――――

さわ子「こんなものかしら?」

紬「そうですね」

みらい「いいと思います」

紬「私みんなを呼んできます」ガタ

さわ子「私も行くわ、みらいちゃん待っててね」

みらい「は、はい」


紬「さわ子先生も待っててよかったのに」

さわ子「私もヴェガを歩きたいのよ」

紬「ふふ、そうですか」

「・・・」

さわ子「あら、すれ違うわね」

紬「はい」

ドンッ

紬「あ、ごめんなさい」

「・・・」

スタスタ

さわ子「気付かなかったみたいね」

紬「あら?写真と手帳が落ちてます」

さわ子「今の子が落としたのかしら?」

紬「生徒手帳・・・?」

さわ子「幼い子が二人写ってるわね」

紬「きたかみ・・・みどり・・・?」

「返して」

紬「?」

さわ子「落としたのあなた?」

「それ、返して」

紬「は、はい」

バシッ

「・・・」

さわ子「ひったくる事ないじゃない」ブー

紬「あの・・・私琴吹紬と申します」

「・・・」

スタスタ

さわ子「あらあら、気にせず行っちゃったわね」

紬「・・・」

さわ子「行くわよむぎちゃん」

紬「はーい」


さとみ「あ、こんばんは」

さわ子「あら、一人でどうしたの?」

さとみ「外を眺めていたんです・・・面白くって」

紬「なにか見えるの?」

さとみ「そうじゃないけど・・・私の知らない風景を、私の知らない人が暮らしていると想像してるの」

さわ子「・・・」

紬「面白いわね~」

さとみ「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいわ」

さわ子「さとみちゃんヒマでしょ?」

さとみ「え?えぇ・・・観光ガイドを見るくらいですね」

さわ子「じゃあ展望車いらっしゃいな」

さとみ「?」

さわ子「じゃ後で。行くわよむぎちゃん」

紬「は、はい。それじゃ後で」

さとみ「う、うん・・・?」


秋子「あ!ここにいたんですね~、探してたんですよ~!」

さわ子「うっ・・・」

紬「・・・?」

秋子「観光ガイド買ったんです!一緒にみませんか?」

さわ子「ご、ごめんなさいね。今忙しいのよ」

秋子「そう・・・ですか」ガッカリ

紬「よろしかったら」フガッ

さわ子「今はダメよ。大事な時なんだから」

紬「?」

修治「あ、ここにいたんだ?これから展ぼ」

さわ子「」シュパッ

修治(切れ味の鋭い視線!命に関わる!?)

秋子「どうしたんですか~?」

さわ子「なんでもないわ。この子、鳥羽修治というの、あとよろしくね」

修治「え!?」

さわ子「」シュパッ

秋子「修治さんですね?私は加古川秋子と申します」ペコリ

修治「よろしく、俺はただの放浪少年さ」キラン

秋子「そうですか、あれ、先生がいない?」

修治「そんな事より放浪する事について語らないか?」

秋子「えー、興味ありません。先生はどこへ?」

修治「先生はいま放浪少女となって・・・」



さわ子「・・・ふぅ」

紬「どうしたんですか?」

さわ子「悪い子じゃないんだけど、今は関わってはダメよ」

紬「・・・そうなんですか」

さわ子「あら」

愛「あ・・・」

さわ子「もし時間が空いていたら」

愛「す、すいません。失礼します」

テッテッテ

紬「愛さんどうしたのかしら?」

さわ子「? ・・・まぁいいわ行くわよむぎちゃん」

紬「はーい」


エレナ「オー、頭領サンとツムギさんですネ」ジー

さわ子「誰が頭領よ!」

エレナ「違いマシタカ?」

さわ子「全然違うわよ」

紬「ボスよ」

エレナ「オー、しっくりきましたね。BOSS」

さわ子「むぎちゃん?」

紬「ごめんなさい・・・つい」

エレナ「BOSSとツムギさんはどうしたデスカ?」

さわ子「どうして名前で呼んでくれないのよ」

エレナ「ミナサンのトップに君臨する人ですから、敬わないといけませんネ。世界のルールデス」

さわ子「なるほど、それでいいわ」キラキラ

紬「あら」

さわ子「エレナさんも展望車にいらしてね。予行演習しますので」

エレナ「オーケーBOSS」

さわ子「うふふ」

さわ子「許可してしまったわぁ」

紬「いいと思いますよボ・・・先生」

さわ子「楽しんでるわねぇ」

紬「うふふ」

さわ子「いいわ、部屋はどこかしら?」

紬「こっちです」

コンコン

「誰だっ」

紬「私よ」

「合言葉を言え」

紬「分かったわ」

「粗大ゴミは」

紬「持ってかれてない」

「入れ」

さわ子「いつ決めたのよ・・・」

ガチャ

律「どうしたむぎ?」

紬「曲完成したから展望車に集まって~」

唯「おっけ~」

澪「合言葉いつ決めたんだよ・・・」

律「適当だっ」

唯「そうだっ」

紬「そうよっ」

さわ子「楽しんでいるのねぇ」



―――――展望車

さわ子「むぎちゃんは?」

澪「さっきまでいたんだけど・・・」

唯「紅茶淹れにいったのかな」

ピンポンパンポーン

律「車内放送か・・・珍しいな」

『みなさんこんばんわ~』

さとみ「むぎさん!?」

さわ子「ふふ、車掌さんの仕業ね」

紬『私たちの都合で大変申し訳ないのですが、しばらく展望車を利用させていただきます~』

唯「ずる~い~!」

澪「度胸あるなぁ」

紬『ライブの練習ですが、もしよろしかったら見学にいらしてくださいね~。それでは失礼しま~す』

プツッ

澪「」プシュー

律「澪・・・恥ずかしがっていられないんだぜ・・・」

唯「わ、私も車内放送してくるよ!」

さわ子「一度きりよ」グイッ

唯「そ~んな~」ジタバタ

さとみ「唯ちゃんに緊張という文字はないのかな」

みらい「・・・見習わなくちゃいけませんね」

――――

紬「ありがとうございました」

車掌「いえいえ。私も皆さんに伝えることがありますので、展望車へ参りましょう」

紬「伝えることですか?」

車掌「はい」





紬「あ、あれは・・・」

「・・・」

紬(ぶつからないように・・・)

ドンッ

紬「あっ、ご、ごめんなさい」

「・・・」

紬「うふふ、二度目ですね。ぶつかるの」

「・・・」

紬「北上緑さんですよね?私は琴吹紬と」

緑「知ってるわ」

紬「え?」

緑「・・・」

紬「・・・」

緑「用がないのなら行くから・・・じゃ」

スタスタ

紬「あ・・・」

車掌(わざとぶつかった・・・?)



ギュィイイン

「「 おぉー 」」

澪「人が・・・多い・・・」ガクガク

律「あーぁ、私は本だけかぁ」

さわ子「辛抱してねりっちゃん」

律「みんなが音を出してる横でぺちぺちするのは寂しいぜぇ」

さわ子「腐らない腐らない」

律「腐ってねーよー」ブー

唯「では次行きます!」

「おぉ!」

チャララーララチャラララララー

「聞いたことあるよ、お姉ちゃん!」

「私も~」

唯「えへへ、それじゃあ次はキラキラ星を弾いてあげるね」

「うん、お願い!」

さとみ「子供に大人気ねぇ」

律「感性が近いからな」

さとみ「感性?」

さわ子「あの子見たもの聴いたものを鋭く捉える能力がズバ抜けているのよ」

みらい「なるほど」

ジャンジャンジョンジャン

「あ、間違えたー!」

「間違えたー!」

唯「えへへ、失敗失敗~」

さわ子「・・・多分ね」

律「・・・多分な」

さとみ「・・・そうなんだ」

車掌「皆さんよろしいでしょうか?」

紬「みんな集まって~」

唯「みんなごめんね、これからお姉ちゃん練習するんだ。つまらなくなったらお母さんのところに戻っていいからね」

「わかったー!」

「はーい!」

唯「・・・じゃね!」

さわ子「保母さんもありかも・・・」

澪「どうした?」

紬「車掌さんがみんなに伝えたいことがあるんだって」

車掌「先ほどは皆さんに不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ありませんでした」

律「いや、車掌さん悪くないじゃん」

車掌「私の監督不行き届きです。ですから私の責任になります」

みらい「・・・」

車掌「飯山さんの撮影ではあまり苦情が起らなかったのですが、変わられてからは上の方にも苦情がいってたみたいです」

澪「みらいは撮影の後、ちゃんとフォローしてたもんな」

唯「うんうん」

みらい「それでも私の言動で・・・」

律「まぁまぁ」

車掌「それで・・・ここからはオフレコでお願します」

唯「吹き替えだね」

紬「それはアフレコよ唯ちゃん」

車掌「上から、乗客の信頼を挽回しろ・・・と」

さわ子「あらあら」

澪「・・・」

車掌「そこで私はみなさんへの協力を第一と考えました」

唯「なんと!」

澪「なんと・・・」

さわ子「車内放送もそういう意味だったのね」

車掌「はい、そうです」

律「私が言うのもなんだけどさ、私らでいいのか・・・いいのですか?」

車掌「えぇ、前回の演奏の評判も上々でしたので」

紬「まぁ」

律「一個だけお願いが」

車掌「ドラムは次の駅、岐阜駅で乗せることができますよ」

律「仕事はやっ! 早いですねっ!」

車掌「どうして言いなおすのでしょうか?」

律「いえ・・・意味はありません」

澪「ププッ」

車掌「そうですか・・・私に出来ることがありましたらなんなりと」

紬「いつも気にかけてくれてありがとうございます」

唯「うん、ありがと~!」

車掌「いえ、車掌として当然の努めです」

唯「おぉ」ビリビリ

律「しびれるぜ」ビリビリ

車掌「それでは、岐阜駅発車後に料理長にセッティングしてもらいますので」

さわ子「はい、ありがとうございます」

車掌「それでは後ほど」

さわ子「それじゃ、今はみらいちゃん、むぎちゃん、澪ちゃん唯ちゃんの四人で練習ね」

唯「おぉー!」

みらい「はい!」メラメラ

澪「やる気だなみらい」

みらい「私も負けていられません」

唯「おぉ」

さわ子「この子ずっとこんな調子だったのよ」

澪「根性あるよな」

紬「そうね~」

律「ちぇ~・・・」イジイジ

さわ子「いじけない、いじけない」

さとみ「会議終わった?」

紬「えぇ」

さとみ「子供たちが待ってるわよ」

「ゆいちゃーんはやくー」

「こらっ、わがまま言わないのっ」

「だってぇ」

唯「よぉーし!」


ガタンゴトン ガタン ゴトン

プシュー

律「急げー、急ぐんだ!」

修治「おうっ」

コック「走ると危ないぞ」

律「私もはやく練習したいんだよ!」ウズウズ

コック「気持ちは分かるが、怪我したら元も子もないぞ」

修治「あ、あれじゃないか?」

律「よっしゃー!」

修治「待てって」

タッタッタ

コック「人の話を聞かないな」

スタスタ

律「これだろ!?」

「は、はい・・・?」

ヒョイ

修治「借りてくぜ!」

タッタッタ

「あっこら!」

コック「大丈夫だ」

「あ、乗客の方でしたか」

コック「そういう事だ」


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