─第28話─



─ショッピングモール─

唯「春から一人暮らしを始めるから、必要そうなモノを買いに来たよ~」

澪「備えあれば憂いなしだもんな」

唯「澪ちゃんたちも一人暮らしするんだよね?」

澪「まだ分からないよ」

唯「えっ?」

律「お前、この時期に一人暮らしかどうか まだ決まってないのかよwwww」

澪「そういう律はどうなんだ」

律「知らん」

唯「ムギちゃんも分からないの?」

紬「分からないの」

唯「いつ頃、それは分かることなの?」

紬「4月9日くらいに」

唯「じゃあ、みんな ここに何しに来たの……?」

澪「念のため、一人暮らしの準備はしておくけど

  もしも一人暮らしじゃなかったら

  今日、買ったものは全部爆発させるんだダイナマイトで」

唯「かっこいい」

紬「一人暮らしって何が必要なのかしら」

澪「とりあえず、人が生きるために必要なものは衣食住だ」

律「食は分かるが、衣って必要か?」

澪「ごめんな。律には難しい話だったな」

 「本当にごめんな」

律「あぁ……」

 「じゃあ、脱ぐぜ」

澪「じゃあ、私は警察を呼ぶよ……」

律「さらばだ」

紬「今まで楽しかったわ、りっちゃん……」

唯「りっちゃん、りっちゃん!!天ぷらに衣が無かったら台無しだよ!」

律「ハッ、そりゃそうだったぜ!!」

紬「じゃあ衣は必要よね!!」

律「おぉ!!」

澪「なんだ、そんな説明で良かったのか」フゥ

 「お前、天ぷらだったの?」

律「エビ食べたいでゲソ」

律「このショッピングモール、サクサクした衣は売ってるんだろうな?」

澪「お前 一体、何を買う気だ?」

律「……天ぷら」

澪「一人暮らしの準備で、そんなもの買って どうするんだ!!」

律「でもお前、生きるのに衣食住が必要だって言ってたじゃん」

澪「確かに言ったな」

紬「それなら『食』を司る天ぷら買うのは間違っていないわ」

澪「それもそうだな」

唯「澪ちゃん、天ぷらをそんなもの呼ばわりなんてヒドイよ!!」

 「天ぷらのお百姓さんに謝って!!」

澪「ふむ」

澪「天ぷらのお百姓さんとは言うが

  天ぷらって畑で収穫できる農作物だと思っているのか?」

唯「違うよ、天ぷらとはすごい油とかに

  すごい何かをすごい放り込んで作るすごい何かの事だよ」

律「すげぇ」

紬「すごい大ざっぱな調理レシピだわ」

律「ノーヒントに近いぜ」

澪「油に何かを放り込んで天ぷらが出来るのに

  なぜ私はお百姓さんに謝らなきゃいけないんだ」

唯「それは……」

 「あっ、私、ちょっと間違えた!」

律「唯はドジだなぁ」

澪「ははは」

紬「唯ちゃん、おっちょこちょい!」

唯「おっこちょちょい!!」キャtjクァャゥ

澪「はははっ」

唯「天ぷらのお百姓さんじゃなくて、お百姓さんが天ぷらだったよ~」

澪「お前は何を言ってるんだ」

紬「油に放り込まれるのはお百姓さんだったのね」

律「かわいそうな事しやがって」

澪「唯は天ぷら職人とお百姓さんと海と空と大地と

  ナメック星の近くの星々に住むすべての生き物たちに謝った方がいい」

唯「ごめんね……よく分からないけど」

唯「とりあえず天ぷらを買ってみたよ」

紬「その天ぷらが一人暮らしに役立つ日が来るといいわね」

澪「おいおい、食べ物よりも まずは調理道具が先だろ」

 「フライパンとか包丁とか買っておかなきゃな」

律「澪って料理できるのか?」

澪「あんまり難しいのは出来ないけど……大学生になったら覚えるんだ」

 「もう大人だからな!」

紬「りっちゃんは確か、りっちゃんのくせに料理が出来るのよね」

唯「りっちゃんのハンバーグおいしかったよ!!」

律(その言い方だと、アタシの肉で出来たハンバーグみたいにも感じるぜ!)

澪「なぁ律。一人暮らしを始めたら、私に作り方、教えてくれないか?」

律「アタシのハンバーグをか?」

澪「うん」

紬「私もりっちゃんのハンバーグ作りた~い」

唯「じゃあ、今度みんなで、りっちゃんでハンバーグ作ろうよ!!」

澪「おー!!」

律「今の唯の言い方は明らかに変だったなぁ」

唯「りっちゃんは食べちゃいたいくらい可愛いってことだよ~」

律「やめろ!」

紬「どうしたの、いいじゃない、へへへ」

澪「律は昔から、面と向かって可愛いとか女の子らしいとか言われると

  どうしていいか分からなくなるんだ」

律「かわいくねーし!」

唯「かわいいよ!!」

律「かいわれだいこん」

唯「けいたいでんわ」

律「はどうけん」

唯「めんたるくじら」

紬「一体、何が始まったの?」

澪「この世界の理を超えた新たな生命の誕生」

 「代償として古(いにしえ)の生命は滅びる」

紬「衣食住の住って住居のこと?」

 「ショッピングモールって家まで売っているのかしら?」

澪「ムギは大学生になっても極端に無知なお嬢様キャラを続けるの?」

 「ショッピングモールに家が売っていない事くらい さすがに分かるよな?」

紬「そんなこと急に言われると、ちょっとドキッとしちゃうわ」

澪「これからは少し厳しく いくぞ」

律「なぁ、駄菓子屋に行ったこと無かったって

  アレもウソだったのか?」

紬「えぇ、そうよ。だからなに?」

律「くっ、ムギ、お前っ……!!」

紬「りっちゃん、ウソをつくのはいけない事っていうのも

  誰かがついたウソなのかも知れないわよ」

律「ち、ちがう」

唯「まんだら」

澪「まんだらってなんの事だ?」

唯「住ってショッピングモールで買えるものがあるのかなぁ」

澪「ソファとかカーペットとか、家具インテリアも

  『住』の項目に入ると思うよ」

律「おっ、ソファ欲しいよな」

 「体が沈むような柔らかソファに座りながら優雅にテレビ見る生活に憧れるっ!」

澪「一人暮らしの部屋にソファなんて邪魔そうだけどなぁ」

唯「ナウマクサンマンダーポダナン アビラウンケンソワカ」

紬「どうしたの、唯ちゃん。修羅マッハ拳?」

唯「昔、憂を椅子にして座ったことを思い出しちゃってつい」

律「憂ちゃんを椅子にしたのか!?」

澪「かわいそうな事するなよ、あんな出来た妹なのに」

唯「でも妹を椅子にすると体にいいからって憂が無理やり……」

律「なんで妹を椅子にすると体にいいんだよ?」

澪「憂ちゃんがそんなおかしな事、言うワケないだろ」

唯「ほ、ホントだもん!」

律「なぁ、弟を椅子にしても体にいいのか?」

紬「お、弟に座るの?」

紬「ナウマクサンマンダボダナン・アギャン・ナウエイ・ソワカ」

澪「どうしたんだムギ」

唯「一人暮らし用品、いろいろ買っちゃった!」

澪「結局、何を買ったんだ?」

唯「天ぷらとガンプラとナンプラー」

紬「あっ、これ キュベレイね!」

律「かっこいいなぁ」

澪「天ぷらは話の流れで まぁ分かったが

  なぜプラモデルとタイの醤油を買ったんだ?」

唯「ワケが分からないでしょ?」

澪「あぁ」

唯「私の考えに誰もついて来れないよね?」

澪「あぁ」

唯「それが孤独に暮らす、独り暮らしってもんだよ……」グスッ

澪「考え過ぎだよ」


─第28話─

 おわり



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