がたがたがたっ、びしびしっ、がたがたがたっ

紬「これは、ちょっとどうなのかしら」

律「寝てる場合じゃないかもな。・・・澪、起きろ。おーい、澪」 ゆさゆさ

唯「あずにゃん、あずにゃん」 ゆさゆさ

梓「・・・おはようございます」

律「礼儀正しいな、おい」

澪「・・・ごめん。本当に寝ちゃってた」

律「いや、それは良いんだが。かなり風が強くなってきた。下手すると、これは・・・」

 ガシャッ。バリッ、ガシャガシャッ。

澪「うわっ?」

律「やべ、本当に割れたっ」

梓「ギ、ギターが、飛んでっちゃいましたよっ」

唯「で、でも。こ、こにいたら危ないよね」

律「ああ。階段まで一旦出て、取りあえずはそこで待機するか」

紬「・・・澪ちゃんっ?」

律「ムギ、どうした?」

紬「澪ちゃんが、窓際にっ」

律「なにっ?・・・おい澪っ、戻れっ」

澪「駄目だっ。ギターが濡れるっ」

唯「澪ちゃんっ、危ないよっ。早く、戻って来てっ」

梓「澪先輩っ。ギターよりも、自分の事を心配して下さいっ」

澪「そんな事、出来る訳が・・・。それ程、濡れてないな」


梓「・・・先輩、ギターを投げて下さいっ」

澪「・・・落とせば壊れるぞっ」

梓「構いませんっ。先輩は、自分の事だけを考えて下さいっ」

澪「分かった・・・。えいっ」

唯「うわっと。・・・ムッタンキャッチッ」 

澪「次、行くぞっ」


紬「ギー太も、キャッチッ」

梓「エリザベスもっ」

澪「後はドラムと……」

ガシャッ、バリバリッ、ガシャッ


澪「わっ?」

律「くっ、また割れたか。澪ーっ、早く戻ってこいっ」

澪「・・・律っ、ドラムは置いてくぞっ」

律「そんな事構うなっ。私はここにいるっ。だから、お前は戻ってこいっ」

澪「ああっ」


澪「くっ、風が強くて」

紬「澪ちゃん、急いでっ。また割れたら危ないわよっ」

澪「分かってる。分かってるけど、雨で前が」

ビューッ、ビュー、ビューッ

澪「うわっ」

律「ちっ」 ダダダッ

紬「りっちゃんっ?」

ガシャッ、ガシャッ、ガシャーッ

律「くっ」

澪「律っ」

律「構うなっ。走れっ」

澪「わ、分かったっ」



律「はぁ、はぁ、はぁ」

澪「わ、私をかばったから・・・」

律「気にすんな。ちょっと破片がかすめただけで・・・。くっ」

紬「りっちゃん、動かないで。・・・梓ちゃん、懐中電灯を」

梓「は、はい」

紬「膝の上が結構切れてるわね。それ程、深くはないみたいだけど」

澪「ごめん、ごめん。律」

律「だから、気にすんなって。それより、エリザベスが無事で良かったな」

澪「律・・・」


紬「何も無いけど、とにかく縛った方が良いわね」

澪「私のハンカチとリボンで」

律「おい、澪」

澪「律は黙ってろっ。・・・これでいいか、ムギ」

紬「多分、大丈夫だと思う。りっちゃん、きつくない?」

律「ああ、ありがとう。しかし、廊下に出てもあまり変わらないな」

紬「風のせいで、ドアが閉まらないのね」

澪「・・・生徒会室まで行こう。そうすれば消毒や包帯もあると思う」

律「でも私はちょっと・・・」

紬「大丈夫よ」 ひょいっ

律「おわっ」

律「おい、ムギ。大丈夫か?」

紬「全然平気よ♪ムギちゃんこそ、辛くない?」

律「いや。快適だけどさ」

紬「良かった♪」

澪「梓、懐中電灯を貸してくれ。私が前を歩く」

梓「は、はい」

律「大丈夫か?本当に真っ暗だぞ」

澪「そんな事言ってる場合じゃないだろ。梓、ムギと律の事見ててくれ」

梓「は、はい」



澪「階段濡れてるから、気を付けろ」

紬「了解」

梓「律先輩、痛くないですか」

律「だから少し切れただけだって」

梓「唯先輩も、大丈夫ですか」

唯「へ、平気だよ」 よろよろ

梓「ムッタンは自分で持ちますから。先輩は、ギー太とエリザベスをお願いします」

唯「ご、ごめん。本当、ムギちゃんはすごいねー」

紬「りっちゃんは軽いから♪」

律「照れるな、おい」



 2F廊下

ざー、ざざー、ざー

梓「ここも、結構窓が割れてますね」

澪「ただ生徒会室へ行くには、ここを抜けるしかないんだよ。ムギ、大丈夫か」

紬「私は平気だけど、りっちゃんが」

律「今更濡れても気にしないさ」

澪「分かった。ムギ、悪いけど、出来るだけ急いでくれ」

紬「了解」


梓「ちょっと待って下さい」 たたたっ

澪「梓っ?」

紬「梓ちゃんっ」

梓「ムッタンで割れた所を押さえてますから、今の内に渡って下さい」

澪「悪い、梓・・・。ムギ」

紬「ええ。りっちゃん、行くわよ」

律「ああ。梓・・・、正直済まん」

梓「なんですか、それ」 くすっ


澪「どうにか渡れたか・・・。唯も早くっ」

唯「あ、うん。今行くよ。あずにゃんも早く、向こう側へ」

梓「唯先輩が渡ったら、すぐに行きます・・・。あれ?」

唯「あずにゃん、どうしたの?」

梓「いえ、その。あの。割れた窓を塞いでるギターが」

唯「うん」


梓「・・・ムッタンじゃなくて、ギー太でした」

唯「え?」



梓「ご、ごめんなさい。本当に、済みません。済みませんでしたっ」

唯「・・・あずにゃん」

梓「は、はい」 びくっ


唯「・・・ありがとう、あずにゃん♪」 きゅっ

梓「え」


唯「あずにゃんが窓を塞いでくれたから、ムギちゃんとりっちゃんは濡れずに渡れたんだよ」

梓「でも、ギー太が」

唯「大丈夫だよ。ギー太も、みんなを守れて嬉しいって言ってるしね」

梓「でも」

唯「ギー太がそう思ってるって事は、私もそう思ってるんだよ。あずにゃん、ありがとうって」

梓「・・・唯先輩っ」 きゅっ

唯「良かった、良かった」 きゅっ



 2階・廊下

律「でもそれって、唯が間違えてギー太を渡したんじゃないのか?」

唯「・・・本当、風が強いねー。何も聞こえないよ」

律「この野郎。しかし生徒会室って、結構遠いな」

梓「暗いですし、ゆっくり進んでますからね」

紬「ごめんね、みんな。私がもっと早く歩ければ」

梓「そ、そんな事は全然。私こそ、勝手な事言って済みません」

律「正直済まん」

唯「りっちゃん、そればっかりだね」

梓「本当ですよ」 くすっ

紬「・・・」



 2~1階・階段踊り場

澪「ちょっと休憩するか」

唯「そだね。雨も吹き込んでこないし、朝までここにいる?」

澪「唯達は濡れてるから、着替えるか体を乾かさないと」

梓「それに、律先輩の怪我もありますし」

律「私は全然平気だけどな。大体私よりも、ムギに聞かないと。・・・ムギ?」

紬「え?」

律「・・・ムギ。これって雨じゃなくて、汗だろ」

紬「私は、平気、だから」 にこ

律「そんな訳あるか。大体無理しすぎたんだよ。いくら何でも、ずっと私を背負って歩ける訳無いだろ」

紬「平気だって。りっちゃん、軽いから」

律「だからって、限度があるよ。・・・ここからは私も歩くから」

紬「りっちゃん。わがまま言わないで」

律「わがまま言ってるのはムギだろっ」

紬「りっちゃんっ」

梓「ふ、二人とも、落ち着いて下さい」


律「とにかく私は歩くからな。・・・っと」 よろっ

澪「律っ?」

唯「りっちゃん?」

律「は、はは。演技演技。ずっと背負われてたから、立ちくらみしただけだよ。全然平気だって。・・・くっ」 よろっ

紬「りっちゃん、背中に乗って」

律「平気だって言ってるだろ」

紬「りっちゃん」

律「だから平気だって・・・」

紬「りっちゃん、乗りなさいっ」

律「・・・正直、済まん」 ひょい

紬「りっちゃん、そればっかりね」 くす

律「たはは」

紬「うふふ♪」



梓「一時はどうなるかと思いましたが、本当に良かったです」

唯「私も変な汗かいちゃった」

澪「あと少しの辛抱だ。ムギ、律の事頼むぞ」

紬「任せて♪」


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