唯ちゃんの両親は五千万円を用意してくれませんでした。
 お金を工面する面倒と我が子の生死を天秤にかけたとき、仕方のない判断を下したのでしょう。
 家には優秀な妹がいて、いくら本人は普段からぼうっとしているだけの生活を送っているからって、
 こんな結末を迎えるのは悲しすぎます。

 唯ちゃんは私たちの大切な仲間です。

 私の両親からは単なる身代金目当てのモノ扱いを受け、本人の両親からは見捨てられ、
 唯ちゃんは周囲の悪意に全く気づくことなく、手と足の自由を奪われたまま、
 あくまでもすやすやと眠っています。
 全ての人間の原罪を背負って十字架にかけられているのです。

 唯ちゃんを救えるのは私しかいないと思いました。
 そう思ったとたん、私はふいに彼女を抱きしめました。
 とてつもなく、彼女が愛おしくなったのです。

唯「ふにゃ~?」

 大粒の涙が唯ちゃんの胸元にこぼれていきました。
 泣きわめく私に対し、寝ぼけ眼の唯ちゃんは、まだまどろみの中をさまよっているようです。
 その表情がとてもかわいらしくて、私は再び強く彼女を抱きしめました。

唯「どうしたの、ムギちゃん……」

 唯ちゃんが不憫で泣いていたとは言えませんでした。
 私がふがいなくて泣いていたとは言えませんでした。
 ただ唯ちゃんが大好きで大好きでしょうがないんだということを何度も何度も語りかけました。

 唯ちゃんも彼女なりに事の異常さは理解してくれたようです。

唯「私もムギちゃんが大好きだよ。だけど、あんまり泣くと服が濡れちゃうよ。
  というか、もう濡れちゃってるよ」

紬「ごめんなさい! でも、でも……」

唯「これって、ゆーかいと何か関係があるのかな?」

 相変わらず唯ちゃんは鋭いです。

紬「ごめんなさい。私は唯ちゃんが大好きで大好きでたまらないから、
  唯ちゃんを誘拐したの。誘拐はいけないことなんです。
  唯ちゃんといろんなことがしたくて、唯ちゃんを私のものにしたかったのです」

 壊れた蓄音機のように戯言を繰り出す私に対し、唯ちゃんが投げかけた台詞は意外なものでした。

唯「いいよ」

 それから唯ちゃんはにっこりと笑いました。

唯「私を好きにしてもいいよ。私もムギちゃん大好きだから」

 一瞬、私の涙が止まりました。

唯「二人でいけないことしようよ」

 どうやらまだ唯ちゃんは「誘拐」を勘違いしているようですが、
 私は救われた気持ちでいっぱいでした。
 今の唯ちゃんはとても神々しく見えました。

紬「本当に、いいんですか?」

唯「うん!」



 了承はとったものの、いざ彼女を目の前にすると何から始めればいいのかわかりませんでした。

紬「ごめんなさい、服濡らしちゃったわね。気分悪いだろうから、今脱がせるわね」

唯「うん」

 ブレザーを脱がせ、ワイシャツのボタンを一つずつ外していきました。
 唯ちゃんの繊細すぎる肌が露わになります。
 ブラジャーのホックに手をかけると、そこまでは濡れてないよ~と
 少し顔を紅潮させながら唯ちゃんはつぶやきましたが、
 私はためらうことなくそれを取り去ってしまいました。
 唯ちゃんの申し訳程度についている乳房がピンク色に染まっていました。

唯「ゆうかいって、少し恥ずかしいかな……」

紬「とてもかわいいですよ」

唯「えへっ、ありがとう!」

 私の征服欲が何にも勝っていました。
 それまでは疲れきっていた体も、みるみるうちに謎の活力で満たされていったのです。
 私はこれを唯ちゃんエネルギーと名付けました。
 今後、正しい語彙利用を心がけていく次第です。



 こんな経験初めてでした。
 大好きな唯ちゃんは私と振動を共にし、
 互いに重なり合ったまま何度も何度も頂点まで上り詰めました。
 私は行為が終わってからもずっと唯ちゃんのお尻をぺろぺろと嘗めたり揉んだりしていました。
 唯ちゃんはその度に小鳥のような声をあげます。

 本来なら私は男の子をこうやって愛するべきなのかもしれません。
 けれども、いつの頃からか私には女の子と一緒になりたい願望があることに気づき、
 しばらくの間自分が尋常ではないんじゃないかと悩んでいましたが、
 高校に入ってあの軽音部に所属すると、なんだかそんな些細な悩みはどうでも良くなってきたのです。

 私は唯ちゃんをもう一度強く抱きしめました。
 どうやら一線を越えてしまったようです。
 一度原罪を背負ってしまった身分である以上、
 これ以上何をしてもあまり変わらないような気がしてきました。

紬「唯ちゃん、ずっと一緒にいようか」

 私の問いに唯ちゃんは少し戸惑いを見せたようですが、やがて納得したらしく、
 天真爛漫を絵に描いたような表情でうん、と頷きました。
 唯ちゃんは私のものです。
 もう誰にも渡しません。




 8月15日。


 再び平沢家に犯行予告を出しました。
 向こうは謝りながら今度こそはちゃんと用意すると念を入れてくれました。
 しかし、ちゃんとお金が届いてしまったら、唯ちゃんを手放すことになります。
 私はひそかに、また見本銀行券が入っていればいいなといけないことを考えていました。
 こんなこと、絶対パパやママには言えません。

 お金の準備のために、引き渡しは3日後としました。
 その間は絶対に唯ちゃんと遊んでいられるのです。
 本当はもっと期間をのばしたかったのですが、パパとママが許してくれませんでした。




 8月16日。


 お金が底をつきそうです。
 私の分の食糧はほとんど唯ちゃんにあげてしまっていたので、
 私は空腹を通り越して新たな境地に達していました。
 唯ちゃんにコンビニのおにぎりをあげるととても喜んでくれます。
 私はその笑顔が見たくて、自分の食糧などどうでも良くなっていました。
 ただ、確実に何かが私の体をむしばんでいたのは事実です。
 唯ちゃんエネルギーでなんとかなればいいのですが。

 幸いにもまだ警察には連絡が行っていないようです。




 8月17日。

唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん
唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん
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