お通夜!

憂「うう・・・」グスン

友達が死んじゃったのか、憂はずっと泣いている。
私にとって軽音部のみんなが生き残った事と、先に帰った憂が無事だったことは不幸中の幸いだと思う。

あの状況で彼女達を救ってあげる事が出来たのは私だけだ。
そして一人でも死者を出してしまった責任も私にある。

律「唯・・・」

こういう時のりっちゃんはすごくやさしい。
深い所まで探ってくるわけでもなく、ただ一緒にいてくれる。
私は何度もりっちゃんのそういう所に助けられた。澪ちゃんがりっちゃんを好きになった理由がちょっとだけわかったきがした。

澪「もしかして唯、責任を感じてるのか?」

こういう鋭いところは流石澪ちゃんと言ったところかな。
澪ちゃんには隠し事できないや。

紬「これは天災なの、唯ちゃんのせいじゃないわ、それに唯ちゃんは私達や和ちゃんを救った。それだけでも感謝されるべきよ。」

ムギちゃんの言う通りなのは分かってる。
でも、私はどうしても思ってしまう。
あの時本当に助けられなかったのか?って。

梓「私も唯先輩が責任を感じる必要は無いと思います。唯先輩の放送のお陰でジャズ研の人たちは無事だったんですし。」

唯「みんなぁ・・・ありがとう!」グスン

私は泣いてしまった。
みんなの前で泣いてしまった。
きっと遺族の方はもっともっと辛いはずなのに。
私は声を上げて泣いてしまった。

そして・・・



あの地震から数ヶ月

私立の学校だった桜高は、校舎倒壊の為休校中だ。

私は特にする事もなく、部屋でボーっとしていた。
そしてふとあずにゃんの友達の純ちゃんの顔が思い浮かんだ。
私と純ちゃんはあまり面識は無いのに、どうしてだろう。

そんな事を考えてた時、携帯電話が鳴った。
えっと・・・あずにゃんからメールだ。


『From:あずにゃん

 唯センパイ・・・ついさっき、純が事故で亡くなりました。』


メールの内容はそれだけだった。




正直私は驚いた。
つい今純ちゃんの事を考えてたら、その純ちゃんが死んだ?
地震のときといい今回の件といいにわかに信じがたい事だ。
それに私はこれが偶然だとは思えなかった。

どうやら私は予知能力を手に入れたらしい。
それも人の死ばかりを予知してしまう最悪の予知能力だ。

でもこの力をうまく使えれば人を助ける事ができるかもしれない。

そして次に私の頭に浮かんだ人物は・・・



あずにゃんだった。



あずにゃんが危ない!

そう思った私はあずにゃんの家まで走った。

距離はそう遠くない。



ピンポーン

インターホン越しに、聞きなれた声が聞こえた。

唯「あずにゃん!私だよ、唯だよ!」

梓「唯先輩!?今出ます!」

そうしてガチャリと開いたドアから涙目のあずにゃんが出てくる。
友達が亡くなったんだもんね、泣いてて当然か。

「上がってください」というあずにゃんの言葉に甘えてあずにゃんの家に入る。



梓「ところで唯先輩、どうしてうちに?」

唯「えっと・・・」

まさか、「次はあずにゃんが死ぬから」なんて言えない。

梓「でも、うれしいです。」

え?

梓「一人でいるのが寂しくて寂しくて・・・唯先輩が来てくれてうれしいです!」

そういうとあずにゃんは涙目のまま私の胸に飛び込んできて、声を上げて泣いていた。

唯「あずにゃん・・・」

私はそっとあずにゃんの頭を撫でる。
あずにゃんは私がなんとしても守る、そう決心した。



とは思ってみたものの。実際いつどういう形で死が襲い来るかは分からない。
私があずにゃんと一緒にいることで守れる?下手したら2人とも死に兼ねない。

唯「あずにゃん、りっちゃん達も呼ぼう」

そして私はりっちゃんと澪ちゃんとムギちゃんにメールを発信する。
丁度3人共暇らしく、あずにゃんの家に集合する事になった。

梓「あの・・・唯先輩、何か私に隠し事してませんか?」

私はびっくりした。
あずにゃんにも隠し事はできないか。そう思いこれまでの事を全て話した。
あずにゃんは一瞬何かを考えていたようだけど、すぐ笑顔になって。
「大丈夫です、私が死ぬわけないじゃないですか」と、これまでの泣き顔を忘れさせてしまうほどの笑顔で言った。



やがてりっちゃん達がやってきて、これまでの事を話した。
りっちゃん達は驚くほど飲み込みが早かった。
普通ならこんなのただの偶然で済まされるかもしれない。

でも、あの地震を経験した私やりっちゃん達にとって、これは偶然だとは思えないのでした。

そこで私達は、なんでもよく知っているトミおばあちゃんに聞きに行く事にした。
トミおばあちゃんは若い頃占い師をやっていたらしく、何か収穫が得られるかもしれない。
そんな気がしたからだ。

あずにゃんと澪ちゃんにはあずにゃんの家で留守番をしてもらって。私とりっちゃんとムギちゃんだけで行く事になった。
今危険な状態のあずにゃんを連れ出すわけにはいかないもんね。

そうしてあずにゃんの家を後にした。




ピンポーン

インターホンのチャイムが鳴り、優しそうなお婆さんの声が聞こえる。
私の声を聞くなり「唯ちゃんかい、ちょっとまってね。」とお婆さん。
それからすぐに玄関の戸が開きトミお婆ちゃんが出てくる。

唯「こんにちはトミお婆ちゃん、今日はトミお婆ちゃんに相談があって・・・」

私は地震の事、純ちゃんの事、そして今あずにゃんが危ないであろうという事を伝えた。
するとトミさんは「その梓って子の写真はあるかい?」と聞いてきたので私は携帯の写メのあずにゃんをトミさんに見せた。
トミさんは「うーむ・・・」としばらく何かを考えている顔をし、それから私に伝えた。

トミ「この子には死神が付いてるねえ・・・」

死神・・・?
漫画やゲームでよくみるあの死神?だとしたらあずにゃんは鎌で首を・・・
いや、流石にそんなことはないよね。

その後トミさんから死神について説明を受けた。
死神というのは簡単に言えば意志を持つ運命らしい。
元々震災で死ぬはずだったあずにゃん達を予定通りに死なせるため、強引に死を呼び寄せてるんだとか。
ちなみにりっちゃんとムギちゃんにもその死神は憑いていて、でもその死神は今は活動してないらしいという事も。

そして最後にトミさんはこういった。

「死から逃れる方法がある」と。



唯「死から逃れる方法・・・」

トミさんが言うには、死神は一定の期間内に標的を殺せなかった場合、次の標的を殺しに行くらしい。
その場合元々標的だった人は死神の標的から外され、この理不尽な"死"の運命から逃れることができるらしい。
ただその期間というのは人それぞれで、それはいつになるかわからないらしい。
でもトミさんは期間が過ぎた事が分かるらしい。だからちょくちょく会いに来なさいとトミさんは言った。
ちなみにあずにゃんの死神は現在絶賛お仕事中で、どんどん死を招き入れてる最中だという。
他の人がいる限り巻き込むような事はないと言うけど、それでもやっぱり心配だ。
すぐにあずにゃんの家に戻る事にした。
戻る直前に「唯ちゃん、これも持っておいき」といってなにやら数珠のようなものを渡された。
これがどんな効力を持っているのかは分からないけど、どうやらお守りのようなものらしい。

そして私は急いであずにゃんの家へと戻った。



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