―――――・・・

紬「よしっと、これで大体片付いたわね」

コンコン

紬「はぁーい。あずさちゃんかしら」

ガチャ

「失礼します。乗車証の確認をさせて頂きます。」

紬「は、はいどうぞ」

「ありがとうございました。
 私、当特急『ヴェガ』の車掌を務めさせていただきます。美弥 澪(れい)と申します
 ご用の際は、気軽にお申し付け下さい。では、良い旅をお楽しみ下さい」

紬「はい、ありがとうございます」

バタン

紬「あの人が車掌さんなのね・・・とっても綺麗な人」

コンコン

紬「あら?はぁーい」


ガチャ

梓「むぎ先輩、支度終わりましたか?」ヒョコ

紬「あら、あずさちゃん」

梓「終わったのなら早速列車を見て周りませんか!?」ウキウキ

紬「今終わった所よ、それじゃあ行きましょうか」

梓「はい!行くですっ」

紬「あずさちゃん、車掌さんに会った?」

梓「はい。乗車証の確認してもらいました。とってもスタイル良くて綺麗な人ですよね」

紬「えぇ。車掌が女性の方だとは思わなかったわ」

梓「そうだ、むぎ先輩はこの乗車証のマークの由来知ってますか?」

紬「知ってるわ。夏の大三角の一つ琴座からきてるのよね」

梓「そうです、さすがむぎ先輩。α星のヴェガからこのデザインになったそうです」

紬「素敵ね~。私、このバッチ気に入っちゃった♪」

梓「それなら失くす事はなさそうですね。 これは乗車券の代わりのようなものですからね」

紬「ふふ、そうね。大事にしないと」ニコニコ

梓「では売店&シャワー室から行きましょう!」

紬「えぇ」

「いらっしゃいませぇ~」

梓「ちょっとお聞きしてよろしいでしょうか」

「はい。よろしいですよ~」

梓「・・・。シャワー室の利用方法を教えて下さい」

「シャワー室ですね。こちらで利用券をお求め頂いてからのご使用となります
 夜の12時以降は使用できなくなるので気をつけてくださいね~」

梓「そうですか、ありがとうございました」ペコリ

「いえいえ~、困ったことがありましたらいつでもお気軽に声をかけてくださいね~」

梓「ということだそうです。むぎ先輩」

「あ、そういえばお客さん?」

梓「は、はい?」

「いえ、なんでもないです~」

梓「? なんだかぽわぽわした店員さんですね」

紬「うふふ。そうね~」


―――

梓「次は客車ですね」

紬「わぁ~、座り心地よさそうな座席が並んでるのね~」

梓「ここは一号車なので座席の色が青になってます。
  車両毎に座席の色が違いますから自分が今どこにいるのか迷わないですね」

紬「えぇ。通行は一つだけど、これならどこに自分がどこに居るのかすぐ分かるわね」





梓「次は二号車」

紬「ここの座席は緑色なのね」





梓「ここは三号車。座席は黄色になってますね」

紬「そうね~」

星奈「よっ!紬ちゃん、なにしてんのー?」

紬「あ、星奈さん。今車内を探索しているんです」

星奈「ふーん、私は展望車見てきたとこ、すっごかったよ!」

梓「むぎ先輩・・・この人は・・・」クイクイ

紬「あ、紹介するわね。こちら先ほど知り合った山口星奈さん」

星奈「よろしくー」

紬「私と同じ学校に通う後輩のあずさちゃんです」

梓「ど、どうも、中野梓です・・・」ペコリ

星奈「くぅ~ かわいいなぁ~」

梓「!」ササッ

星奈「ちょっと~ 紬ちゃんの後ろに隠れなくたっていいじゃない~」

梓「す、すいません。なんとなく身の危険を・・・」

星奈「あっはっは、それにしても後輩と旅をするなんて仲がいいんだね」

紬「えぇ。あずさちゃんとは部活仲間なの」

梓「は、はい。むぎ先輩と放課後に練習を・・・」

星奈「ん? むぎ・・・?」

紬「私、みんなからむぎって呼ばれてます」ニコ

星奈「そっか、じゃあ私もそう呼んでいいかな?」

紬「えぇ、どうぞ」ニコニコ

星奈「へへっ、サーンキュ♪ あ、私まだ車掌さんに乗車証みせてなかったや・・・」

紬「あらあら」クスクス

梓「・・・」

星奈「それじゃあね、むぎちゃん、梓ちゃん」フリフリ

紬「えぇ、それじゃ」フリフリ

梓「・・・な、なんか壮快な人ですね」

紬「私も最初圧倒されちゃった~」

梓「なんていうか、唯先輩と律先輩を足して律先輩の成分を濃くしたような」

紬「まぁ、それは新しい表現ね」

梓「そして二階建ての四号車」

紬「ここの座席は赤なのね」

「あ、あのぉ」

紬「はい、私になにか・・・?」

「あの・・・車掌さんを・・・」

紬「はい、何ですか?」

「わ、私・・・桜井真美と申しますが」

紬「私は、琴吹紬と申します」

梓「中野梓です」

真美「よ、よろしくお願いします」ペコリ

紬「」ペコリ

梓「」ペコリ



真美「車掌さんをみかけませんでしたでしょうか」

紬「個室を回って乗車証を確認していましたよ」

真美「そうですか・・・ じゃあそっちを当たってみます。あ、ありがとうございました」ペコリ

スタスタ

梓「・・・。なんだかおとなしそうな人でしたね」

紬「えぇ・・・。スケッチブックを持っていたけど、絵を描くのかしら?」




梓「客車を抜けると食堂車です」

紬「結構広いのね。ビックリしちゃった」

梓「本格的な厨房が備えられていて、一流のコックが調理しているそうです」

紬「まぁ、お食事が楽しみね」



梓「メダル用のゲームマシンやUFOキャッチャーが置いてある娯楽車です」

紬「わぁ・・・。りっちゃんと一緒にやったUFOキャッチャーがあるのね~。もう一度取ってもらおうかしら」ルンルン

梓「スロットにポーカー、ブラックジャックまでありますよ。 色々あるんですね」


梓「最後尾の展望車です」

紬「ここはもう一つの顔の部分に当たるのね」

梓「そうです。先ほど撮影した部分になります」

紬「星奈さんがすごいと言った理由が分かったわね~」

梓「はい。サロンのような空間です。テレビやピアノまでありますよ」

紬「天井と壁面がガラス張りで、のんびり景色を見て過ごすにはとてもいい所ね」

梓「観葉植物も備えてありますから、憩いの場って感じです」

紬「でも、夏の日差しがキツくないかしら?」

梓「紫外線カットの窓ガラスですし、空調も調整されていますから、苦にはならないようですよ」

紬「至れり尽くせりね」


「いらっしゃいませ、お食事ですか?」

紬「はい」

「それではこちらのお席へどうぞ」

梓「私は喉が渇いているので、オレンジジュースだけでいいです」

紬「あら、そうなの?私はカニ御膳を・・・」

「かしこまりました。少々おまちくださいませ」

梓「えっ? カニ御膳なんてメニューに・・・あった」

紬「私お昼まだだったの。北海道といったらカニよね」

梓「そ、そうですね・・・」

紬「結構ボリュームあったわね~」

梓「よくカニを丸々一杯食べきりましたね」

紬「ふふ。きちんと頂かないとバチがあたるから。あずさちゃんもつまんでくれればよかったのに」

梓「いえ、私は札幌でラーメンを食べるんです!」メラメラ

紬「あらあら、とても楽しみにしてるのね」

梓「はい!本場の味を楽しみたいと思います!」

紬「うふふ、札幌に着くのが楽しみね~」

梓「楽しみです! あ、むぎ先輩、外見て下さい」

紬「あら、なにか見えるのかしら」

梓「いえ、そうじゃないんですけど、建物が目立ってきましたから旭川駅に到着するのではないかと」

紬「そういわれてみればそうね。今まで緑の強い車窓の景色だったものね」

梓「30分の停車ですけど、降りてみましょうか?」

紬「そうしましょう」

紬「ん~・・・」ノビノビ

梓「やはり駅内ですから特に変化はないですね」

紬「そうね。 あら?あそこにいるのは・・・」

梓「確か・・・、桜井真美さん・・・ですよね」

紬「あそこから何か見えるのかしら」

梓「描写できるような風景ではないと思いますが・・・ ちょっと気になりますね」

紬「ちょっと声を掛けてみましょうか」

梓「はい・・・」

紬「なにか見えるのですか?」

真美「えっ、あっ、琴吹さん・・・」

梓「モチーフを探しているんですか?」

真美「そ、そういう訳ではないんです。ただ、遠く離れていくなぁ・・・と思いまして」

梓「?」

真美「な、なんでもないです。それでは失礼します」ソソクサ

紬「あ・・・」

梓「乗っちゃいましたね」

紬「なんだか遠い目をしていたわね」

梓「どうしたんでしょうか」


prrrrrrrr

梓「あっ、発車の時間ですよ、むぎ先輩」

紬「えぇ、分かったわ」

梓「二号車気に入っちゃいました」ルンルン

紬「ふふ。そうだ、あずさちゃん、私売店に行って来るけどなにか飲みたいものあるかしら」

梓「あ、わたしが行きます!」ガタッ

紬「いいのよ、あずさちゃんは座ってて。オレンジジュースでいい?」

梓「はい、お願いします」

紬「はいは~い」テクテク

梓「はぁ、いつも気が利いてて優しいし、むぎ先輩には敵わないな・・・」

星奈「おっ、梓ちゃん1人でなにしてんの?」ムシャムシャ

梓「!」ビクッ

星奈「取って喰うわけじゃないんだから、警戒しないでよ」

梓「す、すいません。なぜか身構えてしまって」

星奈「ふ~ん? 少しおしゃべりしようよ、ココ座っていい?」

梓「むぎ先輩が席外していますから・・・」

星奈「本当に仲がいいねぇ・・・ こうすればいいんだよ」エイッ

クルッ

梓「椅子回転できるんですね」

星奈「そゆこと。どっこいしょっと。 食べる?」ムシャムシャ

梓「いえ、いいです」

星奈「売店で最後の一袋だったんだよ~札幌まで手に入らないポテチだよ~いいの~?」

梓「そう言われると・・・」

星奈「どうぞ」ムシャムシャ

梓「いただきます」パリパリ

星奈「むぎちゃんは?」

梓「今、売店へ、ってなに味なんですかっこれ」

星奈「北海道限定カニ味だけど」

梓「く、口に合わないです」

星奈「そう? 意外と癖になる味だよ?」

梓「うぅ~」

星奈「あはは、ところで二人ともどこまで行くの?」

梓「私は東京までで、むぎ先輩は終点まで行くそうです」

星奈「へ~すごいね。私は松本までだから、倍以上かぁ」

梓「星奈さんは松本へなにしにいかれるんですか?」

星奈「ん? ん~ちょっと知り合いに、会いにね・・・」

梓「? ・・・そうですか」

星奈「私の自慢話を聞かせてあげよう」ニヤリ

梓「どうしたんですか、いきなり」

星奈「ふっふっふ。何を隠そう、このワタクシ商店街の福引でヴェガの乗車券を当てたんだよ~ん」ブィ

梓「・・・へー、スゴイデスネ」

星奈「あれ?驚かないの?」

梓「いえ、凄いじゃないですか」ニヤニヤ

星奈「こりゃ、なにかあるなら言いなさい」グリグリ

梓「っ!やめてください、離してください!」

星奈「いいや、話すまで離さないよ」グリグリ

梓「話します、話しますから!」ジタバタ

紬「あらあら、二人とももう仲良しさんなのね~」

星奈「おっす、いやねちょっと教育を」

梓(これだ。唯先輩の人懐っこさと律先輩の絡みを警戒してたんだ)

紬「はいどうぞ、あずさちゃん」

梓「あ、ありがとうございます」フゥ

星奈「それで、驚かない理由とやらを説明してもらおうかな?」

紬「?」

梓「えぇと、星奈さんがヴェガに乗れた理由がですね」ブフッ

星奈「こりゃ!まだ教育が足りないようね~」ワキワキ

梓「っ! 福引で乗車券を当てたからだそうです!」

紬「あらあら」ウフフ

星奈「?」


紬「私も福引で当てたのよ~」

星奈「あぁ~、なるほど梓ちゃんのリアクションの意味が分かったわ~。お互い強運の持ち主だね」

梓「うっ」

星奈「どうしたの梓ちゃん?」

梓「な、なんでもないです」

星奈「私の町がヴェガの始発駅だからさ、記念として一枚寄付されたんだ」

紬「それを引き当てたのね、すごいわ~」

梓「店員さんに五枚もおまけさせてくれるむぎ先輩の方がすごいと思います」

星奈「なんと! う~む、それは強運とよんでいいのだろうか・・・」

紬「」クスッ

梓「」ブフッ

星奈「どうしたの二人とも」

紬「いえ、なんでもないわ」

梓「なんでもないです」

星奈「? まあいいけど、ポテチ食べてたら喉渇いちゃった。そいじゃまたね~」

紬「ごきげんよう~」

梓「はい、失礼します」

紬「・・・今の話で気になる事が」

梓「私もです」

紬梓「「 どうして私たちの街に五枚も? 」」



梓「~♪」

紬「あずさちゃん何読んでるの?」

梓「札幌のガイドブックです。売店で購入できますよ」

紬「観光名所を下調べしてるのね」

梓「はい! 食べ物もいいですが、私時計台と羊が丘展望台が楽しみなんです!」

紬「まぁ、いいわね~」

梓「むぎ先輩、よかったら一緒に周りませんか?」

紬「ごめんなさいね。そうしたい所だけど、小樽の方へ用事があって札幌ではあまり周れないみたいなの」

梓「そうですか・・・。用事があるならしょうがない・・・ですよね・・・」ズドーン

紬「でも、用事は明日だけで済ませられるから、到着したら一緒に周りましょうか」

梓「本当ですか」パアア

紬「夕方に到着だからあまり遠出はできないけどね」

梓「それじゃあ、ラーメン横丁とTV塔はどうでしょう」ルンルン

紬「あずさちゃんは本場の味を楽しみにしてたものね」

梓「とっても楽しみです!」キラキラ

紬(あら、あれは・・・)

梓「~♪」

紬「あずさちゃん、ちょっと席外すわね」

梓「は、はい」

紬「・・・」テクテク


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