軽音部・部室

唯「たっぷりー♪」 じゃーん

律「おーし、休憩。って、外真っ暗じゃないか?」

澪「雨が降るような事は天気予報で言ってたけど。今日はもう、終わりに・・・」

ざざーっ。

紬「滝みたいに降ってきたわよ。大丈夫かしら」

梓「とにかく今日は帰りましょうよ。早くしないと、本当に帰れなく・・・」

がたがたがたっ。

澪「わっ」

律「風も出てきたな。レインコートでもないと、ずぶ濡れになるぞ」

唯「ギー太も濡れちゃうしね。でもいざとなれば、部室に泊まれば良いんだよ」 

梓「唯先輩は、すぐそういう事言うんだから」

ぴかぴかっ、ごろごろっ

澪「うわっ」

紬「・・・雷も鳴ってるし、外へは出ない方が良さそうね」



 1時間経過

唯「止まないね-」

澪「むしろ、どんどんひどくなってるぞ」

律「携帯で天気予報見てるけど、この辺に雷雲が発生してるみたいだな」

梓「ムギ先輩の言う通り、下手に外へ出ると危なそうですね」

律「これは冗談抜きで、泊まり込みになるかもな。ちょっと、職員室で聞いてくるわ」



 職員室

さわ子「校長先生とも話し合ったんだけど、部活で残ってた子は全員泊まってもらうしかないわね」

律「講堂や体育館に避難するのか?」

さわ子「それが駄目なのよ。ガラスが割れて、雨が吹き込んできてるの。、今は、部室で待ってて頂戴」

律「さわちゃんは?」

さわ子「勿論私も泊まり込みよ」

律「大人は大変だな」

さわ子「だから大人って言うのよ。あなた達、ちゃんと家の人に連絡しなさいよ」



 軽音部・部室

律「さわちゃんに聞いてきた。やっぱり、泊まり込みだってさ」

紬「お疲れ様。水さえ溜めておけば、一晩くらいならどうにかなりそうね」

律「後は懐中電灯と非常食。それと今の内に、携帯を充電した方が良いな」 


唯「りっちゃん、なんか恰好良いね」 ずずー

梓「唯先輩もお茶ばかり飲んでないで、準備して下さい」

唯「え、何やるの?」

梓「窓にテープを貼ります。強度を保てますし、万が一割れた時に破片が飛ぶのを防ぎます」

唯「後は、おへそ隠さないとねー」 ずずー


梓「唯先輩、隙間にも貼って下さいよ」

唯「はーい。すぐ止むと良いね」

梓「確かに準備は大変ですけど、無駄になった方が良いですよ」

唯「本当だよ。・・・外はどうなってるのかな。後で、用水路を見に行こうか」

梓「・・・それだけは、絶対に止めて下さい」



和「・・・みんないるわね。これ、学校から非常食の配給」

唯「ありがとー。和ちゃんも、ここに泊まってく?」

和「私は生徒会室に泊まるのよ。そっちの方が広いし、唯達も来る?」

唯「大丈夫。軽音部は、狭いながらも楽しい我が家だよ」

和「唯らしいわね。何かあったら、すぐ連絡しなさいよ」

唯「ありがとー」



律「断って良かったのか?生徒会には絶対、余分の毛布とか非常食が余ってるぞ」

唯「でもそれだと、使いたい人が来た時困るでしょ。私達は何も無くても、みんながいるから大丈夫だよ」



律「非常食は小分けにして、必要な分だけ食べるからな。後はお互いの居場所を常に確認する事」 てきぱき

梓「なんだかんだと言って、律先輩は頼りになりますね」

澪「仮にも軽音部の部長だからな」

梓「今、しみじみそれを実感してます」

律「ん、何の話だ?ムギ、校舎の見取り図ってあるか?一応、避難ルートを考え無いとな」

紬「ええ。風向きを考えると、ここの廊下よりもこっちを使った方が安全そうね」

律「分かった。後で一度、ルートを確かめてみるよ」

紬「私は荷物が持ち出せるよう、準備しておくわね」

唯「避難?」

紬「万が一の話よ。唯ちゃんも大切な物は、身に付けておいた方が良いわよ。私もキーボードは、職員室に預けてあるから」

唯「私の大切な物は、ギー太と・・・。ああ、トンちゃんをどうしようか?」

紬「今の内に職員室へ運んでおいたら?」

唯「そだね。あずにゃん、手伝ってー」

梓「あ、はい」

唯「トンちゃんさえ無事なら、私はもう何も心配する事無いよ」

梓「唯先輩は気を抜いてないで自分の事も心配して下さいよ」

唯「てへへ、怒られた」




 校舎1階・廊下

唯「良く見えないけど、水が溜まってきてない?」

梓「冠水してるって事ですか。・・・確かに、そう言われてみると」

唯「よかったね、学校が3階建てで」

梓「確かに平屋だったら、冷や汗を掻いてたかも知れません」

唯「良かった、良かった。本当に、ありがたい話だよ」




唯「ただいまー」

梓「ただ今戻りました」

律「おう。それにしても寝るには早いし、どうするよ」

澪「演奏してる場合でも無いな」

紬「トランプする?」

律「そうだな。負けた奴は罰ゲームとか」

澪「え?」

律「リスクを負わないゲームなんて、面白くもなんとも無いだろ」

澪「う、うぅ」



律「あぎゃーっ」

澪「弱すぎだ、お前は」

律「もうやらねー。ポーカーなんて、二度とやらねー」

紬「うふふ♪お茶淹れてくるわね・・・。あら?」

フッ

唯「今、少し暗くなったような」

律「梓、懐中電灯の準備。澪は、さわちゃんと和に連絡。停電したらどうするか聞いてくれ」

澪「ああ、分かった」

紬「私は念のために、ガスの元栓を閉めておくわね。暗い中で間違えて触ったら危ないから」


唯「りっちゃんって、恰好良いね。ムギちゃんも」

梓「人間、いざって時に本性が現れるんですよ。つまり普段はほわほわしてても、律先輩やムギ先輩の本質はああなんです」

唯「私も普段から、ほわほわしてるよ」

梓「それが唯先輩の本質なんです」

唯「あずにゃん、さりげなくしどい」

梓「そ、そういう意味で言った訳では」

唯「冗談だよ-、あずにゃん♪」

紬「うふふ♪」



律「さてと、さすがにそろそろ寝るか。明かり消すぞー」

唯「おー」

澪「拳を振り上げるな」

紬「うふふ♪」

梓「もう、唯先輩は」 くすっ

スッ

唯「・・・あれ、もう消した?」

律「いや。これは停電だな。梓、懐中電灯」

梓「は、はい」 カチッ

律「改めて、電気を消してと・・・。目が慣れるまで危ないな、これは」

澪「うぅ。暗い」

梓「澪先輩が懐中電灯を持ちますか?」

澪「い、いや。我慢出来る」

律「我慢って言うな、我慢って。取りあえずさわちゃんに・・・。ちっ、圏外だ」

紬「私の携帯も。雷雲のせいかしら」

律「停電してるだけだから、大丈夫と言えば大丈夫なんだが。窓際は危ないし、廊下側にみんなで固まろうぜ」

紬「澪ちゃん、大丈夫?」 きゅっ

澪「あ、ありがとう。唯と梓も大丈夫か」

唯「大丈夫、大丈夫。ね、あずにゃん」

梓「ええ。それに、明けない夜は無いって言うじゃ無いですか」

澪「大げさだな、梓は。・・・でも、少し気が楽になった。ありがとう、梓」

梓「い、いえ。私はそんな」

唯「あずにゃんは、私の自慢の後輩なんですよー♪」

澪「私の自慢の後輩でもあるからな♪」

梓「い、いや。その、あの」

律「楽しそうだな、おい」

紬「うふふ」♪



紬「さっきよりも風が出てきたみたいね。窓、大丈夫かしら」

律「これだけ距離があれば、割れても破片は飛んでこないだろ」

紬「そうね」

律「さて。寝れるような状況でもないけど、横になりたい奴は横になれよ。梓、平気か?」

唯「あずにゃん、私の膝で寝て良いよ」 ぽんぽん

梓「唯先輩こそ、寝なくて良いんですか?」

唯「私は、あずにゃんの先輩だからね」

梓「・・・はい」 にこ



ごごごーっ

梓「風、すごいですね」

唯「りっちゃんのドラム並みかな」

律「おい」」

紬「そのくらいパワフルって事よ♪」

律「ちぇー。おい澪、大丈夫か」

澪「ああ。みんなが一緒だから、平気だよ」

律「よしよし。澪も、少し寝るか」 ぽんぽん

澪「・・・うん」



紬「二人とも、寝ちゃったわね」

律「普通なら、もう寝てる時間だしな」

紬「りっちゃんは大丈夫?」

律「澪達が起きたら、順番に寝るか」

紬「そうね。……唯ちゃんもそれで良い?」

唯「うん。気付いたら雨が止んでて、朝になってれば良いんだけどね」

律「そうなるさ。でもって明日は、全員で一緒に寝るんだよ」

紬「うふふ♪そうね」




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