あずにゃんの家!

トミさんに聞いた事をあずにゃんと澪ちゃんに伝えた。
「私、助かるんですか?」と言ったあずにゃんの曇った表情が笑顔に変わる。
こんな先輩でごめんねあずにゃん、期間が過ぎるまで絶対守ってあげるからね。

昼ごはんはみんなでMバーガーに食べに行く事になった。

その時私は何か悪い予感がしたが、気のせいだと言う事にした。
せっかく解決策も見つかったのに、こんなこと言ったらまた暗くなっちゃうもんね。

しかし案の定予感は的中してしまう結果となった。



律「唯あぶない!」

唯「え?」

よくわからず振り返ると大型のトラックがもう目の前まで迫っていた。
咄嗟に逃げ出そうとしたが・・・だめだ、腰が抜けて動けないや。
私このまま死ぬのかな。
私は怖くなって目を閉じた。
直後私の体は何かに突き飛ばされ尻餅を付いた。



ってあれ?尻餅?

目を開けた瞬間トラックが私の目の前すれすれを通過した。
直後トラックは石垣に突っ込み大破する。

唯「え・・・?あ・・・」

あまりの恐怖に私は声がでなかった。

律「唯!大丈夫か!」

トラックが通った道を挟んで向こう側には。
私に向かって叫んでるりっちゃんと、余程ショックだったのか立ったまま失神してる澪ちゃん、そして今にも泣きそうなムギちゃんがいた。



・・・あれ、あずにゃんは?



りっちゃんが駆け寄ってくる。

律「大丈夫か?怪我はないか?」

捻挫ぐらいはしたけど、こんなの怪我のうちに入らない。

唯「ねえ、あずにゃんは・・・?さっきまで一緒にいたよね?」

律「梓は・・・」

そういってりっちゃんは大破したトラックの方を見る。
え、嘘でしょ。あずにゃんが轢かれた・・・?

唯「救急車!救急車を呼ばなきゃ!いやっ、あずにゃん!あずにゃああああああん!!」

私は叫んでトラックの方に走ろうとしたが、りっちゃんが「危ないから止せ」と言って私を止める。
確かに危ないかもしれない、でもあずにゃんはもっと危ない状態なんだ。
りっちゃんを振り切り、トラックの方へと走った。
そしてそこにあったのは。



もはや原型を留めてない元あずにゃんがいた。



唯「あ・・・あ・・・」ポロポロ

気がつくと私は涙を流して泣いていた。
人目のある路上で泣いていた。

やがて救急車が到着するが、すでに手遅れだと判断された。即死だったらしい。
私のせいだ。
私があんなところを歩いてたから。
私がもたもたしてたから。
最低の先輩だ、守るって決めたものも守れないなんて。

その日以来、私は部屋に引きこもった。




私はいつも誰かに迷惑を掛けている。
姉なのに妹に世話をされて、後輩に命を救ってもらって。
そのせいで私は大切な大切な後輩を失ってしまった。
どこかで聞いた歌の事を思い出した。

唯「失ってしまった代償は、とてつもなく大きすぎて。取り戻そうと必死に手を伸ばしてもがくけれど。」

気がつくとその歌を口ずさんでいた。
失ってしまったものは二度と戻らない。どれだけもがいても、どれだけ頑張っても。
するりと風のようにすり抜けて行く。その度に私は涙を流す。


その時、澪ちゃんとりっちゃんの顔が思い浮かんだ。

2人が危ない!!




私は急いでりっちゃんと澪ちゃんにメールを送る。2人とも返事はない。
澪ちゃんに電話だ・・・

『現在、電話に出ることが出来ませn』

繋がらない。
りっちゃんにも!

もちろん繋がらない。

なんとかして伝えなくてはいけない、私はその時そう思ってました。
そして家を飛び出し、りっちゃんの家へ向かったのでした。




りっちゃんの家に付いた私はぞっとした。
なぜならりっちゃんの家の周りには数台の消防車が止まっていて、何よりりっちゃんの家は黒焦げだったから。

またか・・・
私は諦めた。
澪ちゃんも電話にでないということはたぶん澪ちゃんも一緒だったのだろう。

「唯ぃ!!!」

誰かが私を呼んでいる。
振り返るとそこには、りっちゃんと澪ちゃんがいた。

唯「2人とも・・・幽霊?」

律「だーっ、そんなわけないだろー。私達は見ての通り無事だよ。」

唯「で、でも澪ちゃんとりっちゃんに電話しても繋がらなかったし・・・」

澪「それで心配してくれたのか、ありがとな唯。」

その後りっちゃん達からいろいろ聞いた。
どうやら出火の原因は放火らしい。
目撃証言が無いせいで犯人特定は難しいそうだ。
電話に出られなかったのは携帯が燃えてしまったかららしい。
でも二人が無事で本当に良かった・・・




現場処理は消防員と警察に任せるて、私達は公園に向かった。

公園でベンチに腰掛ける。
私、澪ちゃん、りっちゃんの順番で座っている。

りっちゃんは自分の家が燃えたのにどうしてあまり落ち込んだ様子じゃないんだろう。

律「あのさ、唯。聞いてくれるか?」

唯「なに?りっちゃん」

律「澪にはもう言ったけどさ。私、本当は辛いんだよ・・・」

意外だった。いや当然といえば当然なのだと思う。
でも平然としてたからそうでもないのかとばかり思ってた。

律「梓の時だってそうだけど、私だって泣きたかった。
  でも・・・私が泣いたらだめだなって・・・部長だからしっかりしなきゃって・・・
  ずっとそればかり考えてた」

唯「りっちゃんは強い人間だね」

律「ははは、澪と同じ事言うんだなぁ唯。でも私は全然強くない、本当は・・・」

唯「本当は?」

律「あ、ごめん唯。やっぱ今の聞かなかった事にして」


ちょっと前までの私だったら「気になるよー」とか「隠し事はダメだよ!りっちゃん!」とか言ってたんだろうな。
でも今の私はそんな事は言えない。
はぁ。あの頃にはもう戻れないのかな。

そんなことを思いながらその日はりっちゃんたちと別れて家に帰った。

そういえばりっちゃんは澪ちゃんの家に泊まる予定らしい。
本当に2人は仲良しだなぁ。

家に帰ったら憂が「お姉ちゃんどこいってたの!?急にいなくなるから心配したんだよ!」と涙目で言ってきた。
「えへへごめんごめん~」と言って憂に謝った。心配させてごめんね、憂。




つぎのひ!

学校はまだ休校らしい。毎日が退屈だ。
全てが狂い始めたのはあの地震の時からだ。
私の大切だった楽しい毎日は一瞬にして崩壊した。
そして代わりに訪れたのは深い悲しみと後悔だけ。
この悲しみの先には一体何があるのだろうか。

チャララーン

携帯電話がなった、ムギちゃんから電話だ。

唯「もしもしムギちゃん?」

紬『大変なの唯ちゃん!!落ち着いて聞いて、りっちゃんと澪ちゃんが通り魔にやられたって!』

ムギちゃんが泣いているのは電話越しでも分かる。
そんな、りっちゃんと澪ちゃんが?

紬『重体らしいわ、現在手術中らしいの・・・桜ヶ丘中央総合病院、唯ちゃんも来て一緒に祈ってあげて?』

もちろんそのつもりだ。
私はそそくさと仕度を済ませ桜ヶ丘中央総合病院へ向かう。




総合病院に着いた私は手術室前へと急いだ。


・・・


手術室の前には泣きじゃくるムギちゃんと、申し訳なさそうに頭を下げる医者の姿があった。
どうやら遅かったみたいだ。

紬「唯ちゃん・・・りっちゃんも澪ちゃんも手遅れだって・・・」グスン

それだけいうとまたムギちゃんは声を上げて泣き始めた。

紬「唯ちゃん・・・私も・・・死んじゃうのかな?」

ムギちゃんは泣きながら私に聞く。

そんなの・・・

唯「ムギちゃん、よく聞いて」

そんなの・・・

唯「ムギちゃんは・・・」

私に分かるわけないよ!

唯「ムギちゃんは死んじゃだめ、だから生きよう。みんなの分まで精一杯!絶対に何があっても死んじゃダメだから!」



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