紬「ほら、ラーメン横丁でも似たようなやりとりしたじゃない?」

星奈「そういわれてみれば・・・」

梓「ふふ、そうですね」

紬「なんだか遠い昔のような気分ね~」

星奈「そうだね、4日前の話なのにね」

紬「それ以上一緒にいる感覚がするわ~」

梓「・・・」ペラッ

星奈「私達が思い出に耽っているのに、キミはなにをしてるのかにゃ?」

梓「一番高いやつを・・・。あ、もうカニ御膳終了してますね」

紬「でも新しく牛タンがあるわ」

梓「いいですね。私牛タンにします」

星奈「値段で決めないでよね。まだお昼まで1時間以上あるよ?」

梓「朝食はパン一枚でしたから、食べられると思います」ブイ

星奈「いや、ブイってされてもね。別にいいんだけど。むぎちゃんは?」

紬「アイスティーを」

星奈「食べないの?」

紬「お昼は浅草で取ろうと思ってて。私浅草のもんじゃ焼きを食べるのが夢だったの~」

星奈「なるほど。それじゃ、私も浅草で一緒に食べようかな?」

紬「えぇ、ぜひ」

梓「そ、それなら私も」

星奈「牛タン食べた後に食べられるかなぁ?」

梓「じゃ、じゃあキャンセル」

星奈「この機会を逃すと食べられないかもよ~」

梓「うぅ・・・」

星奈「アハハ、むぎちゃん、浅草へは夕方でいいかな?」

紬「えぇ、そうしましょう」ニコニコ

梓「ホッ・・・」

星奈「ふふ」

梓「?」

星奈「なんでもない。むぎちゃんアイスティーでいいの?」

紬「えぇ、今はお腹すいてないの」

星奈「おっけ、注文してくるよ。そうだ」ガタ

紬「どうしたんですか?」

星奈「梓ちゃんさ、どうして私が修治に矢印が向いてるなんて思ったの?」

梓「なんていうか・・・その、星奈さんが少女のような態度だったので」

星奈「あ、あぁ。いやぁ、修治と気まずくてさ、どう接したらいいか分かんなくて、
   こういう気まずい思いしたこと初めてだったから、恥ずかしいっていう部分もあったんだよね」アハハ

紬「あらあら」

梓「星奈さんって意外とウヴですよね」ボソッ

星奈「・・・」スタスタ

梓「?」

星奈「梓ちゃんやっぱりなまいき~」ワシャワシャ

梓「! やめてください星奈さんっ!髪が乱れますっ!」

星奈「教育がまだまだ必要なようじゃのぅ~」ワシャワシャ

梓「もうっ、やめてくださいー!」

紬「あらあら」ウフフ

唯「まだかな~、まだかな~♪」ワクワク

律「あっちの席盛り上がってんなぁ」

澪「梓が、唯や律とじゃれあってる時と同じ表情してるなんて」

律「そうなのか?」

澪「あぁ、なんか意外だ・・・」

唯「星奈ちゃんいい人だよ~?」

律「いや、それはなんとなく分かるけどさ」

澪「レアなんじゃないかと思って」

唯「ん~?」

「おまたせしました。ジャンボパフェ二つにレモンティーでございま~す」

律「キタキタ!ってデカッ!!」

唯「デカッ!」

澪「ちゃんと食べろよな」

律「くぅ~生きててよかった~」キラキラ

唯「おぉ~、苺にメロン、さくらんぼ~、キウィ、グレープフルーツ、りんごうさぎ!」キラキラ

澪「幸せそうだな唯は」

律唯「「 いっただっきま~す 」」

パクッ

唯律「「 これすっごくおいし~ 」」

澪「よかったな」

唯「はぁ~、ジャンボパフェがとまらないよ!」パクパク

澪「・・・」

律「うんめぇ!」

唯「ライブを頑張った私たちにご褒美だよね、りっちゃん!」

律「うんうん、やってよかったなぁ唯!」

澪「・・・」

唯「しあわせ~」モグモグ

律「このこめかみを刺激する冷たさがたまんねぇ~!」

澪「いちごパフェが止まらないの歌詞をなぞっただけじゃないか・・・」

唯「あぁ!どうしようりっちゃん。ほっぺたが落ちちゃった~」

律「しょうがねぇな~拾ってやるよ~」ムニムニ

唯「ありがと~」

澪「おかしなテンションになってきたな」

唯「おいしぃ~」モグモグ

律「ふぅ~。おいどんちょっと食べきる自信が無くなってきたですたい、澪どんも少し食べてはどうですたい」

澪「言葉がおかしいぞ。じゃあちょっとだけ」ペロリ

律「どうだ?」

澪「おいしい・・・」

律「どんどん食べていいぞ~」

紬「ごちそうさま~」

梓「ごちそうさまです」

澪「ご、ごちそうさま」

星奈「あいよ~。よく一人で食べきれたね~」

澪「律の分は私と半分半分でしたけど」

唯「へへへ、とてもおいしかったよ~。ごちそうさま」ゲフ

律「ごちそうさまー!」

星奈「いえいえ~、それじゃまったね~」フリフリ

澪「・・・しかし驚いたな。列車で鉄板焼きをするなんて」

律「あぁ、目を疑ったぜ」

梓「私達も最初見たとき驚きましたよね」

紬「えぇそうね~。星奈さんが利用してたわね」

唯「なんでもござれな食堂車だね」

紬「みんなで客車へ行きましょうか?」

澪「そうだな」

唯「そだね~、のんびりしよ~」

律「おー」

梓「あ、私売店車へ行って東京の観光ガイド買ってきます」テッテッテ

紬「行ってらっしゃ~い」

律「東京かぁ・・・なんかあっという間だな」

澪「うん」

律「おぉ、2号車の座席は緑か!」

澪「4号車は赤、3号車は黄色だったな」

真美「あの琴吹さん・・・ちょっといいですか?相談したいことがあるんですけど・・・」

紬「あら、桜井さん。はい、なにかしら」

律「おっ、真美ちゃんどうしたー?」

真美「学校へ入学するまでに人物画を描くという課題がでているんです」

紬「人物画っていうと・・・『隣の友達の顔を描いてみよう』みたいなアレかしら?」

唯「小学校の頃よくやったよね~」

真美「えぇ、それです・・・それで、誰を描こうかと思って」

紬「それなら、見栄えする人はどうかしら。桜井さんは、今までどういう人を描いたの?」

真美「お父さんと、お母さんとおばあちゃん・・・家族しか描いたことないんです」

澪「ふむふむ」

紬「なるほど・・・、家族の顔なら見慣れていますよね。やっぱり、絵に描くのはそういう方がいいのね?」

真美「というより、私は人見知りするから気心の知れた人の方が。そ、それでお願いがあるんですけど・・・」

紬「はい」

真美「モ、モデルになってくれませんか?」

唯「おぉ~むぎちゃんがモデルか~」

律「いいんじゃないか?むぎなら見栄えするからな」

真美「いえ、あの・・・みなさんを描きたいのですが・・・」

紬「なるほど~」

澪「・・・」ボンッ

律「おぉ、澪が恥ずかしさのあまり頭から蒸気が・・・」

真美「その、演奏してる時の楽しそうな雰囲気がいいなと思いまして」

紬「まぁ~」

唯「よぉ~し、ギー太取ってくる!」フンス!

律「まぁ、待て」

真美「みなさんが団欒しているところを描きたいのですが・・・」

唯「らんらん? スキップしている所を描くの?」

紬「だんらんよ、唯ちゃん」

澪「親しい人同士で集まって楽しい時間を過ごす事・・・だ」

律「ほぅ」

真美「いかがでしょうか・・・」

唯「おっけー!」

澪「あっさりと!」

真美「ダメ・・・でしょうか」

澪「も、もちろんいいですよ!よ、よろしくお願します!」

律「テンパってるけど、大丈夫か・・・」

紬「それならどこで描きましょう・・・?」

真美「そうですね、5人が座れる場所は・・・」

律「展望車が空いてるか見てくるよ」

唯「それなら私はここで待ってるよ!」

律「おまえも来いっ」グイッ

唯「あ~れ~」ズルズル

真美「みなさんありがとうございます」

紬「いえいえ~」

澪「・・・」

真美「前に描かせてもらった時の絵を仕上げている時とてもやりがいがあって、
   雰囲気をどう表現するのかが楽しくて・・・もう一度描きたいと思っていたんです」

澪「前?」

紬「札幌から函館の間を走っているときに私たち二人を桜井さんに描いてもらったの」

澪「へぇ・・・」

真美「東京に着いた時にでもお渡しますね」ニコニコ

紬「桜井さんは東京まででしたね・・・」

真美「えぇ・・・私、琴吹さんと中野さんにはとても感謝してます」

澪「?」

梓「おまたせしました」

紬「あずさちゃん、なにかあったの?」

梓「店員さんとお喋りしてました。店員さんの名前根岸ちひろさんって言います」

澪「そ、そうなのか」

梓「根岸さんよく観察してますよ。誰と誰が仲がいいのか把握してました」

真美「そうみたいですね」

紬「面白い情報ね~」

梓「何に活かされるのか分からないですけど」

澪「色々とアドバイスできるから貴重な存在かもな」

紬「そうね~、あ、りっちゃんどうだった?」

律「いや~、空いてなかったよ」

唯「うん、ここでいいんじゃないかな」

梓「?」

紬「そうね、どうかしら、桜井さん?」

真美「私はどこでも」

澪「き、緊張するな・・・」

紬「絵のモデルになるなんてそうそうないものね~」

澪「そうだな、むぎはあるのか?」

紬「うん、何度か」

澪「そういや、最初の合宿の別荘にむぎの肖像画があったな」

紬「覚えててくれたのね」

澪「あぁ、両親も一緒に描かれていた絵もあったな・・・。っておまえたちなにしてるんだ?」

唯「りっちゃん、もっとつめてぇ」ギュウギュウ

梓「ゆ、唯先輩押さないでください」ギュウギュウ

律「これ以上は無理っ」ギュウギュウ

澪「まぁ、二人用の椅子に三人座ろうとしてるからな」

紬「展望車は空いていなかったから、しょうがないわよね」

唯「あずにゃん、ちょっと立ってて」

梓「は、はい・・・」ガタ

律「・・・?」

唯「さぁ、どうぞ」ポンポン

梓「えっ、膝の上に座れって事ですかっ?」

律「それは名案だ」

紬「あらあらまぁまぁ」

澪「おいおい・・・」

唯「おいでっ、あずにゃん!」ポンポン!

梓「・・・むぎ先輩、澪先輩、間失礼します」ストッ

唯「えぇ~・・・」ガーン

律「なんで普通に座れているんだよっ」

梓「どうしてでしょうね」ニヤニヤ

律「このやろっ」ムニ

梓「ふにゅっ」

律「私と唯がふくよかだと言いたいのか!」ムニー

梓「ふぁうぇへふふぁふぁい!」

唯「ダメだよりっちゃん、あずにゃんをそんな風に扱っちゃ!」

梓「うぅ~」

律「なんだよ~、唯は悔しくないのかよっ」

唯「あずにゃんはきっと私たちの所へ戻ってくるよ、信じて待とうよ・・・」ウルウル

律「・・・そうだな、アイツはきっと私たちの所へ帰ってくるよな」シミジミ

澪「また三文芝居が始まった・・・」

紬「うふふ」

梓「・・・」ガタ

唯「さぁ、おいで! あずにゃん!」ポンポン

梓「・・・」

紬「おいで、あずさちゃん!」ポンポン

澪律「「 むぎまでっ!? 」」

梓「!」グラッ

澪「おぉ、むぎの方へ少し傾いた」

唯「えぇ~・・・」ガーン

律「梓を取り巻く愛憎劇に今終止符がっ!」

澪「へんなナレーション入れるなっ」バシッ

律「あいたぁっ」

真美「クスクス」

澪「あっ」

唯「忘れてた~」

律「ごめんごめん、真美ちゃん」

真美「いえいえ、そのままの空気を描きたいと思っていましたから」クスクス

梓「でも、課題なのに・・・」

真美「いえいえ! 私が描きたいのは人の顔ではなく、その人の持つ雰囲気といいましょうか
   みなさんの持つ穏やかな時間を描きたいので、謝らないでください」アセアセ

唯「・・・そのままおしゃべりしててもいいの?」

真美「えぇ。その方が私も助かります」

律「そういってくれるんなら・・・」

澪「そうだな、安心したよ」

紬「それじゃ、お茶にしましょうか~」

梓「むぎ先輩!いつの間に用意したんですか!?」

紬「うふふ。先ほど厨房でお湯を頂いたの~」

律「あぁ、魔法瓶に淹れてあったのか」

唯「ティータイム!ティータイム!」

澪「のんびりするには丁度いいな」

紬「はいどうぞ、桜井さん」

真美「わ、私の分まで用意していただいて・・・ありがとうございます」ペコリ

梓「札幌の白い恋人、仙台の萩の月をお茶請けにどうぞ」

唯「おぉ! 名前は知ってたけど食べたこと無いお菓子ばっかりだよ!」

律「うめぇ!」モグモグ

澪「他の乗客にも迷惑かかるからしずかにな」

梓「さっきジャンボパフェ食べたばかりなのに、よく食べられますね・・・」

唯「甘いものは別腹だよ、あずにゃん!」

梓「パフェも甘いもののはずですよ・・・」

真美「・・・おいしい」

唯「むぎちゃんの淹れた紅茶は絶品なのです」

律「ふっふ~ん」

澪「なんでおまえが威張ってるんだよ」

紬「うふふ、ありがとう」

唯律「「 ほ~げ~ 」」

梓「練習が無いから思う存分のんびりしてますね」

澪「あっても存分にのんびりしてるけどな」

梓「それもそうですね」

紬「ほ~げ~」

真美「・・・」カリカリ

梓「あ、むぎ先輩、あのガラス細工渡してはどうですか」

紬「そうね」ガサゴソ

律「お、なんだなんだ」

澪「ガラス細工?」

唯「プレゼントくれるの?」ルンルン

紬「さ、みんな好きなの取って~♪」

澪「おぉ、キレイだな」

律「あ、このラインナップはきぐるみのヤツじゃん」

唯「にわとりいただき~」サッ

澪「それなら私はうまかな」

律「そのまんまじゃつまんねーから、みお~いぬと交換しようぜ~」

澪「うん」

唯「私はこれが気に入りました!」

梓「ぶたが残りましたね・・・」ションボリ

紬「残り物には福があるというから、私はぶたでよかったわ」ニコニコ

梓「むぎ先輩・・・」

澪「はい、律」

律「お、うまかっこいいじゃん」

澪「いぬの方がかわいいぞ」

唯「あずにゃんはねこ持ってるの?」

梓「はい、真っ先に選びました」キリ

澪「? そうか。むぎありがとうな」

律「さーんきゅ」

唯「ありがとうっ」

紬「いえいえ~」

梓「唯先輩・・・」ボソッ

真美「あのぉ~・・・」

律「ん?どうしたの?」


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