小父「いやー晴れたねえ」

唯「そうだね~」

小父「それじゃあ出発」

唯「しんこう!」

ブロロロロ……


唯「おじさんはよく眠れた?」

小父「まあね」

唯「私も~」

小父「そうそう、今日中には着けると思うよー」

唯「はーい」


小父「おー空いてる空いてる」

小父「これなら早く着きそうだな」

唯「……」

小父「ん?」

唯「くー……」

小父「さっそく寝るの?」

小父「よく眠れたんじゃなかったの?」

唯「くー……」

小父「ま、クマ作ってよく眠れたも何もないわな」



唯「――んあ?」

小父「おはようさん」

唯「あれ、私寝ちゃってたんだ」

小父「それはもうぐっすりと」

唯「あちゃー……おじさんとお話したかったのに」

小父「それは残念」

唯「ここどこ?」

小父「神奈川区」

唯「えっ! もうついたの!?」

小父「君ん家がわかんないからとりあえずブラブラしてたんだけど」


唯「私の家はあっちの方」

小父「はいよ」

ブロロロロ……


唯「……」ぐー

唯「あっ」

小父「後ろの袋とってみ」

唯「これ?」

小父「それ。食べていいよ」

唯「あっ肉まん! いただきまーす」

唯「おいひ~」

小父「それと助手席の手前の物入れ空けてみ」

唯「ここ?」

小父「そこ」

カチャ

小父「写真入ってるでしょ」

唯「あっほんとだ。現像したの?」

小父「したした。一応全部2枚ずつ焼いてあるから好きなのあったら持っていっていいよ」

唯「ありがとーおじさん! じゃあ全部!」

小父「どーぞどーぞ」



唯「あ、ここだよ私の家」

小父「いいとこ住んでるねえ」

小父「はい到着」

唯「……」

小父「降りないの?」

唯「……おじさんはこれからどうするの?」

小父「んー、今度は北にでも行こうかね。涼しそうだし」

唯「私も行きたい」

小父「……」

唯「……けど我慢するよ。これ以上迷惑かけられないしね」

唯「色々お礼したいけど……今はこれくらいしか」ゴソゴソ

小父「?」

唯「はいこれ」

小父「何?」

唯「Tシャツと写真立てだよ。おじさんにプレゼント」

小父「……びっくらこいたわ」

唯「そう?」

小父「いや嬉しいねえ。でもこれどーしたの?」

唯「旅館に2泊した時があったでしょ? その時にバイトしたお金で買ったんだ」

小父「……」

唯「もしかして気に入らなかった?」

小父「いや、早速使わせてもらうわ」

唯「よかった」


小父「『ちゅうねん』ね……」

小父「このTシャツは君のセンスが漏れ出てるねえ」

唯「あっわかる?」

小父「わかるね」

唯「おじさん旅の途中だからTシャツは使うかなって。あ、旅の途中じゃあ写真立ては使わないか」

小父「せっかくだから何か入れておくよ」

唯「そっか」

小父「それじゃあ、親御さんによろしく……は言わないほうがいいかもな」

唯「そうかな? でももっとお礼したいな……」

唯「そうだ! そのうちお金ためてちゃんとお礼しに行くからね!」

小父「そうかい」


小父「まあ期待しないで待ってるわ」

唯「ぶー」

小父「それと」

唯「何?」

小父「もしまた旅に出るなら」

唯「……うん」

小父「……今度は少しは計画を練りんさい」

唯「……あ、そうだね」

小父「そう何回も拾ってやれないから」

唯「あはは、またおじさんに拾われたいな」

小父「言うねえ」

唯「……えへへ」



小父「んじゃあそろそろ行くわ」

唯「うん、気をつけてね」

小父「おじさんいつも安全運転だから」

唯「だよねえ」

小父「……」

唯「……」

小父「まあなんだ、元気でな」

唯「おじさんもね」

小父「へいへい」

ガチャ バタン

ブロロロロ……


唯「……ありがとうございました」

唯「おじさん……バイバイ」



小父「――さあて、ここまできたら俺も一旦東京に帰ろうかね」

小父「そしたら今度はどうすっかな」

小父「日光、会津、喜多方ラーメン、宮城牛タン、岩手わんこそば……ってあいつじゃないんだから」

小父「……」

小父「まあ、たまには賑やかなのも悪かないね」

小父「案外岩手辺りでまた倒れてたりしてな」

小父「ああそうだ……写真立て」

小父「何か良い写真は、と」

小父「……あー、これフェリーで撮った奴か。行き倒れてた奴とは思えない笑顔ね。この後酔って酷かったけど」

小父「これでいいか、どうせ俺の車のグローブボックスなんて誰も見んだろ」

小父「さーて、久々に家で一杯やりますかね」

ガチャ ポチ

小父「3年目の浮気ぐらい 大目に見ろよ♪」



END