病院でムギちゃんと別れた後、私はすぐには家に帰らずにあずにゃんのお墓に寄った。

唯「ねえあずにゃん」

私は天国のあずにゃんに話しかける。
と言っても一方的に話すだけなのだけれど・・・

唯「りっちゃんと澪ちゃんも、亡くなっちゃったよ」

唯「私今ね、悲しいんだよ」

唯「あずにゃんがいなくなって、りっちゃんも澪ちゃんも」

唯「もう・・・あの頃には戻れないんだね・・・」

生暖かい涙が私の頬を伝う。

変だよね、後輩のお墓で泣きじゃくる先輩なんて。

その時後ろにふと人の気配を感じて振り向く。

憂「お姉ちゃん!」

唯「憂・・・」

憂「お姉ちゃんも梓ちゃんのお墓参り?」

唯「うん・・・そしたらなんか寂しくなっちゃってね、もうあの頃の戻れないんだろうなあって・・・」

憂「お姉ちゃん、梓ちゃんはお姉ちゃんを庇って亡くなったんだよね?」

唯「うん、私のせいで・・・」

憂「ちがーう!私が言いたいのは、梓ちゃんが命を賭けて守ったお姉ちゃんの悲しんでる姿を見て喜ぶと思う?」

唯「分からないよ・・・あずにゃんはもういないんだから・・・」

憂「そうだね、でも私は梓ちゃんはお姉ちゃんがくよくよしてる事なんて望んでないと思うな」

唯「憂・・・」

憂「律さんや澪さんだってきっとそのはずだよ、だから泣いちゃだめ。寂しくなっても私がいるから!」
そういって憂は優しく抱き締めてくれた。
やっぱり憂は温かい・・・

その時、私の脳内にある人の事が浮かんだ。
次は和ちゃんだ・・・



和ちゃんに電話を掛ける。
そういえば和ちゃんはまだこの事知らないんだっけ。

唯「もしもし和ちゃん!いますぐ伝えなきゃいけない事があるの!」

和『どうしたの唯?そんなに慌てて。』

私はこれまでの事を全て話した。
あずにゃんの友達の純ちゃんの事。あずにゃんの事。トミさんの事。りっちゃんの事、澪ちゃんの事。

そして、次の順番が和ちゃんである事を・・・

和ちゃんは「そう・・・」と落ち着いた声で言った。

唯「怖くないの・・・?」

和『怖いに決まってるじゃない!』

即答だった。
当たり前だよね、自分が死ぬって分かってて。
100%じゃいにしろ死ぬって言われて怖くない人なんていないよね。
私はこの質問を酷く後悔した。

和『だって・・・どうしようも無いじゃない・・・』

その後和ちゃんがすすり泣く声が電話越しに聞こえてくる。



唯「ごめん・・・」

和「いいわ、唯のせいじゃないもの・・・」


・・・


正直かなり気まずい。
でも私は和ちゃんを死なせたくないから・・・

和『唯、1つだけお願いがあるの』

唯「何?和ちゃん」

和『明日一日、私と一緒に居てほしいの』

唯「当たり前だよ!むしろ期間が終わるまでずっと一緒に居てもいいんだよ」

和『ありがとう唯、でもそれはいいわ。明日一日だけで十分よ』

唯「でも和ちゃんは・・・」

和『大丈夫、私は死なないから。それに唯だってずっと私と居たら迷惑でしょ?』

唯「そんな事ないよ!だって和ちゃんは親友だから・・・」

和『親友・・・ありがとう唯。でも明日だけ、お願いするわ』

唯「わかった。また明日ね、和ちゃん」

こうして会話は終了した。




つぎのひ!

私は和ちゃんに頼まれた通り和ちゃんの家に向かった。
和ちゃんの家は私の家のすぐ近くだ。

ピンポーン

ドアが開いて和ちゃんが出てくる。
「あがって」と言う和ちゃんは、昨日の電話なんかなかったと思えるぐらい普段通りだった。

唯「・・・」

和「・・・」

和ちゃんの部屋に来たのはいいが無言の時間が続く。
その沈黙を破ったのは和ちゃんだった。

和「ねぇ唯」

唯「なぁに?和ちゃん」

和「その・・・いつも中野さんや憂にやってたみたいにぎゅーってしてくれない?//」

唯「いいよ、和ちゃん」

だきっ

和「唯・・・ありがとう・・・」

そう呟いた和ちゃんの体は、ふるふると震えていました。



その日、たくさんお話しました。
昨日あったテレビ番組の話、最近ハマってるゲームの話、冬にも食べれるアイスの話。
そんなこんなで楽しい時間はあっという間に過ぎて行き・・・

和「こんな時間までごめんね唯、憂も心配してるだろうから早く帰りなさい」

唯「うん、楽しかったよ!"またね"!」

和「そうね、また・・・ね」

久しぶりに和ちゃんといっぱいお話しました。
最後に和ちゃんの表情が一瞬曇ったのを、私は見逃しませんでした。




トミお婆ちゃんは言った、期間内に死なずに生き残ることができれば死の運命から逃れられると。
でも一体どうやって生き残ればいいの?誰かが一緒にいても無意味だってことはあずにゃんの時に証明された。
もちろんバラバラになってもダメだってことはりっちゃんや澪ちゃんのときに・・・

唯「わかんないよ・・・」

今度こそは助けたい、私の唯一の幼馴染で親友の真鍋和を。
その為にはどうすればいい。和ちゃんに家からでないように言う?
ううん、家から出なくてもりっちゃんの家が燃やされたみたいに危険はあるし・・・
だったらどっかの秘密組織にでもかくまってもらう!?
・・・できるわけないか。

そんなこんな考えてるうちに眠りに付いてしまうのでした。




憂「お姉ちゃんご飯できたよー」

唯「うんー、今いくよ。」

普段通りご飯を食べて、ごろごろする。
それが私の日課なのだけれど、最近はみんなの事ばかり考えてしまう。

亡くなってしまった大切な友達と後輩、そして今死の危険に晒されている親友の事。

私には何もできないのか?私は自分の無力さを悔やんだ。
唇を強く噛みすぎて血が滲んだ。

和ちゃん、絶対死なないで。




今日はりっちゃんと澪ちゃんのお葬式だった。
変わり果てた2人の姿を見て私は泣いた。
私の隣でムギちゃんも泣いていた。

和ちゃんは・・・泣いているというより落ち込んでいるだね・・・

地震の時予知したあれが正しければ、私は死なずに生き残ってしまう。

それでも私は生きれる限り生きて、死んでいったみんなの分までしっかり生きようと誓うのでした。

果たしてこの惨劇に終わりはあるのだろうか・・・




次の日、朝起きると同時にまたあの感覚が訪れました。

頭の中に人が浮かんでくる。

今度はあまり面識のない他クラスの人でした。
伝えてあげたい気持ちは山々だけど、名前も連絡先もしらないし・・・
申し訳ないけど、今回は諦めよう・・・

ん・・・次の標的に移ったって事は和ちゃんは!?

慌てて携帯を取り出して和ちゃんに電話を掛ける。

プルルルル・・・プルルルル・・・

おねがい繋がって!和ちゃん、電話に出て!


・・・


『ただいま電話に出ることができません』

私は絶望した。
どうして・・・

私は和ちゃんの家へと走った。

唯「ハァ・・・ハァ・・・」

お願い、出てきて!

ピンポーン

祈りながらインターホンを押した。



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