あずにゃんが死んじゃってから、もう何にもする気力が無くなっちゃったんだ。


あれだけ好きだった音楽も、皆とのティータイムも…生きる事さえも。


私はあずにゃんが大好きだったんだ。


そんな抜け殻みたいな日々を過ごしてた時だった。


家に一本の電話が掛かってきたの。


唯『はい……』


『中野梓ノ死ノ真相ヲシッテイル…』


唯『し、真相?…』


電話の声はボイスチェンジャーでも使ったような、変な声だったけど…

その時の私にはそんな事どうでもよかったの。

あずにゃんの死について、何か隠された事があるなら…私は知りたいって思った。


そして、電話の相手は言ったの。


『梓ヲ突キ落トシタノハ…秋山澪ダ』


唯『!!』


―――


剣持「ま、まさか君はそんな電話を信じて彼女を殺そうとしたのか!?」

唯「もちろん私だって疑ったよ…
  でもね、どうしても気になったから澪ちゃんに直接聞いてみる事にしたの…」

唯「そしたら澪ちゃん……認めたんだよ、自分があずにゃんを殺した事…」


金田一(まさか…まさかアイツが!!)


――――


澪『ゆ、唯…珍しいな、唯が部室に一番乗りなんて…』

唯『ね、ねぇ?澪ちゃん…ちょっと聞いてもいいかな?』

澪『な、何だよ?…』


唯『あずにゃんを殺したのって…澪ちゃん?』

澪『!!……』

澪『………』

唯『あ、あははっ!変な事聞いてごめんね!実は昨日変な電話が――』

澪『私だ……』

唯『え?……』

澪『梓を殺したのは…私だ……』

唯『…………』

ダッ


澪『ゆ、唯!!……』

澪『………』

タッタッタッ


唯(澪ちゃん…澪ちゃんが……何で……)

ドタッ

唯「っ……す、すみません!ボーっとしてて!」


「いえ、私の心配は無用ですよ…お嬢さん」

「それより、憎くはありませんか?…あの少女が」ニヤッ


唯「あ、あなたは?…」


「私は地獄から死者の無念の声を伝える使者ですよ…
 あなたにこれからすべき行動をお教えするために来ました…」


唯「これからの…行動?…」


高遠「復讐ですよ…」


唯「復讐……」


私は、その地獄の傀儡師と名乗る人の指示に従って今回の計画を実行した…


――――


剣持「た、高遠が…今回の一件にも!?」

金田一「あぁ…そして奴はまだこの音楽室に居る!」



!?



金田一「なぁ、そこの警官さん…」

警官「な、何だね?」


金田一「あんた、剣持のオッサンが聞き込みに向かった時もずっとこの部屋に居たよな…」

警官「………」

金田一「もう騙されはしないぜ…地獄の傀儡師!!」


ベリッ


高遠「やれやれ…やはり君の目を欺くには半端な方法ではダメのようですね」



剣持「た、高遠!!貴様、逃げられると思うな!?…」

高遠「おや、そう言いながら獄門塾ではまんまと私に欺かれたではないですか…剣持警部?」

剣持「ひ、人をコケにしおって……」


高遠「平沢唯さん…」

唯「!!……」

高遠「まだ復讐は終わってはいませんよ…まだ生贄は二人も残っている……」


唯「え?……」

律「っ……」

紬「………」

高遠「あの二人は…死んだ秋山澪以上に深い業を犯したんです」


金田一「や、やめろ高遠!!」


高遠「田井中律さん…あなたは中野梓さんを突き落とした張本人ですね?」

律「……わ、私は……」


高遠「秋山澪と中野梓が親しげにしている様に嫉妬し、
   彼女を階段近くまで呼び出した…そうではないのですか?」


唯「嘘……だよね?……」


律「………」

唯「何で……何とも言わないの?……」


律「ホントは……殺す気なんてなかったんだ……」


唯「!!……」


律「ちょ、ちょっと梓を脅かそうと思っただけなんだ……そしたら、あいつ……足を滑らせて……」


唯「!!……りっちゃん……そんな……」


高遠「あなたにはこのナイフを与えましょう……
   この場で警察に捕まるリスクを恐れず、彼女の無念を晴らしたいのであれば私は邪魔しませんよ…」


金田一「やめろ唯ちゃん!!そいつの言葉を聞くな!!…」


唯「許さない…よくも……よくもあずにゃんを!!」


スッ


ダッ

唯「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!…」



ガッ

唯「っ!!邪魔しないでよ金田一君!!」

金田一「もうこんなバカな真似はやめるんだ!!」

唯「何がバカな真似なの!?りっちゃんはあずにゃんを…大切な後輩を殺したんだよ!!」

金田一「だからってあんたがその手を血で汚して、その子が喜ぶのかよ!?」

金田一「その梓って子が憎しみに身を燃やしたあんたを本当に見たいと思ってるのか!?」


金田一「それに澪ちゃんだって…大切な後輩の死を隠したという罪を受け入れて、
    あんたに人殺しをさせないために自分から死を選んだんだじゃないのか!?」

唯「そんなの……そんなの信じられないよ!!」



ガチャッ

高遠「そこまでです金田一君…崇高な復讐の邪魔をしてはいけませんよ……」

ダァンッ!


金田一「ぐっ!!……」ヨロッ

美雪「は、はじめちゃん!!…」


唯「………」


高遠「さぁ、これで邪魔は居なくなった…」

剣持「き、貴様!!…」

高遠「剣持警部、金田一君の頭を撃ち抜かれたくなければ大人しくしていてください……」


唯「りっちゃん……ごめんね……」

律「…いいんだよ……最初に死ぬべきだったのは……」

律「私だったんだ……」


律「澪が私の代わりに罪を被ってくれたってのに…私、最後の最後まで……」


唯「バイバイ……りっちゃん……」


金田一「やめろ!!…」


ザクッ

ポタッポタッ



唯「……ぐっ……ぅ……」

高遠「?……」


唯「やっぱり……ダメ……私には皆を……殺せないよ……」

ガクッ



金田一「っ!!…唯ちゃん!!」

紬「唯ちゃん!!…」

高遠「チッ……」


ガラッ


剣持「あ、あの野郎窓から!!取り押さえろ!!…」

バッ!

剣持「き、消えた!?…」


律「唯……何で……こんな事を……」

紬「ごめんなさい…唯ちゃん……私……」

唯「……泣いちゃダメだよ……皆……」


紬「私が…私が梓ちゃんを脅かしてみましょうって…言ったから……」


唯「もう……私には何も聞こえないよ……」



剣持「救急車は!?まだなのか!」

警官「も、もう少しで到着するとの事です……」


金田一「しっかりするんだ唯ちゃん!!もうすぐ救急車が来る!!…」


唯「……もう……いいの……」

唯「……澪ちゃんに謝ってこなきゃ……バカな事してごめんなさいって……」

唯「……もう……私……皆を疑わなくて……いいんだよね?…」


唯「皆……ごめ……んね……」


ガクンッ


金田一「っ……」



警官「け、剣持警部!!救急車が到着しました!!…」

剣持「もう……遅い……」


美雪「…こんなのって……こんな終わり方って……」

佐木「………」



こうして、少女達の慟哭が響き渡る中、事件は…

最後に傀儡となる事を拒んだ少女の死によって幕を下ろした。


全てが終わった後、俺が音楽室を振り返った時…。

音楽室に響く楽しげな彼女達の笑い声を聞いた気がした。


――――



数日後

美雪「紬さんが自殺未遂を!?…」

金田一「あぁ、剣持のオッサンに聞いたんだ…
    梓って子が死んだ翌日、手首を切って自殺しようとしたらしい…」

金田一「律ちゃんも同じだ、睡眠薬に頼らないと眠る事ができないほど自分を責めてたみたいだ…」

美雪「皆がそれぞれ…罪の意識に苦しんでたのね」


美雪「私…何か澪ちゃんの力になってあげる事は出来なかったのかしら…」

金田一「………」


金田一「前にも言ったよな、人間は誰しも仮面を被って生きてるって……」

美雪「え?……」


金田一「多分、澪ちゃんはお前や皆に心配を掛けさせないために嘘という仮面を被らざる得なかったんだ…」

金田一「これも前にも言ったけど、そういう仮面の被り方って決して悪い事じゃないんだぜ?…」

美雪「そうね…澪ちゃんは自分の罪から逃げるためじゃなくて、
   仲間を純粋に守りたかったから仮面を付けた…」


美雪「ありがとう…はじめちゃん…」

金田一「い、いいって!…」



美雪「そ、そういえば…はじめちゃん?…」

金田一「へ?…」

美雪「確かその時、聞きそびれたんだけど…はじめちゃんが被ってる仮面って?…」

金田一「!!」


金田一「あ~っ!!もうこんな時間だ!!は、早く行かないと遅刻しちまうぜ!」


美雪「ちょ、ちょっとはじめちゃん!はぐらかさないでよ!」


―――




「さぁ、悲しい事件はこれでおしまい… 」

「さぁ、おかえり…恐ろしい怪人が現れてしまう前に…」


ツカッツカッツカッ


「おや?あなたは…」

「――――」


「よろしいですよ、この私がとっておきの方法で
 あなたの親友と姉を死に追いやった連中に…制裁を与えるお手伝いをいたしましょう」


「さぁ、私の前で復讐を誓いなさい…」






高遠「平沢憂さん…」ニヤッ


憂「………」



おわり






長い時間お付き合いいただきありがとうございました

元々高遠を出すつもりはなかったのですが、予想以上に人気だったので
終盤のストーリーを大幅に変えて登場させてみました…結果gdgdになってしまいましたねorz


とにもかくにもお疲れ様です、余談ですがアニメ版金田一のオープニングで使われてたBRAVEって曲が神すぐる