小父「おはよーさん」

唯「おはようございます!」

小父「それじゃあぼちぼち行きましょうかね」

唯「はーい」

小父「まずは君の……」

唯「ごはん?」

小父「じゃなくて君の服とか買わないと」

唯「ええー悪いですよう」

小父「そんな丈の長いジーパンじゃあアレでしょう」

小父「それに他にも必要な物とかあるでしょ」

唯「うーん確かに」

小父「そゆこと」



唯「なんかすいません。服の他にお菓子まで買ってもらっちゃって」

小父「旅は道連れ世は情けってね」

唯「ありがたやー」

小父「君は色んなところを見て周ってたんだよね」

唯「そうだよ」

小父「俺もそんな感じだったからさ、この先もそんな感じでいいかな」

唯「いいよ~その方が楽しそうだし」

小父「じゃあ高速乗らなくていいか」



小父「もうすぐ愛媛ね」

唯「愛媛! ポンジュース!」

小父「君食べ物関係好きね」

唯「えへへ」

唯「徳島もおいしかったなぁ~」

小父「美味しいって、他にも何かあるでしょ」

唯「そうだねえ、徳島はほっこりしたよ」


唯「ポンジュースおいしぃ~」

小父「そいつはよござんした」

唯「おじさんありがとう! このご恩は必ず返すからね!」

小父「へいへい」

小父「さて、今日はこの辺で宿を探すか」

唯「おじさんていつも宿に泊まるわけじゃないんでしょ?」

小父「そうだね」

唯「だったら車で野宿とかでいいんじゃないの?」

小父「俺はいいけど」

唯「私もいいよ」

小父「あらそう?」


唯「おじさんって最初自分のこと私って言ってなかった?」

小父「まあなんとなくね」

唯「なんで?」

小父「紳士っぽいでしょ?」

唯「うーんそうかも」

小父「でしょう」

唯「……」

小父「あ、理由はそれだけ」

小父「じゃあ俺はテント張ってそこで寝るから」

唯「あれ、車で寝ないの?」

小父「車で寝るのは君ね」



小父「愛媛のフェリー乗り場につきましたよっと」

唯「おおー」

小父「もう少ししたらフェリーに乗るからね」

唯「はーい」

唯「あ」

小父「へ?」

唯「じゃあこの車は置いて行っちゃうの?」

小父「いやいやいやいや」



唯「うぷ……酔った」

小父「君弱いねー」

唯「はい……」

小父「ご愁傷様」



――――――――――――――――

小父「ほらついたぞー車に乗ってフェリーから降りるぞー」

唯「うぷ……今はちょっと……」



唯「大分県についたぞー!」

小父「急に元気になったねえ」

唯「大分って言ったら……ええと……」

唯「何があるんだっけ?」

小父「うーん大分大分……」

小父「あ、口蹄疫?」

唯「ええと、食べ物がいい」

小父「大分大分……とり天?」

唯「何それ?」

小父「俺も食べた事ないんだよね」

唯「じゃあそれ食べようよ!」



唯「はぁー美味しかった」

小父「じゃあ行きますか」

唯「はーい」

ブロロロロ……


唯「ねえねえ、おじさんはどうやって旅してきたの?」

小父「旅してきた場所の話?」

唯「そうそう」

小父「俺は東京からスタートして神奈川、静岡、愛知と太平洋に沿って順に旅してたな」

唯「私と一緒だね」

小父「それから色々寄り道して徳島って感じかね」

小父「君は?」

唯「私も大体そんな感じだよ」

小父「しっかしこのご時勢に自転車漕いで一人旅とは度胸あるねえ」

唯「沖縄に行きたかったもので」

唯「あと、そういうのってなんだかかっこいいなって思ったので」

小父「気持ちはわからんでもないかな」

唯「でしょー」

小父「ただもう少し計画を練ったほうがいいな」

唯「えー……」

唯「あと……」

小父「ん?」

唯「私って自分で何かを始めることが中々できなくて、何かしようと思ってて」

唯「それにいっつも人に頼ってばっかりだったから……あ、今もか」

唯「そういうのを何とかしたいと思って旅に出る事にしたんです」

小父「……」

唯「……」

小父「いいんじゃないの?」

唯「結局おじさんに頼っちゃったけどね」

小父「……」

唯「……」

小父「まあ、いいんじゃないの?」


唯「おじさんはどうして旅に出ようと思ったの?」

小父「俺? そうねー、まあなんとなくね」

唯「えー」

小父「おじさんには大層な目的なんてないのよ」

小父「でもまあ、旅って楽しいでしょ?」

唯「うん、たのっしい!」

小父「そゆことよ」


唯「おじさんなんかかっくいーね」

小父「あ、ほんと? おじさんかっくいい?」

唯「旅してるところが!」

小父「あ、そ」

唯「私のお父さんもよく旅行に行くんだよ」

小父「今もどこか行ってるんでしょ?」

唯「そう、今は仕事だけどね」

小父「ふーん」

唯「そういえばおじさんは?」

小父「長期休暇中」

唯「へー」

唯「奥さんに怒られないの?」

小父「奥さんいないの。だから自由に旅できるの」

唯「なるほどー」

小父「あーでも」

唯「?」

小父「むしろ俺くらいの年代だったら奥さんがいても旅できるのかもな」

唯「どうして?」

小父「君の家は夫婦仲良さそうだからわからんだろうね」

唯「?」



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