━第38話━


─部室─


純「新入部員も入ったし、今日は部室でパーティでもしようか!!」

菫「わぁ、いいんですか?」パァ~ッ

憂「だめだよ」メッ

菫「そ、そうですよね……」シュン…

憂「うそだよ~」ハミッ

菫「あ、右の耳をかじらないでくださいっ!!」

純「じゃあ私は左の耳をゆっくりかじろう……」ハミッ

菫「ああ汝、左耳をハミられたらみぎみみみみみみ…・・・!!」ハミハミハミハミ

菫「という夢を見ました」

憂「はぁ」

純「なに言ってんのこの子」

菫「のこのこ!!」キャッ

憂「なんだかあぶない子だなぁ~」

梓「ところで菫、ひとつ気になったんだけどね」

菫「はい」

梓「夢の中に憂と純が出てきているのに私だけがいないようだね」

 「おかしいなぁ~」

菫「こ、この人、なに言ってるんですか?」

憂「梓ちゃんは危ない子だからいいよ」

菫「よかった!いいのならいいんですね!だっていいんですから!!」ホッ

純「???」

奥田「この部活は不思議な部活ですね」

  「私のようなクズ人間でも

   入部しているだけで勇気がびちびち湧いてきます」

憂「ははっ、よかったぁ」

奥田「おや?」

  「入部しているだけで勇気が湧いてくるということは

   ひょっとすると部室にわざわざ来なくても

   勇気が湧いてくるんでしょうか?」

憂「どうだろうねぇ」

奥田「試しに今日は帰りますね」

ガチャッ

バタン

憂「あの子、なにを言ってたのかなぁ」

純「本当に出ていっちゃったよ……」

梓「そんなことよりお茶にしようよ!!」

純「部長として、意味もなく帰ろうとする部員に

  何か言うことがあるんじゃないのかね?」

梓「でも律先輩が部長やってたときは

  まだまだこんなもんじゃなかったよ」

憂「誰が一番長い間、部室に来ないか競ったこともあったそうだね」

純「えっ、なにそれ」

 「結局どうなったの?」

梓「私と唯先輩と律先輩とムギ先輩は3日くらいで部室にきたけど

  澪先輩だけ半年間来なくて優勝した」

純「半年間……?」

梓「だけど、勝ったハズの澪先輩の横顔は何故か寂しそうだったよ」

ガチャッ

さわ子「やっほ~」

純「あっ、さわ子先生」

憂「こんにちわ~」

さわ子「今、メガネとスレ違ったけど、あの子も新入部員?」

梓「お前は次に『お前もメガネだろうがっ』と驚く」

菫「お、お前もメガネだろうがっ!!」エィッ

さわ子「あなた、新入生の分際で

    私をお前呼ばわりとはいい度胸じゃない」

菫「ごごめんなさい……!!アイツが言えって言ったんです……」オドオド

梓「新入生の分際で先輩をアイツ呼ばわりとはいい度胸だね」

菫「はぅぅ……」

純「梓が後輩をイジめている」

憂「きっと今までお姉ちゃんたちの後輩というポジションに甘んじていたから

  ウサ晴らししているんだ」

さわ子「梓ちゃんってマゾだと思ってたけど実はサディストでもあったのね」

憂「右利きの人がサウスポーに転向するようなものだから手ごわいですよ」

 「なにせ右で撃つジャブがすべて大砲並のパンチ力なんだから」


梓「菫、早く私の耳の穴に煮えたぎった紅茶を流しこむんだよ」


菫「ひゃぁっ、そ、そんなことできませんんっ」

さわ子「菫ちゃんに自らを責めさせることで、SとM、両方を兼ねているなんて!!」

純「私も何やら帰りたくなってきました」

菫「あっ、そうだ!」ポン

 「新入生歓迎会での先輩の一人弾き語り、とっても上手でした!」

梓「えっ、えへへ」

 「そうかなぁ///」ウニャァ

純「ロコツにご機嫌をとりにいった」

憂「でも正直、ものすごい音痴だったよね」

 「私、ひいちゃった」

梓「えっ」

さわ子「なんていうか、こう、ジャイアンみたいなギャグの音痴じゃなくて

    聞いてるとこっちが恥ずかしくなってしまう

    リアルで哀れな音痴ぶりだったわね」

梓「ち、違う!!あれは澪先輩の歌詞が恥ずかしいのであって

  私の歌は恥ずかしくないです!!」

憂「今まではギターが超絶うまかったから生意気言っても許された感があったけど

  もう梓ちゃんは澪さんたちのことをバカにしない方がいいと思うんだ」

純「うん、歌へたあずにゃんにそんな資格はないんだよ」

梓「うぐぁ」

菫「お、お気の毒です」

梓「お前のせいだ!!お前の!!お前の!!お前の!!」ハミハミ

菫「み、みみっ」

菫「耳をやさしくかまれると気持ちいいんですね……」ポワポワ~

 「私、知りませんでした」エヘヘ

さわ子「その歳でそんなこと知っている方がおかしいのよ」

純「でも高校生だから

  そういうことを知り始める年でもあるような」

憂「さわ子先生が彼氏に初めて

  耳をアマガミされたのはいつですか?」

さわ子「この間、耳にバターを塗ってネコたちにぺろぺろ舐めてもらったのよ?」

純「えーっと」

梓「このバンドのボーカルは

  私が菫の耳をかんで

  そのとき菫が漏らしたイイ声がボーカルっていうのはどうかな」

憂「わけがわからないよ」

さわ子「バカなんじゃないの?」

菫「怖いです」

憂「菫ちゃん、そこは死ねばいいのにって言った方が流れがよくなるよ」

菫「あっ、そうなんですね! 先輩すごいです!死ねばいいのに!」

純「心清らかな新入部員に地獄のコンビネーションを仕込むのやめてくんないかなぁ」

さわ子「そんなことより私が学校に来ているのは

    安定した給料とボーナスとお茶とお菓子だけが目的だって知ってた?」

菫「あっ、私、お茶淹れてきますね」カタ

憂「私も手伝うよ~」ガタ

純「いやぁ、お茶係は憂がやると思ってたけど

  菫があんなに紅茶を淹れるのが上手なんて、思わぬ伏兵出現だよね~」

さわ子「そういえば茶道部といえば緑色の気持ち悪い汁野郎ってイメージしかないけど

    上手に紅茶を入れる紅茶道部なんてあったら需要あるんじゃないかしら」

梓「あぁ、確かに赤い方が興奮しますもんね」

純「花嫁修業でやるにしても、今どきの人なら緑茶より紅茶を淹れてあげた方が喜びそうかも」

さわ子「あっ、珍しくみんなの支持が得られたわ!」ワーワー!!

憂「梓ちゃんの意見はカウントに入れてもいいのかなぁ」

菫「お茶が入りましたっ」カチャ

さわ子「ん~、いい薫りねぇ、とても芳醇でまろやかで濃厚な

    ミルクのような濃い霧の中で新呼吸をしたような」

梓「おいしいなぁ」ずずっ

純「正直、紅茶の味ってよくわかんないけど、おいしいって言っておこう」

さわ子「それでお菓子は?」

憂「ピーナッツですよ、ほら」がさがさ

梓「わぁ、5粒も」

さわ子「なぁっ!?」

   「こんなのおやつじゃないっ!!」

憂「わがままだなぁ、早く糖尿病になればいいのに」

さわ子「そんなリアルに怖いこと言わないでっ!!」

梓「唯先輩はいくら食べても太らないみたいな事言ってたけど

  糖尿病は大丈夫なのかなぁ」

憂「いくら食べても太らないのは私が作った

  偽装こんにゃくアイスや偽装こんにゃくステーキしか食べてかったからだよ」

 「最終的には偽装水道水こんにゃくまで飲ませてたから安心だね!」

純「それって逆に虐待じゃないんだよね?」

憂「ぶっちゃけた話、お姉ちゃんは家にいる間はこんにゃくしか口にしてなかったよ」

 「今は学生寮だから太らないか心配だなぁ」

さわ子「憂ちゃん、偽装こんにゃくティラミスとかないの?」

憂「こんなこともあろうかと作ってきました!!」

ジャーン

純「ティラミスだ」

菫「どこからどう見てもティラミスです!」

さわ子「ねぇ、これ食べていい?食べていい?」ハッハッ

憂「あっ、待ってください。食べる前にこの注射を」

チューッ

憂「はい、こんにゃくの中に生チョコンニャクとかを注入しておきました」

純「あー、びっくりした。私、てっきり」

梓「残念だなぁ」

さわ子「おいしいおいしい!!」ガツガツ

菫「生チョコンニャクって響き、なんだかカワイイですね!」

憂「ありがと~♪」

菫「あっ、可愛いのは生チョコンニャクであって先輩は関係なくて……すいませんっ」

憂「私、こんな扱いをうけたの始めてだなぁ」バキッ

さわ子「あなた達も もう3年生だものね」

   「今までは可愛い可愛いと言われたでしょうけど、ちょっと憂ちゃん、もうその辺で……」

純「わぁああっ、わあああああああ」


─第38話─

 おわり



29