けさみ「そうですね~・・・確認を取ってまいりますので少々お待ち下さい~」

さとみ「いいのかしら・・・」

憂「無理を言っちゃダメだよ~」

唯「大丈夫だよ」フフン

律「どこからその自信は出て来るんだよ」

けさみ「出来ないみたいです」キッパリ

唯「えぇ~」ガッカリ

さとみ「ですよね・・・」

澪「そうだよな、通行の邪魔にもなるし」

けさみ「でも奥の席ならOKだそうです」

律「い、いいの・・・?」

憂「す、すいません・・・」

けさみ「いいえ~、空いている時間帯でもありますから。予備の椅子運ぶの手伝ってくれますか?」

唯「ありがと~」

紬「それなら私が取ってくるわ」

憂「い、いえ。私が・・・」

紬「いいのよ、座ってて~」シャランラ

律「むぎは力持ちだからな」

さとみ「そうなんですか?」

唯「そうだよ~」

憂「もぅ、お姉ちゃんったら」

唯「えへへ。そうだ、今度むぎちゃんに御返しをしよう!」

律「そうだな、この列車に乗れたのもむぎのおかげだもんな」

澪「どうするんだ?」

唯「それを今から決めます!」フンス!

憂「そうだなぁ・・・」ウーン

さとみ「もしかして、むぎさんって琴吹グループの親族の方ですか?」

律「さぁ・・・?」

さとみ「さぁ・・・って」

唯「私たち、むぎちゃんがお金持ちだって事しか知らないよ~」

澪「そういえばそうだな・・・」

さとみ「そうなんですか・・・」

憂「御返し・・・」ウーン

唯「むぎちゃんはむぎちゃんだから」

さとみ「・・・!」

紬「私がどうしたの~?」

律「むぎは可愛いなってさ」

澪唯「「 ・・・ 」」シーン

さとみ「・・・?」

憂「・・・」ウーン

紬「まぁ」ポッ

律「おいっ!」

澪「どうした?席移動するぞ」

唯「りっちゃんてば、本人の前で・・・」ニヤニヤ

さとみ「どういう流れなの・・・」

紬「ありがとう~りっちゃん」

律「い、いや・・・。望んでいた流れにならなかったな・・・」ボソッ

けさみ「みなさん各自でコップを持って下さいね~」

憂「やっぱり腹話術・・・?」


唯「さとみちゃんは松本でどこ行くか決めた~?」

さとみ「到着したら上高地へ行ってみようかと思ってるの」

唯「そっか~、私たちは明日回る予定だから残念だよ」

さとみ「ふふ、そうね」

律「もうそろそろ着くな~」

憂「そうですね」

紬「・・・」

さとみ「そうだ、みなさんは寝台車でよく眠れてます?」

律「私はしっかり眠れた~」

澪「わ、私はまだ慣れないな・・・」

唯「ぐっすりと!」

紬「私もよく眠れていると思うわ」

さとみ「私、列車で寝るのは初めてなんだけど、ちゃんと眠れるかな」

憂「・・・」ウンウン

紬「枕が変わると眠れない・・・?」

さとみ「そういうんじゃないけど、ベッドから転げ落ちないかなって」

澪「寝相の悪い律でも落ちてないですから、大丈夫ですよ」

律「そうそう」

さとみ「ふふ、そうなんだ」

唯「憂も心配しなくて大丈夫だよ~」

憂「そうかな?」

律「そうそう、って誰の寝相が悪いだこらぁ!」

澪「時間差か・・・」

唯「う~い~、眠れなかったら私の部屋へおいで~」

憂「う、うん・・・」

ガタンゴトン ガタン

さとみ「あ、減速した・・・」

紬「・・・」

律「それじゃ、降りる準備すっか~」

澪「そうだな」

唯「うん・・・」

さとみ「それじゃ、私先に行ってるね」ガタ

紬「えぇ・・・」

律「じゃあね~」

さとみ「楽しかったわ、またね」

澪「うん」

唯「・・・」

律「・・・」

紬「・・・」

憂「・・・?」

ガタン ゴトン ガタン

プシュー

憂「松本駅に着きましたね」

唯「そうだね・・・」

律「だぁー!みんな立て、降りるぞ!」

澪「う、うん」

紬「・・・星奈さんを見送りましょうか」

唯「・・・うん!」



憂「よっ」ピョン

シュタ

律「松本まで来たかぁ!」

唯「遠くまで来たね!」

澪「そうだな」

憂「みなさん、疲れていませんか?」

紬「まだまだ大丈夫よ!」フンス!

唯「私も大丈夫!」フンス!

澪「私も大丈夫だな」

律「みなさん若いですね!」

憂「律さんは疲れました?」

律「いや、大丈夫だぜ~」ブイ

紬「・・・」キョロキョロ

唯「いないね~」

律「居ないな・・・のんびりしてんのかね?」

紬「わ、私星奈さんの部屋へ行ってくる」

澪「待ってたらくるんじゃないの?」

紬「う、うん・・・そうだけど。行ってみるね」

タッタッタ

憂「どうしたのでしょうか?」

澪「なにかあった?律」

律「ん~?さとみと食堂車へ行くときに会ったけど・・・特になにもなかったけどなぁ」

唯「すぐ来るんじゃないかな~」

――――

紬「・・・」

コンコン

紬「星奈さん・・・?」

・・・

紬「・・・」

コンコン

・・・

紬「?」

車掌「どうかなされたのですか?」

紬「あ、車掌さん・・・星奈さんを探しているんですけど・・・」

車掌「!」

紬「?」

車掌「・・・申し上げにくいのですが。山口さんは先ほど降りていかれましたよ」

紬「えっ・・・」

車掌「ご存じなかったのですね・・・」

紬「そんな・・・」

車掌「・・・」

紬「・・・」

車掌「私はこれから部屋のチェックがありますので・・・」

紬「・・・はい」

車掌「あまりお気を落とさないでくださいね」

紬「・・・・・・・・・はい」


――――

唯「どうだった~・・・むぎ・・・ちゃん?」

紬「・・・」

澪「むぎ・・・?」

律「・・・どうした?」

憂「・・・?」

紬「降りたって・・・」

律「・・・!」

紬「星奈さん・・・もう降りたって・・・」

澪「えっ!?」

唯「そんなぁ・・・」

憂「お姉ちゃん・・・」

律「星奈がこんな別れ方するなんて・・・」

紬「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・」

律「ウソだろ・・・」

憂「律さん・・・」


タッタッタ

車掌「琴吹さん!」

紬「車掌さん・・・」

車掌「これ、山口さんの部屋に落ちてました・・・」

唯「え・・・」

澪「・・・手紙?」

紬「『明日行くから』・・・?」

律「どういう意味だ・・・?」

車掌「『明日見送りに行くから』ではないでしょうか」

紬「!」

唯「!」

憂「・・・ホッ」

律「ったく、星奈のヤツ!」

澪「まだ別れじゃないみたいだな」ホッ

車掌「少し慌てていたようでしたから、その文字が精一杯だったのではないでしょうか」

紬「よかった・・・」

唯「びっくりしたぁ~」

律「あぁ、あんな別れだったら許さなかったぞ」

澪「・・・安心した」

車掌「それでは私はこれで」

紬「ありがとうございます、車掌さん」

唯「ありがとう~」

車掌「・・・いえ」ニコ

紬「・・・」

律「車掌さん走ってきてくれたのか・・・」

澪「・・・あぁ」

憂「・・・」

澪「・・・それじゃ、行くか」

憂「松本城ですね」

紬「えぇ」

唯「うん」


――――

澪「松本城が夕陽に染まっててキレイだ・・・」

憂「絵の具で塗ったようですね・・・」

澪「あぁ、巧い表現だね」

憂「えへへ」

律「ふむ」

唯「おぉ、まるで燃えているみたいだ」

紬「松本城がやる気を出しているのね」

唯「うん。やーるぞー!って言ってるみたい」

紬「うふふ」

律「ふむ・・・」

澪「どうした、律?」

唯「どうしたのりっちゃん?」

律「いや、別に・・・。同じもの見てるのにこうも見方が変わるのか・・・」ボソッ

憂「窓が少ないんですね、中は暑そう」

唯「本当だ、昔の人は大変だね~」

律「あれ、壁に小さな穴があるけど何だ・・・?」

澪「鉄砲や弓矢を構える穴だよ」

唯「松本城は実戦用に作られたお城なんだよ~」

律「ふ~ん、詳しいのな」

紬「観光ガイドに書いてあるわ」

憂「あそこから敵を狙っていたんですね」

律「この位置は狙われやすいかもな、近づこうにも堀に囲まれているし・・・」

澪「よく考えて造られているんだな」

ジャボン

唯「おっ、堀で鯉がはねましたよ!りっちゃん隊員!」

律「よぉ~し」


澪「なにしてるんだ?」

律「いや、今夜のメインディッシュに・・・」

澪「や め ろ」

律「冗談だよ~」

紬「鯉は半日から1日キレイな水に入れておかないと泥臭いそうよ」

唯「それじゃ今夜のメニューには間に合わないね」

憂「間に合っても捕っちゃダメだよお姉ちゃん・・・」

「こら、ワシの草履はどこじゃ?」

律「ん?」

澪「あっ」ササッ

唯「みらいちゃん」キラキラ

紬「撮影中なのね」

みらい「ワシの草履はどこじゃと聞いておる」

唯「?」

みらい「もぅ、松本城に来たら織田信長の真似をしなくちゃダメだよ~」

憂「・・・」

唯「織田信長・・・?」

みらい「そう、観光地でモノマネをする。これがみらいの歴史勉強法なのだ!」

律「いや・・・」

唯「それは違いますよ・・・みらいちゃん」フフフ

みらい「なにぃ~、この信長に意見するとな?」

唯「織田信長は関係ないよみらいちゃん、松本城は小笠原さんですよ!」ズバッ

律「顔見知りかよ」

みらい「うぐっ・・・」

AD「みらいちゃん、スマイル!」

みらい「ふふふ、よく気付いたね!勉強になったでしょ?みらいに感謝しなさい!・・・そ、それじゃーねー!」

唯「まったね~」フリフリ

AD「ま、まってよみらいちゃーん!」

紬「大勢で移動していくわね~」

憂「TV番組の撮影って大変でしょうね」

律「しかし、みらいはアホの子だったのか・・・」

唯「もぅ、失礼だよ!りっちゃん」プンスカ

律「あー、ごめんごめん。・・・ところで織田信長といえばどこの城?」

唯「安土城だよ?」

律「即答か・・・」

紬「澪ちゃん、もうスタッフの人たちは居ないわよ」

澪「ほ、ほんとうに・・・?」

律「あぁ、だからむぎの後ろから出て来ーい」

澪「・・・はぁ」

憂「急に押し寄せてきましたから、私もびっくりしました」

律「そうだな。・・・私はアイドルの時のみらいはちょっと苦手だな」

唯「そうなの?」

律「うん、なんか周りをめちゃくちゃにしてるじゃん?」

憂「でも、それはTV撮影のせいなんじゃ・・・」

澪「・・・」

律「まぁ、そうなんだろうけど。見てる人は楽しいかもしんないけどさ、
  巻き込まれた当事者たちはそれで納得できるのかなって・・・」

唯「・・・」ションボリ

律「で、でも素のみらいは私好きだぜ!?素直だし、可愛いし!」

澪「そうだな、確かに可愛かった」

唯「でも・・・りっちゃんの言ってる事分かる気がする・・・」

憂「・・・」

紬「どういう事?」

唯「アイドルの時のみらいちゃんが起こした事を、素直な時のみらいちゃんが謝るなんて変だもん」

憂「お姉ちゃん・・・」

唯「無理してないかなぁ・・・」

澪「・・・本当に好きなんだな飯山みらいの事」

唯「えへへ」

律「問題。織田信長は『鳴かぬなら殺してしまえホトトギス』ですが、『鳴かせてみせよう』は誰?」

唯「フフフ、片腹痛いとはこの事ですよりっちゃん・・・」フフフ

律「やっぱり簡単すぎたか」アハハ

唯「徳川家康ですよ」ズバリ

紬「惜しい!」

澪「いや、二択だし・・・」


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