唯(どうしようどうしよう)

唯「どうしようどうしようどうしようっ」グスッ

唯(助けに行かなくちゃ!)

唯(良く分からないけど、きっと良くない事が起こってるのくらい分かる)

唯(午後の授業なんてどうでも良いっ! あずにゃんの家に行かなきゃ!)

唯(早くしないと大変な事になるよ、絶対に)ガクガク…

唯(『あずにゃんを助けに行きます』なんて言っても誰も信じてくれないだろうし、)

唯(『あずにゃんが腐っちゃった』なんて誰かに言ったら傷つくのはあずにゃんだ)

唯(誰にもばれないようにこっそり学校を抜けなくちゃ)コソコソ…

律「おーい、唯。どこ行くんだー?」

唯「!!」ビクッ!

唯「え、あ、その、えと、なーんでもないよー!」

律「……?」

唯「わ、わわ、私の事は気にしなくっていーよ! むしろ、気にしちゃダメだよ! 絶対だよ!」

律「……なぁ、唯」

唯「ひゃいっ!?」

律「さっき、さわちゃんから聞いたんだ」



律「梓、昨日家に帰らなかったって」



唯「うそ……」

律「こんな嘘つくわけないだろ」

唯「……ケーサツには言ったの?」

律「親御さんが捜索願い出してるってさ」

唯「そう、なんだ……」

律「昨日、唯は梓と一緒に帰っただろう?」

唯「……う、うん」

唯「でも、いつもと同じ風に帰っただけだよ」

唯「何もおかしいことなんてなかった」

律「……そっか」

律「ほらさ。最近の梓、食欲もなかったみたいだろ?」

律「家でも、何にも食べようとしなかったみたいでさ……」

律「もしかしたら何か悩みがあって家出したんじゃないかって警察は言ってるみたいってさ」

律「唯。本当に、何もなかったのか? 梓は何か言ってなかったのか?」

律「梓と最後に会ったのは唯、お前なんだ。
 何でも良い。ほんの些細な事でも良いから、思い出してくれないか? ……なぁ」

唯「思い出してって言われても……」

唯(……)

唯「何も、なかったんだもん」

唯「……そ、それじゃあね、りっちゃん! 私、ちょっと用事あるから!」…タタタッ

律「おい、唯っ!」

律「……唯?」



唯(あずにゃん……っ)

唯(どこに居るの、あずにゃん!?)

唯(どうしちゃったの!?)

唯(どうしてこんな事になっちゃったの!?)

唯(神様なんて、居ない)

唯(あずにゃんは生き返ってなんか居なかったんだ)

唯(あずにゃんは、もう……――)

唯「う、うぁ、やだよ、あず、にゃん……」ポロポロ


 prrr

 prrr

 prrr



唯「……!」

唯「また、電話……?」

唯「……」ブルブル…

唯「……も、もしもし? あずにゃん?」

梓『ゴボゴボ ゴボリ……』

唯(また、この音)

唯「あずにゃん、あずにゃん。今、どこに居るの?」

梓『ス・ア、ニヘ」タ霽レ。ェ
  、ウ、ウ、マ、ネ、ニ、箒ィ、ッ、ニ。「カ・キ、ッ、ニ。「
 サ茖「、ェ、ォ、キ、ッ、ハ、テ、チ、网、、ス、ヲ、ハ、鵑ヌ、ケ。ェ
 チ皃ッタ霽レ、ャヘ隍ニ、ッ、・ハ、、、ネ。「サ荀マ!!!!!』

唯「……っ」キーン…

唯「ねぇ、何言ってるか分かんないよ! お願いだから教えてよ、どこに居るの!?」

梓『サ荀ヒ、簗ャ、ォ、熙゙、サ、鵝」
 、ウ、ウ、ャイソス隍ハ、ホ、ォ。「サ荀ャ、ノ、ヲ、ハ、・ホ、ォ。」
 、ュ、テ、ネヘ」タ霽レ、ヒ、マ、ノ、ヲ、ケ、・・篆ミヘ隍゙、サ、鵝」
 、ス、・ヌ、筍「イ颪、、ヒヘ隍ニペ、キ、、、鵑ヌ、ケ。」、ケ、゚、゙、サ、鵝」』

梓『コナイホウガ イイデスヨ』ブツンッ

唯「あずにゃん!? あずにゃ……」ツーツーツー…



唯「へ……へへへ……」カタカタ

唯「私、震えてるや……」ガタガタ

唯「どうしちゃったんだろ、私」ガタガタガタ

唯「もしかして……あずにゃんの事が、怖いのかな……私……」ブルブル

唯「怖くない。怖くないよ」ブルブル

唯「だって、私はあずにゃんが大好きだもんっ」ガタブル

唯「あずにゃんの事……好き、なのに……」ガクガクガクガクガク

唯(泣いちゃ駄目だよ)グスッ

唯(あずにゃんの方が辛いんだから)

唯(そもそも私のせいなんだもんっ)

唯(助けてあげなくちゃ)

唯(ううん。そうじゃない)

唯(――あずにゃんに、あいたい)

唯(どうなってても良いからあって、抱きしめたい)

唯「あずにゃーん……って、抱きついて……それで、怒られて……えへ…へ……」

唯「……あずにゃ、ん」

唯「……」ポチポチ

唯「……」prrrr…prrr…

 『お掛けになった電話番号は、デンパの届かない場所にあるか、――――の為、掛かりません』

唯「えへへ、やっぱり、だめかぁ……」

唯(でも、行かなくちゃ)

 『どこへですか?』

唯(どこか分からないけど、とにかく探すんだ)

 『どうしてもですか?』

唯「……うんっ」

 『         』プツッ ツーツー

 『』ツーツーツーツー…

唯「待っててね、あずにゃん」

 『』ツーツー

唯「必ず、迎えにいくから」

 『』ツーツー

唯「……今すぐいくから」

 『』キタラ ダメ デスッ

唯「……!?」

 『』ブツンッ …。…。

 『』

唯「……」

 『』

唯「……あずにゃん」

 『』

唯「でも、行くよ。捜させてよ」

 『』

唯「……また、ぎゅーって、させて?」

 『』

唯「……っ」…ダッ!




唯(走った)

唯(まっすぐ、走ってみた)

唯(制服姿の私を見て、怪訝な顔をする人たち)

唯(知らないよ、そんなの)

唯(まっすぐ、まっすぐ、走り続ける)

唯(これ以上走れなくなるまで走っていたら……あれ、ここは、どこだろう?)

唯(今の私はあずにゃんに近づけてるのかな?)

唯(もしかして、真逆に走ってたかも知れないから、遠ざかってるのかな?)

 『 貴方 ハ ドッチ デ アッテ 欲シイ ノデスカ ? 』

唯(どっちって……)

唯(……)

唯(……会いたい、よ)



唯「それにしても……」

唯「本当に、ここはどこだろう?」

唯(ビルがねじ曲がってる)

唯(空はむらさき色)

唯(信号は全部赤だし)

唯(気づいたら、誰も居ない)

唯「あ、はは……別の街にでも来ちゃったのかな」

唯「……ちょっと、走り過ぎた、かな?」

唯「おーい、あーずにゃーん!」

唯「どこにいるのー、迎えにきたよー!」

唯(なんだろう。空気が、重いや……)クラ…ッ

唯「あずにゃんが腐ってても、私、全然気にしないからっ」

唯(いきぐるしい)

唯「だから、居たら返事してー!!」

唯(こんな場所、はやく立ち去りたい……のに)

唯「あーずにゃーん!」テクテク

唯(脚が全然違うトコへ勝手に歩いてくや)

唯「おー……い」

唯(息がつまる)

唯(首を絞められてるみたい、だよ)

唯「あず、に゙ゃ、ん」

唯(くるしい)

唯「あ゙、あ゙ず……に゙ゃっ」

唯(目がかすんで、かすんで……――ぐぎっ)

唯(……)

唯(……)



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