金田一「大丈夫か?…」

美雪「はじめちゃん…澪ちゃんは……どうして……」

金田一「さっき剣持のおっさんが言ってたけど…自殺の可能性が高いって」

美雪「自……殺……?」

美雪「嘘よ!そんなの…」

金田一「み、美雪?」

美雪「澪ちゃんは確かに小さい頃は内気な部分もあったけど…でも!」

美雪「頑張り屋さんで、一生懸命で…責任感が強い子だったわ…」


美雪「澪ちゃんが自殺なんて…そんなの……絶対におかしいよ!…」


美雪「はじめちゃん…私、澪ちゃんが自殺したなんて…信じたくないよ……」

金田一「美雪……」


金田一(悪いなオッサン…とても、こんな状態の美雪に遺書の事なんて言えねぇよ…)


金田一「もう一回、現場の方見てくるよ…ちょっと俺も引っ掛かる部分があってさ!」

美雪「……はじめちゃん……」

美雪(ありがとう…はじめちゃん…)


 ̄ ̄ ̄ ̄



音楽室

剣持「何だ金田一、忘れもんか?」

金田一「忘れもんっちゃ忘れもんかな…佐木、現場をしっかり写しといてくれ!
    後で何かの役に立つかもしんないからさ!」

佐木「バッチリっスよ!」ジーッ

剣持「お、おいおい!まさか彼女は他殺だなんて言うんじゃないだろうな!?」

金田一「そうと決まったわけじゃないけどさ…」

金田一「そうだオッサン!彼女の鞄に入っていた持ち物を見せてくれないか?」

剣持「あぁ、構わんが…」


剣持「ほら、これが彼女の鞄に入っていた持ち物だ…」

ドサッ


佐木「特に怪しい物は入ってないッスね~」


金田一「?……この真っ白なノートは?」

剣持「彼女は作詞もやってたらしくてな…
   多分、前使ってたノートが全部埋まっちまって新しいノートを用意してたんじゃないか?」


金田一「………」


パラパラ


金田一「あれ?…オッサン、最後のページが破れてるぜ?」

剣持「あぁ、彼女が遺書を書くときに使ったノートがそれなんだ」

剣持「調べた結果、その最後のページの破かれた跡が遺書に使われたノート片と一致したからな」


金田一「それじゃあやっぱり…この自殺は妙だぜ?」

剣持「ど、どこがだ?…」


金田一「遺書を書くのに使われたノートは今日彼女が持っていた鞄の中に入っていた…」

金田一「って事は、彼女は前々から死のうって考えてたのに遺書は
    今日になって慌てて書いたって事になる…」

金田一「人目の多い学校なんかで遺書を書くのはいくら何でもおかしい…」

金田一「でも、学校以外の場所で遺書を書いたなら
    このノートを何でわざわざ鞄に入れっぱなしにしておいたんだ?
    遺書のページだけ破いて、そのまま置いてきちまえばいいものを…」


剣持「ま、まぁ確かに…だが、仮に彼女が他殺だとするとあの遺書はどうなるんだ?」

剣持「筆跡鑑定でも、あの遺書は間違いなく彼女ものだと断定されたぞ?」

金田一「じゃあ、あれは間違いなく…彼女が書いたものなのか?」

剣持「あぁ、間違いない…」

金田一「そっか……」

剣持「それでもお前は疑うのか?…」


金田一「まだ何とも…とりあえず、軽音部の皆にもう一度詳しい話を聞いてくる!」

タッタッタッ


剣持「ったく、忙しい奴だ…」

佐木「あぁなったセンパイは誰にも止められませんからね…」

剣持「まったくだ…」


 ̄ ̄ ̄



唯「私に話って?…」

金田一「えっと、合宿で死んだっていう子の話を聞かせて欲しいんだ…」

唯「あずにゃんの事?…」

金田一「あぁ、どうやらその子の死が今回の事件に関係してるみたいなんだ…」

唯「どういう事?」

金田一「実は…」

……


金田一「という事らしいんだ…」

唯「…澪ちゃんが……あずにゃんを?……」

金田一「あぁ…遺書にはそう書いてあったよ」

唯「そ、それって本物なの!?…確かに澪ちゃんが書いたものなの!?」

金田一「残念だけど、本物だよ…筆跡鑑定でも証明されてる」


唯「…そんな……」

唯「………」

金田一「ごめん…やっぱり、もう少し落ち着いてから――」

唯「いいよ…話すよ、あずにゃんの事…」

金田一「い、いいのか?」

唯「大丈夫だよ…あの時はうやむやにされちゃったけど
  金田一君にもあずにゃんの事、知っておいてほしいから…」

唯「私はあの子の事、梓ちゃんって呼ばずにあずにゃんって呼んでた…」

唯「背がちっちゃくて可愛い子でね…そうだ、携帯に画像があるから見る?」

金田一「あぁ…」

唯「これがあずにゃんだよ…」

スッ


金田一(この子が…中野梓…)

金田一「どうしてこの子は…?」


唯「合宿の時にムギちゃんの別荘に行ったんだけど…
  階段から落ちて死んじゃってるのが二日目の朝に見つかったんだ…」

金田一「階段から落ちて……」

唯「まさか……澪ちゃんがあずにゃんを殺したなんて……」

金田一「………」


金田一「それはどうかな…」

唯「え?……」

唯「金田一君は…澪ちゃんは誰かに殺されたと思ってるの?」

金田一「まだ何とも言えないけど…遺書には肝心な事が書かれてなかった…」

唯「肝心な事?…」

金田一「どうしてその梓って子を殺したのか、それが書いてないんだよ…」

金田一「この事件にはまだ何か…隠された裏があるはずだ…」

唯「………」


 ̄ ̄ ̄



律「梓の話?…」

金田一「あぁ、澪ちゃんが残した遺書に書いてあったんだ…彼女を殺したって…」

律「………」

律「いい奴だったよ、真面目でさ…私達がお茶飲んでる最中でも練習しましょうって叱ってさ…」

金田一「………」

律「だから…澪が梓を殺したなんてあり得ないんだよ……」

金田一「どうして?…」

律「澪も生真面目でしっかり者だったからさ…梓も澪に懐いてたし、澪も梓の事気に入ってたんだ……」

金田一「………」

律「…信じてくれよ…澪は絶対に梓を殺してなんかいない……」

律「幼馴染みの私が嫉妬するくらい、仲良かったんだぜ……」

金田一「俺もそう信じたいよ…こんな時に変な事聞いて悪かった…」

スタッスタッスタッ

律「………」




律「澪……ごめん……私は……私は……」



 ̄ ̄ ̄



4