウフフ

 唯『そ~れ』バシャ

 律『きゃ、冷た~い』

梓「ゴホッ、ゴホッ」

唯「だいじょうぶ~?」サスリサスリ

梓「・・・な、なんとか」

律「むせさせた張本人が背中をさするなんて、変な光景だけどな」

澪「それを突っ込んでるお前も変だけどな」

紬「変な循環ね~」

 『オー、角から姿を現したのはニンジャですネ』

 唯『分身の術!』ドロン

 律『一号!』ササッ

 紬『二号っ!』ササッ

 澪『・・・』

 『・・・さ、三号・・・』カァ

 律『ほら、澪』ツンツン

 澪『えぇー・・・、よ、四号・・・』カァ

 『あっはは、みんなノリがいいんだー!』

 『部下を引き連れた頭領が現れましたネ』

 さわ子『だれが頭領よ!』

律「さわちゃんの初登場がこれなのか・・・」プクク

唯「さわちゃん」プクク

澪「ポジションは当たってるからな」

梓「そうですね」

紬「・・・」

律「あ、兼六園か」

澪「梓、早送りしていいよ」

梓「?」

唯「どうして?」

紬「どういう・・・」

 『やはり部長サンがいると、ミナサン元気ですネ』

 『あ、それあたしも思ったよ!』

 澪『騒がしいだけですよ』

 『イイエー。ユイさんもミオさんもツムギさんも一つになりますネ』

 『そうそう、あ、梓ちゃんもじゃないかな』

 『ソウデスネ。展望車の演奏はよかったデスヨ』

 澪『はは、なんか照れくさいな』

 『どうしてミオさんがテレますカ?』

 『律さんの相棒だもんね!』

 『ナルホドー、冴えてマスヨー』

 『えっへっへ』

 澪『・・・』テレテレ

紬「まぁ」キラキラ

唯「なるほどぉ」

梓「・・・あぁ、なるほど」

澪「・・・」

律「こそばゆいんだけどもー」テレ

 『あ、ごんばんは』

 『こんばんはですワ』

 さわ子『こんばんは』キラキラ

 『オー、頭領の雰囲気が変わってますヨ。どうしましたカ?』

 さわ子『ここカットね』

 『さわ子先生。練習を・・・』

 さわ子『シャワー室で発声練習でもしてきなさいな』

 『分かりました!』メラメラ

 さわ子『ちゃんとお湯を出して練習するのよ』

 『はい』

 テッテッテ

 さわ子『しょうがない子ねぇ・・・』

 『練習熱心なのはいい事だと思いますワ』

 さわ子『うちの子たちにも見習わせたいわねぇ』

律紬澪唯「「「「 うっ 」」」」

梓「・・・」

 さわ子『さ、撮り直しお願いね』

 『いいですワ』

 さわ子『こんばんは、私山中さわ子と申します』

 『・・・』

 さわ子『桜が丘高校の教師をしています。教え子たちの引率としてこの列車に乗りました』

 『・・・』

律「編集されてないぞー、さわちゃーん」

 車掌『あら』

 『こんばんハ~』

 車掌『ふふっ、ごんばんは』

 修治『展望車で練習するから顔出してってさ』

 『オーケーですワ』

 車掌『人を集めたほうがいいのでしょうか?』

 修治『そうですね。人が多いほうが慣れやすいと言ってました』

 車掌『!』ピコーン

律「なにか閃いた表情したぞ」

梓「どうしたんでしょうか」

紬「うふふ」

澪「むぎ、知ってるのか?」

唯「教えて教えて~」

紬「車内放送よ~」

唯「あー、そうか~」

梓「車内放送?」

 『オー、頭領サンとツムギさんですネ』

 さわ子『誰が頭領よ!』

 エレナ『違いマシタカ?』

 さわ子『全然違うわよ』

 紬『ボスよ』

 『オー、しっくりきましたネ。BOSS』

澪「言い始めたのむぎだったのか・・・」

紬「うふふ」

唯「そうだったのか~」

 さわ子「シンデレラエクスプレスよ!」

 律『さて・・・真面目に考えるか』

 紬『そうね』

 澪『放課後ティータイム+ストロベリーはどう?』

 律『さわちゃんと大差ないじゃないか』

 澪『ダメ?』

梓「HTTFの名前を決めているんですね」

律「そうだぜ、てかこの時さわちゃんを無視しなければあの衣装着なくて済んだのか」

澪「さわちゃんの相手しろよりつー!」

紬「澪ちゃん、届かないわ」

唯「・・・そうだよ、りっちゃんはもう届かない所にいるんだよ。澪ちゃん」

律「あれー、キミたちとの距離を感じたぞー」

 『キタカミさんですネー!』

 緑『・・・』

 紬『あ、北上さんも展望車で練習を見て行きませんか?』

 緑『・・・』

 『北上さんは音楽嫌い~?』

 緑『別に・・・』

 『じゃあ、紬ちゃんたちのバンドにも興味ないー?』

 緑『・・・』

 紬『・・・?』

 『・・・なるほど~』ニヤリ

 緑『・・・ふん』

 スタスタ

 『今のはブンセキですカ?』

 『そのと~り!さっき調査した時に思った事があったんだ~』

 紬『分析?』

 『別に・・・と反応示したら、少しでも興味あるって事。無反応はそのまんまの意味だよ~』

 『ナルホドー!』

 紬『・・・?』

 『感情を出さない無口な人だけど、質問を巧く使えばどう思ってるのかは答えてくれるんだよ~』

 紬『それじゃ・・・私たちのバンドには興味ないのね・・・』ションボリ

 『アッハッハ~、まだ演奏聴いてないからショウガナイネ』

 『そうそう!これから興味もってもらえばいいんだよ~!』

 紬『な、なるほどー!私たち頑張ってみる!』

 『その意気ですワ』

澪「観察力するどいな」

律「あ、あぁ・・・」

梓「ライブ後のむぎ先輩の質問はこういう意味だったんですね」

紬「そう。少なからず興味は持ってくれたみたいね~」ニコニコ

唯「もっと聞いて欲しかったな~」

 紬『・・・では。3』

 唯『2!』

 律澪修治『『『 1! 』』』

 バサッ

 梓『私ですっ!』ジャジャーン

 唯『あずにゃん!?』

 澪『梓!?』

 律『梓!!』

 さわ子『ほほぅ』

唯「あずにゃんが現れた時はびっくりしたよ~」

梓「むぎ先輩が手品をするから、と」

紬「丁度一発芸大会が始まっていたからよかったわ~」

律「前夜祭はあるけど、練習風景はないのな」

澪「そうだな・・・」

梓「あれ?」

澪「名古屋城のライブは撮ってないのか・・・」

律「まぁ、しょうがないなー」

 さわ子『あの子たち知らないのよね?』

 『そうみたいだね~』

 和『なにか企んでますか?』

 さわ子『観覧車でドカーンよ』

 修治『観覧車をドカーン!?』

 ゴスッ

 修治『いって!』

 さわ子『犯行予告じゃないのよ』

 『観覧車で花火をケンブツするのデスネ!?』

紬「後で聞いて背中がヒヤリとしたわ~」

唯「ほんとだよ、一人で観覧車に乗せるなんて・・・」シクシク

梓「想像して寂しくならないでください」

 ドーン

 ドドォーン

 紬『さぁ、花火と夜景とイルミネーションをご堪能あれ~』

 『あれ、むぎさん・・・?』

 さわ子『どうしてむぎちゃんがカメラ持ってるのよ』

 和『・・・』

 紬『預かりました』

 『私たちより外映した方がいいんじゃない?』

 さわ子『この企画は私のアイディアよ?そこんところ』

 和『むぎ、大きいの連発でくるわ』

 紬『よしきたー』

 ドドーン

 ドーン

 ドドドドドォーン

 『キレイ・・・』ウットリ

 和『いい景色だわ』ウットリ

 紬『・・・』

 さわ子『・・・ま、いいか』

 ドーン

 ドドーン

 紬『あのね・・・』

 和『・・・?』

 さわ子『・・・』

 『むぎさん?』

 紬『梓ちゃんが言ってたんだけど・・・』

梓「・・・?」

律「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・?」

紬「あ・・・」

 紬『これだけの灯りの下に人がいると想ったら不思議な気がするんだって』

 『・・・』

 和『へぇ・・・』

 さわ子『・・・』

 『家の灯りの数だけそれぞれ生活があるのよね』

 紬『・・・うん』

 ドーン

 ドドーン

 ドォーン

澪「へぇ・・・」

律「なるほど・・・」

唯「ぅ・・・っ・・・ひっく・・・」シクシク

梓「どうして泣くんですか」

紬「うふふ」


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