――――

憂「はい、和ちゃん。乗車証」

和「えぇ」

車掌「確認致しました」

憂「車掌さん、ありがとうございました」

和「私たちの我がままを快く受けてくださり、とても感謝しています」

車掌「そんなに固くなさらないでください、楽しんでくださればそれで充分です」ニコニコ

和「そう言っていただけると・・・」

憂「車掌さん、姉をよろしくお願します」ペコリ

車掌「はい、私どもにお任せ下さい」

和「・・・」

車掌「平沢憂さん、気をつけてお帰り下さいね」

憂「はい!とても楽しかったです。本音を言うともう少し乗っていたかったです」エヘヘ

和「憂・・・」

車掌「ふふ、私どもにはこれ以上のないのお言葉です。それでは失礼します」

憂「はい、お世話になりました」


唯「・・・」

憂「・・・」

律「それじゃ、またね憂ちゃん」

憂「はい、また」

澪「気をつけてね」

憂「はい、みなさんもお気をつけて」

紬「一緒に観光できて楽しかったわ」

憂「はい、私もです!」

和「憂、ごめんね・・・」

憂「ううん、お姉ちゃんと少しでも旅ができて楽しかったよ。後はよろしくね和さん」

和「えぇ、任せて」

prrrrrrrrr

唯「うい、大丈夫?」

憂「うん、お父さんとお母さんが迎えに来てくれるから。安心して」

唯「そっか・・・」

憂「それでは、みなさん無事に帰ってきてくださいね」

律「任せとけー」

澪「あぁ、大丈夫」

紬「えぇ」

唯「じゃあね・・・」

和「お土産持って行くわ・・・」

憂「うん!」

タッタッタ

「じゃあねー、憂ちゃ~ん!」

憂「あ・・・」ニコ

プシュー

憂「」ペコリ

ガタン ゴトン ガタンゴトン

「ふぅ~危ない危ないヤバかった~」

紬「・・・」

律「あのぉ~どちらさまですかぁ?」

澪「・・・」

「一日会わないだけで忘れちゃったのかなぁ~?」

唯「・・・」ムス

律「記憶にございませんですな~」

「あれれ?みんな怒ってるの?」

紬「さぁ・・・どうでしょうか」ムス

「むぎちゃんも!?」

和「あなたが山口星奈さんね」

星奈「えっ?」

唯「どうして星奈ちゃんの名前知ってるの?」

星奈「あなたは・・・?」

和「私は真鍋和。この子たちと同級生よ。・・・昨日梓に会ったのよ」

澪「梓と?」

律「どういう事だ?」

和「私が学校の用事を済ませているとき、けいおん部の部室からギターの音が聞こえたの」

星奈「・・・」

和「本当は私、ヴェガに乗るの断ろうと思ってて・・・」

唯「そうだったの・・・?」

和「えぇ、それを梓に伝えようと扉を開いたら・・・梓が一人でギター抱えて座っていたわ」

紬「あずさちゃん・・・」

和「夕日が差し込んでて幻想的だったわね・・・」

律「寂しそうじゃなかった?」

和「寂しそうというより・・・私の顔をみるなり嬉しそうにしてたわよ?」

澪「え?」

和「話し相手になってくれって・・・座らされたわ」

星奈「・・・」

和「珍しくたくさん喋っていたわね。道中の話、札幌、青森、仙台・・・東京」

律「へぇ・・・」

和「あなたの名前もたくさん出てきたわ・・・」

星奈「梓ちゃん・・・」

和「それを聞いたら乗ってみたくなってね・・・」

唯「そうだったのか~」

紬「よかった・・・」

澪「うん・・・」

律「そうだな」

星奈「うん、よかった・・・ちょっと気がかりだったからね・・・」

和「それから、これを星奈さんに渡してくれって・・・受け取って」

星奈「うん・・・これは?」

澪「梓が使っていたピック・・・」

律「・・・そっか」

星奈「へへっ、可愛いところあんじゃん」

唯「あずにゃんは全部可愛いよ~!」

星奈「・・・そうだね~」

和「渡せないかもしれないけどいいのか、と聞いたら『渡せるかもしれないからお願します』だって」

唯「おぉ、あずにゃんかっこいい!」

和「ふふ、妙に大人びていたわね」

星奈「そっか、ありがとう和」

和「私は運んで渡しただけ・・・、大した事してないわ」

唯「でも、和ちゃんが来てくれたから渡せたんだよ」

紬「そうね」

律「あぁ」

星奈「うん」

澪「そうだな」

和「ど、どうしたのよみんな・・・」

星奈「へへっ、みんなありがとう」

律「それで、だ。これはこれ、それはそれ・・・だよなぁ」

和「・・・?」

紬「そうね・・・」ムス

澪「・・・」

唯「ほんとだよ~」ムス

星奈「あれれ?機嫌直ってくれないの?」

律「・・・」ツーン

星奈「えーと・・・和理由を教えてくれない?」

和「私は今朝来たばかりだから詳しくは知らないわね・・・」

紬「・・・」ムス

唯「・・・」ムス

律「・・・」ツーン

星奈「えーと・・・」アセアセ

澪「・・・ブフッ」

和「澪・・・?」

澪「フフッフフフ、・・・らしくないよみんな」

紬「・・・ふふ」

唯「・・・へへへ」

律「・・・だな」

星奈「・・・えーと」

紬「うふふ」

唯「あははは」

律「へへっ」

澪「ふふっ」

和「・・・?」

星奈「え・・・」オロオロ

紬「ごめんね、星奈さん・・・」

唯「ごめんね~」

律「なんか・・・星奈の顔みたら拗ねてしまった」

和「そういう事ね」

星奈「・・・」

澪「ふふ、でもあんな別れ方されたらびっくりしますよ」

紬「黙って降りたと思ってショックだったから・・・」

唯「そうだよ~」

星奈「ごめ~ん・・・手紙読んでくれたでしょ?」

律「あぁ、床に落ちていた手紙をな!」

星奈「あれ?車掌さんに渡したハズなんだけどな・・・?」

唯「手紙の言葉も足りないよ~」

律「そうだぞー」

星奈「あはは・・・急いでたから気付かなかったや・・・」アハハ

紬「でも良かった・・・また会えて」

澪「うん・・・」

星奈「・・・なんかごめんね」

唯「ちゃんと別れを言えるから安心したよ~」

和「・・・」

星奈「父さんと急に会うことになってさ・・・急がなきゃ間に合わなかったんだ」

紬「そうだったの・・・」

星奈「うん、全部はき出したよ。言いたい事も全部言った。ひどい言葉もかけてしまった」

澪「・・・」

星奈「それでも黙って聞いてくれた。ヴェガに乗らなかったら、そこで怒って帰ってたかもしれない」

律「・・・」

星奈「でも・・・冷静になって考える事ができた」

紬「・・・」

律「?」

星奈「あとでむぎちゃんから聞いてね」

紬「いいの?」

星奈「うん。もう大丈夫・・・とはまだ言えないけどさ、時間をかけて話あっていくよ」

紬「・・・」

唯「・・・」

澪「・・・」

星奈「みんなのおかげだよ~ん。ありがとね!」

律「ご、ごめんな星奈・・・私たちそんな理由だと知らないで・・・拗ねたりなんかして」

紬「・・・ごめんなさい」

唯「ごめんね・・・」

星奈「・・・だ、抱きしめていいですか!?」ワキワキ

律「はぁ!?」

星奈「だって・・・だって・・・みんなすっごく可愛かったんだもん!」

律「子供をあやす親父かあんたは」

澪「ブフッ」

和「ふふ」

紬「うふふ」

唯「さ、かも~ん」

星奈「いいの!?」

律「いいのかっ!?」

澪「ふふ、なにしてんだよ」

和「・・・そろそろ」

星奈「へへっ、みんなサンキュー」

紬「・・・」

星奈「和、ピックありがと。大事にするって伝えておいて!」

和「えぇ、分かったわ」

律「星奈ー」

星奈「どした?」

律「最後はハイタッチで別れようぜ」

星奈「お!いいねぇ」

律「・・・元気でな」

星奈「律も元気で」

パァン

律「へへ、じゃあな!」

星奈「うん、ありがと律!」

澪「せ、星奈・・・さん」

星奈「敬語直らなかったね~」

澪「ご、ごめ・・・ごめん」

星奈「あっはっは、いいよ~そのままの澪ちゃんでいこうよ」

澪「う、うん・・・。星奈さんと一緒にいて楽しかった」

星奈「うん、私も。楽しい時間だった」

澪「あ、あの・・・私もハイタッチ・・・したい・・・」

星奈「抱きしめても」ワキワキ

律「やめんか!」バシッ

星奈「あいたぁ!」

律「まったく」

星奈「わざわざ降りてきたのか・・・」

律「手つきがヤラシイんだよ!」

星奈「あはは、ごめんね澪ちゃん」

澪「ううん、それじゃあ」

星奈「うん」

パンッ

澪「ありがとう、星奈さん」

星奈「こっちこそありがとう。じゃあね」

律「乗るぞ澪」

澪「うん」

唯「わ、私も!」

星奈「よぉーし」

スカッ

唯「あれ?」

星奈「も、もう一度・・・」

スカッ

星奈「えぇー」

唯「・・・」ションボリ

星奈「じゃあ握手でお別れ」

唯「うん!」

ギュ

星奈「演奏の事嬉しかったよ」

唯「わ、私・・・星奈ちゃんと一緒に・・・いられて・・・」グスッ

星奈「ダメ」

唯「!」

星奈「笑顔で別れようよ・・・ね?」

唯「う、うん・・・」

星奈「唯ちゃんにはいつも笑ってて欲しいな~、なんてね」

唯「えへへ、ありがとう」

星奈「よし。それじゃあ、バイバイ!」

唯「う、うん。とっても楽しかったよ。・・・バイバイ」グスッ

星奈「・・・」

紬「・・・」

星奈「あはは、無理強いはよくないか・・・うつっちゃいそうでヤバいんだよねぇ・・・」

紬「星奈さん・・・」

星奈「むぎちゃんはハイタッチと握手どっち?」

紬「両方・・・」

星奈「くっくっく、いつも予想の斜め上にいくよね」

紬「・・・そう?」

星奈「うん・・・。あ、良い意味で言ったんだよ?」

紬「・・・」

星奈「じゃ、ハイタッチから」

パァン

星奈「おぉ~」

紬「・・・」

星奈「それじゃ、元気でね」

ギュ

紬「・・・」

星奈「・・・」

紬「・・・」

星奈「・・・どうして何も言ってくれないの?」

紬「あ・・・」

星奈「私は梓ちゃんも含めてみんなと出会えて、本当によかった」

紬「・・・っ」

星奈「飛行機を選ばないで・・・、ヴェガを選んで本当によかった」

紬「・・・うん」

ギュ

星奈「離してくれないとヴェガに乗れないよ?」

紬「・・・う・・・ん」


prrrrrrrrrr

星奈「・・・」

紬「・・・」

ギュゥ

星奈「しょうがないな~、おいでむぎちゃん」

テクテク

紬「星奈・・・さん?」

律「なんだ?乗るのか?」

星奈「そんな訳ないでしょー?・・・律手伸ばして」

律「う、うん?」

星奈「左手だよ、むぎちゃんを引っ張ってあげて」

律「あ、うん」

星奈「むぎちゃん、手を握るのは私じゃないよ」

紬「あ・・・」

星奈「固っ!握力すごいな!」

律「むぎ・・・行くよ」

ギュッ

澪「むぎ・・・」

唯「むぎちゃん」

星奈「よし・・・はい、乗った乗った!」グイグイ

紬「せ、星奈さん・・・」

星奈「むぎちゃん、バイバイ!」

プシュー

星奈「」ブイッ

ガタン ゴトン ガタンゴトン 

和「梓が懐く理由が分かったわ・・・」

律「なんだよ・・・今の別れ方・・・っ」

澪「あはは・・・変・・・だよな」グスッ

唯「ぅ・・・うん・・・でも・・・っ・・・星奈ちゃん・・・らしかった」グスッ

紬「星奈さん・・・さようなら・・・」



―――――展望車

修治「そっか・・・」

紬「えぇ、だから心配いらないわ」

修治「うん、ありがと」

律「いいって事よ・・・って、なんで修治が関わってるんだよ?」

紬「色々あったのよ~」

律「い・・・色々?」

唯「りっちゃん・・・聞くだけ野暮ってもんですぜ」フッ

律「えぇい!さっきまで泣いてたやつに言われたくねぇ!」ムニー

唯「ふぁいえふぁいほん!」

澪「さっきまでのしんみりモードはどこへ行ったんだよ・・・」

律「・・・で?星奈となにがあったんだ?」

修治「ちょっとギクシャクしてただけだよ」

律「あっそ」

修治「興味ないのになぜ聞いた!?」

澪「私も詳しく知らなかったな・・・演奏のお礼ってそういう意味だったのか・・・」

紬「えぇ・・・」

唯「・・・」

修治「・・・」

律「・・・」

修治律「「 あのさっ 」」

唯「?」


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