四番手いきます




~K大学 新入生ガイダンス~


『新入生の皆さん、入学おめでとうございます』

和「いよいよ私も大学生ね」

和「それにしても大学って広いのね。ガイダンス会場に来るまでに迷ってしまったわ」

『新入生の方々にいくつか注意があります』

和「担任もいないし、大学生には自主性が大事なのね」

『まず、サークルを装った怪しい宗教勧誘には十分注意をし・・・』

和「・・・宗教は、私は興味ないわね」

和「そういうのに引っかかる人いるのかしら」

『自分の周りの人にも、そういう詐欺に引っかかってないか、注意してあげましょう』

和「自分の周り・・・」

和「・・・・・・・・・あぁ、いたわね、引っかかりそうな人」

和「唯たちの大学でも同じような注意は言ってるとは思うけど・・・」

和「あの子たちのことだから、ガイダンスにすら出てないこともありえるわね」

和「なんだか不安になってきたわ・・・」

和「・・・一度忠告したほうがよさそうね」

和「でも、普通の忠告じゃ聴く耳を持たないかもしれないわね・・・」

和「一度痛い目に合ってもらったほうが、実感として覚えるかも」

和「そうね・・・一度、あの子たちを引っかけてみようかしら」

和「早速明日、唯を呼び出して・・・」




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【平沢唯の場合】


唯「和ちゃーん!久しぶりー!」

和「唯、久しぶり、大学はどう?」

唯「えへへ、楽しいよ~」

和「そう、それは良かったわ」

唯「で、今日和ちゃんの用事って何なの?」

和「あぁ・・・それなんだけどね・・・」


和「唯、ちょっと宗教に興味ない?」


唯「宗教?なんで?」

和「実は私、宗教に入ったのよ」

唯「なんと!和ちゃんは神様になるんですか!」

和「宗教に入った人が神様になるわけじゃないのよ」

唯「そうなんだ。難しくてよくわかんないや」

和「で、宗教を始めてから運が向いてきてね。いい事づくしなのよ」

唯「おぉ!それはすごいね!」

和「だから唯にも入って欲しくって。このネックレスを買えば誰でも入れるのよ」

唯「わぁ~可愛いネックレスだね~」

和「今なら通常価格6万円のところを、半額の3万円で買えるわ」

唯「3万!・・・むむむ」

和「大丈夫よ。これから来る幸運に比べれば、安いものだわ」

唯「・・・じゃ、じゃぁ、買っちゃおうかな・・・」



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和「・・・いとも簡単に引っかかったわね」

和「これはあとで忠告しなくっちゃ」

和「次は・・・ムギあたりが危険そうね」




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【琴吹紬の場合】


紬「和ちゃん久しぶり~」

和「久しぶり、ムギ。大学はどう?」

紬「毎日がとっても楽しいわ!」

和「そう、それは良かったわ」

紬「今日は何の用事なの?二人だけで会いたいって、どこに行くの?」ドキドキ

和「あぁ・・・それなんだけどね・・・」


和「ムギ、ちょっと宗教に興味ない?」


紬「宗教?」

和「ええ。実は私、大学に入って宗教始めたのよ」

紬「どんな宗教?キリスト系ならうちの家系もよ」

和「そういう大きなところじゃないのよ。独自の宗教なのよ」

紬「まぁ、そうなの」

和「それで、ムギにも是非入って欲しいと思って」

紬「私に?うーん・・・」

和「私は入ってすごく良かったと思ってるわ。交友関係も広がったし」

和「自分の知らない世界を見ることが出来たの。
  ムギもけいおん部に入ったとき、経験したでしょう?」

紬「けいおん部に入ったとき・・・」

和「あの感覚をまた味わうことが出来たのよ。何も不幸なことは起きてないわ」

紬「どうしようかしら・・・」

和「別に無理に余暇を潰すようなことはしないわ。
  信仰を心にとどめておくだけでいいのよ」

和「今ならお布施も一部私が負担するわ。半額の3万円でいいわよ」

紬「・・・ちょっとだけなら、のぞいてみようかしら・・・」

和「えぇ、合わないと思ったらやめればいいのよ。宗教なんてそんなもんよ」

紬「そうね。和ちゃんが勧めてくれるなら、一度見てみたいわ」

和「そう、ありがとう。私も嬉しいわ」


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和「やっぱりムギは押しに弱いわね」

和「ムギにも後できつく言っておかないと」

和「・・・律はどうかしら」

和「一応ちゃんとしてそうだけど、何も考えて無さそうで・・・」

和「確かめる余地はありそうね」




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【田井中律の場合】


律「オーッス、和ー」

和「久しぶり、律。大学はどう?」

律「授業がさっそくだるいなー。ま、大学は楽しいぜ」

和「そう、それは良かったわ」

律「で、今日は何の用事なんだ?和が二人で会いたいなんて珍しいなー」

和「あぁ・・・それなんだけどね・・・」


和「律、ちょっと宗教に興味ない?」


律「え・・・?宗教?」

和「そう。私、大学に入ってから宗教始めたの」

律「へ、へー・・・」

和「そう引かないで。別に怪しい宗教じゃないのよ」

和「そうねぇ・・・音楽を聴くようなものかしら」

律「音楽?」

和「そう。神様を信じるというよりは、心の支えよ」

和「何か不安になったとき、その支えとなるのが宗教なのよ」

和「不安なことを周囲に話して、それで解消する程度のことね」

律「へー、そんな気楽なもんか」

和「それに、色んな人とも知り合えるわ。雑談サークルみたいなものよ」

和「確か・・・洋楽好きの人もいたわよ」

律「おっ、マジ?」

和「ええ。ドラマーの人もいたし、久しぶりに本気で音楽について語れるんじゃない?」

律「へぇー、それはちょっと興味出てきたなー」

和「律がそこで交流を深めれば、さらにバンド活動も活発になるんじゃない?」

律「そうだなー・・・じゃあ、和がそこまで言うなら一回行ってみよっかなー」

和「あらそう、嬉しいわ。じゃあ一応参加費が必要なんだけど、今回は3000円でいいわ」

律「りょーかい。サンキューな、和」


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最終更新:2011年07月14日 22:45