――道路
がちゃがちゃ
たったったったっ
○○「はぁ、はぁ」
ガクッ
○○「はぁ、はぁ……落ち着け、は、走るのは、駄目だ」
○○「荷物もあるんだし」
○○「倒れたら、はぁはぁ……元も子も、ない」
○○「歩いて……急いで歩こう」
たったったっ
○○「はぁ、はぁ」
prrrrr
○○「で、電話?」
ピッ
友『ぴんぽんぱんぽーん、この番号は○○さん専用の恋愛相談窓口です』
○○「はぁはぁ……友か?」
友『ここで相談員から1つアドバイス!』
○○「おい」
友『聞け、好きな女泣かせる大馬鹿野郎』
○○「……」
友『あのな』
友『1度信じたんならとことんまで信じてみろよ』
友『それが好きな相手だったら特にな』
○○「……」
友『今日の営業時間はここまでです。それではごきげんよう』
○○「友」
友『んあ?』
○○「ありがとう」
友『気にすんな。じゃな』プツ プープープー
たったったっ
○○「はぁ、はぁ」
○○(きつい……倒れそうだ)
○○(ちょっと早めに歩いてるだけだろ、俺……)
○○(今ほどこの身体を恨めしく思ったことはない)
○○(早く、早く公園に……!)
たったったっ
――△公園
○○「はぁ、はぁ……つ、着いた」
○○「落ち着いて……まずは深呼吸」
○○「すーはー」
○○「梓ちゃんはどこに……暗くてよく分からない」
○○「はぁ、はぁ」
テクテク
○○(人気が全然ない。夜だからか……)
○○(木が多いせいで、視界が悪い。外の道路も全然見えないし)
○○(梓ちゃんはもう来てるのか?)
ドンッ!
○○「うわっ」
○○(せ、背中に誰か抱きついてきた?)
「……先輩」
○○「梓ちゃん?」
「はい」
ぎゅうう
○○「えーと、後ろを向いてもいいかな」
「そのまま聞いてください」
○○「……ん」
「私、先輩のことが好きです」
○○「……」
「大好き」
○○「うん」
「先輩と離れたくないです」
「ずっと一緒にいたい」
「できれば外国にだって行ってほしくない」ぎゅっ
○○「……」
「けど」
「行ってきてください」
○○「梓ちゃん……」
「先輩の決意を、私は支えます」
「一緒にアメリカに行くことはできないけど……」
「辛いことがあったらいつでも言ってください。私に話してください」
「私も辛かったら先輩に話します。頼ります」
「……そうやって、色々なものを支えあいましょう」
○○「……うん」
「私、待ってますから」ぎゅっ
○○「うん」
「いつ、までも……ぐすっ、待ってます」
「なんねんだって、ひっく、まてます、から」ぎゅうう
「ぜっだいっ、ぜっだいっ! ひぐっ……もどっでっぎでぐだざい!」
○○「梓ちゃん」
「……はい゛?」
○○「振り向いていいかな?」
「だめっ、でず……わたし、っく……いま、」
くるり
梓「あっ……」ポロ
○○「俺も、梓ちゃんが大好きだ」
ぎゅっ
梓「……っ!」ポロポロ
○○「戻ってくる。必ず」
ぎゅうう
なでなで
梓「……」コクン
○○「そして、一緒に生きてください」
梓「……」コクンコクン
○○「ありがとう」ぐい すっ
梓「あっ……」
梓「ん……」
――木陰
友「うお、やりやがったよあいつ。うひゃー」
友「人のこういう場面見るのってこっぱずかしいなー」じーっ
友「っと」
友「これ以上見てるとあいつらに悪いか」
友「ったく……」
友「お幸せに、だな。やれやれ。見守るのも楽じゃない」
友「あーあ、俺にもお相手が現れないもんかねえ」
テクテク
7章 終わり
最終更新:2011年07月30日 16:43