鹿児島

唯「……うっぷ」

小父「まあ、車で吐かなかった事は評価したい」

唯「ごめんなさい、私、今日はもう寝る……」

小父「ごゆっくりー」

小父「……」

コポコポコポ

グビッグビッ

小父「……ふう」



唯「おはよーございます!」

小父「君は極端だよねえ」

唯「えへへ」

小父「なんで喜んでるんだろうね」

唯「えへへ」

小父「そうそう、この旅館にもう一泊するから」

唯「そうなの?」

小父「そうなの」

小父「というわけで今日は自由行動ね」

唯「そっかあ……あ!」

小父「?」

唯「じゃあ私出掛けてくるね!」

小父「はーいいってらっしゃい」




唯「ただいまー」

小父「はいおかえり」

唯「疲れた~」

小父「なに、観光してきたの?」

唯「うーん、秘密です」

小父「秘密って……それ以外に何かあるの?」

唯「まあまあ、ご飯食べようよ~」

小父「まいいけど」



翌日

小父「博多に向けて出発」

唯「しんこう!」

ブロロロロ……


唯「あー風が気持ちいい」

唯「……キミを見てるといつもハートDOKI☆DOKI♪」

唯「揺れる思いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ♪」

小父「それ最近の曲?」

唯「ううん、これはオリジナルだよ」

小父「オリジナルねえ」

唯「私バンドやってるの」

小父「んじゃあ楽器できるの?」

唯「ギターを少々」

小父「ほう」

唯「さっき歌った曲はふわふわ時間っていう歌なんだ」

小父「色々すごいな」

唯「この曲のPVは車に乗って警察から追われるんだ」

小父「さっきの歌詞で?」

唯「最後は車ごとがけから落ちちゃうの」

小父「おじさん車の中では聞きたくないね」

唯「じゃあおじさんのカセットテープ聞こうよ」

小父「若い子が聞くようなのは入ってないよ」

唯「まあまあ、じゃあこれで」

ガチャ ポチ


チャチャッチャ チャラララ♪

パーヤッパーヤッパッパヤッパヤッパッパパヤッパー♪
パーヤッパーヤッパッパヤッパヤッパッパパヤッパー♪


小父「何でこれにしたわけ?」

唯「うーん、なんとなく」


馬鹿いってんじゃないよ お前と俺は
ケンカもしたけど ひとつ屋根の下暮らして来たんだぜ~♪


唯「あーこの歌なんだかいいね」

小父「君おもしろいねえ」


3年目の浮気ぐらい 多めにみろよ
ひらきなおる その態度が気にいらないのよ~♪



福岡

唯「ラーメン!」

唯「おじさんラーメン食べよう!」

小父「え~もつ鍋でくいっといこうよ」

唯「じゃあ明日はラーメンね!」

小父「はいはい」



山口県

唯「トンネル長かったね~」

小父「君ずっと寝てたよね」

唯「へへへ」

小父「ここからは広島、岡山、兵庫、京都、福井、石川県の道順だから」

唯「広島焼き、マスカット、そばめし、やつはし、ズワイガニ! 石川県は……なんだろ」

小父「君太っちゃうんじゃないの?」

唯「大丈夫!」



岡山

唯「美味しかったよ広島」

唯「待っていてね兵庫」

小父「もう完全にグルメ旅行じゃないの」

唯「でへへすいやせん」

唯「おじさんと会う前も美味しいものたくさん食べてたんだよ」

小父「それでお金尽きちゃったんでしょ」

唯「はい」

小父「なーにやってんの」



小父「石川県の後は富山を抜けて新潟ね」

唯「はーい」モシャモシャ

小父「その八つ橋お土産に買ったんじゃないの?」

唯「違うよ?」

小父「……」

唯「あ、おじさんも食べる?」

小父「食べる食べる。残しといて」

唯「はいあーん」

小父「あらーそういうこと?」

唯「そういうこと」


唯「そういえばおじさんってたまにしか写真撮らないよね」

小父「あーそうねえ」

唯「どうして? もっといっぱい撮ればいいじゃん」

小父「それが駄目なんだよねえ」

唯「えっ」

小父「……忘れちゃうんだよね」

唯「だめじゃーん」

小父「はっはー」



小父「今日はここらで一泊かね」

唯「野宿が久しぶりに思えるよ」

小父「あらそう」

唯「あ、星が良く見える!」

小父「この辺明かりないもんなあ」

唯「野宿も捨てたもんじゃないねー」

小父「ま、俺はいーんだけど風呂入れなくてやじゃない?」

唯「1日くらい平気だよ~」

小父「そんなもんかねえ」



唯「おじさんおはよー」

小父「おはようさん」

唯「私あっちで着替えてくるね」

小父「いってらっしゃい」

小父「……」

小父「今日は曇りか……雨降っちゃうのかねえ」

唯「おまたせー」

小父「あら? そのジーパン最初に買った奴でしょ。裾長いんじゃないの?」

唯「裾折るから大丈夫だよ~。それにこのジーンズ結構気に入ってるんだ」

小父「あらそう。そりゃよかった」



ブロロロロ……

唯「次は富山か~。富山には何があるの?」

小父「まあ海の幸じゃない? 鰤とかほたるいかとか」

唯「あーおいしそう!」

小父「ますのすしとか氷見うどん食べたいねえ」

唯「あははは、おじさん食べ物ばっかりじゃん」

小父「君がそれ言っちゃう?」

唯「あははは」


唯「そういえばさ……」

小父「何?」

唯「おじさんて独身なんでしょ?」

小父「まあそうなるわな」

唯「じゃあ一人暮らしなの?」

小父「そうだけどそれが何か?」

唯「結婚とかしないの?」

小父「どうでしょうねえ」

唯「ふーん……」

小父「まあ独り身の利点はこうやって自由なことが出来るくらいだけどね」

唯「そっかー結婚したら旅なんて出来ないね」

小父「君くらいの年じゃあそんなにいないだろうけどもう少しすると結婚する奴が出てくるよ」

唯「結婚なんてまだまだ先のことだと思ってた」

小父「そうだろうね」

唯「家事とか出来るかな」

小父「そのうち出来るようになるんじゃない? 俺だって出来るし」

唯「そんなものなのかな」

小父「そんなものよ。やらなきゃならない状況になったら意外と出来るもんよ」

唯「へえ~」

小父「それに君なら上手くやっていけるんじゃない? 人付き合い得意でしょ?」


パーヤッパーヤッパッパヤッパヤッパッパパヤッパー♪
パーヤッパーヤッパッパヤッパヤッパッパパヤッパー♪


小父「馬鹿いってんじゃないよ お前と俺は ケンカもしたけどひとつ屋根の下暮らして来たんだぜ♪」

小父「馬鹿いってんじゃないよ お前のことだけは 一日たりとも忘れたことなどなかった俺だぜぇ♪」

唯「よくいうわ~いつもだましてばかりで 私が何にも知らないとでも 思っているのねえ~♪」

小父「お、新潟入りまーす」

唯「イエーイ」

小父「3年目の浮気ぐらい 多めにみろよ♪」

唯「ひらきなお~る その態度が気にいらないのよ~♪」

小父「3年目の浮気ぐらい 多めにみろよ♪」

唯「両手をついてあやまったって 許してあ・げ・ナイ♪」



唯「新潟か~」

唯「思ったより熱いね」

小父「そりゃあそうでしょうよ。この時期でも涼しいのはもっと北の方」

唯「なんだか涼しいイメージがあったのに。アイス食べたいな」

小父「もう名産でもなんでもないよね」

唯「新潟の名産って?」

小父「こっちの知り合いから酒と枝豆をよく送ってもらうな」

唯「そういうのじゃなくて」

小父「いいじゃないの酒と枝豆。ま、君が好きそうなのは米とか笹団子とかかね」



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