唯「平沢どっきりカメラ!」




 おはようございます!
 ただいま6時30分、きょうはちょっぴり早起きして桜ヶ丘高校の教室にきております。

 さてやってまいりました、平沢どっきりカメラのお時間です!
 わたくし桜ヶ丘高校3年軽音部の平沢唯、今回の仕掛け人です。えへへ。
 え? なにりっちゃん、企画の紹介? ああっうんわかったー。

 えっとぉ、この企画はりっちゃんが「唯の演技力が試される」って言われてえ、
 わたし……主演女優ばってき?! みたいにまいあがっちゃってえ……えへへへ。
 あ、もうわかってるよお! ちゃんと説明するってばあ!
 じゃありっちゃんカメラあっちの教室に向けて。

 こほん。
 今回、どっきり企画をしかけるたーげっとは……この子です!


憂「……♪」


 そうです、わたしのたった一人の妹。平沢憂さんです。

 どうやら本を読んでるようですねえ……どんな本だろ?
 まあとにかく、さっそくいたずらをしかけてみたいと思います!

 まずはベタに……これをこうしてっと。
 くふふっ。
 うん、じゃありっちゃんは隠れてて!


唯「あーういー、ちょっとこっちきてー」

憂「おねえちゃん……どうしたの?」

 お、きましたきました。さてそろそろですね・・・。


憂「きゃっ?!」


 きました! 憂の顔に黒板消しがくりーんひっと!
 憂のかわいいほっぺも制服のえりもとも粉まみれです。

憂「げほっ…ごほっ……」

唯「だっだいじょうぶ、うい……?」

憂「う、うん……大丈夫、心配しないで……」

唯「まったく……ひどいことする人もいるもんだね! ぷんぷんだよ!」

 ちょっと憂のためにおこってみました。
 ついでにいたわってみます。

唯「……もう、えりに粉がとんじゃってるよ?」ぱしっぱしっ

憂「お、おねえちゃん…ありがと」

 憂は照れたように笑っています。なんだかうれしそうです。
 ていうかりっちゃん、音入っちゃうからそんなに笑わないでってばあ……。



 ふう。ひとまず朝はこれぐらいにしておきましょう。
 これから憂にはもっとびっくりしてもらわなきゃいけませんからねー、くふふっ。
 りっちゃん、おぬしもワルよのう。ぐふふふふっ。

 ところで憂はあんな格好で大丈夫なんでしょうか。
 知っての通り、うちの高校の制服はチョークの粉が目立つ色です。
 そりゃさっきちょっと払ってあげたけど、やっぱりちょっと汚れが目立ちますね。

 うーん。
 あの汚れを誰かが見つけたら、平沢どっきりカメラの企画がピンチです。
 うーん……あ、そうだ!
 ねえねえりっちゃん、あとで憂の服をあらってあげようよ!



 そんなわけで一時間目の授業がはじまりました。
 ここからはもう一人の仕掛け人、中野梓ちゃんのご協力により、教室からの映像と音声のみでお伝えしたいと思います。

 え? わたしとりっちゃん?
 いやだなあ……ほら、三年生はもうこの時期は授業ないじゃないですか。
 だからこうしてわたしの家でで……わありっちゃん、いいにおーい!

 ごめんなさい。なかなかおいしそうな料理ができそうなので、ついそっちをれぽーとしてしまいました。
 それでは二年生の教室の方をみてみましょう! ぶいてぃーあーる、どうぞ!

――――――
――――
――



純『うわ……その服どうしたの』

憂『ううん、なんでもないよ。あさ学校来て……その、黒板掃除してたらちょっとね』

純『もう、憂らしくないなー……そんなん日直当番にやらせときゃいいじゃん』

憂『……あ、えっと、その…黒板、きたないままだと悪いかなって』

純『……』

憂『ほら、教室はいってきたない黒板だと気分よくないよね?』あせっ

純『……ふふ』

憂『な、なにかな…』

純『憂って、嘘つくの下手だね』

憂『う、うそじゃないよ…』

――――――
――――
――



 ふーむ。これは純ちゃんが企画進行のじゃまになりそうですね。
 ちょっとなんとかしなきゃいけないかも……。


梓『っていうかきょうの日直当番、純じゃん』

純『へ? ……そ、そうだっけ?』

梓『ほらー、日直が休みの日は次の人がって』

純『……ああっ、わすれてた!』

梓『いろいろ仕事あるでしょ、ほら』

純『そうだった! ごめん憂、今から演習ノートとってくる!』


 おお、あずにゃんナイス!
 さすがわたしのかわいい後輩、やってくれますねぇ。


憂『あのね、梓ちゃん』

梓『なに?』

憂『……お姉ちゃん。きょう、どうしてるかな』

梓『憂の方がわかるんじゃない? っていうか直接聞けばいいじゃん』

憂『あは……そうだね。そう、だよね……』


 うーん、なんだか憂がかわいそうに見える画ですね。
 私が撮りたいのは泣ける話とかじゃなくって、みんなでげらげら笑えるこめでぃなんだけどなあ……。



 さてさて時刻は13時、お昼休みも半分ほど過ぎたころです。
 わたしたちも桜ヶ丘高校にふたたび到着、平沢どっきりテレビも再開です!

 さて平沢憂さんの様子はどうなんでしょうか?

憂「……あ、おねえちゃん…」

 つい少し前までひとり浮かない顔をしていた憂ですが、わたしを見つけてにっこり。
 ていうか教室に人が少ないです。どうしちゃったんでしょうか?

唯「ねぇうい――」

憂「おねえちゃん、私の体操着知らないかな……?」

 おおっと、そうでしたそうでした。
 そういえば昨日のうちに体操着隠しといたんだっけ。

唯「うーん……だれかが持ってっちゃったのかも?」

憂「そ、そんなことはないよ……たぶん」

 まだ服に白い粉の目立つ憂は、困ったようにうつむいてしまいました。
 しょうがないのでお姉ちゃんが一緒に探してあげましょう。

唯「どっかで落として来ちゃったんだよ、きっと!」

憂「あ……そう、かも」

唯「じゃあ、一緒にさがしてみようよ!」

憂「……うん!」

 憂に少しばかり笑顔が戻りました。



 わたしたちは憂が朝歩いてきた廊下を二人並んで歩きます。
 りっちゃんも前の方で憂に気づかれないようにわたしたちを映し続けています。

唯「……この辺にもないねえ」

憂「……ごめんね、おねえちゃん」

唯「なぁに?」

憂「……んーん、なんでもない」

 なにを言おうとしたんでしょうか。まあどうでもいいですけど。
 とにかく、そろそろ次の仕掛けが待っています。

唯「あ、わたしちょっとトイレいってくるね!」

憂「え……あ、うん」



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