――さらに1時間後
律「腹減ったー!」
澪「もう夜か」
紬「そろそろご飯にしましょう」
唯「舌がひりひりして食べられないよー」
○○「何か柔らかいものでも作ろうか?」
唯「じゃあ、ましゅまろ!」
梓「ましゅまろをここで作れというのですか、唯先輩は」
律「じゃあ、私はプリンで」
○○「あ、プリンは作れる。しかもけっこう得意。材料さえあれば作るよ」
梓「え!?」
梓(私も食べてみたい!)
律「いいねえ、じゃあ、今度絶対に作ってもらうからな! 絶対だぞ!」
――別荘の庭
律「ではみなさんご一緒に!」
全員「いただきます!」
じゅーじゅー
澪「外で焼肉パーティっていうのもいいもんだな」
唯「うー、私は柔らかいのしか食べられない」
紬「唯ちゃん、このお肉なら大丈夫よ。あーん」
唯「あーん、んー! おいしい!」
律「うお! 私のソーセージ食べたの誰だ! 焼けるの待ってたのに!」
唯「あ、ごめーん。私食べちゃったー」
紬「りっちゃん、私のをあげるわ。あーん」
律「あーん……おお! 旨い!」
澪「律、口の周りソースだらけだぞ。まったく、仕方ない奴だな」フキフキ
律「べらんぼうめ! 外での焼肉ってのはどれだけ煙とソースまみれになれるかが大事なんだ!」
澪「そんなわけないだろ……それにしても」チラリ
梓「先輩。このお肉食べます?」
○○「うん、あ、自分で取るよ」
梓「いえ、先輩は指を安静にしてください! 私が取ります。それとお箸じゃなくフォークを使いましょう」
○○「んー……分かった」
律「もう恋人同士ってことでいいんじゃないか? つーか夫婦?」
澪「……ノーコメント」
紬「そうだ! いいことを思いついたわ!」
唯「このお肉生臭いよ」
律「そりゃまだ焼けてないぞ。こっち食べろ。で、ムギは何を思いついたんだ?」
紬「ふふふ、後でのお楽しみよ♪」
――夜 大広間
唯「お腹いっぱいだよー」
律「うっぷ、ちょっと食べ過ぎたか」
紬「胃腸薬もあるけれど、飲む?」
唯「ちょうだーい」
律「正○丸か……私、この匂い嫌いなんだよな」
唯「私は好きだよ? なんだか癖になる匂いだもん」
梓(○○先輩、トイレに行ったまま帰ってこない……あ、そうか、薬も飲んでるのかも)
梓(大丈夫かな。様子見に行った方がいいかな)うずうず
ガチャ
○○「お、この雑草を塗り固めたかのような匂いは、○露丸?」
唯「○○君が戻ってきたー」
律「トイレ長かったなー。食べすぎでげりぴーか?」
澪「こら、律。女の子がそんな言葉使うんじゃない」
律「へいへい」
○○「はは、そんなところかな」
紬「○○君も正露○飲む?」
○○「いえいえ、もう大丈夫だから。それで、食後に何かゲームをするって言ってたけど」
律「ふふふ、よくぞ聞いてくれた」
律「これだけの人数が集まれば、やることは1つ!」
バンッ!
律「ポーカーで勝負だ!」
唯「ここからは真剣勝負だよ!」
紬「ふふふ」ニコニコ
梓「ポーカー? 珍しいですね。いつもババ抜きとか7並べとかだったのに」
澪「ま、いつもの如く、律の思いつきだよ」
梓「なるほど」
律「私の名前を出したら納得するって、なんだか悲しい!」
唯「ところでポーカーってどんなゲーム?」
梓「え? そこからですか?」
――30分後
律「スリーカード! ふははは! 私の勝ちだ、」
澪「フルハウス」
唯「ふらーっしゅ!」
紬「ストレート♪」
律「だー! また私の負けかよ!」
梓(降りてよかった。私ツーペアだった)
○○「みんな運がいいなー。俺なんか全然揃わなかったよ」
紬「そろそろ夜も更けてきたことだし、次で最後にしましょうか」
澪「だな。お風呂にも入らないと」
律「もちろん○○は私達の後に入ってもらうからな?」
○○「いや、それは分かってるって」
唯「えー、皆で入ろうよー」
梓「ゆ、唯先輩、少しは羞恥心を持ちましょうよ……」
紬「でね、提案があるのだけど、次の勝負は『降り』をなしにしたら面白いと思うの」
律「絶対に勝負しなくちゃならないってわけか」
紬「そう。そして、次の勝負の最下位とブービーの人には罰ゲーム♪」
律「面白い……やってやろうじゃないか!」
唯「勝つよ、勝ってやるよ!」
澪「まったく……まあ、最後ぐらいはいいか」
紬「ちなみに罰ゲームの内容は1位の人が決めるということで、ね」
梓「なんだか嫌な予感がするんですが……」
唯「あれー? あずにゃん、負けるのが怖いの?」
律「臆病者ー」
梓「なっ! いいでしょう! やってやるです!」
○○(梓ちゃんってこういう所が負けず嫌いなんだなあ)
――10分後
梓(きた!)
梓「フォーカード! これなら勝ったはず!」
唯「すとれーとふらーっしゅ」
澪「ストレートフラッシュ」
紬「ストレートフラッシュね」
律「ストレートフラッシュだ!」
梓「……」
梓「はい?」
○○「あ、ワンペアだった」
梓「あ、ありえません! ストレートフラッシュができる確率は7万分の1ですよ! 4人ともだなんて!」
唯「だってねー」
律「できちまったもんは仕方ない」
澪「私も驚いたなー」
紬「ふふふ、罰ゲームは梓ちゃんと○○さんで決定ね」
梓「くっ、イカサマです! 絶対そうです!」
律「梓、イカサマってのはやられた時に見破れなきゃ、通るもんなんだぞ?」
唯「梓ちゃんの負けだよ!」
梓「そ、そんなー」
澪(ムギのイカサマ、プロ並だな。事前にやるって聞いてたのに、どこでイカサマしたか分からなかった)
律(ムギとはカードゲームしないようにしよう)
紬「うふふ」
律「というわけで罰ゲームは梓と○○に決定ー」
唯「どんどんぱふぱふー」
澪「お気の毒様」
紬「さあ、お風呂ね。バスタオルはもう用意してあるから、このまま大浴場に行きましょう」
梓「納得できません! 断固として不正を糾弾します!」
律「はいはい、ゲームはもう終わりだぞ。さっさと風呂に入ろうぜ」ぐいっ
梓「ううー! 内部告発はもはや意味をなさないと言うのですか!」ズルズル
梓「○○先輩! 先輩も一緒に不正と戦いましょう!」ズルズル
○○「いってらっしゃーい」
澪「遠まわしに断られたな」
梓「せんぱーい!」ズルズル
――大浴場
唯「やっほーい! 広い!」
律「泳げるぜー!」
澪「おい! まったく、落ち着いて風呂にも入れないのか」
紬「楽しんでもらえて何よりだわ~」
梓「はぁ……先輩たちはお気楽ですよね、ほんと」
律「んぎも゛ぢい゛い゛~」ばしゃん
唯「あはは! りっちゃん、おじさんみたいな声出してるー」ケラケラ
――大広間
○○「……」カチカチ
○○「……」カチカチ」
○○「ん……よし。メールはこれぐらいにしてっと」
○○(友の奴、合宿に来てるって言ったら、えらく驚いて……まあ、俺もこの状況は現実離れしてると思うけど)
○○(女性陣はまだお風呂か。ギターの練習でもしておくかな)
○○(いや、1人でやってると梓ちゃんに怒られるかも……『また指をつったらどうするんですか』って)
○○(いやいや、梓ちゃんもそこまでお節介じゃないか)
○○(……)
ジャン♪
○○(このギターって、今だったら何円ぐらいで売れるかな……)
――1時間後 大広間
律「よし、○○も風呂に入って、みんな寝る準備は整ったな!」
澪「もういい時間だし、そろそろ寝るか」
唯「ふふふー、今夜は寝かせないぜ、あずにゃん」
梓「何を言ってるんですか唯先輩は……」
○○(女の子のパジャマ姿って、なんか目のやり所に困るな……)
紬「はい、みんな注目してー」
○○「うん?」
梓「どうしたんですか、ムギ先輩」
紬「ここで先ほどポーカーで負けてしまった○○さんと梓ちゃんへの罰ゲームを発表しまーす」
紬「罰ゲームは……」
紬「2人だけ、別の寝室で寝てもらいまーす♪」
梓「はい? それって」
○○「俺と梓ちゃんが一緒の部屋で寝ると……?」
唯「そのとーり!」
律「深夜のお喋りタイムから外されるという、それはそれはきつい罰ゲームなのだ!」
澪(……これって本当にいいんだろうか)
梓「だ、駄目ですよ! そんな、一緒の部屋だなんて……!」
○○「あー、これはさすがにまずいと思うよ? 梓ちゃんも年頃の女の子なわけだしさ」
梓「そ、そうです! ○○先輩の言う通りです!」
律「大丈夫大丈夫。私たちは隣の部屋にいるから、何かあったらすぐ分かるし」
紬「○○さんも、ここで問題を起こすような真似はしないでしょう?」
○○「そりゃあ……」
唯「『先生にばれなきゃいい』ってあずにゃん言ってたもんね!」
梓「それとこれとは話が別で……というか、これって明らかに罰ゲームじゃないですよね? ただ先輩たちが楽しんでるだけですよね?」
律「四の五の言わずに入った入った!」
グイグイ
梓「ちょ、ちょっと、押さないでください!」
○○「わっ!」
ドン
ガチャン
律「よし、オッケーだな。撤収ー!」
紬「りょーかい!」
唯「あずにゃん、幸運を祈る!」
澪「○○さん、何も起こさないって信じてるから……」
タタタタ
最終更新:2011年07月30日 16:29