金田一「へぇ~、じゃあ皆は高校になってから知り合ったんだな!」
金田一「皆仲がいいから、てっきり昔からの知り合い同士なんだと思っちゃったよ!」
律「まっ、私と澪は小学校時代からの付き合いなんだけどな!」イジリイジリ
美雪「そういえば田井中さんは澪ちゃんと幼馴染みなんだっけ?澪ちゃんが昔よく言ってたな~」
澪「ちょ、ちょっと七瀬さん!…」
美雪「ふふっ…騒がしいけど、とっても楽しい人だって言ってたっけな~」
澪「………////」
律「嬉しい事言ってくれるね、このぉ~?」
唯「あずにゃんが聞いてたらびっくりしただろうね~…」
律「っ!!」
紬「………」
澪「ゆ、唯っ!!」
唯「あっ……ご、ごめん……」
金田一「?……誰?」
澪「私達の後輩だ…」
佐木「きょ、今日はお休みなんですかね?…姿が見えませんが?」
唯「死んじゃったんだよ…あずにゃんは…」
美雪「え?……」
紬「今年入ってきたばかりの子なんですけど、夏休みの合宿中に――」
澪「梓の話はもういいだろっ!!…」ガタンッ
紬「!……ご、ごめんなさい……」
唯「………」
律「………」
紬「………」
ピリリリリリッ
「!!」
律「ひゃっ!!」
ガチャン!
律「あ、あちちっ…」
澪「な、何やってるんだよ律!…」
唯「は、はいりっちゃん!タオルだよ!…」
紬「わ、私お茶煎れ直すわね!」ガタガタ
律「あ、あぁ…頼む…」ブルブル
律「な、何だ非通知のイタ電かよ…ビビらせやがって…」
澪「ド、ドラムの方は何とかなりそうなのか律?…」
律「た、多分大丈夫だと思うよ…あ、あはは…」
金田一(何だ?……皆、様子が……)
 ̄ ̄ ̄
紬「そろそろ時間ね…」
澪「律、いつまで紅茶飲んでるんだ?もう時間だぞ!」
律「えっ!も、もうそんな時間か!?…」
澪「それじゃあ私達はちょっと着替えがあるから、先に体育館まで行ってもらっていいかな?」
美雪「うん!澪ちゃん達の演奏、楽しみにしてるね!」
バタン!
紬「そ、それにしても誰がイタズラ電話なんてしたのかしらね…」
律「あ、あぁ!全くだ!…」
唯「み、皆とにかく今日は頑張ろうね!」
澪「………」
 ̄ ̄ ̄
体育館
美雪「いよいよ次は軽音部の演奏ね!」
金田一「何だかすごく嬉しそうだな美雪?」
美雪「だって、澪ちゃんって子供の頃はすごく照れ屋さんで口数も少なかったんだけど…
それが今じゃあすごく生き生きしてるんだもん!」
美雪「それに軽音部の皆もいい人ばかりみたいだし、どんな演奏なのか本当に楽しみだよ!」
金田一(美雪の奴、まるで母親みたいだな~…)
金田一(にしても、さっきの皆の様子…何だったんだろうな…)
「続いて、軽音部による楽曲演奏です」
パチパチパチパチ
……
………
シーン
「あれ?幕上がんないよ?」
「どうしちゃったの?」
ざわざわ
金田一「?…どうしたんだろ?」
美雪「何だか様子が変ね…」
金田一(何だ?…嫌な予感がする…)
金田一「美雪、お前はここで待ってろ…ちょっと様子を見てくる!」
タッタッタッ
佐木「センパイ!僕も行きます!」
タッタッタッ
美雪「ちょ、ちょっと二人とも!」
美雪「もぉ~、何なのよ!」
「申し訳ありません、プログラムを変更し次は――」
美雪「えっ?……」
 ̄ ̄ ̄
体育館裏
金田一「皆!どうしたんだ!?」
紬「き、金田一さん…それが……」
律「澪が音楽室で別れたきり…戻ってこないんだ」
紬「着替えを済ました後に『やる事があるから先に行ってて』
って言われて別れたんですけど…」
金田一「携帯に連絡は?」
律「何回も電話したんだけど出ないよ…さっき唯が音楽室まで様子を見に行ったんだけど」
金田一「俺達も行こう!佐木っ!」
佐木「は、はい!…」
 ̄ ̄ ̄ ̄
金田一「もう少しで音楽室だ!」
「きゃあああああああああっ!!」
佐木「ひ、悲鳴!?」
金田一「急ぐぞ!!」
タッタッタッ
唯「……ぁ……ぁぁ……」
金田一「大丈夫か!?いったい何が!?」
唯「な、中で……」
唯「中で……澪ちゃんが……」
ガチャッガチャッ
金田一「くそっ!鍵が掛かってる!」
金田一「音楽室の鍵は!?」
唯「た、多分…部屋のテーブルの上に置きっぱなしになってると思う…」
金田一「大丈夫か!?澪ちゃん!!」
金田一(そうだ!扉のガラスから部屋の中の様子を…!)
金田一(あ、あれは…腕!?床に誰か倒れてる!?)
金田一(それに…指の周りに着いてる赤いのは……血じゃないのか!?)
金田一「佐木!扉をぶち破るぞ!」
佐木「な、何かあったんですか!?」
金田一「誰かが音楽室に倒れてる!!急げ!!」
佐木「は、はいっ!!」
金田一「せーのっ!!」
バァァァンッ!!
金田一「大丈夫か!?澪ちゃ――…」
!?
扉を破ったその先で見たのは…悲惨な光景だった。
窓から差し込む光に照らされて、テーブルの傍には床に散らばるティーカップの破片と共に…
まるで人形のように冷たくなった秋山澪の遺体が口元や手、そして床を血に染めて転がっていた。
 ̄ ̄ ̄
剣持「よぉ金田一!やっぱりお前が居ると思ったよ!」
金田一「剣持のおっさん…」
剣持「亡くなったのは七瀬君の親戚なんだってな…気の毒に」
金田一「美雪…」チラッ
美雪「……何で……何で……澪ちゃんが……」
唯「みぃちゃん…」
金田一「………」
金田一「おっさん、今までに分かった事は…」
剣持「うーむ、今のとこ自殺と言って間違いない状況だな…」
金田一「自殺…?」
剣持「あぁ、まず彼女の死因についてだが…彼女はどうやら毒物が入った紅茶を飲んだようだ」
剣持「更に、お前らが扉をぶち破るまで部屋は完全な密室だった…外部から誰かが侵入した痕跡はない」
剣持「しかもドアの内側の鍵のつまみから彼女の指紋が検出された…そして、自殺を決定づけるものもある」
金田一「自殺を決定づけるもの?…」
剣持「遺書だよ…さっき彼女の鞄から見つかった」
剣持「ノートのページをちぎったものにとんでもない事が書いてあったよ…」
剣持「後輩である中野梓を殺したのは私です、私は自分の命で梓に謝ろうと思います…そう書いてあった」
金田一「な、何だって!?…」
金田一「………」
剣持「辛い事実だろうが…七瀬君に伝えてやってくれ」
金田一「あぁ……」
 ̄ ̄ ̄
最終更新:2011年08月20日 16:18