澪「間に合ってます」

ガチャン


コンコン

憂「話だけでも聞いてくれませんか。今なら洗剤も付けますよ?」

コンコン

憂「遊園地のチケットも付けますよー」

コンコン


憂「殺しますよー」

澪「じゃあ、話だけ」



憂「実は損保会社を立ち上げまして。名前はおねえちゃん保険」

澪「へえ」

憂「由来はお姉ちゃんです」

澪「へえ」

憂「勧誘に来ました」

澪「うん、でも学生の私には保険は必要無いんじゃあないかな」

憂「そうは言いますけど、
  私たちの通う学校も保険に入っているんですよ」

澪「すごいじゃないか、おねえちゃん保険」

憂「いや、学校が加入してるのは別の保険会社ですよ」

澪「なんだ」

憂「保険ってごちゃごちゃして面倒くさいイメージありません?」

澪「うん」

憂「おねえちゃん保険はそこから違う
  根底覆すおねえちゃん保険。すごいんです」

憂「まず自動車、傷害、火災、生命が一緒になってます」

澪「学生だし自動車保険は必要無いんじゃあないかな」

憂「そうかもしれませんね」

憂「でも、私が会社立ち上げたのは、家計が火の車だからなんですよ」

澪「へえ」

憂「はい、火の車だけに」

澪「…」

澪「あっ、まさかおねえちゃん自動車保険はそこまで補償されるのか?」

憂「いや、対象外ですよ」

憂「もし事故にあったら大変ですよね」

澪「きっと狼狽してしまうよ」

憂「ですよね。でも、この保険なら
  おねえちゃん現場急行サービスが使えるんですよ」

憂「お姉ちゃんが現場に急行して、事故直後のお手伝いをします」

澪「唯が事故車のレッカー移動したり、車の故障を直してくれるのか」

憂「いえ、お姉ちゃんが応援してくれます」

憂「あと、他にも色々あるんですけどね
  面倒なんで割愛しますね」

澪「うん」

憂「アーーーーーイ!!」

澪「!?」

憂「もう、駄目ですよ!澪さん」

澪「?」

憂「保険契約を取る人間はですね
  契約時に、お客さんにしっかり内容をお話しする義務があるんです」

憂「もし、適当に契約を取ろうとするような人に遭遇したら
  保険会社に通報しちゃって下さいね!もう!」プンプン

澪「うん、分かりました」

憂はルールには厳しいのだ
それ故、このおねちゃん保険はきちんとした損保会社である



憂「あーっと、手が滑ったああ!」

バキャーン
澪のベースは粉砕した

澪「あーーー!」

憂「安心して下さい、澪さん!
  おねえちゃん保険は家財も補償されます」

澪「でも、私まだ加入してないよ」

憂「あ」

※ういメモ
加入前の損害は、保険対象外です。気をつけて!
調べても壊れた日にちが分からないような物だったら
保険会社への申告時は、損害日を偽っちゃおう!

憂「あと生命保険ですね。これはですね、
  お姉ちゃんが死んだ時契約者に保険金が支払われます」

澪「唯が死んだ時に支払われるのか」

憂「そうですよ。あれ?
  お姉ちゃんが死んじゃう?え、死んじゃ駄目だよ!」

憂「駄目だよ!!死んじゃあ!死なないで、お姉ちゃん!!」

澪「お、おい憂ちゃん」

憂「わあああああ!!やだよおおおお!!」ジタバタ

憂は暴れだした

バキッ

澪「いたい!」

憂は唯が大好きだ
死=唯というイメージが彼女の脳内で直結してしまった今
もはや誰にも手は付けられない
彼女のバーストした理性と身体能力は、オートバックスでも直せない!



澪「うわあ、崩れる!」

澪の家は崩壊した

憂「おぎゃびえーーーーん!!」ジタバタ

澪「なんてこった」

唯「ういいいーー!!」

澪「唯ッ!来てくれたのか!」

唯「憂!」ぎゅっ

憂「おねえ……ちゃん?」

唯「私はここにいるよ、だから泣かないで
  ずっとずっと一緒だよ」

憂「うん!おねえちゃん大好き!!」

澪「ホロリ。泣かせるねえ……
  しかし、この崩壊した家どうすっかなあ…
  あー、感動して泣いてんのか悲しくて泣いてんのか分かんねえや
  この涙から作った塩で梅干作ったらうまいかなあ…
  この涙すげえしょっぱいからなあ…」



憂「澪さん、ごめんなさい。そしてご安心下さい…
  ズボンのポッケをまさぐって見て下さい」

澪「ん?あれ、ポッケに入れといたハンコが無くなってる!」

憂「最初に接触した時にお借りして契約を済ませておきました
  これで家は元通りに出来ますよ!
  あ、ハンコ返しますね」

澪「おむ」



憂「これで分かったと思います。保険って本当に大事なんですよ」

憂「何かあってからでは遅いんです
  安心をお金で買うって、嫌な言い方ですけれどね」

澪「そうだな、生命保険だってそうだ」

澪「死んだ人間には意味の無いお金も、その家族には大事な肥やし…」

憂「そうですね
  先立つ者にお金は必要ないけれど、残された者には先立つものは必要」

唯「私は、憂やみんな、あとアイスがあればそれでいいけどね!」

澪「ははは、唯らしいな
  よし!憂ちゃん。おねえちゃん保険、契約させてもらうよ」

憂「ハイ!ありがとうございます!」


fin