――30分後

じゃじゃん、じゃん!

律「……あー、うん」

澪「……」

紬「ええと」

梓「……」

○○「ふうふう、はぁ、はぁ」

唯「なんだか変な感じな演奏だったね」

律「そだな」

澪「ちょっとな」

○○「ごめん、俺が途中でバテテ遅れ気味になったから」

梓「違います。私が走りすぎたから……すみません」

紬「ま、まあ、ちょっと合わなかっただけだから、2人共気にしないで」

唯「もう1度Bパートだけいこっか?」

梓「ですね」

○○「あ、ええと」

澪「おいおい、○○さんが1度休憩取らなきゃだろ」

梓「あ……」

○○「みんな、ごめん。5分ぐらいでいいから」



――2時間後

ピカンピカン

唯「あ、もう終わりだね」

律「……んー、今日はそんなに進まなかったな」

澪「こういう日もあるさ。練習自体はやっていて悪いことじゃない」

紬「また来週は頑張ろう、ということね」

○○「すみません」

梓「……」




――商店街

唯「あっ! アイスクリーム売ってるよ!」

○○「へー、自転車販売のアイスか。珍しい」

澪「昔はよく売ってたみたいだけど、今は全然見ないからなあ」

紬「私、買ってみたい!」パァ

律「よーし、私が全員分を奢ってやろう!」

梓「え? それこそ本当に珍しいですね」

唯「おーっ! りっちゃん太っ腹!」

澪「どういう風の吹き回しだ? 律が奢るだなんて」

律「小遣い入ったばかりで気がでかくなってるのだよ! おっちゃーん、アイス6つー」

おっちゃん「はいよー。まいどあり」


唯「ちべたーい」シャリシャリ

紬「アイスというよりシャーベットに近いわ」

澪「自転車の看板にはアイスクリンって書いてたけど、クリームとはまた違うみたいだな」

○○「アイスクリンかー。確か高知県あたりのが有名だったような」

唯「へー、そうなんだー」シャリシャリ

梓「あ、○○先輩、溶けたのが服についてますよ、今とり……いえ、ハンカチをお貸ししますね」

○○「あっ……と、ありがとう」

梓「いえ」



テクテク

唯「ねえねえ、あずにゃん。あさってどっかに遊びに行こうよー」

梓「唯先輩、受験生なんですから勉強しましょうよ……」

澪(梓が○○さんの横を歩かないなんて珍しいな……合同練習の帰りはいっつも2人並んで世界作ってたのに)

○○「アイスクリンは高知県ぐらいしか広まってないから、高知県の人が他の県に行くと売ってないことに驚いたりするらしいよ」

律「県民の秘密って奴か?」

紬「じゃあ、これが噂のB級グルメというもの!?」

○○「んー、なんかそんな感じだけどそうじゃないような」

澪(○○さんは○○さんで、律やムギと話してばかり。梓とは積極的に会話しない)

澪(それに2人共、時々難しい顔をして考え事してるし)

澪(……喧嘩? んー、そんな雰囲気でもないような)



○○「じゃあ、皆さん、また」

梓「あ、先輩、途中まで一緒に行きます。駅前の本屋さんに行くので」

律(おっ)

澪(何か話でもするのかな)

唯「じゃあ私も行こうかなー」

紬「唯ちゃん、今日はメロンパンを買って帰るって言ってなかった?」

唯「え? そうだったっけ? けど、メロンパンもいいなあ。よっし、買って帰る!」

律(ムギナイス)

澪(ここは無理にでも2人で帰ってもらった方がいいからな)



律「じゃ、またなー」

○○「はい、では」

梓「また」

トコトコトコトコ



律「……困ったもんだ」

澪「ああ。仲直りしてくれたら……って感じじゃないな。距離感が変な感じで、なにか違う」

紬「今まで仲がよかったからそう見えるだけかしら」

唯「? ○○君とあずにゃんのこと? いつもと変わらなかったと思うよ?」

律「唯は鈍感だからなあ」

唯「そうかなあ。絶対2人は変わってないよ。あっ、けど憂があずにゃん元気ないって言ってたかな」

律「やっぱり唯は鈍感だ」

唯「そんなことないもん!」

澪(……多分2人は大きな問題を抱えてる)

澪(それも簡単に解決しないようなレベルの)

澪(……私にできることはないかな)




――駅前

トコトコトコ

○○「……」

梓「……外国に行くこと、先輩たちには話さないんですか?」

○○「うん。フェスが終わってから話そうと思う。今は無闇に話して、演奏に変な支障が出ると駄目だし」

梓「じゃあ、私に話してくれたのは何故ですか?」

○○「それは……」

梓「……すみません、今のはナシにしてください」

梓「私にだけ話してくれたのは、1番仲のいい友達だったからだって、思ってますから」

○○「ごめんね」

トコトコトコ



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