和「おまたせ。本日お世話になる……」

神主「うおっほん、わがありがた教が来たからにはもう安心。ありがたやありがたや」

律(……おい、大丈夫かよあのおっさん)ヒソヒソ

澪(和ちゃんの紹介だから大丈夫だとは思うけど)ヒソヒソ

神主「では、今から除霊を行うぞよ。みんな必死に祈り、強い心を持つように」

梓「わ、私もお祈りするんですか!」

紬「……みたいね」

神主「では、はじめましょうぞ」



神主「はぁ~……ありがたや、ありがたや!」

唯(どうしよう、結局みんなに言えず除霊の時間になっちゃったけど)

神主「あ~りがたやったらありがたや!」

唯(どうか、このまま何も起きないでいて……)


バチッ! バチッ!


神主「むお~、きたきた! ありがたやっ、ありがたやっ!」

唯(な、なんか昨日より音がおっきいよぉ~……)

ポルターガイスト『半端な霊力しか持たない蝿が……あれほど除霊はやめろと言ったのに』


ガガガッ!


律「ロ、ロッカーが!」

神主「はぁあああ~ありがたやありがたやありがたや」

ポルターガイスト『うるさいぞ! 少し黙ってろ!』


ガッ!


神主「……うう~ん」バタリ

澪「か、神主さんが!」


ヒュッ! ヒュッ!


和「椅子まで飛んで……ここは危険ね。みんな! 避難して……」

ポルターガイスト『させるか!』


ガツッ!


和「あうっ……」

唯「和ちゃん!」

和「ううっ、大丈夫、血は出てないから……」

唯「ポルターガイスト……!」


ポルターガイスト『は、ははは、除霊なぞに手を出すからこうなるんだ。次は……こいつだ』

唯(パ、パイプ椅子が折れて剥き出しに……)

ポルターガイスト『そこにいる、小さいのから……ほれ!』

梓「き、きゃあああっ!」

唯「あずにゃん!」


トンちゃん「……」ピキッ

……スッ


ポルターガイスト『!』

梓「あ……」

律「梓! 大丈夫か?」

澪「イ、イスが消えた?」

ポルターガイスト『むぅ……これは……守護霊か』


トンちゃん「……」ピキッ ピキッ

ポルターガイスト『よ、よせ……やめろ……』


唯「霊が苦しんでいる……!」


トンちゃん「……」ピキッ

ポルターガイスト『うぅ……あぁぁ……ぁ……』シュゥッ

唯「消え……た」

……。




神主「はっ? わ、私は一体?」

和「……もう、何の物音もしません。今日はありがとうございました」

神主「? ! う、うむ。ありがた教のお陰である。
   また何かあったら頼りなさい。ありがたや~ありがたや~」

澪「……」ガタガタ

律「本当に……幽霊の仕業だったのかな?」

紬「さあ? 私たちには分からないわ……霊なんて見えてないんですもの」

梓「……」

唯「あずにゃん?」

梓「私、トンちゃんが守ってくれた気がするんです。
  甲羅が光って、こう……私を包んでくれるみたいに……」

紬「確かにイスが消えたのは見たけど~」

澪「トンちゃんが……ねえ」

トンちゃん「……」

和「まあ、何にしても問題解決ね。じゃあ、部室だけ片付けちゃいましょう」

唯「ええ~、明日でいいじゃん~!」

律「おっ、いつもの唯に戻ったか~?
  じゃあ明日には、すぐにお菓子を食べられるようにしないとな~」

唯「うう~……」

和「ほら、早くやっちゃいましょう」

紬「ふふっ」

梓「えへへっ、トンちゃん……」



律「じゃあ梓、またな~」

梓「はい、さよならみなさん」

……。



梓「ふう、ねえトンちゃん。今日はありがとうね」

梓「私、夢でも見てたみたい。死んじゃうかと思ってた……でも」

トンちゃん「……」ピキッ

梓「トンちゃんがいたから、こうして元気にいられるんだよ……ありがとうね」

トンちゃん「……」ピキッ

梓「もう、話ちゃんの聞いてる?
  そんなに私の後ろが気になるの? 大丈夫だよ、トンちゃんが……」

ポルターガイスト『……』

梓「私を守ってくれたから……」

トンちゃん「……」ビキッ




唯「うい~、ご飯おかわり~」

憂「は~い。今日はよく食べるね~」

唯「へへ~、悩みのタネが無くなったからね!」

憂「ふ~ん。お姉ちゃんが元気なら私も元気だよ」

唯「もう~、かわいいなぁ、うい~」

唯(ポルターガイストは光の中へ消えていった……)

唯(トンちゃんが除霊してくれたんだよね、きっと)

唯(だから、私はもう恐怖新聞に怯える事は無いんだ……うん)

……。




午前0時

唯(もう、窓だって開けておかなくていいんだもん……えへへっ)


ダッダッダッ

ダッダッダッ

『しんぶ~ん!』

ガシャーン!


唯「!!」

唯「な、なんで……」

『俺を除霊しようなんて考えるなよ……いつか必ずお前たちを殺してやる』

『ふ、ふふ、ふはははははぁはあ……』

唯「……」


『恐怖新聞』深夜刊
『お手柄!トンちゃん』

本日の放課後、桜ヶ丘高校の部室で除霊が行われた。
最初はどうなるかと不安な面々であったが、

部室で飼っているカメのトンちゃんが
中野梓さん(同校けいおん部)の守護霊であり、
その力で霊を追い払うのには成功したようだ。

また、一人で部室に残っていた彼女を殺そうとした所
またもトンちゃんの霊力によって、
非常に残念ながらそれは阻まれてしまった。

しかし二度に渡る攻撃を受け止めたせいか、
今のトンちゃんには仲間を守護をするだけの力は残ってないようだ。
これで、奴に邪魔される次はない。


唯「……」


梓の頁


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