翌日の放課後!

律「クッソー昨日はエラいめにあったな…」

 「ムギが来たらぶったたいて携帯から写真を消してやる!」

 「それにしてもみんな遅いな…」



……

律「ムギ!昨日はよくも!」バシーン

紬「きゃあ!」

律「この!この!」バキドカ!

キーボード「お嬢様を殴るな!」

律「ひっ!紬のキーボードが喋った!」

キーボード「グガオオオ」

律「うわぁぁぁ!」

……



律「はっ夢か…」

部室にはまだ誰もいない。

紬のキーボードに近づく。

律「こんなものが動くはず無いよな…」

紬「私のキーボードになんか用?」

律「うわ!」

突然現れた紬に驚き派手に転ぶ律。

律「いてて…」

膝をすりむいてしまった。

紬「大丈夫!?」

律「え?うん…」

 (優しいムギだ…)

紬「いま消毒するからじっとしててね?」

律「ありがとう」

紬は律の傷口に顔を近づけると、おもむろに口を付ける。

律「いた!ムギ!?」

紬「ん~?」シャブシャブ

律「いたたた!何で傷口しゃぶってんだよ!」

 「頭どけろ!」グググ

強引に紬の頭をどけようとする律。
パッと紬が口を離す。立ち上がってキッと律を見つめる。

律「な、何だよ…」

紬「えい!」ドカーン

律「おわぁ!」

律を思いっきり突き飛ばし、倒れた律に馬乗りになって携帯の画面を見せる。

紬「ねぇ!昨日のこと忘れた!?」

大声で叫ぶ紬に律はヒッと声をあげひるむ。

律「わ、忘れてないよ…」

紬「じゃあ何で抵抗するの!!」バシ

律の胸を平手で叩く

律「ひっ!ごめん!抵抗しないから!」

紬「次やぶったらただじゃおかないから!分かった!?」バシ

もう一回叩く。

律「分かったよぅ…だから怒らないでよ…」グス

紬「うふふふ」

泣きそうな律を見つめながら、また傷口の方に顔を近づける。

紬「じゅるじゅる」

律「!…くぅ!」ビクッ

紬「動かないで!」ギュゥ

律の太股に爪を食い込ませる。

律「うぅー!痛いよぅ…」

 (何でこんなときにだれもこないんだよぅ…)

紬「ふふ」シャブシャブ

律「はぁ…はぁ…」

律は目を堅く閉じて耐えている。呼吸は荒い。

紬(あぁ…この顔サイコーだわ…痛いの苦手なのね)クスクス

 (噛んだらどうなるかな?)

ガリッ

律「あぁあぁぁ!」ビクビク

紬「こら!」ギュギュウ

さらに爪を食い込ませる。血がにじみ始めている。
続けて傷口を犬歯でぐりぐりと噛む。

律「かはぁ…!…はぁ…くっ!うぅ」グス

紬「泣いたって無駄よ」クスクス

 「ガブガブ」

律「あうぅ…!」

 (誰か助けて…!)


ガチャ

紬「!」サッ


澪「? 律、寝っ転がってなにしてるんだ?」

律「いや…あの…」

 (た、助かった…)

紬「りっちゃんたら転んじゃったのよ~」

澪「まったく律は不注意なやつだなぁ」

 「髪もグシャグシャだぞ?」

律「うん…」

紬「バラしたらこっちも画像晒すから」ボソ

律「…」ブルブル

澪「なに震えてるんだ?」

律「な、なんでもない…」

起きあがる律の足を澪が見る。
澪の顔が青くなる。

律「澪?」

澪「律!血出てるぞ!ばかー!!」ピュー

ダッシュで部室を出て行く澪。

律「あぁ!待って!」

紬「第二ラウンド~カーン!」クスクス

律「うわぁぁん!!」




律の家!

律「はぁ…ムギが最近怖いよ…」

紬に付けられた爪の後を撫でながら呟く。
ムギが暴力を振るってくるのがたまらなく怖い。
澪が殴ってくるのとはぜんぜん違う。
精神的にズキッと来る。
いつもは優しいムギが怖い顔をして怒ってくるのだ。

律「うぅ…優しくしてよぉ…」

しかし、暴力を受けているときのことを思い出すと少し、興奮してしまう…

無意識に右手が下腹部に伸びていく…

律「ッハ! な、なに興奮してるんだ、私!」

頭を抱える。

律「もうやだよぉ!私が壊れちゃうよぉ!」




数日後…

紬「ねぇねぇりっちゃん!」

律「ひぃ!」

紬「りっちゃんびっくりしすぎ~」クスクス

律(毎日みんなが見てないところで殴ったり噛まれたりされたら誰だってこうなるよ…)

紬「ねぇねぇ今日は昼休みに部室に来て!」

律「わ、分かった…」

 (やだやだ!次は何をする気なんだよぉ…)




昼休み…

ギィギィ

律(うぅ…部室にあがる階段が怖く感じる…)

 「…ッハ…はぁはぁ…息がうまくできない…」

扉の前に立つ

律「…」ガタガタガタ

 (怖くて扉が開けられない…)

ガチャ
中から扉が開けられた。

律「ひぃ!」

紬「いらっしゃ~い」ニコ

 「さ、入って入って」

律「うん…」

紬は軽やかな足取りでソファーの所までいくと優雅な動作で座る。

ポンポン
隣に座れ、という感じにソファーを叩く。
紬はニコニコしている。

律(こ、ここでノロノロするとまた殴られそうだ…)

律は頷くと、堅い動作で紬の隣に座る。

紬「うふふ。緊張してるわね」ニコ

律「そ、そんなことないよ…」

律は苦笑いのような笑みをなんとか作る。

紬「りっちゃんぶん補給!」ダキッ

律「!」ビクッ

突然律に抱きつく紬。
満面の笑みで抱きつく紬とは相対的に、律は顔面蒼白、目を見開いて下を見たままだ。
口は辛うじて半笑いの形を作っている。

紬「りっちゃんかた~い」クスクス

 「もっとこっち来て?」

律「な、殴らない?噛まない?」ビクビク

紬「だいじょおぶよぉ♪」

 「最近りっちゃんお利口さんだからね」ニコ

 「今日も抵抗しないわよね?」

律「う、うん」コクコク

律は何度も頷く。犬がしっぽを振るように。
そして、紬の方へ体を預けて密着する。

律「ムギのいうこと聞くよ…」

紬「うふふ、エラいエラい」ニコニコ

ゆっくりと律の頭を撫でる。

律(ムギの体温かい…)

紬「それじゃあ、今日も放課後ね」パッ

さっと律から離れてソファから立つ紬。
笑顔で手を振りながら部室を出て行く。

律「あ…」

 「もうちょっと撫でてもらいたかったな…」ボソ


紬「なに?なにか言った?」クスクス

部室の扉からヒョコっと顔を出して紬が言う。

律「な、なんでもないよ!」

紬「うふふ。律ちゃんお顔真っ赤よ?」クスクス

 「じゃね♪」

バタン

扉が閉まって、階段を降りていく音が消えると、やっと律は体の力を抜く。

律「何がもっと撫でてだよぉ…飼い慣らされてるじゃん…」

またも頭を抱える律であった。

しかし、その後紬は律に今まで以上に優しくなり、
時々律に抱きついたり、撫でたりするようになった。
こんなスキンシップは二人の秘密だった。
そんな生活が数日続いた。



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