唯「世界の何処に居るか分からない、居るかどうかも分からない、そこの神様!」

唯「突然ですがあずにゃんが死にそうです!」

唯「本当に突然で悪いけど、あずにゃんを助けてくれませんかー?」

唯「私も、突然のこと過ぎてびっくりしちゃってます」

唯「あずにゃんが生きててくれたら、アイスも我慢するし、なにが起こっても私、我慢できるよ!」

唯「ねぇ、聞いてますか?おーい!」

唯「あぁあぁぁあぁ!そうこうしてる内にあずにゃんの心臓止まっちゃったよ!」

唯「神様がのろのろしてるからだよ、もー」プンスカ!

唯「……まぁ、いいや。かーみーさーまー、死んじゃったから生き返らせてよー」

唯「ん?『脳死』?『のーし』、ってなんですか?」

唯「良く分からないけど、生き返らせてくれるんですよね?」

唯「はい!何があってもだいじょーぶ!だって、あずにゃんはあずにゃんだもんっ!」

唯「……やったぁ!ありがとー神様!私、無宗教だけど今日から神様信じるね!」

唯「あずにゃん、よかったねー!また生きていられるよー!」ギュー!



梓「ア、アガガ……ガガガガガガ……」



唯「あずにゃんったら、急に倒れちゃったからびっくりしちゃったよー」

梓「アゴゴゴゴ……」

唯「あずにゃん、体調は大丈夫?おかしなところとかない?家まで送ろっか?」

梓「ンへへ……アズニャン タイチョウ ダイジョウブ」

唯「うん!大丈夫そうだね!」

梓「ウン ダイジョウブ ソウダネ」

唯「じゃーね、あずにゃん!また明日部活でねー!」

梓「ジャァネ マタ アシタ」

梓「ンフフフフフフフフフフフフフフフ」

梓「ワタシ ハ アズニャン アズニャンアズニャンアズニャンアズニャン」ケラケラケラケラ




―つぎのひ!―

唯「――と、いうわけで」

唯「昨日あずにゃんと二人で遊んでたらこんなことがあったんだー。おもしろいでしょ?」

律「はぁ?」

唯「でもね、あずにゃんの様子はちょっとおかしかったかもねぇ。
 生き返ったばっかりだからなのかなぁー?」

紬「ふふふ。それ、唯ちゃんが考えた新しい怪談? おもしろいわね~」

唯「怪談じゃないよ。ほんとーのほんとーだよ!」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイぃぃぃ~」ガクブル

唯「どうしたの、澪ちゃん? 私、変なこと話したかな?」

律「あー……死体が蘇る話なんて澪にはハードル高過ぎだからなー……」

律「……それにしても、梓遅いなぁ。何やってんだろ?」

紬「そうね。日直なのかしら?」



梓「すみません、遅れました!」ガチャッ



唯「あーずにゃーん」ギューッ

梓「ちょ……っ。ちょっと先輩、くっつき過ぎですー!」ジタバタ

唯「うふふー。寒い日はあずにゃん分を補給するに限りますなー……って、あれ?」

梓「どうしました?」

唯「今日のあずにゃん、ちょっと冷たい気がするや……」

律「そりゃあ、毎日毎日抱きつかれたら愛想も尽かされるって」

紬「倦怠期唯梓……うふ……うふふ……」ムギュムギュ

唯「いやいや、そんなんじゃなくってね……」



唯(身体がね、氷みたいなんだよね。それでもあずにゃんはあずにゃんだけど)



紬「あら?梓ちゃん、紅茶飲まないの?」

梓「すみません。昨日から食欲がなくって……」

梓「昨日の夜も、今日の朝も昼も何も食べてないんです」

律「お、おいおい、大丈夫か?きつかったら帰っても良いんだぞ?」

梓「いえ、平気です。むしろ、何だかいつもより身体が軽くて軽くて飛べちゃいそうです」

唯「ねぇねぇ、あずにゃーん」

梓「どうしました?」

唯「昨日、あずにゃん死んじゃったよね!だけど神様のお陰で復活できたんだよね!ねっ!?」

唯「みんな酷いんだぁ。全然信じてくれなくって」

律「またその話蒸し返すのかよ」

梓「……」

梓「 ナン ノ コト デスカ? 」



唯「えぇー。あずにゃんまで裏切るの? ひどいよぉ」メソメソ

梓「……新しい遊びでも思いついたんですかね、この人」

律「んー……変な夢でも見て、それと現実がごっちゃになってるんじゃないか?」

梓「あぁ、ありえますね。唯先輩なら」

唯「むぅ……みんな大嫌いっ。誰も信じなくたって、ほんとのほんとだったのに」

律「拗ねた」

梓「拗ねましたね」

紬「唯ちゃん、クッキーもあるから機嫌直して?」

唯「わぁい!ムギちゃんはだいすき!」ムシャムシャ

紬「あらあらうふふ」

澪「キコエナイィイィィィィイイィイ……」ガタブルガタブル

律「お前はそろそろ戻って来い」

澪「あずさあああああ!」

梓「わっ。なんですかいきなり」

澪「嘘だよな?死体が動き出すわけないよな!?なっ!?」

澪「梓は死んでなんかいないよ……な?」

梓「……」

澪「……あ、ずさ?」

梓「澪先輩まで何言ってるんですか。そんな事起こる筈無いでしょう?」

澪「はは……はははは。そうだよな。そんな馬鹿らしい話あるわけないよな」

律「澪以外怖がってなんかなかったけどなー」ニヤニヤ

澪「うるさいっ!」ゴチン

律「あいたーっ!?」

紬(幼馴染が居たらあれくらい躊躇なく殴って貰えるのかしら……羨ましい……)モヤモヤムギュギュギュ

唯「本当なのになぁ……澪ちゃん、信じてよー」

澪「信じる訳ないだろう、そんな嘘臭い話」

澪(と言うより、信じたくない)

紬「あら、もうこんな時間」

律「はぁ、今日も沢山練習したなー」

澪「今日も全く練習してないだろ」

梓「そーですよ。四分の三はお茶飲んでただけじゃないですかっ」

唯(うーん……あずにゃんはいつも通りだし、なんだかあんな事ただの夢のような気がしてきたよ……)



唯「あずにゃん、今日は一緒に帰ろ?」

梓「良いですけど、寄り道は無しですよ?」

唯「うぅ、手厳しい」

梓「真っ直ぐ帰りましょうよ……子供じゃあるまいし」

唯「寄り道は子供の特権だよ!!」フンス

梓「……いやいや」

唯「大人になったら仕事でくたくたになって寄り道なんて出来なくなるんだよ。あずにゃん。知ってた?」

梓「知りませんよ……知りたくもないです」

梓「とにかく、昨日の事は色々と言いたいですよ」

梓「楽器屋のレスポールの前で『ギー太の妹!』って騒いでた時、すっごく恥ずかしかったんですから」

唯「ごめんねー。でも、ギー太にそっくりだったから」

梓「そっくりって言うか……はぁ、もう良いです」



唯(あずにゃん、本当にあの事覚えてないのかな……はぁ)テクテク

梓「じゃあ、私はここで」

唯「あ、ちょっと待って!」

梓「はい?」

唯「あずにゃん、ほんとに覚えてないの?」

梓「……またあの話ですか?」

唯「ここでいきなり倒れたんだよ、あずにゃんが」

唯「覚えてないの?覚えてなくっちゃおかしいよ」

唯「顔も紫色で、息も止まってて……」

梓「ただの夢ですよ。気にし過ぎです」

唯「ほんとのほんとに、怖かったんだもん」グス…ッ

梓「無く程怖かったんですか?」ヤレヤレ…

唯「だって、だって……っ!」

梓「そんな変な事、忘れた方が良いですよ」



梓「ハヤク ワスレテ クダサイ」



唯「うん、そーだね」グシグシ

唯「ごめんね。変な話しちゃって」

梓「イエ… キニシテ イマセンカラ」

唯「……」

唯「……忘れるよ。昨日の事は、全部」

梓「ソノホウガ イイデス」

唯「えへへ。あずにゃんは優しいね」

梓「ソンナコト ナイ デス」

唯「あれれ?あずにゃんったら照れてる?」

梓「ソンナ   コト ナイ  デ ス」




唯(って、あずにゃんは言ってたけど)

唯(やっぱり様子がおかしかった気がするや)

唯(他の皆は気がついてなかったみたいだけど)

唯(……私の気のせい、かな?)ムムム…

憂「おねーちゃーん! ご飯できたよー!」

唯「うん、今行くよー」

唯「……」

唯「……今日は、ハンバーグ♪」トテテテ

唯「んまいっ!」テーレッテレー!

憂「お姉ちゃんったら、ほっぺたにソースついてるよ?」

唯「え? うーいー、拭いて拭いてー」

憂「お姉ちゃんったらぁ」フキフキ

唯「へへへ。失礼いたしやしたー」

憂「ううん。お姉ちゃんに美味しいって言って貰えると、なんでも良くなっちゃうよ」ニコッ

唯「私も憂のご飯食べてたら幸せだよー」

憂「えへへー……あ、そういえば」

唯「どったの?」

憂「今日、梓ちゃんの様子がおかしかったんだけど……部活ではどうだった?」

唯「……へ?」




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