唯「って、な~に?」

梓「最近学校で噂になってる、オカルト話ですよ。唯先輩のクラスでは話題に挙がらない?」

唯「えへへっ、私最近お昼寝が多いから……それに、私オカルトってあんまり興味ないし」

澪「な、なあ。その話は止めにしないかな……」

律「へへ~。澪はその話題が出る度に震えてるもんな」

澪「う、うるさいっ!」

紬「まあまあ澪ちゃん。ただの噂よ」

澪「だ、だって怖いじゃないか! 深夜0時に新聞が届くなんて……」

律「寿命が100日縮むおまけ付きだしな~」

梓「二年生の人が実際に新聞が来るのを
  見たとか見なかったとか……そんな話ばっかですよ」

唯「ムギちゃん、お茶おかわり~」

紬「ふふっ、はいはい」

律「お前は緊張感が全くないな」

唯「うん。お茶美味しい~」

紬「ふふっ。でも、気にしすぎるのもよくないかもしれないわね?」

澪「……」ガタガタ

唯「そうだよ~。そんな新聞読まなきゃいいんだよ~」

律「いや、だから無理やり届けられてだな……」

梓「そうですよ。いくら唯先輩が明るい性格してても霊が来たら……」

唯「その時はその時だよ~」




……。

唯「ただいま~」

憂「あ、おかえりお姉ちゃん」

唯「えへへ~今日のご飯はな~に?」

憂「今日はカレーだよ」

唯「うわぁい」

憂「ちゃんと手洗いとうがいしてね。もうすぐ出来るからね」

唯「はいは~い」



憂「そういえばさ」

唯「ん?」

憂「お姉ちゃんのクラスでも……恐怖新聞の噂、流行ってるの?」

唯「ん~、みんなはよく話してるみたいだけど、私は興味ないから」

憂「そっか~。でも、こういう怪談って小学校の時はワクワクして聞いてたよね」

唯「そうかな~。私はユーレイとかあんまり信じないから……別にって感じ」

憂「じゃあ、恐怖新聞の噂もあまり怖くないの?」

唯「全然だよ~」

憂「ふぅ~ん……」




……。

唯「……眠れない、今何時だろう……」

唯「もうすぐ0時かぁ~……やっぱりお昼寝がマズかったなあ」

唯「まあ、布団に入ってれば眠気なんて眠気なんて……」

唯「……すぅ」

タッタッタッ。

タッタッタッ。

唯「ん……外から?」


……。

唯「気のせいかぁ~」


トントントン。


唯「ひっ! ま、窓……?」


トントントン。


唯「ゆ、憂? 外にいるの、ねえ?」


『……まいど~。こちら恐怖新聞ですが……新聞とってくださいよぉ』


唯「!」


『ねえっ、新聞とってくださいよ~。
 早く早く、ここを開けてもらえませんか~』


唯「な、なんで……今、確かに恐怖新聞って」


『ほらあ、お願いしますよ~。早く開けないと……』


『無理にでも……開けてやる!』


ガシャーン。


唯「ひいっ!」



『ご愛読、ありがとうございま~す。
 これから毎晩配達させていただきますので……では』

タッタッタッ。


唯「……」

唯「あ、あははっ、夢を見てたみたい。そうだよ、うん」


トントントン。


唯「ひいっ!」

憂「お姉ちゃん、どうかした? 入るよ!」

唯「う、憂……」

憂「な、なにこれ……何で窓割れてるの?」

唯「じつは、じつはぁ~……」


憂「窓を割って新聞が?」

唯「……」コクッ

憂「……でもお姉ちゃん。その新聞は一体どこにあるの?」

唯「ほ、ほら、そこに……あれ?」

唯(新聞が……消えている)

憂「ふぅ……寝ぼけたの?」

唯「あ、あははっ。そうかも~」

憂「……とにかくガラスだけ片付けちゃうから、布団に入ってて」

唯「は~い……」



憂「はい、これで終わり。じゃあお姉ちゃん、おやすみ~」

バタン


唯「……」

唯「新聞、やっぱり無いよね」

唯「疲れちゃった……私も休もっと」

唯「おやすみなさい……」




律「よっ、おはよう唯」

唯「う、うん。おはようりっちゃん」

律「ん……なんか元気ないな。体調悪いのか?」

唯「だ、大丈夫。なんでもないから……」

律「……さては、昨日恐怖新聞でも来て寝不足になったとか、なんてな」

唯「!」

律「ははっ、唯の所には新聞なんて来るわけないよな。
  ま、辛かったら保健室行こうな」

唯「う、うん……」



ガサゴソ

唯(ううっ、昨日のは本当に夢だったのかな?)

ガサゴソ

唯(……でも、窓は割れてたし憂だって出来事を覚えていたし……)

ガサゴソ

唯(はぁ……)

カサリ

唯(ん、カバンの中、変な手触りが……っしょ)

『恐怖新聞』

唯「!!」


唯(な、な、なんで新聞がカバンの中に?)

さわちゃん「ん……平沢さん、どうかした?」

唯「っ! せ、せんせー! ちょっとトイレに行ってきます」ガタッ

さわちゃん「まあ、いいけど……カバンは置いていきなさいよ?」

唯「そ、それは……ごめんなさいっ!」

さわちゃん「あ、ち、ちょっと! ……行っちゃった」

澪「変な唯……」

律「ほら、唯も一応女の子だから」

さわちゃん「そこ、静かに。HRを続けるわよ」

律「は~い」



トイレ。

唯「はぁ……はぁ……」

唯「どうなってるの? なんでカバンに……」

唯「探しても見つからないわけだよね。でも、今朝見た時は新聞なんて……」

ソーッ

『恐怖新聞』

唯「……ゴクリ」

唯(どうしよう、読む……読まない……なんだか、怖いよぅ……)

唯(ええっと……これを読んだら、確か寿命が100日縮まっちゃうんだよね)

唯(で、中に書いてある事は……書いてある事……あれ?)

唯(内容は。何が書いてあるんだっけか?)

唯(……こんな事なら私も噂に参加してればよかったよ~……)

『恐怖新聞』深夜刊

唯(考えても……仕方ないよね……)

唯「えいっ!」

……。


『平沢唯の元に、恐怖新聞来たる!』

桜ヶ丘高校で噂となっていた「恐怖新聞」が、
本校生徒である平沢唯(17)の元に恐怖新聞が届けられる事となった。

また、彼女自身はオカルトには興味の無い様子だったが、
本新聞を読むうちにその考えも変化していく事であろう。


唯「なんで……私の名前が……」

唯「ほ、本物? 本当に本物の恐怖新聞……
  こ、これから私ど、どうしよう……」

唯「み、みんなに相談しよう!
  新聞の情報をもっと集めないと! よ、よ~し……」

ガサッ。

唯「早く教室行かなくちゃ……」



……。

『隣のお婆ちゃんが、交通事故に』



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