――8月25日 けいおん部部室

さわ子「ちがーう! もっとお客さんに語りかけるように、だけれどもソウルを響かせるような音にするのよ!」

○○「はい!」

じゃかじゃか

さわ子「その調子! りっちゃん! まだドラムが走ってる! リズムキープ!」

律「お、おう!」

梓(さ、さわ子先生がここまで顧問であったことが、今までにあっただろうか!)

紬(これがスパルタ指導というものなのね!)

澪(先生の指導、ちょっと怖い……)

唯(懐かしいなあ。1年の時を思い出すよー)




――8月29日 貸しスタジオ

唯「Hey,Azunyan. How are you?」

梓「わ、唯先輩。どうしていきなり英語を?」

唯「へへー。なんだか使いたくなってきちゃって」

律「しっかし、唯はマジで英語話すの上手くなったなー。驚きだ」

澪「今なら英語の宿題もさらさらと解けるんじゃ?」

唯「! それは盲点だったよ! よーし! 鞄の中に確か……!」

梓「宿題入れっぱなしなんですか……」

紬「できたら私にも教えてね」

唯「もちろん! えーと、第1問は……」


唯「……」

律「おい、動きが止まったぞ」

澪「どうした、唯」

唯「……英語の読み方は分かるんだけどね」

唯「意味がさっぱり分からないんだよお」シクシク

梓「なんて不便な能力……」

澪「翻訳と発音は違うってことか」


がちゃ

○○「ごめん、休憩はこれぐらいでいいから、続きやろうか」

律「お、来たな。よーし、いくぞー!」

ジャンジャカ♪




――練習後 ○○の家

○○「ここが俺の家です」

律「……なんつーか」

澪「普通?」

唯「大きくも小さくもない、かわいい家だねー」

梓「2階建ての一戸住宅、十分大きいですよ」

紬「私、こんな家に住んでみたかったのー」



――家の中

○○「じゃあ、居間で適当にくつろいでて。ジュースとかいれてくるから」

梓「あ、先輩、手伝いましょうか?」

○○「いいよいいよ。お客様は座ってて」

スタスタスタ


律「ふーん、ソファもあって、良い感じの部屋だ」

澪「けど、物が少し少ない」

紬「多分それは、もうすぐアメリカに行くから……」

梓「家の中も片付けているんでしょうね」

唯「……そう考えると、なんだか寂しいお部屋だね」

梓「……はい」

律「えーと、○○の部屋は2階かなー?」トテトテ

澪「律! 人の家を勝手にうろちょろするな!」

律「だってどんな部屋か気になるだろー? 梓ー、知らないのか?」

梓「知りませんよ。私だって初めて来たんですから」

律「なんだ、そうなのか。じゃあ一緒に探すか?」

澪「おいおい、梓がそんなことするわけが」

梓「喜んで」

澪「って、あー……そうか、梓は○○さんのことになると暴走気味になるんだったな」

唯「私も行くー」

紬「私もー」


○○「何してるの?」

律「あ、早速ばれた」

梓「ジュース、運ぶの手伝います!」

○○「ありがとう。で、階段でいったい何を?」

澪「こいつらが○○さんの部屋を見たいって言って、勝手に歩き回ってたんだ」

律「なっ! いきなりばらすなよ、澪!」

澪「悪いことをしていたんだから、そりゃばらすよ」

○○「んー、俺の部屋なんか見ても面白くないと思うけど」

梓「そんなことありません! 私は見たいです!」ぐわっ

○○「そ、そうか。だったら案内するよ。こっち」




――○○の部屋

ガチャ

○○「どうぞ」

唯「ほへー」

紬「すごーい。CDと本でいっぱい!」

○○「これでも片付けた方なんだけど、散らかっちゃってて。むさくるしいところですが」

梓「……」ほへー

○○「梓ちゃん?」

梓「い、いえ……なんだか先輩の部屋って感じで、すごく……安心します」

○○「そっか。ありがとう」

澪「あっ! ジェフ・ベックのCD! しかも限定生産盤だ!」

律「この辺りはレコードか? 古臭えなー」

唯「アニメのCDもあるよー。これって、ジャケットに写ってる緑髪のかわいい女の子が歌ってるのかな」

紬「梓ちゃんと同じ髪型ねー」

○○「一通り見たら、居間に戻ろうか。パーティの準備しないと」

律「ここでしよう!」

○○「へ?」

澪「うん。私、ここのCDをもっと見たい」

紬「私もー。この緑髪の子の曲、聞いてみたい!」

唯「ねえねえ、この本面白そうだから読んでもいい?」

梓「先輩、そういうわけでここでパーティですね!」

○○「あー……まあいっか」

○○「じゃ、お菓子持ってくるから、ちょっと待ってて」



――1時間後

どんちゃんどんちゃん

律「だから私は、もっと洋楽の良さを広めたいと思っててだなー」

○○「んー、だけど今の日本の音楽も捨てたもんじゃないよ? インディーズ上がりのバンドに良い曲書いてるところはたくさんあるし」

澪「けど、あまり売れない、っていう問題が」

○○「そこがねえ。どうしても歌じゃなくて歌手自身の人気で売れてしまう面があるから、CD販売って難しくって」


紬「唯ちゃん、何しているの?」

唯「レコードが回ってるところを見てるんだよー」くるくる

紬「面白い?」

唯「うん、とっても!」くるくる


梓(ベッド……)モフ

梓(……先輩の匂いがする)カァ



――2時間後

唯「あー! またババだー!」

梓「唯先輩、言ったら駄目じゃないですか」

律「私は次、ババを気をつければいいわけだな」

○○「……お、あがった」

澪「早い! ○○さん、早すぎ!」

紬「今日は運がいいのねー」



――3時間後

ぴんぽーん

○○「ん? 誰か来た」

梓「こんな夜に誰なんでしょうか」


「○○くーん、あーそーぼー」


○○「……この変態っぽい声は」

ガチャ

友「やーやー、勝手にあがらせてもらいまし、た……よ……」

律「お、こいつか」

梓「どうも、友さん」

友「ななな」ワナワナ


友「……なあ○○」

○○「なんだよ」

友「今、お前に明確な殺意を投げかけてるんだけど、分かるか?」

○○「分からない」

友「かわいい女の子が5人! お前の部屋で! いちゃいちゃうふふとは! 何事か!」

○○「うるさい」

友「てめえには中野ちゃんがいるだろうがー!」

梓「!」びくっ

○○「ああもう、いったい何の用?」

友「ふん、決まってる。お前は中野ちゃんのパートナー。他の4人はフリーなわけだ」

○○「俺は何の用かを聞いたんだけど」

友「知らん。というわけで、お嬢様方、私とお付き合いいただけませんか?」

唯「えー、変態さんは面白いけど、そういうのよくわかんないからなあ」

律「私は変態じゃなく、もっと普通の人がいいから、却下」

澪「……変態はちょっと怖いからやだ」

紬「変態様には近づかないよう、親から厳しくしつけられていますのでー」

友「これはいじめなのか」

○○「当然の反応だと思うよ」


友「ちくしょう! 帰る!」

○○「ああ、帰ってくれ。お前、確か明日のライブ、朝の出番だったろ。早く寝てしまえ」

友「本当に帰るからな! あ、これ俺のバンドの演奏曲リストだから」ぽい

○○「っと。結局これを届けるのが目的だったわけか」

友「用事も終わったから帰るからな!」

唯「さよーならー」

友「ちっきしょう! 少しぐらい引き止めてよ! それでは皆さん、明日のライブは頑張りましょう! さよーならー!」

ダダダダダ!



律「うるさい奴だったなー」

○○「だいたいあんな奴だけど、一応良い奴だから」

梓「それは間違いないでしょうけど……」

紬「面白い人だわー」

澪「金髪の人はどうも苦手だ……」


○○「そうだ。ちょっとジュース取ってくる。足りなさそうだから」

澪「私が行こうか?」

○○「いいよいいよ。座ってて」

ガチャ


タタタタ

○○「……」

パタン カチ

○○「……」カチカチカチ

○○「送信、と」



――○○の携帯


to 友
件名 ありがとう

俺が軽音楽部に入れたのはお前のおかげなんだろ? 感謝するよ、部長さん。



from 友
件名 呪い

呪いと祝いって似てるよね!




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